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「バレーの球語」



バレーの球語(1) (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。僕男(ぼくおとこ)著。裏サンデー連載中。個人的にかなりおすすめの作品になりそう。

25歳のフリーター冴島春男。高校時代は熱心にバレーに打ち込んでいたが、今はバイトとパチンコだけのしがない人生。そんな春男に転機が訪れる。友人から高校のバレー部のコーチを務めてくれないかと頼まれ、再びバレーに関われるならと快諾したのだった。しかし、彼が担当することになったのは、男子ではなく女子バレー部だった……。

青年と少女たちのスポコンバレー漫画です。主人公春男と、ヒロインたちの二つの視点から物語は進みます。

自分のミスで最後の大会に負けたことに、今もトラウマを持っている春男。大学ではこれといった目的を持てず中退、その後はなんとなくフリーターを続けているという、なんともパッとしない感じに。思い出すのはかつての自分とミスばかりでしたが、コーチを託されたことで奮起し、再びバレーボールに向き合うこととなります。しかし、男子かと思ったら扱いが難しそうな女子チーム。しかも、思ったより体が動かなくなっている自分に再度失望してしまいます。

そんな彼が出会ったのは、まさにこれからバレーを始めようかという初心者少女・七瀬零奈(ななせれな)。レシーブを教えてと頼む純真で夢見る彼女に勇気をもらい、いつか「どっかんスパイクを打たせてやる!」約束をします。それからは、がむしゃらに、ひたすら自分に向き合い始めます。何かをやるんだ、とにかくやるんだ、やらなきゃだめなんだ、という強い意志を取り戻し、戦う青年(オッサン)が熱く描かれています。

一方で、彼の教え子たちも曲者ぞろい。特に孤高の3年生コンビ美波楓(みなみかえで)と本宮蘭(もとみやらん)は、かつてとある事件で他の部員が去ってしまった後も、二人きりで強くなろうと努力してきた異端の猛者。熱血とか友情とか、少年漫画のような青春を謳歌する少女二人に、春男はどう向き合きあい、信頼を勝ち取ることができるのか。

コーチとして成功し、かつてのトラウマを払しょくすることができるのか、教え子たちはバレーを通して何を学んでいくのか。テーマも面白いし、キャラも可愛いし、色々と展開ができそうで、この先楽しみです。

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「かげきしょうじょ!」と「かげきしょうじょ!!」



かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)



かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめCOMICS)

おすすめコミック。「花宵道中」の斉木久美子著、メロディ連載中。

由緒正しき歴史を持ち、美しく聡明な女子しか入学できない紅華歌劇音楽学校。卒業すると、女子だけのミュージカル劇団「紅華歌劇団」へ入団できるという、いわば養成学校である。元国民的アイドルJPX48のメンバー・奈良田愛は、とある不祥事でJPXをクビとなり、新天地を求めてやってきた。美少女だけどクールで無表情、他人に無関心な愛だったが、同じ紅華の同級生・渡辺さらさの天真爛漫さに影響され、心揺さぶられる。仲良くなりたいとは思わないが、どうしても気になってしまう愛。一方のさらさは、明るく前向きだが、無神経な発言で愛をいらだたせる。果たして二人に友情が生まれることはあるのか……? そして憧れの歌劇団へ入団できるのか?

「かげきしょうじょ!」はヤングジャンプで連載されていた入学前後の話、連載誌をメロディに移して連載再開し「かげきしょうじょ!!」(!が二つ)はその続編となります。この絵柄でなんでヤングジャンプで連載していたのかという謎の作品。一応ジャンルとしては少女漫画ではありますが、男性でも違和感なく読めます。

舞台となる紅華歌劇団音楽学校は、宝塚音楽学校をモデルとしています。生徒たちは、憧れのオスカルやアントワネットを演じるスターになるために、厳しいカリキュラムをこなしながら、友人でありライバルである仲間たちと切磋琢磨していきます。

主人公の奈良田愛と渡辺さらさの二人は、その中でも突出した存在として、ストーリーの中心人物となります。クールで不愛想なお姫様の愛と、怖いもの知らずで長身長(178cm、でかい)の男役さらさのコンビ。性格のまったく違う二人の凸凹友情ストーリーとなっています。

また、紅華歌劇団の対比として、歌舞伎も重要なファクターとなっています。女しかいない紅華歌劇団、男しかいない歌舞伎の世界。これ以上の対比があるでしょうか。ここに気付いた作者はすごいなと感心しました。ちなみに、歌舞伎に影響を受けたさらさは、誰にもまねできないスキルを身に着けていたりします。

ヒロイン二人以外も、魅力的な女の子が多い作品です。夢を目指して奮闘する歌劇学校の生徒たちは、今日も厳しいレッスンに挑んでいるのです。まだ活躍の機会はないですが、個人的に沢田千夏と千秋の双子に期待してます。何か一芸持ってそう。

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「競女!!!!!!!!」



競女!!!!!!!! 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。「揉み払い師」の空詠大智(そらよみだいち)著、週刊少年サンデー連載中。アニメ化。

新体操部でオリンピックを目指せるほどの逸材・神無のぞみ。高校卒業を控え、体育大学への推薦をもらえることになったが、稼げないことを理由に断ってしまう。貧乏な一家を支えるために、彼女が選んだのは「競女」(けいじょ)といわれるギャンブル競技の選手。強い選手になれば億単位の収入があると聞き、後先考えずに競女の選手を目指すことにしたが……。

競女の競技内容は、プールの上に置かれた浮き場の上で、手足を使わずに押し合い、浮き場外へ落とすというもの。古い例でいえば、アイドル水泳大会の浮島戦、最近の例でいえば、DOAエクストリームのどんけつゲーム。競馬のように、誰が勝つかにかける公営ギャンブルということになってます。

複数人での試合が基本で、相手を押し出す手段は主に胸と尻。ゆえにちょっといやらしい戦いになります。物語の最初の方は、ちょっとエッチだけど、競技自体は押し合うだけの地味なお話なのかな……と思って読み始めるのですが、次第に設定がぶっ飛んできて、尻で顎先をかすめて脳震盪……から始まり、ヒロインの必殺技「真空烈尻(しんくうれっけつ)」の衝撃で敵を水着ごと吹き飛ばしたり、一度触った尻の特性をコピーできる「尻の財宝(ヒップ・オブ・バビロン)」、胸をねじってから突撃するドリル乳激(パイげき)「パイ・パイル・パイパー」など、読者のはるか斜め上にイってしまいます。

こうなると単なるエロバカっぽいのですが、ストーリーも手堅く、スポ根ものとしてのお約束を抑えつつ、試合展開と勝敗で荒らしてくるので、かなり熱い(個人的な考え方ですが、主人公が毎回勝つ作品は退屈)。アニメ化も決定しており、この先楽しみな作品です。

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「絢爛たるグランドセーヌ」


絢爛たるグランドセーヌ 1 (チャンピオンREDコミックス)

オススメコミック。「ドロテア~魔女の鉄鎚~」「籠女の邑」のCuvie(キューヴィー)著、チャンピオンRED連載中。

お隣のお姉さんに憧れて、バレリーナになることを決意した少女・有谷奏(ありやかなで)。体格、柔軟性、音感、秀でた所はない平凡な子であったが、優れた観察眼と学習能力、そしてバレエへの情熱で徐々に頭角を表していく。

バレエマンガと言えば曽田正人の「昴(すばる)」のイメージが強いのですが、あちらは奇人じみた超天才なのに対し、こちらは比較的平凡な普通の小学生の女の子、といった感じ。バレエは幼少のころから始め、ローザンヌなどのコンクールを経てプロになっていくのが常道。したがって、漫画でも幼少のころからの成長の過程を描かれるのが定番となっており、本作も今は「小学生編」と見るのが良いでしょう。憧れのお姉さん、厳しい先生、将来は強力なライバルになりそうな友人、登場人物は整ってます。成長していくのが楽しみ。

主人公・奏の秀でたところは、疑問を感じたら、まず自分で考え、識者に相談し、解決策を模索するところ。前述した通り、決して天才肌ではないけれど、努力と感性によって大成していくタイプの女の子。問題にぶち当たって悩み苦しみながらも、逆境を糧に羽ばたいていく様は見事。素直にがんばれと応援したくなる、正統派のスポーツもの主人公です。まだまだバレエが楽しくてしょうがない、といった風ですが、この先、様々な障害や苦悩を味わう事になるのでしょう。困難を撃ち破って強くなるヒロインの姿に注目です。

…余談ですが。平積みされていたのを筆者を調べず衝動買いし、読み終わった後、確認してみたら、なんと著者はCuvie先生ではありませんか! 成年コミックを中心に、いくつか著書があるのは知っていましたが、他作品がどうにも煮え切らない感じだったのに対し、本作ではガッツリ読める作品になっていてビックリです。

一体何が…と思って調べていたら、先生は元々バレエをやっておられたとのこと(というか女性だったのを初めて知った)。これはますます期待大。なお、特集ページはこちら、で、試し読みはこちら

「りきじょ」


りきじょ(1) (アクションコミックス(月刊アクション))

オススメコミック。歌麿著、月刊アクション連載中。

弓道のスポーツ推薦で高校に入学した 明石丸美。しかし、胸が大きくなりすぎて思うように弓が引けなくなり、退部を余儀なくされる。このままでは退学。後の無くなった丸美は、担任に勧められ「りきじょ」部の門をたたく。そこは力士な女子が集まる相撲部だった。戸惑う丸美であったが、持ち前の体格の良さと運動神経を買われ、りきじょ部で研さんを積むこととなった。

女子高生相撲部漫画です。必殺の”ぶちかまし”を強化して、個性的なライバルとの戦いへ臨む主人公の成長譚。表紙がデブい…もといぽっちゃりしてますが、実際の丸美はもう少しスタイルが良いです。もっとも、今後の物語上、体格が良くなっていくのかもしれませんが。

元(現?)成年コミックの作家とあって、エロい方向に持っていくのかと思いましたが、内容はいたって純粋な相撲スポコンです。相撲の基本なども説明されており、良く分からなかったけどそういう技だったんだ、と納得できる解説あり。

ぽっちゃり女子が支持されるか微妙ではあるので、長くは続かないかもしれませんが、非常に個性的な一冊。試し読みはこちら

「ハナカク -The Last Girl Standing-」

ハナカク 1: -The Last Girl Standing- (ゼノンコミックス)

オススメコミック。「ソムリエール」の松井勝法著、月刊コミックゼノン連載中。

気弱な女子高生・安藤花夏(あんどうはなか)。強くなりたいと空手部に入部を希望するも、練習について行けず脱落。その他の格闘系の部活動にも挑戦するが、あえなく失敗。そんなある日、危ないおじさんに絡まれていたところを、同じ学校の生徒・吉野小春(よしのこはる)に助けられる。飛び膝蹴りで車のガラス窓をぶち破った彼女は、総合格闘技をやっているのだという。興味を持った花夏は、そのままジムへと連れて行かれ……。

私も強くなりたい、と総合格闘家を目指すお話。なんでブームも下火になった今さらかは疑問ですが、内容がシンプルかつ戦う女の子系の作品で、読みやすく話に入りやすい。

主人公の花夏は背も低くパワーもありませんが、天性の「避け感」により、回避能力に優れるファイターです(劇中ではグローブをつけたハムスターと揶揄)。一方、彼女を総合格闘技の世界に誘った小春は、明るく朗らか、背も高くスポーツウーマン体系で強い。しかもすでにプロデビュー済みの逸材です。おそらくは、この凸凹コンビの成長譚となっていくでしょう。

分かりやすく元ネタが散りばめてあるので(高山ドンフライ戦や左ハイキックが得意技等々)、PRIDEやUFC等の総合格闘技が好きな人、好きだった人はより楽しめるでしょう。「はじめの一歩」にも似た感じがあるので、そういう弱虫から強くなる系列の作品が好きな人も是非。

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「しこたま」

       

しこたま 1 (少年チャンピオン・コミックス) (Amazon)

オススメコミック。ニシカワ醇著、別冊少年チャンピオン連載中。

子供のころからの夢”甲子園出場”を目指し、超強豪校・国際天上学園に入学した少女・剛力たま。父との猛特訓で身に付けた「ノーザンクロス投法」より繰り出される速球で、エースとして大活躍する……はずだったが、女子と言うことで入部できず。たまは新しいチームを作り、試合で勝った方が公式な野球部となる賭けに出る。

一方、相撲部では、角界入りが目標と言う少女・大関しこが、圧倒的な強さで道場破りを達成していた。しかし彼女もまた、相撲は女人禁制、しかも上半身裸で取り組むなど破廉恥過ぎるという理由で入部を拒まれてしまう。道場破りの一部始終を見ていたたまは、しこの資質を見抜き、彼女こそ新チームのキャッチャーにふさわしいと勧誘をするが……。

大筋では、よくあるスポ根漫画(女子でも男子に勝てるぞ系)なのに、主人公たちの設定が異色なために、真剣にやればやるほどエロとコメディ色が強くなる変な作品。

例えばピッチャー”たま”は、筋力アップのためのウェイトを、ウエスト、アーム、二―ソックス、さらにブラパッド(50kg×2)、ブルマ(100kg)に仕込むという徹底ぶり。その全てを外した時に真の力が出せます。また、何故かスカートをはいたまま投球することが多く、投げる度にパンチラ…というかパンモロです。

キャッチャー”しこ”は、幼少より力士になるべく育てられたため、マワシ一丁でも羞恥心がありません。(一応少年誌なので)長い髪で乳首を隠し、半裸でバッターボックスに立ちます。野球はど素人ですが、相撲で鍛えられた強靭な下半身と、規格外のパワーで活躍。その他、何かやるたびに大抵は胸圧で制服が吹き飛びます。

一見するとエロコメのようですが、当人達が真剣で、まったく照れる様子がないために、だんだん露出が気にならなくなります。マワシ一丁でバッターボックスに立っていても違和感がない。いや、だいぶあるけど、まあいいか、みたいな。

とりあえず、”しこ”と”たま”がいれば、どんな展開になろうとこの作品は成立します。野球じゃなくてもいいくらいなので、名作「わたるがぴゅん」のようなトンデモ野球、無茶苦茶展開を期待しています。〆

「それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ[完全版]」

それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ[完全版]Ⅰ (朝日ノベルズ)(Amazon)

なつかしい。「それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」は十年近く前の人気ライトノベルシリーズで、そこそこ人気ながらも完結せずに終わってしまった作品の(今度こそ)完結版。庄司卓著、イラストは赤石沢貴士。

今の購買層に合ったのか、それとも昔の若者達が買っているのか、そこそこ売れているらしい。

天才ゲーマー女子高生・山本洋子は、その腕を見込まれて未来の戦争に参加することになった。その戦争は様々な利権をかけて国の代表者同志が戦う代理戦争で、安全な脱出転送装置のためにパイロットは絶対に死傷することはない。スカウトされた洋子は特一級打撃戦艦(スーパーストライク)「TA-29 ヤマモトヨーコ」に搭乗し、仲間と共に戦う。

SFバトルにギャグ要素を取り入れた物語です。ロボットや戦闘機ではなく戦艦というのが特徴。火力が凄まじく、統一場粒子兵器ザッパーはその気になれば惑星一つ吹っ飛ばせる超威力。その割に敵チームと口げんかしながらドンパチやる陽気さが面白い。

なお、アニメ版(約10年前)の監督は「化物語」でおなじみ新房昭之氏でした(参考動画:TV版OP)。OVA版は面白かったけれど、TV版は不評だった気がする。まあ、昔の話です。〆

※この記事は2011/01/17に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「釣り屋ナガレ」

釣り屋ナガレ 8 (少年チャンピオン・コミックス)(Amazon)

オススメコミック。竹下けんじろう著、週刊少年チャンピオン連載終了作品。

釣りを題材にした漫画です。もうすぐ完結全11巻。何となく8巻の表紙が好きなのでサムネイルにしてみました。ワカサギ釣って天ぷらにしてウマいの図。

主人公の釣り屋・流氷馬は釣りで生計を立てながら全国を巡っている少年。氷馬が扱うのは釣果、釣り場の情報、エサなど釣りに関するものすべて。依頼人の要望に応え、あるいは未知の獲物を釣るために創意工夫を凝らして戦う物語。

途中、連載の中断もあって勢いが落ちますが、あの手この手で魚達と戦うナガレが素晴らしい。特に対マグロ戦はアイデアが斜め上をいきすぎてツッコミようがない釣り方をします。釣るというか襲いかかるというか……。他にもいろいろ、釣りが好きなら見ておいて損はないでしょう。〆

※この記事は2011/03/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「さよならフットボール」

さよならフットボール(1) (KCデラックス)(Amazon)

超オススメコミック。「冷たい校舎の時は止まる」の新川直司著、マガジンイーノ連載終了、2巻完結。漫画好きなら絶対に読んでおくべき名作。

中学二年生のサッカー部員、恩田希(おんだのぞみ)は華麗なテクニックを持つスーパープレイヤー。女子サッカー部がないために男子サッカー部に所属し、男子にも負けないほどの実力だったが、フィジカルが違い過ぎて試合には出してもらえなかった。彼女にはどうしても新人戦にでなければならない理由があり奔走するが……。

女子が男子のスポーツで負けじと頂点を目指すという作品は数多ありますが(「ノノノノ」とか)、基本的にはファンタジックな内容が多く、つまりは現実的ではないのが本当のところ。一方で本作はフィジカルの差を前提にしつつも、これぐらいならやれるかもしれない、という夢を抱かせてくれます。

中学二年生という年齢が絶妙で、本編でもヒロインのジレンマとして登場しますが、小学生までは自分の方が背が高かったのに、成長期を迎えた男子達に次々と追い越されていく年頃。互角に渡り合えた子供たちに、性別の違いと言うだけで太刀打ちできなくなっていく。「私にはたぶん時間がないんだよ」の台詞通り、最後の戦いが新人戦という崖っぷちヒロインの戦いの物語。

恩田希が新人戦に固執する理由とは? 果たして試合に出ることができるのか? 勝敗の行方は? 2巻完結とシンプルなショートストーリーですが、長すぎず短すぎず丁度よいぐらい。サッカーの描写も台詞回しも上々。青春漫画としては抜きんでている、是非とも読んでもらいたい。〆

※この記事は2011/05/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「てんむす」

てんむす 1 (少年チャンピオン・コミックス)(Amazon)

オススメコミック。稲山覚也(いなやまかくや)著。週刊少年チャンピオン連載中。

その昔、巫女たちが祭祀の際に行ったとされる大食い競技があった。天地の恩恵を受ける巫女らは人々に尊敬され「天壌宇迦産霊神子(あめつちうかむすびのみこ)」、すなわち「天娘(てんむす)」と呼ばれた。

時は流れ現代、祭祀は天食祭と呼ばれ今も続いていた。選手はみな女性で学生、聖地・以勢神宮での全国大会を目指して、各校の食い道部による戦いが行われている。小さな体に似合わず大食いの少女・春風天子は、食いしん坊であることから女の子扱いされないことに悩んでいたが、大食い競技の魅力にひかれ(大食いでも美しい部長に魅かれ)競技に打ち込むことになった……。

大食いという珍しいジャンルの漫画です。本作では大食いをスポーツと位置付け、勝つための大食い技術、知識、科学などのウンチクを散りばめながら、青春モノとして楽しく読めるようになっています。

そば14人前やらカツ丼3人前とか聞くだけで胸がむせてしまいそうですが、天子は極上の笑顔で楽しそうに食べる不思議な娘(んっ…まいよぉ~♪)なので不快感を感じない。苦痛に顔をゆがめるライバルたちとの対比もあって可愛らしい。また、食べるモノによって戦略が変わるのが良い。ただ食ってるだけではダメ。かつ食ってばかりでもないので、お話としても面白い。これは良作。

現状の最新巻は第2巻で、食い道部の仲間たちのエピソードを抑えつつ、いよいよ天食祭予選が開幕、1回戦を戦っています。展開として、大会が始まるのがちょっと早すぎるような気もしますが、まだまだ伸び白十分。今後も期待。〆

※この記事は2011/08/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ガズリング」

ガズリング 1 (芳文社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。才谷ウメタロウ著、週刊漫画TIMES連載中。

バドミントン経験なし、興味なしの女子高生・武智紗羽(たけちさわ)は、先輩のラケットで勝手に遊んでいたことが原因で、バドミントン部に入部することになってしまう。たまたま入部した紗羽であったが、インターハイ連覇の超高校級プレイヤー・野地に憧れ、友人たちと共にバドミントンに入れ込んでいく。

いわゆるスポーツ青春もの。オリンピックでの藤井&垣岩組の大活躍も記憶に新しいバドミントン漫画です。ガズリング(gosling)とは、1.ガチョウの子ども(ひな)/2.未熟者、青二才の意。バドミントンの羽はガチョウの羽16枚でできており、それを追いかける自分達はまさしくガズリング(ガチョウの子)、若くて未熟者、そして寝ても覚めてもバドミントンのことだけを考えろ、という3つの意味を持たせています。

スポーツ漫画を描くのは初めてだという作者ですが(あとがきより)、主人公達のバドミントンにかける情熱、競技特有のスピード感、ストーリー展開、健康美、すべてにおいて優秀です。

……後は、負け所がどこになるのかが問題。勝ち続けて全国大会に行くより、負けて仕切り直しする方が個人的に好き。勝ち続けると必ずだれるし緊張感がなくなるのが嫌。1年生が主人公である設定を是非活かしてもらいたい。掲載誌もその辺りよろしくです。試し読みはこちら

※この記事は2013/01/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。