月別アーカイブ: 2016年7月

「響~小説家になる方法~」



響~小説家になる方法~(1) (ビッグコミックス)

おすすめコミック。「女の子が死ぬ話」の柳本光晴著、ビックコミックスペリオール連載中。

小説「木蓮」編集部に届いた分厚い封筒。それは、新人賞の応募作品だった。データでの投稿という応募要項が守られていないため、捨てられそうになっていたが、偶然にも若手の編集者・花井の目に留まる。作者の名は「鮎喰響(あくいひびき)」、その小説は、芥川賞にも手が届くのではないかという名作だった。しかし、プロフィールがまったく記載されていないため、新人賞への推薦もままならない。はたして作者は何者なのか……。名作を埋もれさせてなるものかと、花井は奮闘する。一方、当の作者はなんと新女子高生。腕試しに応募した新人賞のことはさておき、文芸部に入部しようと門をたたくが……。

あらすじや表紙からイメージされるのは「文学少女」というフレーズであり、それは概ね正しいのですが、響の性格が非常にエキセントリックなため、そのイメージは覆されます。文学少女といえば、物静かで夢見がちで、窓際でいつも本を読んでいる印象ですが、響きは違います。

我が強く、他人が自分をどう思うが気にせず、立ちはだかる敵はぶち倒していくような強い文学少女です。文学部にはびこっていた不良の先輩を、邪魔なので躊躇なく小指をへし折り追い出す胆力。才能に恵まれ、応募作品は絶賛される文章力。自分を溺愛するイケメンの幼馴染あり。なんちゅースペックだ……。

しかし、名作と賞されるその作品が世に出るか否かは、編集者の花井にかかっている状態で物語がスタート。花井の情熱により、まずは何とか新人賞の対象作品とすることができるか? が序盤の見どころとなります。

話が進むにつれ、響が持ちジャンルとしている純文学や、小説家を志す人々にも焦点が当てられます。誰もが響の才能に嫉妬し称賛する中で、浮かれるわけでもなく、危なっかしい態度を軟化させるわけでもなく、我が道を行く響。やがて同年代のライバル候補が意外なところから出現し……。先の読めないヒロイン=先が読めない展開で、非常に続きが気になる作品です。響は大成するのか、それとも自滅するのか?

試し読みはこちら。〆

「あそびあそばせ」



あそびあそばせ 1 (ジェッツコミックス)

おすすめコミック。「りとる・けいおす」の涼川りん著、ヤングアニマルDensi連載中。

転校生の外国人・オリヴィアは、日本の遊びに興味津々。仲の良い友達と一緒に、今日も日本の遊びを学んじゃおう♪

という名目のもと、あっち向いてホイや、鉛筆で親指から小指の間まで連続でトントンするやつ、指相撲などに挑戦していきます。普通っぽいけど情緒不安定な華子、頭よさそうだけど英語ができない香純、そして……実は金髪碧眼というだけで日本育ちのオリヴィアの3人で、遊びに真剣に向き合う変な話。

表紙はかなり美少女ライクなオリヴィアですが、友人たちも含め、本編中では変顔やバカ行動など、大分おかしなことになってます。

遊びの内容も、確かにそういう遊びだけどそこまでやることはないんじゃね? という感じにエスカレートすることが多く、負けたらわきの匂いを嗅ぐなどの罰ゲームを含め、こいつらはいったい何をやっているんだ……という笑いある展開になります。

基本的にはただ遊んでいるだけなのですが、ここまで肉付けして、笑いあるストーリーを構成できるとは素晴らしい。本格的にどうでもいい感じになる日常系の作品は、見習ってほしいぐらいです。

今後の展開にも期待。試し読みはこちら〆。

「ちこたん、こわれる」



ちこたん、こわれる(1) (ヤングマガジンコミックス)

おすすめコミック。「イモリ201」の今井ユウ著、ヤングマガジン連載中。

高校一年生・桜坂亮平(おうさかりょうへい)は、一度聞いた声は忘れない、好きな声はスマホに録音して学校で聞くという、極度の声フェチ。一方、同じクラスで、いつでもヘッドホンとマフラー着用の宮原チコは、教師に怒られてもまったくしゃべらない不思議な女の子。ある日偶然、そんなチコの声を聞いてしまった亮平は、可愛らしいその声に一目ぼれしてしまう。何とか仲良くなろうと話しかけるが、相手にしてくれないチコ。執念実って、ようやくきっかけをつかんだと思いきや、チコは事故で死んでしまう……。

死んでしまったのに、チコは普通に登校してきます。一体なぜ? 実はチコはロボットだったのです。から始まるストーリー。正確には、とある理由により、自宅からリモートコントロールしているドローン。また、ドジっこ属性が強すぎて、すぐトラブルに巻き込まれて死んでしまう体質の持ち主。その秘密を共有した亮平は、秘密がばれて学校に来られなくならないように、また迂闊に死んでしまわないように(ドローンが壊れてしまわないように)チコを全力サポートします。

「実は私は」等をモデルにしていると思われますが、ヒロインが何度死んじゃってもいい、という大義名分のもと、色々と無茶な展開を入れてきます。定番ですが、幼馴染でツンデレ気味のヒロインもおり、三角関係もあり。また、声が好き、という点も、後々重要なファクターになっていきます。惚れた声のドローンには会えても、チコ本体には会えないという設定が秀逸。チコ本人に対面する日は来るのか?

なお、単行本巻末には、破壊してしまったドローンの機体リストあり。巻が進むにつれ増えていきます。どんだけ壊れてるんだよ、という。

試し読みはこちら〆。

「競女!!!!!!!!」



競女!!!!!!!! 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。「揉み払い師」の空詠大智(そらよみだいち)著、週刊少年サンデー連載中。アニメ化。

新体操部でオリンピックを目指せるほどの逸材・神無のぞみ。高校卒業を控え、体育大学への推薦をもらえることになったが、稼げないことを理由に断ってしまう。貧乏な一家を支えるために、彼女が選んだのは「競女」(けいじょ)といわれるギャンブル競技の選手。強い選手になれば億単位の収入があると聞き、後先考えずに競女の選手を目指すことにしたが……。

競女の競技内容は、プールの上に置かれた浮き場の上で、手足を使わずに押し合い、浮き場外へ落とすというもの。古い例でいえば、アイドル水泳大会の浮島戦、最近の例でいえば、DOAエクストリームのどんけつゲーム。競馬のように、誰が勝つかにかける公営ギャンブルということになってます。

複数人での試合が基本で、相手を押し出す手段は主に胸と尻。ゆえにちょっといやらしい戦いになります。物語の最初の方は、ちょっとエッチだけど、競技自体は押し合うだけの地味なお話なのかな……と思って読み始めるのですが、次第に設定がぶっ飛んできて、尻で顎先をかすめて脳震盪……から始まり、ヒロインの必殺技「真空烈尻(しんくうれっけつ)」の衝撃で敵を水着ごと吹き飛ばしたり、一度触った尻の特性をコピーできる「尻の財宝(ヒップ・オブ・バビロン)」、胸をねじってから突撃するドリル乳激(パイげき)「パイ・パイル・パイパー」など、読者のはるか斜め上にイってしまいます。

こうなると単なるエロバカっぽいのですが、ストーリーも手堅く、スポ根ものとしてのお約束を抑えつつ、試合展開と勝敗で荒らしてくるので、かなり熱い(個人的な考え方ですが、主人公が毎回勝つ作品は退屈)。アニメ化も決定しており、この先楽しみな作品です。

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「パルパル&ロケッタ」



パルパル&ロケッタ 全1巻 (ヤングキングコミックス)

おすすめコミック。おがきちか著、ヤングキングアワーズ連載完結。

王子様と結婚したい。めちゃくちゃ強い女勇者・パルパルティーナは、玉の輿を目指して今日もモンスター退治。ついにさらわれた王子様を助け出したと思ったら、とってもぽっちゃりな残念王子だった……。そればかりか、王子・スピアンは城からも追い出されてしまった。パルパルティーナはスピアンをダイエットさせるために、今日もやせ薬(マジックアイテム)を探しながら、懲りずに玉の輿探しを続けるのだった。

強くてスタイル抜群の勇者パルパルティーナと、優しいけどちょいおデブの王子スピアン、パルパルティーナのエージェント・ロケッタの三人が中心となって話が進みます。王子を痩せさせることができるアイテムの探索依頼を受けてモンスター退治に向かうものの、誤情報でずっこけたり、別の王子を救出依頼を引き受けるものの、ちょっとイメージと違ってがっかりしたりと、コメディ冒険ものです。

とにかくテンポがよい。モンスターはほぼ瞬殺し(パルパルティーナは超強いので当然)、その後の展開で見せる感じです。連載が短くて残念ですが、オチもついて、よくまとまっています。同録されている他二篇も面白い。デブが優遇されている珍しい作品となっております。

試し読みはこちら〆。