月別アーカイブ: 2016年6月

「私が言うとおりになる」



私が言うとおりになる(1) (ヤンマガKCスペシャル)

おすすめコミック。毛魂一直線著(すごいペンネームだな……)。ヤングマガジン連載中。

ちょっとストーカーな少女・熊野メイは、超人的身体能力の持ち主だがアホのソウくんに片思い。ソウくんと同じ大学に入りたい一心で、進路希望票を盗み見るが、第一志望は……「魔女」? 俺は魔術を使えると豪語するソウくんを、説得して踏みとどまらせようとするが、なぜか一緒に怪しげな魔術専門学校へ入学することになってしまうことに……。

普通にしていれば可愛いのに、ソウくんを思うあまり、異常な行動および多彩な顔芸を見せるメイ。寄り添う仲になりたいのに、なぜかソウの敵として対峙することになってしまいます。対するソウは、身体能力は高いのにまったく学力がなく、アホ一直線というキャラクター。

この二人のやり取りでお話は進みますが、魔術を否定するメイに実は強力な力があり、肯定するソウにはまるでないところが重要な要素となっています。メイからしたらいらない能力であり、ソウからしたら喉から手が出るほどほしい能力。その力ゆえに、トラブルが発生し、恋の行方がどんどんこじれていきます。

ただ、どんなにソウに嫌われ恨まれても、愛の力で何度でも復活するメイがたくましく、ゾンビじみた行動力で決してめげません。恋する乙女のど根性が楽しめます。二巻からはライバル伊吹も加わり、ラブコメ度アップ。絶対成就しなさそうな恋ですが、ミラクルが起こるか!?

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「終電ちゃん」



終電ちゃん(1) (モーニング KC)

おすすめコミック。藤本正二著。モーニング連載中。

JR中央線新宿発高尾行きの最終電車に現れる終電ちゃん。仕事やお酒で帰りの遅くなった人々が、乗り遅れてはならないその日最後の電車、終電。終電ちゃんは、酔いつぶれた乗客たちを叱咤し、電車に詰め込み、明日はもっと早く帰れと檄を飛ばす。そこにはさまざまな人間ドラマがあった……。

終電の擬人化、ということでよいのでしょうか。電車の精霊というか主というか、不思議なキャラクターです。とりあえず、終電の屋根の上に乗って現れます。作品内で、終電ちゃんの存在がなんなのか、明確はされておらず、そこにいて当たり前の存在として描かれています。

終電ちゃんは、乗客たちのアイドルであり、また、頼れる母のような存在。乗客たちの悩みを聞き、トラブルがあれば解決し、あえて嫌われ役になってでも、終電としての職務を全うしようとします。職人気質、時に融通が利かない、プロの終電なのです。

そして、終電はもちろん中央線だけではないので、おてんばな山手線の終電ちゃん、おっとりな小田急線の終電ちゃんなど、続々と終電ちゃん仲間が登場してきます。人間ドラマで終わりと思いきや、終電ちゃん同士のドラマもあり、今後に期待が持てる作品。それにしても、終電の擬人化という発想ができたのが素晴らしい……。

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「一変世界」



一変世界 1 (BUNCH COMICS)

おすすめコミック。明治カナ子著。くらげバンチ連載中。

デラ神殿の大巫女見習い、プーリョ。不可思議なことが起こる神殿と、神殿を取り巻く神の森で、日夜厳しい修行に明け暮れている。友人のエズリン、元石像のミンミらの助けを借りながら、立派な大巫女様になることを目指して送る修行の日々と、そこで巻き起こる事件を描く。

独特の世界観が魅力的。森に巣食う不気味な魔物、石像の魂を死体に乗り移らせる術、さらには信仰の場である神殿が、最大のミステリースポットとなっており、入ったら出てこれなくなる迷宮や、人の形をしたしゃべる石像(神? 魔物?)などが散見されます。

プーリョはそれらを当然のもの、として認識していますが、細々とこの独特な世界観を説明するキャラもいないため、最初やや混乱します。しかし、話が進むにつれ、こういうものなのだと、だんだんと理解できるようになってきます。トラブルで結構あっさり人が死んでしまったり取り込まれてしまったりしますが、この神殿では割と日常茶飯事の模様。そのあたりがドライに描かれているのも本作の大きな特徴です。神は理不尽。

第二巻以降になると、大巫女の存在や、プーリョ自身の秘密に迫る展開となり、彼女を取り巻く陰謀や策略めいたものが次第に姿を現します。プーリョは無事に立派な大巫女になれるのか、続きが非常に楽しみです。

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「オパパゴト」



オパパゴト(1) (シリウスKC)

おすすめコミック。白梅ナズナ著。月刊少年シリウス連載終了、全3巻完結。

由緒正しき女学校、薔薇ノ宮女学園で行われている疑似家族計画。ランダムに選ばれた生徒たちが家族となり、貧乏長屋から暮らしをはじめ、他の家族(ライバル)たちと戦い、生活の質を向上させるリアルおままごとバトルである。とある理由で父親役に任命された夏川春日(なつかわはるひ)は、見ず知らずの少女たちとともに、疑似家族生活を開始するのであった。

おままごとからもじったタイトルですが、タイトルに偽りなく、まさしくおぱぱごとをすることになる主人公の春日。彼女自身は学園の生徒ではなく、自分そっくりの生徒の代理として送り込まれます。もともとは粗野な性格の春日が、お上品なお嬢様学校に編入することになり、カルチャーショックを受け、また、女子なのにいきなり父親として任命されたことについては大混乱。それも嫁と一男四女の大家族!

最初は戸惑う春日ですが、一家の主として、家族をまとめるために奔走します。缶詰の開け方も知らない家族たちの面倒、新婚初夜(?)、ライバルの家族たちとの戦い……。心休まるときはない。やがて春日たちの疑似家族は、困難を乗り越え、本物の家族の絆を紡いでいきます。そんな中、急に訪れる一家崩壊の危機、そこでとった春日や家族たちの行動とは?

一応百合モノ?かと思われ(家族としてあまりにも自然すぎて感じられない)、特に嫁役の紫(ゆかり)さんは、役柄を超えて春日に愛情を注いでいきます。ぽやっとした人なのですが、本気になると色々と情け容赦ないところが魅力です。要所要所で重要な役目を担い、この人あっての春日家といえるでしょう。

もっと長く続いてもらいたかった良作。個性豊かな家族たちの個々のエピソードが見てみたかった……。とはいえ、短い中でも、エンディングは秀逸なので、ぜひとも読んで頂きたい。

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