月別アーカイブ: 2013年1月

「僕のまわりの宇宙人」

僕のまわりの宇宙人 1 (電撃ジャパンコミックス ム 2-1) (Amazon)

オススメコミック。村崎久都(むらさきひさと)著、電子コミック雑誌「電撃ジャパンコミックス」連載中。

空から降り注ぐ謎の怪光線に包まれ現れた少女・刑部理知(おさかべりち)。偶然それを見てしまった此木彗星(このぎすいせい)は、秘密保持のために理知に記憶を消去されそうになるが、理知の同僚・雪原冬子(ゆきはらとうこ)の計らいで、彼女たちのある調査に協力することを条件に事なきを得る。それから彼は、学園に巻き起こる奇妙な出来事に巻き込まれていくのだった……。

ラノベ、漫画によくあるプロットではありますが(最初は原作ラノベがあるものと勘違いしてました)、微妙に定石を外してくるので思ったより面白い作品。タイトルにあるように、理知と雪原は宇宙人です。任務に熱心だけどドジの理知、ほぼ傍観者ではあるけど頭の切れる(悪知恵の働く)雪原の対象的なコンビと、二人に振り回されながらも前向きな彗星。描写がうまく、キャラクターがよく立っています。

特に雪原の飄々とした独特な言い回しは読んでいて小気味よい。この人は本当に性悪です。彼女に良いように使われる理知と彗星も何か楽しそうで、重要度がいまいち分からない彼女らの”目的”と相まって、ゆる~く楽しく読める作品です。

隔月連載と言うことで、次巻が相当先になると思いますが、楽しみにしています。〆

※この記事は2012/03/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ウィッチクラフトワークス」

ウィッチクラフトワークス(1) (アフタヌーンKC)(Amazon)

オススメコミック。水薙竜著、Goodアフタヌーン連載中。

普通の男子高校生・多華宮灰(たかみやほのか)と、クラスメイトで学園のアイドル火々里綾火(かがりあやか)。何の共通点もない二人だったが、ある日突然、多華宮が謎の巨大うさぎ軍団に襲われたところを、魔女の格好をした火々里に助けられる。実は火々里は街の平和を守る”工房の魔女”と呼ばれる者で、多華宮を守ることが使命だという……。

学園モノの割にはスケールがでかい魔法バトルと、繊細なデザインの魔女服、ライバルを圧倒的なパワーでのしていく火々里さんが魅力の作品。作中の台詞にもありますが、まさに”マリオのスター状態”。とにかく強い。クールで無口で無敵。

その無敵の秘密と、なぜ凡庸な人間である多華宮を護っているのか、がお話のテーマになっています。まあ、3巻になるとほとんど話が見えてくるのですが。個性的だけど弱いライバルたちや、2巻以降に登場する妹でブラコンの多華宮霞の編愛ぶりも素晴らしい。使う魔法もハチャメチャで○。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/03/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ねじまきカギュー」

ねじまきカギュー(1) (ヤングジャンプコミックス) (Amazon)

オススメコミック。中山敦支著、ヤングジャンプ連載中。

新米教師・葱沢鴨(ねぎさわかも)は、ヤバい系女子に好かれる女難体質の持ち主。ある日の通勤中、不良少女に絡まれた彼の元に、先生を守るという謎の少年・鉤牛十兵衛(かぎゅうじゅうべえ)が現れる。圧倒的なパワーで不良少女たちをのしてしまう十兵衛であったが、なぜ鴨先生を助けたのかは告げず、逆に決して己(オレ)には近付くなと言う。果たして彼の正体は……。

ネタバレする前に、試し読みはこちら。

以下、ちょっとネタバレ。鉤牛:カギューちゃんは女の子。幼いころ、いじめっ子から自分をかばってくれた愛する鴨先生のために戦います。見た目は滅茶苦茶硬派ですが、中身は乙女一直線の可愛い女の子です。作中でも特に強調されており、普段は目つきの悪いカギューちゃんが、恋する乙女モードになるとキラキラお目々の美少女に早変わり。

他のキャラクターも基本的に危険な娘たちばかりですが、乙女スイッチが入るとがらりと表情が変わるのが特徴的。愛ってすごい。

バトルも何だか分からないがやたら熱い展開のオンパレードで、カギューちゃんの無尽蔵の愛のパワァーに圧倒されること間違いなし。愛の力は無限大。面白いから是非読め。〆

※この記事は2012/03/21に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「KEYMAN」

KEYMAN 1(リュウコミックス)(Amazon)

オススメコミック。わらいなく著、月刊コミックリュウ連載中。

ロックヴィルシティのヒーロー「キーマン」。空を飛び銃弾を弾き悪に対して容赦のない男。市民に絶大な支持を得る彼だったが、ある日死体で発見される。キーマンの胸には「DrNecro」の文字。果たして彼を殺害したのは何者なのか? 調査を開始したワニの獣人アレックスの前に、キーマンを知る謎の少女Dr.ネクロが現れ、協力して捜査を開始するが……。

独特の濃いタッチで描かれる作品。アメコミのヒーローものに、不釣り合いな少女を絡めた怪作。キーマンは1人ではなく、複数人存在するらしいことが分かる。キーマンとは何者なのか、ネクロの目的は何なのか、バトル展開を織り交ぜつつ話は続きます。

まだまだ話は序盤ですが、独自性が高く、今後の展開が気になる作品。連載誌が無事生き残ればの話だが……〆

※この記事は2012/04/02に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。」

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「乱飛乱外」の田中ほさな著、ゲッサン(月刊少年サンデー)連載中。

高校生の身で1人暮らし。それゆえ世間体を気にして、平凡で慎ましやかに暮らすことを旨とする少年・空木宗也(うつぎそうや)。ゴミ捨ての際はきっちり分別する几帳面。ある日、宗也のクラスにどこか世間ずれした美少女・時坂暦(ときさかこよみ)が転校してくる。時坂さんはなぜか宗也が気になる様子だが、宗也に思い当たるフシはない。その日から、宗也が分別して出したゴミが、毎夜毎夜、何者かの手によって逆分別される怪現象が起こり始める……。

地球にやさしい、の逆。諸般の理由により、地球に厳しくしていく羽目になった少年・少女のお話。その理由は本編を読んでいただくとして、あの手この手で環境破壊を試みますが、一見ネガティブなそれらの行為をうまくコメディとしてまとめあげられています。地球を守る主人公と、地球を守るために破壊するヒロインの口論は、まったく論点が噛みあってなくちぐはぐで面白い。

悪だくみをする時に、目が★になる時坂さんが可愛いです。「不法☆投棄ってやつですよね」とか台詞の☆の使い方も素敵。言ってることとまったくマッチしてねぇ。ほか、環境に関するちょっとした勉強になったりして、目立たないけれども良作です。〆

※この記事は2012/04/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マンけん。」

マンけん。1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)

オススメコミック。加瀬大輝著、サンデーGX(ジェネックス)連載中。

容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群でクラスメイトからの人気も高い女子高生・日笠倖(ひがささち)。実は親にも友達にも内緒でマンガを描いており、プロデビューも控えた逸材だった。そんな彼女の隣の席には、いつも下手くそなマンガを描き続け、極度のオタクと発言から”デンパちゃん”と名付けられた少女・豊崎アリスがいた。倖はアリスを毛嫌いしていたが、とある事件をきっかけにちょっとだけ親しくなり、彼女の所属する漫画研究会に入会してしまうのであった。

題名通りのマン研のお話。仲良しこよしの部活系マンガと思いきや、意外にも熱血を売りにした漫画でびっくりすることでしょう。それもこれも、主人公・日笠倖の魅力がなせる技。何でもできるキャラクターは、器用貧乏で逆に魅力薄になりがちですが、「漫画家」という確たるものがあるおかげでブレません。漫画バカですコイツは。

編集者に期待されデビューを待たれながらも、自分の実力不足を真摯に受け止め慢心せず、漫画以外のジャンルでも才能あるものを素直に認め嫉妬し、弱きものを助ける正義の心。ライバルには絶対負けたくない! という熱い魂。非常に好感度の高いヒロインです。

さらに、主人公を師と仰ぐことになる豊崎アリスの成長も楽しみで、最初は落書き同然の素人漫画ながら、師匠に教えを乞い、徐々に実力がついていくところが見所です。ヒロインとの対比もあり、この未熟なキャラクターも魅力十分。

ストーリーはまだまだ駆け出しですが、今後の展開が楽しみな作品。ちなみに登場キャラクターの名前が、日笠、豊崎、竹達……どこかで聞いたことあるような、ないような。〆

※この記事は2012/04/23に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ゾンビッチはビッチに含まれますか?」

ゾンビッチはビッチに含まれますか?(1) (ガンガンコミックスJOKER) (Amazon)

オススメコミック。柊裕一著、月刊ガンガンJOKER連載中。

高校生・二階堂紗季菜(にかいどうさきな)は普通の可愛い女の子。しかし彼女は、エロい妄想で興奮し心拍数を高めておかないと死んでしまうゾンビ娘。ゾンビでビッチのゾンビッチなのである。

交通事故で轢死してしまったが、死の直前にエロい妄想をしていたために、大興奮から奇跡的に心臓が再鼓動。ゾンビとして蘇った少女の物語。言うまでもなく、アホエロギャグ漫画です。

「さんかれあ」は純情少女のゾンビですが、こちらはエッチなことに興味津津の普通の少女のゾンビ。好きな男の子がエッチな子が嫌いとあって、嫌われないように隠し通しているものの、時には暴走し危険な妄想にふけってしまうことも。妄想しなけりゃ死んでしまう、しかし度が過ぎれば嫌われれる。愛と肉欲の狭間に生きる少女の物語です。

試し読みはコチラ(第2話)。〆

※この記事は2012/04/30に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「瑠璃垣夜子の遺言」

瑠璃垣夜子の遺言 1 (BLADE COMICS)(Amazon)

オススメコミック。宮下未紀著、コミックブレイド隔月連載中(奇数月)。

瑠璃垣夜子(るりがきよるこ)と兄・龍一郎の二人だけが知る秘密。それは7年前、夜子をいじめる姉・雷花(らいか)を殺して川底に沈めたこと……。高校生になり、17歳になった龍一郎の誕生日に、差出人のないプレゼントが送られてくる。箱を開けると、かつて雷花が使っていたかんざしが現れた。動揺する夜子の元に、雷花そっくりの幽霊が現れて……。

現れた幽霊は、雷花そっくりではあるが、どうやら雷花ではないらしい。名家瑠璃垣家に何百年も前から居ついているが、善悪に興味なく、ただ話し相手が欲しいだけ。夜子は彼女を利用し、かんざしを送りつけてきた犯人を探し、口封じをするために行動します。

少女マンガにありそうな展開を、萌え絵(?)でやってるような作品。夜子の交友関係がドライすぎて怖い(元いじめられっ子というのもあるけれど)。雷花にやられたらしく右眼が義眼、また助けてくれた兄を異常に慕っているブラコン属性あり。犯人探しも自分のためと言うより、兄の身の安全を考えてのこと。

イマイチ頭の回転が悪い幽霊を、うまいこと利用して犯人をあぶりだし、追い詰めていく夜子に注目。囮、威嚇、けん制、偵察、いろいろと使えて幽霊って便利。そして夜子は敵に対して容赦なし。怖いよー。〆

※この記事は2012/05/14に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「かみさま日和」

かみさま日和 1 (芳文社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。「ビーチスターズ」の森尾正博著。週刊漫画TIMES連載終了。全3巻。

初出勤の日に会社が倒産してしまい、しかも社員寮を頼りにしていたため住む場所も失ってしまったOL・有坂史美香(ありさかふみか)。さらに財布も落としてしまい途方に暮れていたところ、親切な男・矢部に助けられ、連れてこられた先は神社だった。なし崩し的に巫女として働くことになった史美香だったが、神社に集まる様々な人々に触れあい成長していく。

巫女萌え漫画ではない。お仕事系。テーマは巫女さんです。巫女の主な仕事は神官のサポート、清掃、雑用、中でも多いのはデスクワークだそうです。なんと地味な……。

最初の仕事となるゴミ捨てでは、境内のゴミ(大量)を土木用一輪車に乗せ、ゴミ捨て場までえっちらほっちら運ぶと言う、巫女っぽくないガテン系の作業。ただのゴミ捨て作業ではなく、境内をきれいに保ち自分も清らかでいることを目的とした重要な仕事だと教わります。その他、神社の行事や礼儀作法など、史美香と一緒に学べます。

よく見ると、最初はだらしない立ち姿だった史美香が、途中から凛として、立ち姿が美しくなっていたりします。巫女・史美香の成長と、かつて存在したと言う伝統の祭事「天晴祭り」の実現に向け奮闘する神社の物語です。うまく3巻でまとまっており、テンポよく面白い。〆

※この記事は2012/05/21に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「恋愛怪談サヨコさん」

恋愛怪談サヨコさん 1 (ジェッツコミックス) (Amazon)

オススメコミック。「ああ探偵事務所」の関﨑俊三(かんざきしゅんみ)著。ヤングアニマル連載中。

霊感が人一倍強いカシマサヨコさん。自縛霊を土地の呪縛から解放し、自分に憑かせることができる不思議な女の子。多くの霊を救済し、今では800体を超す霊を連れて歩くほどになってしまった。普通の人がサヨコさんに近付くと、彼らの霊障によりまともではいられない。霊を救うのと引き換えに、人としての営みができなくなってしまったサヨコさんだったが、彼女に触れても何故か平気な男性・稲葉田(いなばでん)が現れる。心優しい稲葉くんに魅かれてしまったサヨコさんは、彼の気を引こうとあの手この手で絡んでいくが……。

一途、というかややストーカー気味のサヨコさんがお茶目なラブストー…リー…? 霊たちがお友達とあって、世間ずれが激しく、稲葉くんに害をなす者は容赦なく呪い倒す怖ろしい一面も。また、稲葉くんから見たら、誰もいない空間(幽霊がいる)に話しかけるサヨコさんは、可愛いけれど不思議な女の子として恐れられている。

果たしてサヨコさんは稲葉くんのハートを射止めることができるのか? 今後も楽しみです。〆

※この記事は2012/05/28に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「極黒のブリュンヒルデ」

極黒のブリュンヒルデ 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「エルフィンリート」「ノノノノ」の岡本倫著。週刊ヤングジャンプ連載中。

“クロネコ”と呼ばれた少女は、地球はすでに宇宙人に侵略されていると言い張り、うそつき扱いされていたが、幼なじみの良太はそんな彼女が好きだった。ある時、宇宙人のいる場所に一緒に行くこととなったが、道中の事故でクロネコは死んでしまい、自分だけ助かる。それから10年。NASAの研究員を目指す高校生となった良太の前に、クロネコの面影がある転校生・黒羽寧子(くろはねこ)が現れる……。

極黒は「ごくこく」と読む。特殊能力を持つ少女ということで、甘酸っぱいSF展開になるかと思いきや、悲しい宿命と極限を生き抜くサバイバルアクションでした。エルフィンリートがバージョンアップしたような感じです。

クソ強いんだけれど九九が分からず小学生レベルの漢字も読めないバカ、という珍しいヒロインと、クロネコの死というトラウマを抱えながらも、寧子の生きざまに感銘を受けともに戦う秀才主人公。両者共にキャラが立っていて魅力的。

窮地に立たされた(というかほぼ終わってる)ヒロインを、なんとか助けようと苦闘するけれど、敵味方の戦力差は圧倒的、果たして目的を果たすことができるのかという、いいところで以下次巻。謎も多く含んでおり、長く続きそうな作品。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/06/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(7)<完> (講談社コミックス) (Amazon)

超オススメコミック。ハヤカワ文庫のSF小説「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン連載終了。完結。

悲しい過去を持つ少女娼婦のルーン・バロットは、彼女を愛妾としていた男・シェルに喉を引き裂かれ車ごと爆破され瀕死の重傷を負う。死の直前、ドクター・イースターにより、命を助けられると同時に金属繊維の人工皮膚を与えられ、周囲の電子機器を自由に操ることのできる力「電子撹拌(スナーク)」を身に付ける。何故、自分は殺されなければならなかったのか? どんなものにも変身できるしゃべるネズミ・ウフコックの力を借り、自分を死に追いやったシェルの犯罪を暴くために戦うことを決意する。

原作小説やアニメ映画版より面白い。コミカライズが成功するまことに稀有な例だと思います。そんなにうまい画ではないけれど、漫画がうまい。緩急が良いし、原作のえぐいところを、重すぎず軽すぎず、うまくコミックに落とし込んでいると感じます。

ど底辺から這い上がっていくバロットが魅力的な作品。法的に禁止されている科学技術によって蘇った代償として、結果を残さないと生存すらままならない追い詰められた状況の中で、自分の存在価値、有用性を追い求めていく少女の戦い。

元少女娼婦というヒロイン的に最悪な前職、時に戦いに溺れ自分を見失うことも、相棒であるウフコックを濫用し傷つけることも、強敵ボイルドから情けなく逃げ回ることがあっても、それらをすべて糧にしてたくましく成長していく。戦うヒロインのお手本のような娘です。

試し読みはこちら。劇場版オフィシャルサイトはこちら(最終作「マルドゥック・スクランブル 排気」は9/29公開)。〆

※この記事は2012/06/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「トーキョー・ガールズ・デストラクション」

トーキョー・ガールズ・デストラクション 1 (マッグガーデンコミックス ビーツシリーズ)(Amazon)

オススメコミック。「明日泥棒」「ガールフレンド」の別天荒人(べってんこうと)著。WEBコミック Beat’s連載中。

大和撫子の輩出を目的とした女子高「天尊学園(あまぞんがくえん)」。人工島に建てられたこの学園は、校則厳守の厳格なお嬢様学校であるが、放課後になると一変、生徒同士が「校章バッヂ」を力で奪い合う無法地帯と化す。主人公・雨洲九未(あめすくみ)は、この学園で亡くなった姉・十和(とわ)の死の真相を調べるために学園に乗り込むが、放課後の無法地帯に直面しいきなりのピンチに。窮地の九未が助けを求めたのは、かつての姉の親友で、要注意人物として懲罰房に閉じ込められている不来幸呼(ぶらいさちこ)であった……。

ネバーギブアップ&友情がテーマの作品。殴られても騙されても脅されても、必死になって姉の死の真相を求めて諦めない九未。絶対にやり遂げるという鉄の意志を感じさせますが、何も考えずに学園に乗り込んできたので、残念ながらまったく戦闘能力なし。それを助けるのが、ありし頃の姉の親友の幸呼で、彼女は最強に近い戦闘能力を持ち、教師や生徒たちから恐れられている存在。二人で協力すればいいはず……なのですが、幸呼は九未を信じきれないでいる微妙な関係。

果たして九未は幸呼の信頼を勝ち取り、姉の死の真相にたどり着くことができるのか。彼女らの敵となる学園および生徒会との対決の行方が見所です。

試し読みはこちら〆。

※この記事は2012/06/18に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ラジオヘッズ」

ラジオヘッズ 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「カジテツ王子」の向浦宏和著、週刊ヤングジャンプ連載終了、全2巻。

高等専門学校、略して高専。ロボコンなどでおなじみの、技術を専門に学ぶ5年制の特殊な学校形態のことである。小須高専ロボ部は自称「技術の変態」戸川澄次(20)を部長とする超個性派軍団。そのたぐいまれなる技術、ものづくりへの情熱を持って、今日も騒動を引き起こす!

好きな女性教師のコピーロボットを造り、音声機能を足し、武器を積みタンクに仕立て、校内の警備カメラをすべてハックし、自動索敵機能を搭載し、スマホで操縦して対象を無差別攻撃。そんなロボを造ってしまう連中の学園(?)コメディ。

そのほかゲルアクチュエーターによるパワードスーツや小便小僧ウォーターカッターなど、変テコなマシンが出てきます。高専という特殊な学校性も相まって、技術立国日本が生んでしまったよく分からん人間がたくさん登場します。しかし、彼らこそがこの国の技術を支えていくのだろうという、期待も抱かせてくれる不思議なお話。

あっさり2巻で終わってしまいますが、もうちょっと読んでみたかった作品。試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/07/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ディメンションW」

ディメンションW(1) (ヤングガンガンコミックス)(Amazon)

オススメコミック。劇場アニメ化もされた「いばらの王」の岩原裕二著、ヤングガンガン連載中。

近未来、無尽蔵の電力を供給する「コイル」が発明される。コイルはニューステラ社によって独占管理され、不正なコイル製造は許されない。それでも改造される不正コイルを回収するため、回収屋と呼ばれる者たちがいる。主人公マブチ・キョーマはコイル全盛の時代において、コイル嫌いの一風変わった回収屋。ある事件をきっかけに、人間に見間違うほど精巧なロボット・百合﨑ミラに出会う。ロボットであるミラを嫌うキョーマであったが、共通の目的のために、二人は回収屋として協力していくことになる。

いわゆるバディーもの。何やらわけありでコイル嫌いの男と、重大な秘密を抱えているらしい少女ロボット。キョーマはミラが気に入らない、ミラはキョーマに気に入られようと努力するが想いは届かない。互いを結びつけるのはコイル回収という仕事のみ。結果を求めて協力しあい、次第に互いの理解を深めていくお話。

とにかく献身的なミラがロボ可愛い。ほとんどオーバーテクノロジーと言っていいほどの高性能、見た目と異なる馬力、言いたいことははっきり言う、加えて人間性(感受性)の再現と、今後も成長を期待させるいい機体です。

話の中心になっているのが「コイル」で、どうやら重大なブラックボックスを内包し、管理するニューテスラ社もきな臭い。ディストピア(管理社会)を感じさせる世界で、二人の活躍に期待。試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/08/06に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ちづかマップ」

ちづかマップ 1 (フラワーコミックス〔スペシャル〕) (Amazon)

オススメコミック。衿沢世衣子(えりさわせいこ)著。「月刊Flowers 別冊 凛花」掲載。前作より出版社を変えての続編です。

古地図が好きな女子高生・鹿子木千束(かのこぎちづか)は、土地への興味と出会いと発見を求めて、今日も地図を片手に散歩する。新キャラ・るーちゃんを加え、ますますほんわかになった街探検は続く。

いわゆる街歩き(?)モノ。NHKの名番組「ブラタモリ」が好きな人は気にいるはず。今回は日本橋、御茶ノ水、堀切、近江地方をまわります。意外と知らない日本橋編がおすすめ。関東圏に住んでる人なら、ぶらっと行ってみたくなる。

そして作中に登場するアプリ「東京時層地図」。東京の現在の地図に対し、戦前や高度成長期などの地図を重ねて見ることができるアイデアアプリ。今いる場所が、かつてどんな場所だったかがすぐ分かる。これ欲しい。東京だけなのが残念。〆。

※この記事は2012/08/13に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「そこをなんとか」

そこをなんとか 1 (花とゆめCOMICSスペシャル) (Amazon)

オススメコミック。麻生みこと著、花とゆめCOMICS「Melody」連載中。BS・NHKプレミアムでドラマ化が決定している作品。

お金持ちになるために努力して弁護士になった改世楽子(かいせらくこ)。しかし、法改正のあおりで弁護士が増えすぎて就職難。何とかコネを利用して転がり込んだ弁護士事務所で、悪戦苦闘しながら新米弁護士として歩み出す。

楽子こと通称”らっこ”。貧乏ながらも、持ち前の明るさを活かしてキャバクラでバイトして学費を稼ぎながら学校に通い、念願かなって弁護士に慣れたのに就職先が見つからない。そこでキャバクラ時代に知り合った弁護士の先生に雇ってもらい……というハングリーな弁護士人生スタート。

さまざまな事件が扱われていますが、漫画的な非現実的なお話ではなく、かなりリアルな裁判を元にしています。離婚問題など重い話も面白く読めるように落とし込んでいます。ストーリーがお上手。

らっこのキャラクターも明るい新米、というだけでなく、時折弁護士らしい価値のあるシリアスな言葉を言う時があり、好感が持てます。ある種のギャップ萌えがあります。安定して続きそうなので今後も期待しています。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/08/27に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「終末のマリステラ」

終末のマリステラ 1 (フラッパー)(Amazon)

オススメコミック。高野千春著。月刊コミックフラッパー連載中。

新天地創造に失敗した人類は、未曾有の災禍を引き起こし、世界は終末を迎えた。崩壊の中なんとか生き残った数少ない人類は、大空を舞う謎の魚群に襲われていた。絶望的な状況の中、弱き人々を守るべく、空を飛ぶ亜人種の少女たちの軍隊が結成される。頭上に光輪、背に白い羽を生やし戦う彼女らは「天使」と呼ばれた。

不思議な力で空を飛ぶ軍属の少女たちが、得体のしれない何かと戦う物語。ビジュアルを見て、まっさきに思い浮かべるのがストパンこと「ストライクウィッチーズ」ですが、まあ大体あってます……。ストパンと違うのは、主人公たちが獣人やエルフなど亜人種であること、パンツじゃないこと、ケルプと呼ばれる羽の生えたイルカのようなものと交配してレアメタルを産むこと、そしてあっさり死んじゃうこと。

かなり荒い内容と作画ではありますが、独特の世界観を持ち、今後の展開を期待させてくれる作品。現時点ではあまり天使や敵魚類についての説明がないので、何をすれば勝ちなのか、誰がための戦いかよくわからん。そのまま良く分からないうちに終わるか、次第にストーリーラインが見えてくるかで今後の評価が分かれそう。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/10/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」

ゲート 1―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)(Amazon)

オススメコミック。柳内たくみ著の同名小説を原作としたコミカライズ。漫画は竿尾悟(さおさとる)。アルファポリスにてWebマンガ連載中。

銀座に突如現れた巨大な門「ゲート」。そこから出現した異世界の兵隊の侵略により大きな被害を被るが、自衛隊は圧倒的な戦力差によりこれを撃退。侵略者たちは撤退を余儀なくされる。一方、ゲートの向こう側の世界を「特地」と命名した日本国は、自衛隊を派遣し、侵略の首謀者を逮捕するために調査を開始する。偵察部隊に任命された伊丹耀司陸尉は、ドラゴンやエルフの住まう現地世界の市民たちと交流を図りながら、進軍を続けていく。

半村良の「戦国自衛隊」やかわぐちかいじの「ジパング」のファンタジー世界版。両者と異なるのは、舞台が現代であり戦地がいわゆるファンタジー世界であること、敵地に前線基地があり補給が安定、兵隊には圧倒的に優位であるがドラゴン系には苦戦、エルフや王女様など現地人は異国語を話す、そして政治的展開を含めたストーリーということ。

日本にとって「ゲート」の向こう側の世界は、侵略国家であると同時に資源の宝庫である「特地」。憲法及び自衛隊は他国への侵略を禁止しているため、(建前上)あくまでテロの首謀者の逮捕が目的であり、ドンパチやることだけが目的ではない。一方、侵略しようとして返り討ちにあった異世界の国家も、政治地盤が万全ではなく、国内の政敵を自衛隊を利用して排除させるなど知略を見せる。

主人公らは現地の市民を救出したり、人間を襲うドラゴンを退けるなど、次第に「特地」での信頼を得て、エルフや魔法使いの少女らを味方につけ、異世界の偵察を続けていきます。彼らの活躍が世界にどう影響していくのか。原作はすでに完結していますが、コミック版にも期待大。試し読みはこちら

※この記事は2012/10/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「星の海にむけての夜想曲」

星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS)(Amazon)

オススメ書籍。「1000の小説とバックベアード」、「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」など鏡家サーガの佐藤友哉著。

ある日突然、空一面に咲き乱れた花々。枯れることなく咲き続ける花にもたらされた謎の花粉によって、人間たちが狂い始めてしまう。暴徒と化した人々によって街は荒廃し、死屍累々の地上を捨て人類は地下にこもる。希望を失った世界の中で、天文部の少女・江波は、もう見ることができなくなった星を見ようと奮闘するが……。

花に覆われた絶望的な世界で、それでも生きていく人々の群衆劇。星を見ることが夢の天文部の少女、花粉のために狂ってしまった人々を殺戮処理する傭兵の男、誰もいなくなった地下都市にたった一人残された少年、花々を滅ぼすためにある決断を行う二つの存在。彼らは願いを叶えることができるのか。

(はっきりとは宣言されていませんが)震災後をモチーフにした作品です。花粉(放射能)に覆われ人が住めなくなり、狂った人々の死体が道を埋めつくし、建物は瓦礫と化し荒廃した街と、イメージせざるを得ない描写が多くなっていますので、苦手な方は注意。

かなり絶望的なシチュエーションですが、とある人物の小さな挑戦が実を結び、やがて大きな希望へとつながっていきます。ページ数も多くはないので、さらっと、変わり種の小説を読みたい人向け。〆

※この記事は2012/10/23に「Psychelia.com」に掲載したものです。