月別アーカイブ: 2013年12月

「聲の形」(こえのかたち)


聲の形(1) (少年マガジンコミックス)

超オススメコミック。マルドゥック・スクランブル(コミック版)の大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン連載中。今年レビューした中でも、5本の指に入る傑作。というか、No.1。

楽しいことが大好き、退屈が何より嫌いな小学生・石田将也は、今日も友人たちと大はしゃぎ。ある日、彼の通う学校に、耳の不自由な少女・西宮硝子(にしみやしょうこ)が転校してくる。幼い小学生たちは、最初彼女を不思議な存在と感じ興味を持って接していたが、慣れてくると、何をするにも筆談を必要とする面倒な存在と位置付け、将也を中心にいじめを始める……。

幼い子供たちは、朗らかな心を持ちながら時として残酷で、いじめを悪いことと感じません。それどころか、暇つぶし、一時の楽しみとしていじめ続けます。そしていじめられる側というのは、弱く、辛く、耐えがたい屈辱を味わうことになります。

そんな中、障害を持つが故にいじめの対象となってしまった硝子は、からかわれても、うざがられても笑顔で耐え続けます。また、その笑顔はいじめの主犯である将也にも向けられます。将也にとって、硝子は理解の及ばない奇妙な存在であり続け、数年後、やがて彼が辛い状況になったとき、彼女を思い出し逢いに行くことになります。

彼女に逢いに行くところから物語は開始し、その経緯となる6年前(小学生)の出来事が1巻では描かれています。2巻以降は高校生になった二人が再会し、溜めこんでいた硝子への複雑な感情を伝える将也と、それに硝子がどう応えるかが見所になります。早く続きが読みたい……!

余談ですが、75、81、83ページのコマ割り&構図が同じ。繰り返しで時間経過を見せるナイス演出。芸が細かい。絶対に読んでほしい試し読みはこちらから。〆

「マテリアルポルカ」


マテリアルポルカ(1) (アフタヌーンKC)

オススメコミック。古林奈留著、good!アフタヌーン連載中。

乙女の園、ラ・ヴィエルジュ女学院中等部に入学した勅使ヶ原(てしがわら)アリス。親友の森塚るかとともに、念願かなって入学した学院であったが、晴れの入学式のとき、校則違反の生徒が顔面を銃で吹き飛ばされて死亡する。校則は絶対、守れないものは即死刑。学院は生徒会長・武藤沙羅が恐怖で支配する乙女の城であった。恐怖と混乱の中、アリスは学院に伝わる五つの至宝の一つ「いばら姫(チェーンソー)」を手に入れる。その力で生徒会長を倒し、学院の平和を取り戻すことができるのか……。

頭吹き飛ばされれば大出血で地獄絵図…になるのが普通ですが、本作では、血が吹き出る代わりに、コンペイトウやクッキーなどの可愛らしいお菓子類が可憐に舞い散ります。おかげで血なまぐさくなく、ファンシーささえただよう不思議な作品となっております。

こんな学院、教師や父兄が放っておかないだろう、とは思いますが、作品中に大人は一切出てきませんので、(不自然ですが)話が成立しています。この辺の矛盾に目をつむりながら読まなければいけないので、生真面目な人には向かないかも。同時にそれが魅力でもある。そういうもんなんだ、ということにしましょう。

ヒロイン・アリスは普段は弱々しい、頼りなさげな女の子ですが、武器である「いばら姫」を手にすると一変、強くて美しい戦士に変身(?)します。二面性を持つ少女ですが、さらに少々の異常性も持ち合わせていて、共感をしづらい、変な主人公になってます。この子が一体何者なのか、何を成し遂げるのかが今後のストーリーの軸になりそう。

個人的には、アリスの友達の猿渡つづりさんにがんばってもらいたい。アリスが王子様ならつづりはお姫様ポジション。作者が意識しているかはともかく、か弱いつづりこそが真のヒロインであり、彼女を守るためにアリスが戦うのです。そのためには、どんどん酷い目にあってもらいたい。がんばれ、つづり。

試し読みはこちら。〆

「春の包帯少女」


春の包帯少女1 (メテオCOMICS)

オススメコミック。佐藤ミト著、Webコミックサイト「COMICメテオ」連載中。

夜桜ハル(♂)と星見ナツ(♀)は周囲もうらやむお似合いの恋人同士。今日も仲良く一緒に登下校、クラスの仲間にからかわれながらも、二人はいちゃいちゃ楽しい学園生活を謳歌していた。そんな折、街に放火事件が頻発しだす。犯人は見つからず、住民たちは不安に怯えていた。ある朝、ハルの机に”お前が放火の犯人だ”と落書きがしてあった。落書きをみて、血相を変えて飛び出したハルを追うナツだったが、そこで見たのは、燃え盛るハルの右手だった……。

1巻を読んだ時点で、設定がよく分からなかったので、評価を保留にしていましたが、2巻を読んで大腿概要がつかめてきたのでオススメにしてみました。

ハルの右手には特殊な力があり、それは何らかの条件により燃えだしてしまう、燃やしてしまう、というもの。その効果の範囲は定かではなく、もしかしたら放火の犯人が自分ではないか、と不安に怯えます。ナツにも内緒にしていましたが、その秘密が露見し、あまつさえ彼女を火災に巻き込んでしまいます。結果的に、ハルは愛するナツを火傷で包帯ぐるぐる巻き状態にしてしまいます。ここで普通なら二人の間に溝ができてしまいそうなものですが、優しいナツはハルを受け入れ、元のように仲の良い恋人同士として生活を再開する……のですが。というお話ですね、2巻を含めてまとめると。

作品の見どころは、ハルの持つ能力の謎、放火魔は本当に彼なのか。恋人の特殊な能力を知り、なお愛を貫こうとするナツ、彼女もまた、不可思議な力を持っていることが判明します。この二人を放火に関連しているのではないかと疑う転校生・満月秋は、肥大化した正義感の持ち主で、悪は決して許しません。主人公たちを追い詰める彼女から逃れることができるのか。さまざまな謎とスリルを含みながら物語は進行していきます。

途中から、ヒロイン・ナツがずーっと包帯巻きなので、包帯萌え(?)にはたまらない作品……だと思います。個人的には、ナツが物わかりの良い優しい娘すぎて気持ち悪いです。某巨乳の何でも知ってる猫娘委員長を連想してしまいました。信頼されまくってるハルのストレスたるや、もう……。ただ、この娘がストレスを抱え、本格的にブッ壊れ始めたら、この作品は名作になると思います。早く発狂しないかな♪

試し読みはこちら。〆

「総合タワーリシチ」

 
総合タワーリシチ (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)


オススメコミック。あらた伊里著、まんがタイムKRコミックス「つぼみ」連載終了、完結。

都立今川高校総合学科、新入生代表・霧上神奈(きりがみかんな)は、勉強、スポーツ、美術、音楽に至るまで、なんでも1位じゃなければ気が済まない、究極の負けず嫌い。人の上に立つことにエクスタシーを感じる神奈であったが、高校に入り、自分が井の中の蛙であったことを知る。クラスの中でも最もアホそうな4人組・ちゃらんぽらんズに、勉強以外の科目で敗れ、唯一残された勉強でも、普段はボーっとしている不思議少女・羽座岡悠(はざおかゆう)に敗れ自信を喪失する。しかし、100点満点の答案を受け取った悠の意外な行動にブチ切れた神奈は、その場で悠をはり倒し……。

まずタイトルの「タワーリシチ」ですが、これはリシチというタワーがあるわけではなく、ロシア語で「同志」という意味です。「総合」は秀才が集う総合学科から来ているものと思われます。ググってみるまで分かりませんでした……。なお、1巻の表紙が悠、3巻(最終巻)の表紙が神奈です。

本編の内容は、主人公の神奈と悠の友情物語を中心とした、女子高生の青春&コメディです。何でも一番、努力が大事と思っていた神奈を、悠を初めとした友人たちの存在が(強制的に)変えていきます。普段は遊んでいる連中が、それぞれの得意ジャンルになると圧倒的な力を発揮し太刀打ちできない現状に、神奈は悲観すると同時に、彼女らの才能を認めるようになります。

特に努力の天才・悠に対しての想いは複雑で、彼女のエキセントリックな行動に振り回されながらも、自分にないものを持つ彼女に次第に惹かれていきます。また、悠も何かと自分をフォローしてくれる神奈に友情を抱くようになっていきます。

ちゃらんぽらんズの面々も曲者揃いで、中でも個人的に好きなのは、美術の天才・日下部ちはや、通称”バベルの塔”。美術で使う道具、製作物などかさばる物が多いのに、捨てられない+片付けられない+めんどくさがりのために、彼女の机の周りはモノであふれるゴミ御殿と化しているのでした。友人たちに何とかしろと言われ、彼女が取った行動とは……。

ほか、キャラクターが個性的で、ストーリーもちょっとだけシリアスを出してみたりで、軽そうな見た目に反して意外と読ませる良作です。アニメ「夏色キセキ」あたりが好きな人には特にオススメです。〆

 

「PiNKS」


PiNKS (リュウコミックス)

オススメコミック。倉金篤史著。月刊COMICリュウ連載終了。1巻読み切り。

性に興味を持ち始めた二人の小学5年生、弥彦と更紗。弥彦は男の子のスケベ心から、更紗は純粋なる愛と美を知るために、協力してえっち本を探すことになった。大人たちの目から逃れ、えっち本を手に入れるために奔走するが、そこに大人の女性、ヒロセさんが現れて……。

年頃の少年・弥彦は単なる好奇心のため、ませた少女・更紗は「人の愛と美と性を記録した現代の禁書」を探すために、共同戦線を張りエロ本を拾う、買う、とにかく手に入れるために小冒険をする、そんな話です。二人の動機が違うことがポイントで、同じ目的なのに得たい答えが大きくズレている、そのことが原因で終盤に大きな衝突を生むことになります。

物語の途中からは、どうやらワケありっぽい大人の女性・ヒロセが登場しますが、彼女もまた二人の障害となり、また大きな影響を与える人物になっていきます。

はたして、二人の子供はえっちな本を手に入れ本懐を遂げることができるのか? その道程で何を得、何を失うのかが見所です。ちょっとかわったスタンド・バイ・ミー。

試し読みはこちら。〆