月別アーカイブ: 2016年5月

「勇者が死んだ! 」



勇者が死んだ! 1 (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。スバルイチ著。裏少年サンデー連載中。

ふとももフェチのしがない村人トウカと、ムッチムチなふとももの幼馴染ユナ。二人の暮らす村に、突然魔物が現れた。魔物に襲われそうになるユナであったが、間一髪、颯爽と現れた勇者シオンに救われる。しかしその直後、シオンは、トウカが魔物対策に掘っていた落とし穴に落ちて、こともあろうか命を落としてしまう。勇者が死んでしまった。この事実を隠すために、ネクロマンサー・アンリの手によって、勇者シオンの肉体にトウカの魂を入れ、シオンの代わりに世界を救う旅に出ることに……。

まさにタイトル通りの展開の本作。死んだ勇者になりすまし、ただの農夫が世界を救う冒険に出ます。しかもトウカはシオンとは全く異なり、スケベでかなりいい加減な性格の持ち主。勇者というより外道に近いのですが、それでも見た目は勇者様。望むものはすべて手に入るやりたい放題。

とはいえ、化けの皮がはがれるのも案外早く、弱いままで魔物と戦うことになっていきます。
基本的には雑魚といってよいトウカが、悪知恵を働かせて、強力な魔物や悪い人間たちを倒していくというカタルシスと、意外な展開が多く先の読めないストーリーが魅力の作品です。
世界観も独特。物語が進むにつれて、さまざまな伏線が回収されていくのもよい点。

また、作者の趣味なのか、主人公の性格ゆえなのか、ふとももに執着している描写も、ニッチ市場を開拓する手段として秀逸。ふとももフェチ垂涎のコミックとしてもオススメ。

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「魔法少女特殊戦あすか」



魔法少女特殊戦あすか(1) (ビッグガンガンコミックス)

おすすめコミック。原作・深見真、作画・刻夜セイゴ。月刊ビッグガンガン連載中。

かつて魔法少女として世界を救った少女・大鳥居あすか。伝説の戦いから3年後。現在は普通の女子高生として暮らしていた。しかし、多くの仲間を失った凄惨な戦いの記憶を忘れることはできず、心の枷として彼女を苦しめていた。そんな中、偶然にも友人の危機を救うことで、再び新たな巨悪との戦いに挑むことになったあすか。はたして真の安息を取り戻すことはできるか……?

その昔、魔法少女として戦い、今は年をとって少女から青年へ。平和になった世界のその後の苦悩を描く作品は何点かありますが、こちらは魔法少女時代も両親を惨殺されたり仲間を殺されたりで、かなりハードな魔法少女兵士として戦っていた経歴の持ち主がヒロイン。クールな外見ですが中身は熱血系で、正義感も強い主人公タイプです。魔法少女らしく、魔法のロッドでも武器にするのかと思いきやそうではなく、カランビット(特殊な形状のナイフ)で斬殺メインという、肉弾戦派(超強い)。

魔法少女は何人かいて、それぞれが今も何らかの活動をしていますが、あすかだけは休眠状態となっています。あなたも戦ってほしい、という元仲間の申し出に応じるか否か、戦いを望まないかつての英雄が、再び戦火の中に舞い戻るかが序盤の展開となります。まあ、戻らないと話にならないので、当然戻っていくわけですが、どうやら敵は新たな魔法少女らしい……ということが分かってきます。

魔法少女ものを下地にしながらも、ストーリーはオリジナル性が高く、アクション描写もうまいです。他の魔法少女との協力、牽制、敵対など、今後いろいろと展開できそうなところも面白いかと。

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「兎が二匹」



兎が二匹 1 (BUNCH COMICS)

おすすめコミック。山うた著、月刊コミック@バンチ連載終了。2巻完結。

不老不死の女・稲葉すず398歳、同居している青年・宇佐美咲朗19歳。死にたくても死ねない体となってしまったすずは、毎日咲朗に自分を殺させようとするが、うまくいかず確実に自分が死ねる方法を探していた。一方の咲朗は、すずに死んでほしくない一心で、何とか彼女の心をひきとめようとする。しかしその思いは届かず、やがて悲劇的な結末が訪れることになる……。

死を望む女と、死んでほしくない青年の物語。悲劇的な結末から物語はスタートしますが、そこに至る経緯について、すずの記憶が語られていくことになります。400年近く死にたいと思いながらも生きてきたすずですが、咲朗との出会いは、彼女に生きていく活力を与えてくれる、特別なものでした。それでもなぜ死を望むのか。

悲しくなると死んでしまうといわれている兎。タイトル通り、確かに二匹の兎がいます。「悲哀」という言葉がぴったり当てはまるテーマの作品。二巻で完結の短編ですが、キャラクター、ストーリー、心情描写すべてのレベルが高く、不朽の名作と言えるでしょう。これは必読!

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「お客様は神様です。」



お客様は神様です。(1) (シリウスKC)

おすすめコミック。メイジメロウ著、月刊少年シリウス連載中。

コンビニ業界では有名な魔店・ネコマーケット威張鬼(いばらき)店。ありとあらゆるモンスター客が現れ、過酷な接客に耐え切れず、新人はあっという間に辞めていく……。そんな悲惨な環境で働き続ける青年・白塚佑司(しらつかゆうし)のもとに、新たなバイト志願者、朱羅々(しゅらら)ちゃんがやってきた。笑顔がとてもチャーミング、何かわけありでバイト生活を続ける彼女は、「お客様は神様です」を標語に今日も笑顔の接客。しかしそんな彼女には秘密があって……。

タイトルのように、「お客様は神様」であることを徹底するために、どんなに粗野な客も丁重におもてなしをする朱羅々。彼女に触発されて周りも……とはいかず、お客様のご要望ならと、殴られても平気だったり、強盗にも笑顔で接客等の度を越した徹底ぶりにややヒキぎみ。すべては親の借金を返すため、けなげに働く仏のような朱羅々でしたが、怒らせるととんでもないことが起こってしまいます。

キツネ目のヒロイン朱羅々が非常にかわいらしく、しかし精神的にも肉体的にも恐ろしい、という非常に困ったキャラクター性が魅力の作品です。お客様のためならば……を基準に行動を起こすため、何をどう解釈されるか分らず迂闊なことを言えない恐怖。

奇想天外なモンスター客と、度を越した店員朱羅々にはさまれ、白塚に安息の日はありません。さらに朱羅々のニート兄・鬼童丸(きどうまる)も加わり、今日もネコマーケットに騒動が……。

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「寄宿学校のジュリエット」



寄宿学校のジュリエット(1) (講談社コミックス)

おすすめコミック。「星天高校アイドル部」の金田陽介著、別冊少年マガジン連載中。

ダリア学園における二つの学生寮勢力、黒犬(ブラックドギー)と白猫(ホワイトキャット)。出身国のいざこざから、事あるごとに対立を続け、時には殴り合いの大喧嘩をすることも。黒犬のリーダー犬塚露壬雄(いぬづかろみお)は、喧嘩が強く仲間の信頼も厚い、理想のリーダー。彼には初等部のころから、一人の女の子に惚れていた。それは、宿敵・白猫の女リーダー、ジュリエット・ペルシアだった。許されざる禁断の恋、はたして彼の想いは届くのか……。

ベースになっているのは、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」。愛する二人はしかし、敵対する貴族の息子娘だったというやつです。二人の逢瀬は絶対に仲間に知られてはいけない、背徳の恋。本作でもそこがベースとなっています。また、それ以前に。犬塚は想いを告げられるのか、ジュリエットはそれを受け入れられるのかが序盤のポイント。

ややネタばれすると、告白は想いを物理的にぶちかます方向で早々に成就しますが、もちろん、本筋はその後。犬塚の熱烈な支持者である蓮季、ジュリエットを守る自称騎士のスコット、異なる対立勢力などから、二人の関係がばれないように立ち回っていきます。味方を欺くためとはいえ、時にはジュリエットにアイアンクローをかましたり、サマーソルトで反撃されたりしますが、それも秘密を守るため。

障害を乗り越え、強い絆で結ばれていくであろう二人。バレたら一発で破局、リーダーとしての互いの信頼も失う状況で、いつか周囲に認められ、晴れて真のカップルとなることはできるでしょうか?

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