月別アーカイブ: 2013年4月

「城下町のダンデライオン」

城下町のダンデライオン (1) (まんがタイムKRコミックス)(Amazon)

オススメコミック。ライトノベルの表紙や挿絵で活躍している春日歩(かすがあゆむ)著、まんがタイムみらくキララ連載中。

11人家族の大所帯、櫻田家は国を治める王家の一族。父の国王を初め、後継ぎとなる9人の兄弟姉妹はそれぞれ特殊な能力を持っている。例えば三女の茜の場合、自身と触れた物の重力を制御し、自由に空を飛ぶことができる能力・重力制御「グラビティコア」。彼女ら王族の安全を保証するため、街のいたる所に監視カメラが仕掛けられているが、目立つことが大嫌いな人見知りの茜は、今日も必死にカメラを避けて登校するのだった。

監視カメラの設置理由はもう一つ。それはTV番組「今週の櫻田家」の放送のため。文字通り王家の活動記録を放送する番組で、兄弟姉妹の中から次期国王を選ぶ選挙のための宣伝に使われています。より活躍し人気を集め、次期国王を目指し兄弟が切磋琢磨する……はずなのですが、三女の茜を筆頭に、父国王の後を継ぎたいという兄弟がほとんどいないというあり様。

ヒロインは一応茜ですが、第二話以降は彼女の兄弟姉妹のエピソードが中心。各々の特殊能力が巻き起こすドタバタと、選挙戦を絡めたストーリーになっています。

個人的に、次女の奏(かなで)がお気に入り。莫大な貯金と引き換えに、古今東西、未来のものでも自由に生成できる能力・物質生成「ヘブンズゲート」を持つ彼女。何でも生成できる半面、思いついたら勝手に生成してしまうために、常に貯金に気を付けておかないと破産してしまうという危険な能力。数少ない、国王を目指す兄弟姉妹の一人。がんばれ。

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「長歌行」

長歌行 1 (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ) (Amazon)

オススメコミック。長歌行は”ちょうかこう”と読む。夏達(シャアタァ)著、ウルトラジャンプ連載中。

西暦626年、中国、唐の時代。次期皇帝となる父・李建成を叔父の李世民に殺された姫・李長歌(りちょうか)は、命からがら長安から脱出し、李世民への復讐を誓い挙兵のための行動を開始する。女ながら武芸に富み某術を学んだ秀才である彼女は、性別を偽り少年軍師として朔州の公孫恒の下へ潜り込むのだった。

永寧姫(えいねいき)こと李長歌の、復讐の物語です。とはいえ敵ははるか遠く、まずは足場固めをといったところ。その過程で、自ら策謀をめぐらし実戦を経験していくことで、少しずつ成長していきます。やがて復讐のための孤独な戦いは、国を、民を守る戦いへと姿を変え、魅力的な人物に出会い、自分を助けてくれる人々と共に歩み出します。

クールでドライな優等生タイプの永寧姫ですが、それゆえに利害を超えて信義やプライドのために戦う人々には強い関心を持つようで、劇中の登場人物に大きな影響を与えられます。また、自分が女であることには無関心で、パートナーのウイグル人女性・弥弥古麗(みみくり)には自覚して行動しろと怒られる始末。あることがきっかけで、今後はばれないようにしていくのも大変な模様。はたしてどうなるか。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2013/04/01に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「レイチェル・ダイアル」

レイチェル・ダイアル 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。皿池篤志著。ヤングジャンプ増刊、ミラクルジャンプ連載中。

人間が立ち入ることができない危険な島で、金属を回収する役割を持つアンドロイド、アレックスとマックスは、ある日突然自分たちを救出しにやってきたという少女・レイチェルに出会う。レイチェルは、二人に金属の回収を今すぐに止めろという。納得できない二人だったが、そのとき島を守る巨大ロボット・ギガンテスが襲いかかってきた……。

持ち込み作品が即連載、単行本化という珍しい作品。それもうなずけるほど、ストーリーもテンポも3人の掛け合いも非常に良いです。また、一話ごとにレイチェルがでかくなっていく(7歳→15歳→17歳→19歳)ので、心身ともに成長し変わりゆく女の子と、まったく変わらないアンドロイドの二人の対比があって面白い。この調子でどんどんでかくなっていくのか?

掲載誌が隔月発行のために、次巻は1年後ということになりそうですが、楽しみに待ちたいと思います。〆

※この記事は2013/03/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「石影妖漫画譚」

     

石影妖漫画譚 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。河合孝典著、週刊ヤングジャンプ連載終了、完結。

江戸時代、ボロ長屋の一角に住む烏山石影(からすやませきえい)は、妖怪を専門に描く変わり種の絵師。妖怪に異常な関心を持ち、妖怪の噂を聞きつけては危険を顧みることなく出向いてき、その姿を描くことに情熱を注ぐ偏執狂。彼の持つ妖筆「毛羽毛現(けうけげん)の筆」で描かれたモノは、具現化して妖怪と戦う能力を持ち、その力で身を守ることができるが、その能力ゆえにさまざまな事件に(自分から)巻き込まれることになる。

突出した人気はないだろうし、すでに完結した作品ですが、リンク先には試し読みやらWEBオリジナルアニメやらコンテンツは非常に充実しています。ずいぶん偏った人気があるのだろうか?

石影の元には、街の人々から妖怪に関するさまざまな事件が持ち込まれます。多くは危険な妖怪の仕業。彼は妖筆の力を借り、個性豊かな妖怪を召喚、妖怪たちと戦い事件を解決に導きます。筆を持てばべらぼうに強い彼ですが、一方で、妖怪に関係ないものには一切興味を示さず、収入なく食うことすら事欠く引きこもり絵師です。こんな大人になっちゃだめだ。

彼に味方をしてくれる妖怪もいます。その一人が妖筆を与えてくれた毛羽毛現(けうけげん)(←2巻表紙)。髪盛り過ぎちゃって、不思議な髪形になってますが、れっきとした妖怪です。時には彼女の助けを借り、強力な妖怪と対峙します。ちなみに歌舞伎俳優大好きのミーハー。

序盤は短編が主体ですが、中盤以降は巻をまたぐような中編、長編の多い作品です。ストーリーが良質、キャラクターも多彩で書き分けができているし、次回作も期待できる漫画家の1人だと思います。是非。〆

※この記事は2013/02/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ベアゲルター」

ベアゲルター(1) (シリウスKC) (Amazon)

オススメコミック。「無限の住人」の沙村広明著、ネメシス連載中。

金のなる島「石婚島(いしくなぎじま)」で行われている謎の「取引」を巡って争う暴力団組織と、それぞれの思惑を持って集まった3人の女の物語。その3人とは、機械の右手を持つ隻眼の殺し屋・トレーネ、拳銃付きのヌンチャクの使い手・睫毛(ジエマオ)、件の島の出身の一般人・忍。復讐、仕事、成り行き、それぞれの事情を抱え、三つ巴の戦いが始まった。

「無限の住人」同様、個性が強すぎる奇想天外なキャラクターと、猛烈で残酷なアクションが魅力の作品です。普通の人が出てこない。

島で行われている「取引」の秘密を探るため、暴力団より派遣された忍のチームが追跡調査を行いますが、そこに現れる女殺し屋たちが暴れまわって「取引」を引っかき回します。はたして「取引」とは何なのか、誰がこの争いの勝者となるのかが見所です。

個人的に、全聾(耳がまったく聞こえない)のヤンデレ拷問屋ソリさんがおすすめです。言動が不安定すぎて、今後何しでかすかわかりません。

掲載誌が季刊誌なので、次の巻が出るのはいつのことやら。試し読みはこちら

※この記事は2013/03/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「くろのロワイヤル おはよう」

くろのロワイヤル おはよう (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。木下由一著、週刊少年マガジンSPECIAL掲載。

ある朝、パジャマ姿の女の子が、突然道の真ん中で生着替えを始めた。目撃者は山野ひとし、高校生。着替えをしていたのは鮫島くろの、魔法使いの少女だった。一般人では見ることのできない魔法、しかし、ひとしはくろのの魔法を無効化できる体質を持っていた。正体を知られてしまったくろのは、ひとしを拉致監禁するのであった。

ワガママ魔女っ子くろのと一般人ひとしのラブコメ未満のギャグ漫画です(通称:魔女っコメ)。女の子の画がうまいとか、エロティックな表現が得意とか、そういった類の作家さんではありませんが、ヒロインを可愛く描けていることと、ゆるいコメディが秀逸です。

ちなみに、表紙はくろのと、机の下でくろのを支えているひとしですが、初版だと帯に隠れて見えません。芸が細かい。試し読みはこちら。〆

※この記事は2013/02/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「死人の声をきくがよい」

死人の声をきくがよい (チャンピオンREDコミックス) (Amazon)

オススメコミック。ひよどり祥子著。チャンピオンRED連載中。

死んだ人間の姿が見える少年・岸田準は、ある日、行方不明になっていた幼なじみの早川涼子の霊を見る。何かを訴えかけようとしている早川の後について行くと、不気味な洋館にたどり着く。そこには生前の早川のものらしき耳が落ちていた……。

遊びのない、直球勝負のホラー漫画です。古くもなく新しくもないですが、安定して怖くて面白いです。

行く先々で悪霊が原因のトラブルに巻き込まれる早川君ですが、まったく喋らない(喋れない?)早川さんが、能面のような表情のまま、身振り手振りで手助けしてくれます。また劇中、早川さんは自分の通夜に参列するという、史上類を見ないウルトラCを達成します。

自分の事件が解決しても、岸田君の元を中々去ろうとしない早川さんですが、その理由が物語の大きな鍵になりそうです。〆

※※この記事は2013/02/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。