月別アーカイブ: 2013年2月

「ヒナまつり」

ヒナまつり 1 (ビームコミックス)(Amazon)

オススメコミック。大武政夫著、Fellows! 連載中。

ヤクザ・新田の元に突然降ってきた超能力少女・ヒナ。正体不明の彼女は、超能力による見えない暴力を振るい強引に居候を決め込む。わがまま放題のヒナに翻弄される新田であったが、窮地に陥った時ヒナに助けられ、この奇妙な共同生活を認めるのであった。

ヤクザと超能力少女のバディもの……というかコメディ。強者であるはずのヤクザが少女一人に翻弄され、一方の少女はヤクザを頼らなければ生活できない、二人の年齢は親子ほど離れているという、一風変わったシチュエーション。これが高校生と異世界少女ならよくあるラノベですが、組み合わせの妙がいたるところで活きています。

本編中の新田の台詞「何この…世話係みたいな感じ……。」という言葉が示す通り、押しかけ女房と言うよりも変な小動物が住み着いちゃったような共同生活が面白い。ただし、ヒナが突如出現した理由は今のところ謎。彼女の秘密が物語に含みを持たせている。コメディとして上々、ストーリーの続きも気になる良作。試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/07/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「COPPELION(コッペリオン)」

COPPELION(11) (ヤンマガKCスペシャル) (Amazon)

オススメコミック。井上智徳著、ヤングマガジン連載中。

COPPELION(コッペリオン)
1.遺伝子操作によって生まれた、放射能の抗体を持った子供。
2.その子供たちで組織された、陸上自衛隊第三師団特殊部隊の名称。放射能によって汚染された東京での人命救助を任務としている。(表紙裏より)

西暦2036年。20年前に発生したお台場原発のメルトダウンによって、東京は廃都と化していた。放射能に汚染された街で、いまだ助けを待つ人々のために、放射能耐性を持つ子供たち”COPPELION”が救出に向かった。

件の大震災の影響により、アニメ化が流れた作品。内容からすれば仕方がないことですが、アニメ化も納得の面白さ。放射能防護服を着てかろうじて生きている人々と、その横を防護服も着ない学生がかっ歩するというちょっとシュールな光景はインパクト大。

主人公たちが救出に向かった東京に残った人々とは、何らかの事情があって街から離れられないワケありの人達であり、救助に来ましたと伝えても、じゃあ助けてくれとは素直に言わない面々。彼らを説き伏せ救助のヘリに乗せ、時には妨害勢力との戦闘も辞さない。また、世間から見れば特異な存在である自分の存在意義への疑いと葛藤の日々。生かすために、生きるために自分たちのできることは何なのか。

特徴ある登場人物たちの中でも、コッペリオン掃除係の小津姉妹は特に目立つ。電撃を放つ姉・歌音(かのん)と怪力の妹・詩音のコンビの問答無用っぷりは読んでいて爽快。障害はかたっぱしから破壊する。主人公チーム(言い遅れましたが保健係の3人、荊(いばら)・葵・タエ子)を完全に食うほどの活躍で、今後も期待。

試し読みはこちら

※この記事は2011/08/08に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「てんむす」

てんむす 1 (少年チャンピオン・コミックス)(Amazon)

オススメコミック。稲山覚也(いなやまかくや)著。週刊少年チャンピオン連載中。

その昔、巫女たちが祭祀の際に行ったとされる大食い競技があった。天地の恩恵を受ける巫女らは人々に尊敬され「天壌宇迦産霊神子(あめつちうかむすびのみこ)」、すなわち「天娘(てんむす)」と呼ばれた。

時は流れ現代、祭祀は天食祭と呼ばれ今も続いていた。選手はみな女性で学生、聖地・以勢神宮での全国大会を目指して、各校の食い道部による戦いが行われている。小さな体に似合わず大食いの少女・春風天子は、食いしん坊であることから女の子扱いされないことに悩んでいたが、大食い競技の魅力にひかれ(大食いでも美しい部長に魅かれ)競技に打ち込むことになった……。

大食いという珍しいジャンルの漫画です。本作では大食いをスポーツと位置付け、勝つための大食い技術、知識、科学などのウンチクを散りばめながら、青春モノとして楽しく読めるようになっています。

そば14人前やらカツ丼3人前とか聞くだけで胸がむせてしまいそうですが、天子は極上の笑顔で楽しそうに食べる不思議な娘(んっ…まいよぉ~♪)なので不快感を感じない。苦痛に顔をゆがめるライバルたちとの対比もあって可愛らしい。また、食べるモノによって戦略が変わるのが良い。ただ食ってるだけではダメ。かつ食ってばかりでもないので、お話としても面白い。これは良作。

現状の最新巻は第2巻で、食い道部の仲間たちのエピソードを抑えつつ、いよいよ天食祭予選が開幕、1回戦を戦っています。展開として、大会が始まるのがちょっと早すぎるような気もしますが、まだまだ伸び白十分。今後も期待。〆

※この記事は2011/08/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ゆりキャン」

ゆりキャン 1 (ジェッツコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原田重光 (企画・原案)、 瀬口たかひろ (イラスト)の「オレたま」コンビの作品。ヤングアニマル連載中。著者の代表作として他に「オヤマ菊之助」など。

超名門女子大に通う女子大生・ゆりか。端正な顔立ちの割に男にモテず、なぜか女子からは絶大な人気で、本人はいたってノーマルな女子だったが、多くの女性から求愛を受け困り果てていた。ある日、ゆりかの父親の会社が倒産し莫大な借金を背負ってしまう。窮地に立たされたゆりかは、女にモテる才能を利用し”スケコマシ”として女に食わせてもらう生活を始めることに……。

ちょっとエッチな青年向けなので紹介を止めておこうと思いましたが(一応全年齢向けのサイトです)、オススメせざるをえない面白さだったので紹介。

スケコマシ、あるいはジゴロと言った方が分かりやすいかと思いますが、女性の家に転がり込んで働きもせず飯をおごらせ金をせびるダメ人間のことですね。通常は男がなるものですが、主人公は女、百合展開が待ってます。主人公はいたってノンケ、対象となる女の子たちも基本的にノンケ。しかしそれすら超越してしまう主人公の魅力とテクニックで、次々と落として虜にしていきます。

虜にして何するかと言えば、ご飯をおごってもらう程度。ただし後半になると、落とせない女をプライドにかけて落とす、というわけわからん展開になっていきます。実にバカな努力ですが、口説き方も馬鹿馬鹿しくて良い。

ゆるいユリよりガチなユリ(?)がお好きな方は是非。〆

※この記事は2011/08/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「リバーシブル」

リバーシブル!(1) (IDコミックス/わぁい!コミックス) (IDコミックス わぁい!コミックス)(Amazon)

オススメコミック。「おと×まほ」コミカライズのすえみつぢっか著。オトコの娘(こ)専門誌季刊「わぁい!」連載中。

海棠(かいどう)エレクトロニクスグループの子供、海棠愁(かいどうしゅう)は通っていた高校で女性関係のトラブル(冤罪)を起こし、山中の全寮制男子高校に転校させられることに。その学校の名は「聖ストケシア学園」。ここでは生徒の半数が交代で女装する規則を持つおかしな学校だった。慣れない愁の女装コーディネートを担当する学園一の美少女(少年)八重崎ツバキによって、女装力を上げる愁であったが、同時にツバキに対して好意を寄せていく。

だが男だ。表紙向かって左が愁、右がツバキ。男子校だけれど、女の気持も分からなければということで女装が規則に。あくまで格好だけ少女であって、中身は純然たる少年であることが前提。かつ交代制で週ごとに男女交代していくので、身も心もなんてことはない。いわゆる男の娘とは異なる女装モノ。

にも関わらず、可愛い子には惚れてしまい、女装する自分も可愛くありたいと思ってしまう主人公の苦悩が描かれております。一方、惚れた少女(少年。ツバキ)は、誰よりも可愛く女装し女言葉を使いこなしているものの、中身は誰よりも男である、処世術としての女装というギャップもまた面白い。

学園内の恋愛=ホモ。主人公を含む全員がノンケなのに、一線を越えてしまうことがありそうな、なさそうな、友情なのか、恋心なのか、微妙なバランスが良い。主人公を取り巻く環境に陰謀臭いところもあり、今後の展開も気になる。

なお、表紙もタイトル同様リバーシブルになっており、反転させると少年バージョンになっております。少年版ツバキが見れるのはここだけ。〆

P.S. 10/25に創刊するスクエニの月刊誌「ビッグガンガン」にて連載開始の「ハイスコアガール」もオススメです。おっさんゲーマーなら絶対分かる面白さ。ゲーメスト世代にオススメしたい。

※この記事は2011/10/24に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ライコネンの熱帯魚」

ライコネンの熱帯魚 1 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

オススメコミック。山西正則著、チャンピオンRED連載中。

誰も訪れない、校舎の奥の一室にある熱帯魚愛好会の部室。そこに棲む少女・ライコネンは、フィンランド生まれの魔女。40年間も学校に居ついて、魔術の研究と新薬の開発、そして熱帯魚の飼育を続けている。ひょんなことから、魔女ライコネンに感銘を受けた少年・瀬古原は、即座に愛好会に入会するが、掛け持ちしている美術部の活動で飼育をさぼりがち。ある日、彼の愛魚エンゼルフィッシュが死にかけてしまう。ライコネンに助けを求めると、「今後この子を”一生”かけて世話をすること」を条件に、治療をしてもらうことになったが……。

熱帯魚飼育のウンチクが詰まったラブコメ。ライコネン先輩の怖ろしい「人類品質改良実験」の被験者となった瀬古原くんと、愛魚エンゼル、彼らを取り巻く面々のドタバタものです。そんな中で、クールで無表情・無感動なライコネン先輩が徐々に人間らしくなっていくという部分もあり。

著者の作品としてはこれが初単行本とのことですが、非常に漫画がうまい。いくつか印象に残るカットもあり、展開もおもしろく、登場人物も魅力的。連載誌がチャンピオンREDということで女子多目ですが、描き分けもできているしエロさがないので気にならない。キーワードとなる熱帯魚は要所要所で大切な役割を持ち、ウンチクが小出しにされるので飼ってみたいなあとも思わせる。一方で金がかかるんだな、とも。

今後の展開にかなり期待。〆

※この記事は2011/10/06に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「晴れのちシンデレラ」

晴れのちシンデレラ 1 (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)(Amazon)

オススメコミック。宮成楽著、「まんがライフMOMO」および「まんがライフオリジナル」にて連載中の4コマ漫画。

春日晴さん
お嬢様学校きっての才媛である
が。
かつて極貧だった過去(トラウマ)がある――。

かつて極貧生活をしていたヒロインが、祖父が掘り当てた油田により一躍大金持ちのお嬢様に。容姿端麗、運動神経、学力すべてを兼ね備えてはいるが、極貧生活時代に培った貧乏根性と、パワフルでお嬢様らしくない自分にコンプレックスを持っていた。春姫と呼ばれ尊敬され、しおやかに、か弱く可憐なお嬢様を目指す晴(はる)さんであったが、真正お嬢様たちとのギャップに今日も苦しむのであった。

運動神経がいいのは幼いころのサバイバル生活によるもの(熊をも倒す)。頭がいいのは家で読む本が教科書しかなかったから。貧乏ゆえにヘチマをメロンと教えられ、サンタクロースは子供を袋詰めにする妖怪、と間違った解釈を母から教えられ貧困に耐えた日々が彼女を強くしてしまった。

お嬢様方とのギャップに悩む晴さんですが、周りの方々はいろいろと勘違いしてくれて良い方に取ってくれます。例えば秋になりススキ野原を見て(惜しいわ…あんなにあるのに食べれる所が少なくて……)と憂えた表情をする晴さんを、お嬢様方は「過ぎゆく秋を惜しまれていらっしゃる…」と勘違いされ、流石春姫様とおだてあげられていくというコメディ。

ストーリーがあり、笑いどころがあり、ちょっと良い話もあり、起承転結もちゃんと整った秀逸なコメディ4コマです。目指せお嬢様。〆

※この記事は2011/10/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「血潜り林檎と金魚鉢男」

血潜り林檎と金魚鉢男 1 (電撃ジャパンコミックス ア 1-1)(Amazon)

オススメコミック。「バニラスパイダー」の阿部洋一著、電子コミック誌・電撃コミックジャパン連載中。

「雨上がり」の「水場」で「出血」すると出現する謎の吸血鬼・金魚鉢男。彼に吸血されてしまうと、金魚になってしまい元には戻れない。妹を金魚にされてしまった葉山昊助(はやまこうすけ)は、通学中に、スクール水着に首からモデルガンをぶら下げた謎の少女・林檎に出会う。林檎は金魚鉢男に襲われてしまった人間を助けるために、被害者の血の中に潜って救う”血潜り”をやっているのだという。昊助は妹を人間に戻す手段を探すために、林檎に協力して血潜りを手伝うことになったが……。

「バニラスパイダー」「少女奇談まこら」など怪奇的、独創的な作品を描く著者の最新作。オンライン雑誌で連載中とあってマイナーな作品ではあるけれど、だからこその面白さがある。メジャー誌向きではないからこそできる内容。

なんでスクール水着なのか、どうして血潜りなんてことができるのか、金魚鉢男とは何者なのか。まったく説明がないセンス・オブ・ワンダーが、飛び過ぎておらず取っつきやすい(逆にぶっ飛んでてワケわからんけど面白いのが「エイリアン9」などの富沢ひとし作品)。

連載誌……ウェブコミックがどこまで続くか分かりませんが、だらだらと長く続けず5巻ぐらいで完結させて欲しい短期決戦系作品。期待してます〆

※この記事は2011/10/31に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「CLOTH ROAD(クロスロオド)」

     

CLOTH ROAD 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。脚本:倉田英之、漫画は「月面兎兵器ミーナ」や擬人化キティ(猫村いろは)で知られるOKAMA著。ウルトラジャンプ連載終了、全11巻完結。キラキラした表紙が特徴です。

繊業革命によって人類の文化が大きく変わった世界。ケーブルは糸に基盤は布地に、コンピューターは人間の衣服となった。”デザイナー”によって多彩な機能を盛り込んだ衣服が仕立てられ、”モデル”がその服を着て闘う”ウォーキング”バトル。捨て子の双子姉弟ジェニファーとファーガスは、自分たちの両親を探すため、ウォーキングで賞金を稼ぎ旅に出る。

モデルらしからぬ猪突猛進の姉・ジェニファーと、真面目だけど煮え切らないデザイナーの弟・ファーガスコンビのバトル&旅もの。独特の世界観が特徴の本作ですが、モデル=ファイター、衣服=武器内蔵戦闘服、デザイナー=衣服開発者、と置き換えれば大体合ってます。デザイナーやブランドによって製作される衣服が異なり、フリフリドレスだったりジャージだったり和服だったり、仕込まれた機能も多種多様。著者のデザイン力もあり、これら衣服が非常に魅力的。

数多く登場するトップモデルの中でも、メイ様ことメイ・ジューンは比類ない魅力をお持ちです(←8巻表紙上)。美と強さの探究者、強く、気高く、美しく、あふれる超カリスマ性と狂気。各国のトップモデルらを秒殺していく圧倒的パワーと戦いのセンス、転んでもただでは起きないリベンジ力、乱入、乱入、乱入。物語中盤でガキモデルどもに苦汁をなめさせられることになっても、終盤の見せ場できっちり全滅させる鬼メイ様。ああ素敵すぎる……もうこの人が主人公でいいんじゃないか?

やや話がそれましたが、天才と凡才、親と子、師と弟子。出会いと別れを繰り返し成長していく姉弟の物語です。独自の世界観とスケールの大きさ、漫画だけど色やツヤを感じさせる色彩美が特色の作品です。あとメイ様。

試し読み…というかヴォイスコミックはこちら。一巻丸々、すげえ。〆

※この記事は2011/11/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「そんな未来はウソである」

そんな未来はウソである(1) (KCデラックス)(Amazon)

オススメコミック。「みなみけ」の桜場コハル著、別冊少年マガジン連載中。ヒロイン2人の特徴を踏まえたタイトルがとても良い。

人と目を合わせるとその人の未来がちょっと見えてしまう少女・大橋ミツキ(右)。他人がウソをつくと分かってしまう少女・佐藤アカネ(左)。余計な未来を見ないようにミツキはなるべく人と目を合わせないように日々を過ごし、裏表の分かってしまうアカネは友達づきあいが苦手。ある時、ミツキはアカネに自分が未来を予見できることを話す。荒唐無稽な話だが、ウソをついてないことが分かるアカネには本当だと分かる。それがきっかけで二人は仲良くなっていくが、アカネがミツキに鏡を見せたせいで、ミツキは自分の重大な未来を予見してしまう……。

アニメ化もした「みなみけ」はそんなに面白いとは思えないけど、こちらは好き。ミツキの見てしまった自分の未来「クラスメイトの高山くんと結婚してた」を実現させるために、アカネが奔走するお話。”嫌なら未来は回避できる”ので、未来を知ってしまったミツキと高山がくっつかなかった場合、原因は自分にあるとアカネは考えており、そうならないために意地でも二人をくっつけようと恋のキューピッドとなる。

なるはずでしたが。2巻では「いい未来は自分で作る」というアカネの言葉とともに、前提を覆すパラダイムシフトが起こります。

思いっきりネタバレになるので何が起きるかは伏せておきますが、恋の未来と嘘のシーソーゲーム、おそらくこれが本作のメインテーマになるのでは。著者の独特の空気感とぽかーん口は健在で、大した話題でもないのになんとなく楽しく読めてしまう不思議。肩肘張らずに読めるコミックとしてオススメ。試し読みはコチラ。〆

※この記事は2011/11/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「みそララ」&「恋愛ラボ」

     

みそララ(5) (まんがタイムコミックス) | 恋愛ラボ(6) (まんがタイムコミックス) (Amazon)

オススメコミック。宮原るり著。まんがタイム連載中。ヤングキングアワーズで「僕らはみんな河合荘」を連載中の著者の代表作。

突然会社が倒産し、デザイン会社に再就職することになった麦田美苑(むぎたみその)。経理兼新米ライターとして、個性的な社員とともに今日も仕事に励むのであった。

著者が元々デザイン会社の人間とあって、実体験をモチーフにしたお仕事系4コマ漫画。成功と失敗を繰り返しながら、少しずつ成長していく主人公の麦田美苑と、同僚の美人デザイナー・米原梨絵、駆けだし営業・粟屋真琴の穀物トリオ(麦・米・粟)で仕事に臨む。辛いことも多いけれど、良いものを創るために、楽しく仕事に取り組む姿勢が素敵。がんばれば必ずしも報われるわけではない、という現実も描かれており、好感のもてるプロットが多い。

ただし酒を飲むと豹変するので注意。

一方、美苑の働く会社のシスコンデザイナー・棚橋の妹が登場するのが、まんがホームにて連載中の「恋愛ラボ」(ラブラボ)。上記作品と一部で話がリンクしています。

お嬢様学校として有名な私立藤崎女子中学の生徒会長にして、品行方正、容姿端麗、成績優秀、学園のアイドル”藤姫”こと真木夏緒。一方、素行不良で自称恋愛の達人(嘘)、違った意味でアイドル”ワイルドの君”こと倉橋莉子。ある日、莉子が生徒会室に届け物を持っていくと、抱き枕とキスの練習をする真木の姿があった。生徒会長の誰にも言えない秘密、それは生徒会室で一人取り組む、素敵な彼を射止めるための「恋の練習」。秘密を共有するために、半ば無理やり生徒会役員にされてしまった莉子は、真木とともに今日も恋愛の研究に取り組むのであった。

お姉さま方が仕事してるのに、こちらは恋愛の研究、というか妄想恋愛に取り組むのである。研究のお題目は「曲がり角での上手なぶつかり方(全力疾走)」「魅力的なうなじの見せ方(ティモテ)」など、定番? なものを変化球で再現練習します。

普段は優秀な生徒会長が、恋愛研究に関してはウブというかバカで可愛い。生徒会役員も徐々に増え、気になる相手も出てきてついに実践の時が?

ただし真木に「ランジェリー」は禁句。理由は見てのお楽しみ。

「みそララ」試し読みはこちら。「恋愛ラボ」の試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/11/28に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ペーパーウエイト アイ」

ペーパーウエイト アイ1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)(Amazon)

オススメコミック。原作:田沢孔治、作画:さかもと麻乃。コミックフラッパー連載中。

人形作家の美大生・桐生マリエは、自分の作品のファンを名乗る青年・鵠丸カレルに誘拐されてしまう。マリエはカレルの持つ洋館に監禁され、あなたの黄金の手で「ヒト」を創って欲しいと依頼される。逃げようとするマリエであったが、自分の創った人形たちが命を吹き込まれ行く手を阻む。唯一の救いは”新しく目指した自分自身”をテーマにした人形・マジェンカが身を守ってくれること。はたしてマリエはカレルから逃げのびることができるのか?

ペーパーウエイトアイとは、ガラスを素材としたドールアイのこと。つまり人形の目。ドールものとしては「ローゼンメイデン」が有名ですが、こちらは球体関節人形以外にも主人公の創作物はすべて命を吹き込まれる仕様。しかもマリエの創作物は自身のトラウマをテーマとして創られているため、突飛な造形を持ち凶暴でサイコパス。恐竜の骨格標本に胎児を首吊りでくくった人形とかマリエ恐るべし。逃げようとするとそんな人形たちが襲ってくる。

逃げては捕まりまた逃げる。マリエと人形たちの追いかけっこ。しかし、悪意を持つ人形たちとは違いカレルには何だかんだで良くされているので、誘拐した者された者という主従関係とは違う微妙な距離感が良い。熱烈なファンと創造主の関係がそこにはある様子。カレルの目指す”ヒト”の創作とは何なのか、人形たちはなぜ動き出したのか、マリエの持つ黄金の手とは? さまざまな謎を含ませつつ物語は続く。

試し読みはこちら

※この記事は2011/11/21に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「やさしいセカイのつくりかた」

やさしいセカイのつくりかた 1 (電撃コミックス)(Amazon)

オススメコミック。竹葉久美子著、電撃大王ジェネシス連載中。

飛び級でアメリカの大学に入学し、在学中の論文が認められ研究プロジェクトを立ち上げた青年・朝永悠、19歳。しかしプロジェクトはとん挫してしまい、日本に帰り女子高の講師をすることに。

朝永の初出勤の際、校舎裏で一人、高度なフーリエ変換の方程式を解いていた少女・武藤葵を見つける。彼女もまた朝永と同じく天才と言われるものであったが、何故か周囲には内緒にし、普通の学生として過ごしていた。一方、かつて手を出してきた教師を糾弾し退職に追い込んだ少女・草壁ハルカは、勘違いから朝永を女の敵を思いこみ、何かとちょっかいを出してくるのであった。

天才すぎる青年と少女の苦悩を描いた青春ストーリーです。帯にある”ギフテッド”とは、先天的に特異な才能を持つ者、天才のこと。ギフテッドでありながら、ある理由によって普通に見られるように才能をひた隠しにする葵。朝永はそんな葵を歯がゆく思い、実力にあった教育をさせてあげたいと誘いますが、葵はそれを拒否します。ただし、手に入らない高度な学術書は借りていきます、というツンデレぶり。そこに問題児のハルカが絡んでくるロマコメ要素付きです。

なんだか煮え切らない人たちがたくさんでてくるお話で、特に自分の気持ちを抑えまくっている葵がいつ大爆発するのかが楽しみな一面怖ろしい作品。時限爆弾を愛でて育てるような感じ。年頃の女の子は怖いわ……。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/12/26に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「空が灰色だから」

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス) (Amazon)

オススメコミック。阿部共実著、週刊少年チャンピオン連載中。

年頃の少年少女たちの変な青春ショートストーリー。基本的にはコメディ、のはず。

妙ちくりんで痛々しいヤツがわんさか出てきます。恥ずかしがりを克服しようと、バニー服で深夜徘徊を試みるおバカ。レアなブランド服を手に入れるために、運命とかいう憎いあいつと全力で戦うおバカ。みんなもやってるガガスバンダスにのっかる……のっかりたいけどあれぇ?な、おバカ。

ちっとも甘酸っぱくねぇ、毒々しい辛口の青春の勘違いが詰まってます。お前はどうしてそうなっちゃったのよ? という感じに。絵柄がそんなにかわいくはないけれど、だからこそ、話の中身で戦っている素敵マンガ。是非おすすめしたい。〆

「桃色メロイック」

桃色メロイック 1 (ヤングキングコミックス)(Amazon)

オススメコミック。福田晋一著、ヤングキング連載中。

ガテン系で元ヤン風の四宮大和。仕事に打ち込み、喧嘩も強い、ぼちぼちモテる彼だったが、惚れた相手は16歳の女子高生で自分の妹・四宮まさきだった。友人の制止も聞かず、周りの目も何のその、今日もまさきを迎えに学校へ……。

ヤングキングで妹萌え漫画をやるとこうなる。主人公は平凡な学生でもオタクでもなく、現実味のあるガテン系青年。一見まともですが、しかし中身は妹に欲情してしまうほどの危ない人。妹以外は基本的に全部ブスという怖ろしい感性を持ち、他の女のどんな誘惑も跳ね除ける鋼の変心を持っています。

一方の妹・まさきは、お兄ちゃん好きだけれど、当然恋愛感情ではなく、兄の恋心も知らないという状況。歳の割には精神年齢が低く、甘え上手の天然風。かなりキュートな女の子。さぞかしもてるでしょう。

大和の恋心は周囲の人間を巻き込みながら暴走していきます。果たして野望のままに妹と添い遂げることができるのか。それとも無事更生してまともな青年に戻ることができるのか。ヤングキングがどこまでやるのか楽しみにしています。〆

※この記事は2013/02/04に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「昭島スーサイド☆クラブ」

昭島スーサイド☆クラブ 1 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

オススメコミック。菅原キク著、チャンピオンRED連載終了(面白いのに)。

舞台は東京・昭島(あきしま)。佐倉涼介はどこにでもいる普通の高校生。怖い不良には逆らわず、二―トの兄を煙たがりながらも世話を焼き、やり場のない怒りを抱えながら日々を過ごしていた。ある時、不良同士の喧嘩に、なぜか魔法少女のコスプレをした少女が乱入し、不良たちをホウキで殴り一掃する奇異な現場を目撃する。よく見ると、コスプレ少女の正体は、クラスメイトで学園一の才媛・垣之上すうであった。不良相手に怯まず問答無用で戦う彼女に魅かれた涼介は、自分も仲間に入れてくれと頼みこむ。彼はその日から「昭島スーサイド☆クラブ」の一員となったのであった。

普段は物静かな優等生の少女、しかし放課後は街を守る正義の味方「ケアリー☆マジック」としてコスプレして戦います。彼女の戦う理由は、理不尽で不合理な世の中を否定するため。当人の言葉を借りるなら「世界に違うというために」。過去彼女に何があったかはまだ明かされませんが、殴られ傷ついてもへこたれず、死ぬ気(スーサイド)で戦う姿勢には狂気すら感じます。

そんな”すう”がリーダーのチーム「昭島スーサイド☆クラブ」には、喧嘩がめっぽう強いが妹には甘い男・宍戸、難聴の美少女だけど毒舌筆記の春奈という個性豊かな仲間がおり、涼介は4人目の加入者となり、街にはびこる悪と戦っていきます。

主人公だけが普通の人なので、格好良く勝利することなどほとんどなく、泥臭い戦いを強いられますが、めげずに戦い続ける若さが魅力的。そして、常に危なっかしさを感じさせる「ケアリー☆マジック」の活躍に期待。この娘はネジが飛んでいる。〆

※この記事は2013/01/27に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ガズリング」

ガズリング 1 (芳文社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。才谷ウメタロウ著、週刊漫画TIMES連載中。

バドミントン経験なし、興味なしの女子高生・武智紗羽(たけちさわ)は、先輩のラケットで勝手に遊んでいたことが原因で、バドミントン部に入部することになってしまう。たまたま入部した紗羽であったが、インターハイ連覇の超高校級プレイヤー・野地に憧れ、友人たちと共にバドミントンに入れ込んでいく。

いわゆるスポーツ青春もの。オリンピックでの藤井&垣岩組の大活躍も記憶に新しいバドミントン漫画です。ガズリング(gosling)とは、1.ガチョウの子ども(ひな)/2.未熟者、青二才の意。バドミントンの羽はガチョウの羽16枚でできており、それを追いかける自分達はまさしくガズリング(ガチョウの子)、若くて未熟者、そして寝ても覚めてもバドミントンのことだけを考えろ、という3つの意味を持たせています。

スポーツ漫画を描くのは初めてだという作者ですが(あとがきより)、主人公達のバドミントンにかける情熱、競技特有のスピード感、ストーリー展開、健康美、すべてにおいて優秀です。

……後は、負け所がどこになるのかが問題。勝ち続けて全国大会に行くより、負けて仕切り直しする方が個人的に好き。勝ち続けると必ずだれるし緊張感がなくなるのが嫌。1年生が主人公である設定を是非活かしてもらいたい。掲載誌もその辺りよろしくです。試し読みはこちら

※この記事は2013/01/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ちゃりこちんぷい」

ちゃりこちんぷい 1 (ヤングジャンプコミックス GJ)(Amazon)

オススメコミック。原作:坂井音太、「東京赤ずきん」「彼女のひとり暮らし」の玉置勉強著。グランドジャンプPREMIUM連載中。

フォーク&ロック部に所属する高校生、チョコこと黒田千代治は、客受け第一の音楽活動に馴染めずにいた。どこかこう、ガツンとした音楽、を求める彼は、ブルーズ(ブルース)を歌い弾く少女・奈良本希(ならもと まれ)に出会う。彼女のブルーズの虜となったチョコは、バンドを組もうと迫るが、まれは恥ずかしくて人前で弾くことができないという。ならば技術を学ぼうとせまるチョコだったが……。(リゾネーター)ギターのまれ、ハーモニカのマキミキ、ピアノのインチョー、ブルーズが結びつけたぼっち三人娘と、チョコの青春群像劇。

各話ごと、ブルーズの名曲を絡めた構成となっており、第1話では上の動画「Death Letter Blues(死亡通知)」を取り上げています。チョコはこの曲を演奏するまれに魅かれるのです(本題とは関係ないですけど、”まれ”という名前は文章にすると非常に読みづらいなあ)。

作品名の「ちゃりこちんぷい」は、この曲やブルーズの曲の終わりのフレーズがそう聞こえる、というまれの持論から。情緒不安定でやや電波なまれちゃんですが(”まれちゃん”にすると読みやすくなったか)、長い黒髪をばっさばっさと振り乱し、熱唱する姿がとても可愛らしいし青春っぽい。

ただしこの作品の欠点は、元ネタ(曲)を知らないと面白さが半減してしまうこと(まれちゃんの創作もあるのでその限りではない)。私もブルーズに明るくないので、とりあえずYouTubeで検索してみました。以下がそのリスト。興味を持ったら作品を読みながらでも聞いてみてください。

試し読みはこちら。〆

J.B.Lenoir :Slow Down(YouTube)
Willie Dixon – I’m Nervous(YouTube)
Robert Johnson – Kind Hearted Woman Blues (YouTube)
Billy Eckstine & Earl Hines – Stormy Monday Blues(YouTube)
Muddy Waters – Got my Mojo Working(YouTube)

※この記事は2012/01/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「かりん」

かりん (1) (角川コミックスドラゴンJr.)(Amazon)

オススメコミック。ちょっと古いけど。ドラゴンコミックエイジ連載終了、全14巻。現在は「碧海のAION」連載中の影崎由那著。アニメ化もした作品です。

とある土地に住み着いた吸血鬼一家。人間の血をちょっぴりこっそり吸うことで、慎ましやかに暮らしていた。しかし、長女の真赤果林(まあかかりん)は他の家族とは異なり、血を吸うのではなく血が増えてしまう吸血鬼、すなわち増血鬼だった。

太陽を怖がらず昼間に出歩けること、人間の食事を食べられること、吸血鬼の持つ魔法が使えないこと、代わりに月に一度血を出したくなること、など異端の吸血鬼であるかりん。ある日、その秘密が同級生の雨水健太(うすいけんた)にばれてしまう。普段なら妹の杏樹(あんじゅ)が記憶を消してなかったことにしているが、杏樹のある思惑のために記憶を残したままにする。はたして杏樹の一計とは……。

本作の吸血鬼には血の嗜好があり、何でもかんでも血を吸うのではなく、人間の体質に魅かれて吸血行為を行います。例えば、かりんの父親・ヘンリーは”プライド”、母親・カレラは”うそつき”、兄・煉(れん)は”ストレス”を持った人間の血を好み、吸われた人間は逆に体質を失い、プライドが高くなくなったり嘘をつかなくなったりストレスが減少したり。

かりんの場合は”不幸”に魅かれます。不幸な体質の人を見ると増血し、血を吸う(送り込む)ことができないと、我慢できずに鼻血となって大出血して気絶してしまいます。鼻血まみれのヒロイン、鼻血溜まりの廊下、という画期的な絵面が特徴の作品。凄惨と言うか間抜けと言うか……。

雨水くんはそんなかりんの嗜好にあったとても不幸な人物ですが、それゆえに近付けば近付くほど増血して鼻血を出してしまうので、かりんはいっそのこと彼を幸せにしてしまおうと奮戦します。昼ご飯を買うお金がない彼のために手作り弁当を作ったりしているうちに、いつしか恋心が芽生えていくラブコメ展開。はたしてかりんと雨水くんは吸血鬼の秘密を守り通し、楽しい学園生活を送ることができるのか。

妹の杏樹も魅力的なキャラクターで、この子はまだ大人になっていないので、夕方やくもりの間は太陽の下でも行動することができるという特性を持っています。ところかまわず増血する可能性のある姉をフォローするために、コウモリを飛ばして日夜警戒にあたるという何気に重要な役回り。物語終盤で彼女もまた大人の吸血鬼に変わりゆき、いよいよ人間の生活とはお別れ、姉のフォローができなくなってしまうというシークエンスがあるのですが、最後の悪あがきと献身ぶりは涙なくして見られない感動の物語となっています。是非読んでいただきたい。〆

※この記事は2012/01/09に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ニッケルオデオン」

ニッケルオデオン 赤(IKKI COMIX) (IKKI COMIX) (Amazon)

オススメコミック。道満晴明(どうまんせいまん)著、コミックIKKI連載中。

「ヴォイニッチホテル」「ぱら☆いぞ」などで有名……有名ではないがカルトな人気を持つ道満先生の読み切りショート短編集。シニカルな笑いを得意とする著者で、ドぎついネタもあり取っつきにくかった印象を持っていましたが、本作に関して言えばかなり万人受けする仕上がりとなっています。

表紙の女の子二人は双子のハルとナツ。重なり合うように描かれているのではなく、腰の部分で本当につながっているシャム双生児。双子なのに姉のナツの方が背が高く、バランスを取るために歩くときは妹のハルがハイヒールを履かなければならず、それに不平をもらすハルであったが実は……。というお話など、全13編。

たんたんと進むがしかし斜め上展開のストーリーの中に、喜怒哀楽悲喜こもごもがあり、何が出てくるか分からない闇鍋のような魅力のあるショートショート。もっともっと読んでみたい。

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※この記事は2012/02/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。