月別アーカイブ: 2014年4月

「アルテ」


アルテ 1 (ゼノンコミックス)

オススメコミック。大久保圭著、月刊コミックゼノン連載中。

16世紀初頭のフィレンツェ。貴族の娘・アルテは、女らしくしろとうるさい母に辟易していた。大好きな絵を描いて暮らしたい、自分は絵描きになる、と家を飛び出し弟子入り先を探すものの、女なんて、と冷たくあしらわれる。そんな折、たまたま出会った寡黙な男・レオは、工房を持つ職人であった。ここぞとばかり弟子入り志願するアルテであったが、レオにある試練を言い渡される……。

女性軽視の時代に、所詮女と馬鹿にされることに納得できず、自分のやりたいことをやり通す、強い意志を持つ少女の物語。本篇中にも触れられていますが、彼女をつき動かすのは「怒り」。自分を認めない母や世間への怒りのパワーで、なにくそと突き進んでいきます。

実はよくあるパターンのお話ではありますが(「ジゼル・アラン」とか)、題材が画家・芸術家というのは珍しい。職人モノなので、どれだけ画家という特殊な職業を話に絡められるかに注目しています。仕事に、恋に、家庭に翻弄されながらも、反骨精神を胸に突き進んでいく所に共感。ただ…恋はやめとけアルテよ……。

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「会いにいくよ」


会いにいくよ (少年マガジンコミックス)

オススメコミック。原作のぶみ、「はじめの一歩」の森川ジョージ著、週刊少年マガジン連載終了、完結。

元暴走族の異色絵本作家・のぶみの体験記をマンガ化。2011年3月11日東日本大震災。東京で被災したのぶみは、被災者の子供たちを少しでも励まそうと、協力者たちから4000冊もの絵本を集め、被災地に贈る。しかし、のぶみの元には、被災者のことを考えていない、無神経で自分勝手、偽善であると非難が集中する。そんなつもりではない! このままじゃいけないと、思い立ったのぶみは被災地にボランティアに駆けつけるが……。

偽善と言われても、がんばって被災者の役に立つんだ、という内容の本です。一方で、一人の人間ではどうしようもない、現実の壁にぶち当たり、苦悩し続ける主人公が強く印象に残ります。

当時が誰もが感じた、何かしなきゃならないけど、何をすれば良いのか良く分からない。援助物資を送りたいけれど、交通事情などでままならない。ボランティアでさえ足手まとい。そういった状況と、感情がよく表現されている作品だと思います。

ボランティアに出かけていき、被災者の役に立ってはいるのだけれど、片付けるべき瓦礫の量が膨大すぎて立ちすくむ主人公ら。決して観光に来たわけではないけれど、装備の甘さ、無計画性、手作業による非効率性など、自己満足と言われても否定できない状況が、ますますみじめにさせていきます。

それでもなお、できることを一つ一つこなしていき、子供たちの笑顔と出会う。ガレージに船が突き刺さった工場を掃除する、工場がいつ再開するとも知れず。決して大きなことではないけれど、自己満足かもしれないけれど、世の役に立つ仕事をこなし、家路につく。街の灯りを見て何を思うか。一人の絵本作家の5日間。そんな作品です。

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追伸
迷いましたが、リンクしておきます。
3.11① 東日本大震災発生時のNHKの実況(Youtube)

「Re:魔法少女」

オススメコミック。しよたこん著。先週に引き続き、電撃D-MANGAオンライン連載中の作品から。

7年前、地球を救った魔法少女クラン・ランジェこと栗野リン。17歳に成長していた彼女は、かつての愛らしい様子はなく、粗野で蓮っ葉な女子高生に成長していた。そんなおり、彼女の前にかつてのパートナー・いぬたろうが現れ、再び魔法少女として戦ってほしいと懇願される。もう戦わないと決めていたリンであったが、可愛い妹を助けるために、再び魔法少女へと変身した…が……。

かつて魔法少女だった女子の悲哀を描いた作品(のはず)。妹を溺愛するあまり、危険な戦いに再び身を投じることになりますが、基本的にはギャグテイストで緊張感は少なめ。

第1回デジタルMANGA新人賞グランプリ、賞金1200万円受賞作との触れ込みですが、そんなに言うほど面白くはないです。が、これから面白くなるかもしれない、という可能性は感じさせてくれる一冊。動きに躍動感があり、絵はうまいし、健康的なお色気を実現しています。

話があちこちにそれてしまっているので、明確な敵や魅力的なライバルを登場させ、地に足を付けたストーリー展開をすればもっと面白くなるはず。いろいろと惜しい。

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