タグ別アーカイブ: オムニバス

「春と盆暗」



春と盆暗 (アフタヌーンKC)

おすすめコミック。熊倉献(くまくらこん)著、アフタヌーン連載終了。

バイト仲間のサヤマさんは、笑顔がチャーミングな女性。でもちょっと変わったところがあって、接客の際、しつこいお客さん相手には、見えないところで手をグーパーグーパー。その理由とは? カラオケボックスにやってきた女子高生、お客様名簿の名前がいつも違う。よく見ると中央線の駅の名前? 連れてくる男性もいつも違う。はたして何者なのか? その他二編、全四編+おまけのオムニバス作品。

今一つパッとしない男子と、ちょっと不思議な発想をする女子の恋愛もの。淡々とした日常の中で、どこにでもありそうで絶対ないファンタジー感がよい。また、変な娘だな……と思いつつも、少しでもその娘の事を知りたいとする男子陣がほほえましい作品。

なんとなく手に取ってみましたが、落ち着いた内容で気に入りました。読了後、連載誌どこだったのだろうか、と巻末を見たらアフタヌーンとあり、ああ、アフタヌーンっぽいわ、と納得(伝われ)。

試し読みはこちら〆。

「世界制服」&「聖モエスの方舟」

     

世界制服 1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)
聖モエスの方舟 1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「センチメントの季節」など文字通りセンチメンタルな作風を得意とする榎本ナリコ著、サンデーGX(ジェネックス)連載終了と連載中。

「世界制服」は”世界””制服”と”SF”をテーマにしたオムニバスギャグ作品。いわゆるセカイ系作品で、主人公の行動いかんで世界がどうにかなってしまうというお話がメイン。ニートの超能力少年、現実世界にアップロードされたバーチャル美少女、地球侵略しに来たはずの異星人など、奇想天外な主人公たちが登場。

その中の一節にあるのが「聖モエスの方舟学園」で、宇宙戦艦の士官学校で戦う少女たち…をテーマにしたフィギュアシリーズのフィギュア達のお話。短編ではありますが、作者曰く「うっかりぐるぐる考えていたら、ものすごく世界観が広がってしまった」(あとがきより)とのことで、スピンオフ作品として連載が開始されました。それが「聖モエスの方舟」。

男子が希少となってしまった未来の地球。モエナ・ジェラシードは、聖モエス学園が共学であるのにつられ入学するが、入学式の日に学園は宇宙船へと形を変え宇宙に飛び立つ。実は学園は謎の敵と戦う宇宙戦艦で、人類を救うための能力を持った少年少女たちを育成する士官学校であった。戸惑うモエナと仲間たちに対し、宇宙の向こうから大エネルギー弾・星弾(エトワーレイ)が降り注ぐ……。

「世界制服」はサブカルネタを多分に織り交ぜたギャグ漫画。それまでの作者の作風とはまったく異なる作品で、新境地というか暴走ぶりが素晴らしい。怪作が多く楽しめます。試し読みはこちら

「聖モエスの方舟」は設定先行で描かれているようで、左の第一巻表紙はモエナの変身した戦闘服姿(本人に資質があれば身につけている宝石で自由に変身できる)なのですが、……2巻が終わってもいまだ変身してません。重厚なSF大作のように、世界観設定や前フリを押さえつつじっくり話が進んでいきます。漫画的にはこんなゆっくりペースで大丈夫かと心配する反面、いよいよ変身となったらどんな力を発揮するのか楽しみでもあります。

尻つぼみにならず、10巻以上長く続けば名作になるかも。期待を持って推薦〆

※この記事は2011/07/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「空が灰色だから」

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス) (Amazon)

オススメコミック。阿部共実著、週刊少年チャンピオン連載中。

年頃の少年少女たちの変な青春ショートストーリー。基本的にはコメディ、のはず。

妙ちくりんで痛々しいヤツがわんさか出てきます。恥ずかしがりを克服しようと、バニー服で深夜徘徊を試みるおバカ。レアなブランド服を手に入れるために、運命とかいう憎いあいつと全力で戦うおバカ。みんなもやってるガガスバンダスにのっかる……のっかりたいけどあれぇ?な、おバカ。

ちっとも甘酸っぱくねぇ、毒々しい辛口の青春の勘違いが詰まってます。お前はどうしてそうなっちゃったのよ? という感じに。絵柄がそんなにかわいくはないけれど、だからこそ、話の中身で戦っている素敵マンガ。是非おすすめしたい。〆

「ニッケルオデオン」

ニッケルオデオン 赤(IKKI COMIX) (IKKI COMIX) (Amazon)

オススメコミック。道満晴明(どうまんせいまん)著、コミックIKKI連載中。

「ヴォイニッチホテル」「ぱら☆いぞ」などで有名……有名ではないがカルトな人気を持つ道満先生の読み切りショート短編集。シニカルな笑いを得意とする著者で、ドぎついネタもあり取っつきにくかった印象を持っていましたが、本作に関して言えばかなり万人受けする仕上がりとなっています。

表紙の女の子二人は双子のハルとナツ。重なり合うように描かれているのではなく、腰の部分で本当につながっているシャム双生児。双子なのに姉のナツの方が背が高く、バランスを取るために歩くときは妹のハルがハイヒールを履かなければならず、それに不平をもらすハルであったが実は……。というお話など、全13編。

たんたんと進むがしかし斜め上展開のストーリーの中に、喜怒哀楽悲喜こもごもがあり、何が出てくるか分からない闇鍋のような魅力のあるショートショート。もっともっと読んでみたい。

試し読みはこちら

※この記事は2012/02/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。