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「絢爛たるグランドセーヌ」


絢爛たるグランドセーヌ 1 (チャンピオンREDコミックス)

オススメコミック。「ドロテア~魔女の鉄鎚~」「籠女の邑」のCuvie(キューヴィー)著、チャンピオンRED連載中。

お隣のお姉さんに憧れて、バレリーナになることを決意した少女・有谷奏(ありやかなで)。体格、柔軟性、音感、秀でた所はない平凡な子であったが、優れた観察眼と学習能力、そしてバレエへの情熱で徐々に頭角を表していく。

バレエマンガと言えば曽田正人の「昴(すばる)」のイメージが強いのですが、あちらは奇人じみた超天才なのに対し、こちらは比較的平凡な普通の小学生の女の子、といった感じ。バレエは幼少のころから始め、ローザンヌなどのコンクールを経てプロになっていくのが常道。したがって、漫画でも幼少のころからの成長の過程を描かれるのが定番となっており、本作も今は「小学生編」と見るのが良いでしょう。憧れのお姉さん、厳しい先生、将来は強力なライバルになりそうな友人、登場人物は整ってます。成長していくのが楽しみ。

主人公・奏の秀でたところは、疑問を感じたら、まず自分で考え、識者に相談し、解決策を模索するところ。前述した通り、決して天才肌ではないけれど、努力と感性によって大成していくタイプの女の子。問題にぶち当たって悩み苦しみながらも、逆境を糧に羽ばたいていく様は見事。素直にがんばれと応援したくなる、正統派のスポーツもの主人公です。まだまだバレエが楽しくてしょうがない、といった風ですが、この先、様々な障害や苦悩を味わう事になるのでしょう。困難を撃ち破って強くなるヒロインの姿に注目です。

…余談ですが。平積みされていたのを筆者を調べず衝動買いし、読み終わった後、確認してみたら、なんと著者はCuvie先生ではありませんか! 成年コミックを中心に、いくつか著書があるのは知っていましたが、他作品がどうにも煮え切らない感じだったのに対し、本作ではガッツリ読める作品になっていてビックリです。

一体何が…と思って調べていたら、先生は元々バレエをやっておられたとのこと(というか女性だったのを初めて知った)。これはますます期待大。なお、特集ページはこちら、で、試し読みはこちら

「スクール人魚」

スクール人魚(1) (チャンピオンREDコミックス)

オススメコミック。「RAY-レイ-」「地球の放課後」の吉富昭仁著。チャンピオンRED連載終了、完結。

夜中、学校のプールでおまじないを唱えると「人魚」が現れる。そしてその「人魚」の肉を食べると恋がかなうと言うウワサがあった。春子と芳子の二人が、こんな荒唐無稽のウワサを信じたのは、実際に体験した女の子の手記を見つけたからだ。二人は「人魚」を捕えるための武器を持ち、夜の学校に忍び込んだのだが……。

凶器を振り回しながら人魚を追い回すというおどろおどろしい内容の作品ですが、狩猟の対象である人魚がスクール水着の少女たちなので、なんとなくエロチックな感じになってます。学校に出現する人魚なんだからスクール水着だろうというコンセプトだけでも面白い。

人魚を捕まえて食べて恋愛成就、を基本エピソードとし、シチュエーションの異なる複数のコンビが挑みます。しかし、人魚は校舎内を縦横無尽に泳ぎまくり、簡単には捕まりません。そこで明かされる手記には書かれていなかった内容、もし人魚を捕まえることができず朝を迎えてしまったら……。

全2巻と短い内容ですが、中身が濃く、きれいにまとまっており、それでいて少しエロス。少し変わった作品を読みたい人には推奨です。〆

「死人の声をきくがよい」

死人の声をきくがよい (チャンピオンREDコミックス) (Amazon)

オススメコミック。ひよどり祥子著。チャンピオンRED連載中。

死んだ人間の姿が見える少年・岸田準は、ある日、行方不明になっていた幼なじみの早川涼子の霊を見る。何かを訴えかけようとしている早川の後について行くと、不気味な洋館にたどり着く。そこには生前の早川のものらしき耳が落ちていた……。

遊びのない、直球勝負のホラー漫画です。古くもなく新しくもないですが、安定して怖くて面白いです。

行く先々で悪霊が原因のトラブルに巻き込まれる早川君ですが、まったく喋らない(喋れない?)早川さんが、能面のような表情のまま、身振り手振りで手助けしてくれます。また劇中、早川さんは自分の通夜に参列するという、史上類を見ないウルトラCを達成します。

自分の事件が解決しても、岸田君の元を中々去ろうとしない早川さんですが、その理由が物語の大きな鍵になりそうです。〆

※※この記事は2013/02/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ライコネンの熱帯魚」

ライコネンの熱帯魚 1 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

オススメコミック。山西正則著、チャンピオンRED連載中。

誰も訪れない、校舎の奥の一室にある熱帯魚愛好会の部室。そこに棲む少女・ライコネンは、フィンランド生まれの魔女。40年間も学校に居ついて、魔術の研究と新薬の開発、そして熱帯魚の飼育を続けている。ひょんなことから、魔女ライコネンに感銘を受けた少年・瀬古原は、即座に愛好会に入会するが、掛け持ちしている美術部の活動で飼育をさぼりがち。ある日、彼の愛魚エンゼルフィッシュが死にかけてしまう。ライコネンに助けを求めると、「今後この子を”一生”かけて世話をすること」を条件に、治療をしてもらうことになったが……。

熱帯魚飼育のウンチクが詰まったラブコメ。ライコネン先輩の怖ろしい「人類品質改良実験」の被験者となった瀬古原くんと、愛魚エンゼル、彼らを取り巻く面々のドタバタものです。そんな中で、クールで無表情・無感動なライコネン先輩が徐々に人間らしくなっていくという部分もあり。

著者の作品としてはこれが初単行本とのことですが、非常に漫画がうまい。いくつか印象に残るカットもあり、展開もおもしろく、登場人物も魅力的。連載誌がチャンピオンREDということで女子多目ですが、描き分けもできているしエロさがないので気にならない。キーワードとなる熱帯魚は要所要所で大切な役割を持ち、ウンチクが小出しにされるので飼ってみたいなあとも思わせる。一方で金がかかるんだな、とも。

今後の展開にかなり期待。〆

※この記事は2011/10/06に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「昭島スーサイド☆クラブ」

昭島スーサイド☆クラブ 1 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

オススメコミック。菅原キク著、チャンピオンRED連載終了(面白いのに)。

舞台は東京・昭島(あきしま)。佐倉涼介はどこにでもいる普通の高校生。怖い不良には逆らわず、二―トの兄を煙たがりながらも世話を焼き、やり場のない怒りを抱えながら日々を過ごしていた。ある時、不良同士の喧嘩に、なぜか魔法少女のコスプレをした少女が乱入し、不良たちをホウキで殴り一掃する奇異な現場を目撃する。よく見ると、コスプレ少女の正体は、クラスメイトで学園一の才媛・垣之上すうであった。不良相手に怯まず問答無用で戦う彼女に魅かれた涼介は、自分も仲間に入れてくれと頼みこむ。彼はその日から「昭島スーサイド☆クラブ」の一員となったのであった。

普段は物静かな優等生の少女、しかし放課後は街を守る正義の味方「ケアリー☆マジック」としてコスプレして戦います。彼女の戦う理由は、理不尽で不合理な世の中を否定するため。当人の言葉を借りるなら「世界に違うというために」。過去彼女に何があったかはまだ明かされませんが、殴られ傷ついてもへこたれず、死ぬ気(スーサイド)で戦う姿勢には狂気すら感じます。

そんな”すう”がリーダーのチーム「昭島スーサイド☆クラブ」には、喧嘩がめっぽう強いが妹には甘い男・宍戸、難聴の美少女だけど毒舌筆記の春奈という個性豊かな仲間がおり、涼介は4人目の加入者となり、街にはびこる悪と戦っていきます。

主人公だけが普通の人なので、格好良く勝利することなどほとんどなく、泥臭い戦いを強いられますが、めげずに戦い続ける若さが魅力的。そして、常に危なっかしさを感じさせる「ケアリー☆マジック」の活躍に期待。この娘はネジが飛んでいる。〆

※この記事は2013/01/27に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「フランケン・ふらん」

フランケン・ふらん 8 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

超オススメコミック。木々津克久(きぎつかつひさ)著、チャンピオンRED連載終了、最終巻。何度か取り上げてきましたが、これで終わり。悲しい。

天才医学者にしてマッドサイエンティストである斑木ふらんの診療録。最終巻の見どころは……事故で体の中心から左右に真っ二つになってしまったふらん。右半身と左半身に分けて自分を手術し、脳の回復を待って再び結合することにした(もうすでにこの作品を知らない人には意味不明だが、それができるのが人造人間たるふらんの能力)。順調に回復を見たものの、左脳のふらんと右脳のふらん、脳の働きによって性格の異なる二人のふらんの意見が対立。ついにはふらん(右)が研究所を飛び出してしまう……。といったお話など。

奇抜なストーリーと手術描写(≒グロ描写)でコアな人気を博した作品でした。グロ描写に耐性があればぜひ読んでいただきたい快作。ドラマCD化はされましたがアニメ化とか(描写上かつ倫理上)絶対無理、そこが悲しくはある。あと、マイナー作品ゆえに店頭在庫がない。この作品が書架にあるかないかで、その書店のコミックスに関する知識とこだわりが分かると言っても過言ではない。

全巻通して一番印象に残ったのは、2巻のエピソード「MULTIPLIES2」。ふらんの手術により、週に一度、細胞分裂で二人に増えてしまう体となった泉屋洋華。意図せぬ泉屋洋華の増殖に対し、ふらんは片っ端から処分(殺害)することで対応しようとするが間に合わない。このまま1人が2人、2人が4人、4人が8人と増え続けてしまうと、40週を過ぎたあたりで1兆人を越え、地球は泉屋洋華の底に沈んでしまう。ふらん「人一人の命は地球より重いって…じっさいそうなんですよ~ 泉屋洋華は地球には荷が重い」。という、皮肉的なエピソードが好き。ケレン味ありすぎです。どこに行った人権。

終わらせるにはもったいない作品ではありますが、まあ、あまり長く続けて内容が軽くなるのもよろしくないので潮時か? 木々津克久先生の次回作にものすごく期待してます。

試し読みはこちら。短い。〆

※この記事は2012/02/27に「Psychelia.com」に掲載したものです。