「兄の嫁と暮らしています。」



兄の嫁と暮らしています。(1) (ヤングガンガンコミックス)

おすすめコミック。くずしろ著、ヤングガンガン連載中。

両親を早くに亡くし、兄妹二人で暮らしてきた岸辺志乃(きしべしの)17歳。その兄も亡くし、今は兄の嫁の希(のぞみ)さんと暮らしている。血のつながりはないけれど、義姉と義妹として仲良く暮らす二人。面倒見がよく、きれいでとても優しい希さんだが、兄がすでに他界している今、いつまでも甘えていいものかと、志乃は今日も悩むのであった。

義理の姉と暮らす女子高生の物語。義姉・希さんはとにかくできた人で、義妹・志乃が不満を抱くところはない。いつでも優しいし、可愛いし、兄のことを好きだったことが随所に現れ、周りの人を幸せにしてくれるような素敵な大人の女性です。のろけが多いのが唯一の欠点か?

一方の志乃は、いたって普通の女子高生。希さんに頼りたいと思いながらも、あまり煩わせたくないと悩みます。例えばクラスTシャツを作るとき、皆が親にお金を出してもらう中、自分で工面してみたり。義姉との距離感を保とうとしますが、そんな想いも受け止めてしまう希さんに脱帽する日々。

二人の間にいるはずの、兄であり旦那が他界している中、二人の関係がどこまで続くのか、続けていってもよいのか? 自分たちが見ているのは、義姉を通してみる兄の面影、義妹を通してみる旦那の思い出ではないのか。本当は他人の二人の、近いような遠いような姉妹の絆が描かれます。

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「雨水リンダ」



雨水リンダ(1) (ガンガンコミックスONLINE)

おすすめコミック。「浅尾さんと倉田くん」のHERO著、ガンガンONLINE連載中。一応4コマ漫画?

廃校舎にある、手芸部という名のオカルト研究部。部員のみつけた怪しげな本から、「人形」を創り出そうと実験を行う。枝は骨に、布は皮に、お菓子は内臓に、ガラスは声に、そして雨水を心の触媒として誕生した人形は、部長のリンダそっくりの人形だった。人の言葉を話し、リンダの幼いころの記憶を持つ不思議な雨水人形。部員たちは、雨子と名付けて、部室のマスコットとしてかわいがることになる。……いつか壊すその日まで。

リンダと雨子を中心とした、部員たちの青春コメディものです。雨子の生態調査を続けていくうちに、人間と同じようで違うところや、色々な性質を見つけていきます。また、純粋な雨子は、意図せず部員たちの癒しとなっていきます。

ストレスで水漏れする、普段は宙に浮いているが接ぎ木で足が生えるなど、雨子の人形性能(?)は、独創性が高く目を見張るものがあります。幽霊のような存在と一緒に学園生活を送る、というのは珍しいストーリーではありませんが、リンダのキャラクター性が面白く、また、いつか壊す儚い存在として描かれるため情がわき、オリジナリティの高い作品になっています。

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「淫らな青ちゃんは勉強ができない」



淫らな青ちゃんは勉強ができない(1) (マガジンエッジKC)

おすすめコミック。カワハラ恋著、少年マガジンエッジ連載中。

学力優秀、人付き合いはちょっと苦手な女子高生・堀江青(ほりえあお)。官能小説化を父に持ち、名前の由来はアオカンのアオ。エロい環境に育ったこともあり、男はみんな狼、どいつもこいつも性欲の塊だという、偏った観念を持っている。そのため、青春には目もくれず、大学では一人暮らしをするために、猛勉強をしていた。しかし、とあることがきっかけで、クラスのリア充男子・木嶋拓海に興味を持たれ、恋愛を意識するようになってしまい……。

青ちゃんは偏った性知識があるために、木嶋の行動をすべてエロい行動に結びつけて考えてしまいます。第三者目線で見ると、学生同士のピュアな恋愛のはずが、青ちゃん視点では、変態妄想全開になります。なんてことのない、木嶋のちょっとした一言でパニくって右往左往する青ちゃんと、振り回される木嶋の行動が面白いラブコメ。青ちゃんのデレ顔が常に可愛い。

興味がないはずの木嶋に、惹かれていったり、離れていったり。揺れる恋心と下がっていく成績。勉強するために集中しなきゃいけないのに、気になって集中できない、という青春真っ盛りの青ちゃん。その前に恋のライバルが出現して、平和な日常がさらに崩されていきます。果たして志望校へ合格できるのか、木嶋との恋の行方はどうなっていくのか?

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「木根さんの1人でキネマ」



木根さんの1人でキネマ 1 (ジェッツコミックス)

おすすめコミック。アサイ著、ヤングアニマルdensi連載中。

とある会社のOLにして課長・木根真知子(きねまちこ)三十ウン歳。映画好きが興じて、大学時代からずっと「1人でキネマ」という映画感想ブログを更新している。毎週たくさんの映画を見ては、ブログを更新する日々だったが、趣味を分かち合える仲間がいないことがちょっと寂しい。それもそのはず、木根さんの好きな映画は、ちょっと偏ってディープな作品が多いのだ。名作からB級作品まで、映画を見て熱狂したり激怒したり、今日も木根さんは我が道を行く。

映画好きなら、うん、そうなんだよね! と同調してしまうような感想ネタが多く出てきます。第一話から、「ターミネーター」シリーズのどのタイトルが面白かったか=それは「2」一択なのでは? という話題からスタートします。しかし、木根さんの所感は世間とは異なるので、そこで当然摩擦が発生するわけですが、まあ、映画好きあるあるですよ。

ゲームでもアニメでも漫画でもそうですが、人それぞれなんだから仕方ない、というお約束事を越えて毒を吐くという木根さん。時には妥協もするけれど、好きなものを好きと(自宅では)言い切る素晴らしい映画オタです。世間に流されまいとするその姿勢と、しかし社会に出れば完全に擬態し隠れオタに徹するところも共感が持てます。大人になるってことは、程度をわきまえることなのサ……。

登場する映画ネタは、インディ・ジョーンズ、スターウォーズなどメジャー系がほとんどですが、映画のシナリオをオマージュしたようなストーリーになっており、原作を知っているとより楽しめます。基本は洋画ですが、最近では「エヴァンゲリヲン」を扱うなど、懐の広さもあり。ネタも付きそうにないので、今後も長く楽しめそうです。

ああ、マンガ読んでたら「バッドボーイズ2バッド」が異常に見たくなってきた(いや、面白いかどうかはわからんよ?)。久々にTSUTAYAでも行くか……。

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「おにでか!」



おにでか! (1) (ヒーローズコミックス)

おすすめコミック。矢寺圭太著、pixivヒーローズ連載中。

女子高生・鬼龍院花生(きりゅういんはなお)は学校のアイドル。男子たちからモテモテだが、色恋にはあまり興味はない様子。いつも幼馴染の渡辺武蔵(たけぞう)をこき使っては、自分に言い寄る男子たちを追い払っていた。さんざんパシリに使われていた武蔵は、このまま甘やかしていてはいかん! と一念発起し、これからは世話を焼かないことを宣言する。ショックを受ける花生だったが、そこに謎の雷が落ちてきて……。

パトロール中の事故で命を落とし、異星人と一心同体となって地球守ることになったのはハヤタ隊員=ウルトラマン。本作では、似たような事故で死んでしまった少年・武蔵に宇宙生命体コスメスが宿り、その場にいた花生には巨大化能力が身についてしまいます。そして、世界を救うために、次々と現れる外敵と戦うことになっていくことに。

現れる敵の正体は不明。どうやらコスメスと同じような宇宙生命体らしいことがわかります。また、花生は「ときめき」の力で巨大化し、どんどん強くなります。それはビルより大きく、体育館を押しつぶすほどに……。恋する乙女ほど強くなるというスーパーヒーロー(ヒロイン?)なのです。

なお、戦闘方法は、殴る・蹴る、のまんま肉弾戦です。スペシウム光線や剣・盾など便利な武器はありません。思いっきり蹴り飛ばします。戦う相手も人型ですが、序盤の強敵・メイドアイドルは斬新な攻撃方法を繰り出してくるため、元はひ弱な女子高生である花生は大苦戦。圧倒的火力に立ち向かうために花生がとった行動とは……。

巨大少女というジャンルになると思いますが、この作品は”巨大になっている”という描写が非常に優れています。ビルの合間に立つ花生や、よろけて地面を踏み抜くカット、校舎に乗った花生をロングショットで描くシーンなど、被写体の大きさを強調するために、怪獣映画や特撮物でよく使われる手法ではあるのですが、よく描かれていると思います。そういったちょっとしたところをさぼると、迫力に欠いたり現実感がなくなっていくのですが、よくわかってらっしゃるという感じ。

また、絵柄は決して繊細な今風ではないのですが、表情がうまく描けているので、ヒロインがとても可愛らしく見えます。心理描写もばっちり。可愛いなあ、花生。

この先の展開も全く見えないので、続きも楽しみです。試し読みはこちら。〆

「駄能力JK成毛川さん」



駄能力JK成毛川さん 1 (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。菅森コウ著、やわらかスピリッツ連載中。

妖怪ちんげちらしのJK・成毛川蒔乃(なるもがわまきの)は、想い人里中くんの陰毛をゲットするために、彼の部屋で勉強会を行うことに。しかし、里中くんの部屋はきれいに掃除され、陰毛が見当たらない。あの手この手で里中くんの陰毛をゲットしようと奮闘するが……。

なんともくだらない能力を持った妖怪たちの、日常のような非日常を描いた作品です。ちんげちらしという発想がすごいですが、他にもヘンテコな能力を持った妖怪たちが登場します。

次第に里中くんを中心としたラブコメに発展していき、能力が関係なくなっていくのが惜しいですが、たまにとんでもない使われ方が発覚したりするところが面白い。

この手の作品はキャラが増えてなんぼだと思いますので、ヘンテコ妖怪をじゃんじゃん増やしていってもらいたいところ。

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「マル勇九ノ島さん」



マル勇九ノ島さん 1 (少年チャンピオン・コミックス)

おすすめコミック。木佐貫卓著、週刊少年チャンピオン連載中。

この世にはさまざまな世界が存在し、それぞれの世界で「勇者」と「魔王」の戦いが繰り広げられている。その勇者を手助けする組織「H・S・C(ヒーローサポートカンパニー)」に入社した天人類のフィオは、勇者様たちの役に立とうと熱望するが、配属されたのは、ダメ勇者を更生させるのが目的の第三課。フィオを導いた奇抜な上司・九ノ島竜一、何やら訳ありのクールな同僚・フレイヤとともに、各世界の勇者のサポートに奮闘する。

タイトルが「マル勇フィオ」ではなく、九ノ島さん、となっており、何やらただの上司じゃないらしいと予感させます。事実、九ノ島さんは、いい加減なようで要点を押さえているキレ者系です。彼にうまく乗せられて、任務にあたるフィオとフレイヤ。世界を救わなくなってしまった勇者たちを説得し、魔王に立ち向かわせることができるかどうか、がメインストーリーとなります。

初単行本ということで、画力は今一歩ですが、独特の世界観を持ち、キャラが立っていて読みやすく、展開も意外性があってよいかと。フィオとフレイヤの成長譚になると思われるので、二人の衝突と友情を熱く描ききってほしいところ。

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Milan Games Week 2016(SF5名バウト:TOP8)


ストリートファイター5のヨーロッパ予選ともいえる「Milan Games Week」より、名バウトの紹介。
日本の雄MOV春麗 VS ダディガイル(I’mStillDaDaddy)
最強キャラの呼び声高い春麗と、本作ではもうダメだこりゃガイルの戦い。しかし、ダディ、これを覆す活躍を見せる。
弱キャラでもやり込めば一発あるぞという、いい見本。素敵すぎる! 〆

「天野家四つ子は血液型が全員違う。」



天野家四つ子は血液型が全員違う。 1 (ヤングジャンプコミックス)

おすすめコミック。空えぐみ著、週刊ヤングジャンプ連載終了、全二巻完結。

血液型が全員違う天野家の四つ子。A型=几帳面なギャルあさひ、B型=マイペースな美形まひる、O型=社交的な巨乳ゆう、AB型=不思議ちゃんキャラのこよる、血液型がバラバラで、性格も容姿も異なる変な姉妹。彼女らのクラスを受け持つ担任の八代は誠司は、姉妹四人の性格の違いは血液型が原因では? と調査を始めてみることにした。

血液型ごとの特徴、というよくわからない迷信がありますが、本作はそのイメージに沿ってキャラクターが作られており、その行動を分析する、という形式になっています。

例えば、長女のあさひは、容姿はギャルっぽいのですが、中身は真面目で几帳面。整理整頓が好きで、気配り上手、倹約家というA型タイプの女の子です。いい加減なB型のまひると喧嘩することも多々あり。

他の姉妹も血液型ごとの特徴を持ち、同じ姉妹なのにまったく性格が違うために、同じことをするにもバラバラな行動を取るという面白さと、それを陰ながら調査していく八代先生のコメディもの。

二巻完結となっており、最後はネタ切れっぽく終わっていますが、ささっと見る短編ものとしては、ちょうどいい感じです。

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「古見さんは、コミュ症です。」



古見さんは、コミュ症です。 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。オダトモヒト著、週刊少年サンデー連載中。

今日から始まる高校生活。特徴のないただの学生・只野仁人(ただのひとひと)は、期待に胸を膨らませて校門をくぐる。最初に出会ったのは黒髪ロングの超美少女。思い切って挨拶してみたが、奇妙な目でにらまれ、返事をしてもらえなかった……。後にその少女の名前は、古見硝子(こみしょうこ)だとわかる。そして、古見さんはコミュ症(コミュニケーション障害)で、人と話すのが大の苦手だったと判明。偶然その事実を知ってしまった只野は、古見さんの友達作りに協力することになった。

クラスのマドンナ的存在で寡黙な美人。でも、本当は人と話すのが大の苦手、「おはよう」すら言えない古見さん。周りは敬遠するけれど、本当は友達がたくさん欲しい、そんな女の子です。

只野くんは、そんな彼女にシンパシーを感じ、まったくしゃべらない彼女の友達作りを手伝うことになります。ただし、彼は特徴のないただの一般男子。彼らの通う学校には、一癖も二癖もある学友たちが通っていて、一筋縄にはいきません。

コミュニケーション能力の異常に高い幼馴染(ただし女装)、極端にあがり症の女の子など、一風変わった生徒たちと、コミュニケーション能力ゼロの古見さんを引き合わせるという、難儀な仕事に振り回されながらも、次第に古見さんと心を通わせていく只野くん。

無口な女の子、というのはよく登場しますが、本人は会話したいのにどうしてもできない、というのは珍しいのではなかろうか。現時点でまったく回復の見込みはないのですが、努力は感じる古見さん。はたしていつか二人の努力が報われるときが来るのか。

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「夜鳴きのシィレエヌ」



夜鳴きのシィレエヌ(1) (ヤングキングコミックス)

おすすめコミック。今村陽子著、ヤングキングアワーズ連載中。一巻・二巻同時刊行。表紙を見ると独特の画風っぽく見えますが、本編はクセのない感じです。

歌で精霊を使役し、自然の力を操る「夜鳴きのシィレエヌ」と呼ばれる少女魔法使いたち。歌によってすべてを操る彼女らは、人々に恐れられ、呪われた声といわれていた。そんなシィレエヌの一人、おちこぼれの少女・ハイネは、とある街で任務を放り出し、逃げ出してしまう。一方、深窓の令嬢・マドラスは、街を逃げ回るハイネに興味を持ち、家を抜け出して一緒に行動するようになる。二人で協力し、マドラスの母のもとを目指すが……。

歌魔法とでもいえばいいのか、歌うと雨を降らせたり、風を起こしたりと多彩な現象を起こすことができます。ただし、個人の才能によって、得られる性質が異なり、例えば光のシィレエヌは光の魔法しか使えない、などの制約があります。

また、夜鳴きのシィレエヌは子供のみ。国属の機関で暮らし、弱いシィレエヌは街から依頼された小さな仕事をこなし、強力なシィレエヌになると軍隊に参加して戦うこともあります。中には歌を聴いたものを殺してしまう超強力なシィレエヌも……。

本作では、ハイネをはじめとした、何人ものシィレイヌの活躍と悲哀を描くものとなっています。まだ少女と呼ばれるお年頃。チームの仲間たちと、時に喧嘩をし、時に支えあって、命を懸けた戦いにも身を投じ、友情を深めながら成長していく物語です。

ところで。シィレエヌの発音の仕方がよくわからず。シーレイヌっぽく言えばいいのか、シレイヌっぽく言えばよいのか、シィレ・エヌのような感じなのか……。よくわからないのでアニメ化希望。

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「グレンデル」



グレンデル 1 (ゼノンコミックス)

おすすめコミック。オイカワマコ著、月刊コミックゼノン連載中。

護るべき王女を見捨てて逃げた女剣士・カメリア。牢に入れられ裁きを待つ身であったが、一つの依頼を果たすことで刑を免除すると告げられる。その依頼とは、伝説の竜の子ども・グレンデルをとある国へ送り届けること。敵を斬るたびに痛みを感じてしまうというカメリアは、泣きながら敵を蹴散らしていく。グレンデルを狙う刺客たちを退け、無事に送り届けることができるのか。

大泣きしながら剣を振りまくるカメリアが見どころの作品ではありますが、その割にガンガン斬り倒していくので、正直最初はそれがどうした程度の設定で、あんまり引っかからないフックではあります。が、2巻の終わりでカメリアとグレンデルの関係性に大きな変化が訪れ、非常に重要な前振りだったことに気が付きます。

同行する竜・グレンデルにも隠された能力があり、物語が進み、この世界における竜の在り方が次第にわかってくると、非常に厄介な同行人であることが判明します。本人も自身のことを知っていくにつれ、恐怖を感じるようになりながらも、成長していきます。

カメリアとグレンデルの旅路には、行く手を阻むものもあれば、味方をするものもあり。人間と竜ということなる種族の友情を育みながら、約束の地を目指します。そこには不幸が待っているとは知らずに……。

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「レストー夫人」



レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)

おすすめコミック。三島芳治著、週刊ヤングジャンプ増刊「アオハル」連載完結。全1巻。

この学校では、、毎年二年生が「レストー夫人」という演劇をする。
7つのクラスで同じ劇を違う台本にし、7種類の「レストー夫人」を上映する。
何かの実験なのかもしれない。

こんな書き出しで始まるお話です。

とあるクラスの「レストー夫人」の始まりから終わりまでを、複数の登場人物の視線で追っていきます。中心となるのは、ヒロイン・レストー夫人役の志野。彼女は、普段から、貴族のようなお上品なしゃべり方をしている不思議な子。ルックスがよいこともあって、すぐにヒロインに決まったが、何やら不安を抱えている様子。

劇の記録係であるスズキは、そんな志野の一挙手一投足を記録していました。授業中に記録しているところを先生に見つかってしまい、記録帳を取り上げられてしまうのですが、そのとき志野が意外な行動を起こします。

デルフィーヌ役の川名、アキノリとユーフラシー役の井上と鈴森、衣装係の石上、それぞれの役割、それぞれの小さいような大きいような悩みと向かい合いながら、徐々に劇が完成へと近づいていきます。

一つ一つが印象に残り、独自性も高い秀逸な群集劇です。また、どれもが優しい物語のため、読んだ後に心落ち着きます。さっと短時間で良作を読みたいときにオススメ。

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「かげきしょうじょ!」と「かげきしょうじょ!!」



かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)



かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめCOMICS)

おすすめコミック。「花宵道中」の斉木久美子著、メロディ連載中。

由緒正しき歴史を持ち、美しく聡明な女子しか入学できない紅華歌劇音楽学校。卒業すると、女子だけのミュージカル劇団「紅華歌劇団」へ入団できるという、いわば養成学校である。元国民的アイドルJPX48のメンバー・奈良田愛は、とある不祥事でJPXをクビとなり、新天地を求めてやってきた。美少女だけどクールで無表情、他人に無関心な愛だったが、同じ紅華の同級生・渡辺さらさの天真爛漫さに影響され、心揺さぶられる。仲良くなりたいとは思わないが、どうしても気になってしまう愛。一方のさらさは、明るく前向きだが、無神経な発言で愛をいらだたせる。果たして二人に友情が生まれることはあるのか……? そして憧れの歌劇団へ入団できるのか?

「かげきしょうじょ!」はヤングジャンプで連載されていた入学前後の話、連載誌をメロディに移して連載再開し「かげきしょうじょ!!」(!が二つ)はその続編となります。この絵柄でなんでヤングジャンプで連載していたのかという謎の作品。一応ジャンルとしては少女漫画ではありますが、男性でも違和感なく読めます。

舞台となる紅華歌劇団音楽学校は、宝塚音楽学校をモデルとしています。生徒たちは、憧れのオスカルやアントワネットを演じるスターになるために、厳しいカリキュラムをこなしながら、友人でありライバルである仲間たちと切磋琢磨していきます。

主人公の奈良田愛と渡辺さらさの二人は、その中でも突出した存在として、ストーリーの中心人物となります。クールで不愛想なお姫様の愛と、怖いもの知らずで長身長(178cm、でかい)の男役さらさのコンビ。性格のまったく違う二人の凸凹友情ストーリーとなっています。

また、紅華歌劇団の対比として、歌舞伎も重要なファクターとなっています。女しかいない紅華歌劇団、男しかいない歌舞伎の世界。これ以上の対比があるでしょうか。ここに気付いた作者はすごいなと感心しました。ちなみに、歌舞伎に影響を受けたさらさは、誰にもまねできないスキルを身に着けていたりします。

ヒロイン二人以外も、魅力的な女の子が多い作品です。夢を目指して奮闘する歌劇学校の生徒たちは、今日も厳しいレッスンに挑んでいるのです。まだ活躍の機会はないですが、個人的に沢田千夏と千秋の双子に期待してます。何か一芸持ってそう。

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「なのは洋菓子店のいい仕事」



なのは洋菓子店のいい仕事 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。「神のみぞ知るセカイ」の若木民喜著、週刊少年サンデー連載中。

丘の上のケーキ店「なのは洋菓子店」。気まぐれな天才パティシエの長男・大夢(タイム)、店をやりくりする次男の正路(せいじ)、末っ子のぱせりの3人が経営中。ただし、お店は経営不振。その理由は……パティシエがケーキを作ってくれないから? 丘の下の和菓子屋「しらかわ」とはライバル関係にあり、しらかわの美人姉妹・ほの香とかの香ともライバル関係。正路は今日もかの香に憎まれ口をたたかれるが、本当は嫌いじゃなくて……。

煙草を吸い、やる気はないけど天才パティシエ。というとんでもないキャラの大夢。ただし、これにはやんごとなき理由があり、物語が進むにつれ、その理由に登場人物たちは振り回されていきます。

店にやってくる個性的な客人のために、さまざまな洋菓子を作ります。グルメ漫画(?)らしく、ストーリーに合わせた洋菓子がたくさん登場しますが、大夢の作るケーキはどれもおいしそうで、たまにはケーキも食べてみたいと思わせるほど。

ラブコメ要素も色濃く、幼馴染でありライバルであるかの香を中心に、さまざまなタイプの女の子が登場します。この辺りは、「神のみ」で培ったキャラクターメイキングが活かされていると思われ、テンプレから少しプラスアルファしたような個性的なキャラが多く新鮮なのが特徴です。

ケーキに恋に。甘いストーリーに癒されます。そして甘いものを食べたくなる作品です。

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「雪花の虎」



雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。「海月姫」「かくかくしかじか」などの東村アキコ著、ヒバナ連載中。

戦国の英雄、軍神といわれた上杉謙信。武田信玄のライバルとして、歴史に名を遺す大人物ではあるが、実は彼が女であったとしたら? 男社会で強く生き抜く、女謙信の誕生と活躍を描く戦国大河絵巻。

上杉謙信が実は女だったかもしれない、というのは近年注目を浴びた俗説です。結構無理があるらしいのですが、それらしい伝承もあり、今でも小説などの創作物のネタになったりしています。本作は、その俗説を元にしてストーリーが構成されています。

謙信の生涯をなぞっていくので、歴史に詳しい人は男女置き換えて読み、戦国時代どころか歴史そのものが苦手な人は、時代背景説明と並行して書かれている別のコマで、東村先生がまったく関係ない話でお茶を濁してくれるという斬新な構成になっています。誌面の上部では歴史説明、下部では与太話をしているだけという……。

歴史にあまり関心がなくても、読者が楽しめるようにという配慮なのですが、それがあることにより、かしこまって読まなくてもよいエンターテイメントとして、本作を位置付けてくれています。ともすれば悲壮感ただよう戦国ものとしては、斬新な試みと思います。

もちろん、本編はいたって真面目なストーリーとなっており、女武将謙信の苦しみ、喜び、葛藤、そして激戦につぐ激戦を見事に描いています。今後ぶつかっていく武田信玄については、なかなかの曲者キャラとして、独特の味を出しています。彼は超強敵であり、謙信の秘密に迫る男になるに違いない。二人の対決が今から待ち遠しい感じ。

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「アンゴルモア 元寇合戦記」



アンゴルモア 元寇合戦記(1)<アンゴルモア 元寇合戦記> (角川コミックス・エース)

おすすめコミック。たかぎ七彦著、ComicWalker連載中。

1274年の元寇・文永の役。対馬に侵攻し、その後博多へと攻め込んでいく蒙古の遠征軍。とある罪により、対馬へと流刑されていた武士・朽井迅三郎(くちいじんざぶろう)は、宗主の娘・輝日姫(てるひめ)にその腕を買われ、蒙古から島を護る防衛軍として戦うことになった。源義経の残した技法「ギケイ流」の使い手である彼は、島を蹂躙せんと攻め立てる蒙古軍に、武力・知略をもって立ち向かう。とはいえ多勢に無勢で勝ち目はなし。勝負は援軍が来るまでの7日間を耐えきること。対馬の歴史に残る激闘の7日間が始まる……。

歴史ものということで、戦の過程や結果が分かった上で物語は進行します。つまり、結局蒙古軍は対馬を抜け、博多へと進行していくのですが、その間で起こった対馬内の戦いの様子が描かれます。歴史ファンでもなければ、どんな戦いになってどのぐらいの被害が出たとか、元寇が終わった後はどうなった等々知らないと思われるので、よくある歴史ものでありながら、興味深く読める作品となっています。

大河ドラマや三国志ものなど、どうなるか大体知ってしまっているものに比べ、結果は知っているけど過程がよくわからないものというのは大抵面白い。「キングダム」などはその典型だと思いますが、本作も期待にたがわず興味深く読み進めることができます。

迅三郎という架空のキャラクターを中心に、ファンタジー要素も含みつつ話が進みますが、戦ものとしてのバトル要素と、一癖も二癖もある人物たちの人間ドラマがうまく組み合わさっており、良作です。

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「わたしのカイロス」



わたしのカイロス (BUNCH COMICS)

おすすめコミック。からあげたろう著、くらげバンチ連載中。

とある惑星にて。見世物として、敵と戦い続けなければならないという「剣闘刑」を受けてしまった少女・グラジオラス。古代ローマのグラディエーターのような状況に置かれて失望するが、見知らぬ星に転送され、そこで出会ったロボットの少年・カイロスに勇気づけられる。そこに現れた強力な”敵”。グラジオラスとカイロスは協力し立ち向かうことになったが……。

どう考えても戦うことはできないだろうというひ弱な少女と、さらにひ弱なロボット少年が、絶望的な状況で強大な敵に戦いを挑み続ける、というプロット。

グラジオラスには絶対に負けられない理由があり、たとえ力が弱くても、勇気をもって戦いに臨みます。折れそうになる心をカイロスに支えられ、必死に立ち向かっていく姿が美しい。

様々な星をめぐりながら戦い続けていくようで、銀河鉄道999的に、さまざまな出会いと別れを繰り返して進むバディものになりそう。ストーリー、キャラクター、アクション描写等が平均してレベルが高く、長く続けてほしい作品です。

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「ゴールデンゴールド」



ゴールデンゴールド(1) (モーニング KC)

おすすめコミック。「刻刻」の堀尾省太著、月刊モーニングtwo連載中。

田舎の島町・寧島(ねいじま)に暮らす普通の女子中学生・早坂琉花(はやさかるか)は、ある日海岸で人の形をした奇妙な置物を拾う。捨てることもできないので、神社の祠に置き、些細な願いごとをしたところ、なんとその置物が福の神(?)となって琉花の前に現れる。その異形をみて、慌てて逃げる琉花であったが、家に帰ると福の神が民宿客として居座っていた……。それからというものの、急に民宿や売店が繁盛しだす不思議な現象が起こり始めるのだった。

あらすじだけ見ると、何かの昔話のようですが、福の神が普通じゃないので、やや怖さを感じるファンタジーものとなっています。まず、福の神がそもそも福の神かどうか、ほとんどしゃべらない上に、容姿が不気味な地蔵の形をしており、しかも島の人間には普通のおじさんに見えているため、だれも福の神であると断言できません。

そんなものが、自宅に居座っている時点でかなり不気味。しかも、祠に置いたのは琉花ですが、元の置物を洗う際に腕を折ってしまい、福の神は片手がない状態、これは許されることなのか悪いことなのか。また、異常なぐらいに店が繁盛していきますが、経営者であるおばあちゃんも取りつかれたように金策に走っていき、琉花を取り巻く環境が大きく変わっていきます。

この状況、不気味ではありますが、都会に憧れる好きな男の子を島内に留まらせるため、琉花は利用することを考えます。目標は都会のアニメイトに負けない品ぞろえの店舗を作ること。うまく福の神を使いこなせればよいのですが、うまい話には裏がある、何かしっぺ返しがあるような気がして怖いところ。不気味な福の神の正体と、琉花の恋路はどうなるのかに今後も注目。

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「響~小説家になる方法~」



響~小説家になる方法~(1) (ビッグコミックス)

おすすめコミック。「女の子が死ぬ話」の柳本光晴著、ビックコミックスペリオール連載中。

小説「木蓮」編集部に届いた分厚い封筒。それは、新人賞の応募作品だった。データでの投稿という応募要項が守られていないため、捨てられそうになっていたが、偶然にも若手の編集者・花井の目に留まる。作者の名は「鮎喰響(あくいひびき)」、その小説は、芥川賞にも手が届くのではないかという名作だった。しかし、プロフィールがまったく記載されていないため、新人賞への推薦もままならない。はたして作者は何者なのか……。名作を埋もれさせてなるものかと、花井は奮闘する。一方、当の作者はなんと新女子高生。腕試しに応募した新人賞のことはさておき、文芸部に入部しようと門をたたくが……。

あらすじや表紙からイメージされるのは「文学少女」というフレーズであり、それは概ね正しいのですが、響の性格が非常にエキセントリックなため、そのイメージは覆されます。文学少女といえば、物静かで夢見がちで、窓際でいつも本を読んでいる印象ですが、響きは違います。

我が強く、他人が自分をどう思うが気にせず、立ちはだかる敵はぶち倒していくような強い文学少女です。文学部にはびこっていた不良の先輩を、邪魔なので躊躇なく小指をへし折り追い出す胆力。才能に恵まれ、応募作品は絶賛される文章力。自分を溺愛するイケメンの幼馴染あり。なんちゅースペックだ……。

しかし、名作と賞されるその作品が世に出るか否かは、編集者の花井にかかっている状態で物語がスタート。花井の情熱により、まずは何とか新人賞の対象作品とすることができるか? が序盤の見どころとなります。

話が進むにつれ、響が持ちジャンルとしている純文学や、小説家を志す人々にも焦点が当てられます。誰もが響の才能に嫉妬し称賛する中で、浮かれるわけでもなく、危なっかしい態度を軟化させるわけでもなく、我が道を行く響。やがて同年代のライバル候補が意外なところから出現し……。先の読めないヒロイン=先が読めない展開で、非常に続きが気になる作品です。響は大成するのか、それとも自滅するのか?

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