タグ別アーカイブ: ファンタジー

「ゴブリンスレイヤー」



ゴブリンスレイヤー(1) (ビッグガンガンコミックス)

おすすめコミック。原作:蝸牛くも、作画:黒瀬浩介、キャラクター原案:神奈月昇、月刊ビッグガンガン連載中。

新米冒険者、女神官は、ギルドで知り合った新米仲間たちとパーティを組み、ゴブリン退治に向かう。しかし、ゴブリンは予想以上に手ごわく、パーティは自分を残して全滅してしまう。死を覚悟した瞬間、現れたのは鎧兜を身につけた最高クラスの冒険者「ゴブリンスレイヤー」だった。顔を見せないこの男は、ゴブリンを狩ることのみ請け負う、謎の冒険者だった……。

原作はGA文庫のライトノベルとなります。キャラクターに名前はついていないので、まおゆうのように、職業で呼ばれています。

ファンタジーの世界では、雑魚として扱われるゴブリンですが、本作では、新米冒険者など話にもならないぐらい強敵であり、ドラゴンなどの強大なモンスターよりも、小さいながらも多くの被害を与えるモンスターとされています。

甘い考えでゴブリンに挑みパーティは全滅します。ボッコボコにされたとき、登場する異常な強さの冒険者。それがゴブリンスレイヤーであり、淡々とゴブリンを屠り、子どもにも容赦せず、一切顔を見せない不気味な男です。

彼はゴブリンに異常に執着し、斬り殺し、殲滅させることを楽しいと感じています。他の強力なモンスターには興味はなく、淡々と狩り続ける日々。女神官は彼に恐れを抱きながらも、パーティとしてともに行動するようになります。ゴブリンを狩り続けた先に何が待つのか、ダークヒーローと正統派ヒロインがコンビを組んで戦う異色のファンタジーです。

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「魔王城でおやすみ」



魔王城でおやすみ 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。熊之股鍵次、週刊少年サンデー連載中。

魔王に捕らえられてしまった姫君、オーロラ・栖夜(スヤ)・リース・カイミーンの悩みは、寝る以外やることがないこと……。幽閉されてはいるが、公務からも解き放たれ、扱いはVIP級、ご飯も意外と美味。しかし、安眠できたためしがない。どうすればよい眠りにつくことができるか? 今夜も安眠のためのアイテムを探しに、魔王城を徘徊するのであった……。

囚われの姫の快眠ライフを描いたファンタジーコメディ。まずは枕の質を上げるために、ふわふわしたモンスターの毛をむしることからスタート。トゲトゲのモンスターから針を抜き取って裁縫道具として、姫特製安眠枕を作り上げましょう。

牢屋のカギを持つモンスターを懐柔し、自由に魔王城を徘徊し始める姫。シーツ、ベッド、その他もろもろ、安眠のためのアイテムをかき集め、時に自作し、たくましく生き抜いていきます。

一方、人間の勇者や魔王・モンスターたちも、姫にひっかきまわされながらも、それぞれの役割を全うしようとがんばります。がんばるけれど、姫の粗相が原因で、基本的に取り越し苦労に終わります。かわいそうに……。

そんな姫とモンスターたちの安眠コメディです。
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「架刑のアリス」



架刑のアリス(1) (KCx)

おすすめコミック。由貴香織里著、ARIA連載中。

大財閥、久遠寺家の四女・久遠寺星(くおんじすてら)は、長兄・是乃(ぜの)が大好きなブラコン女子高生。是乃兄がいれば大丈夫と、兄に絶対の信頼を寄せていた。ある日、9人兄妹が一堂に会した「お茶会」で、母・織雅(おるが)から衝撃の発言が飛び出す。「兄妹全員で殺し合いをしてほしい。生き残った一人が久遠寺家を継ぐ者となる」。突然の宣告に動揺する兄妹だったが、有無を言わせず戦いの火ぶたが切って落とされた。かつての兄妹たちに追い詰められたステラだったが、その時、超戦闘的な人格・血塗れアリスが覚醒する……。

かなりマッドな変身ヒロインものです。ステラはアリスに変身することで理性のタガが外れ、身体能力も向上し、問答無用で敵をぶちのめすことができます。殺す相手は自分の兄妹たち。殺らなければ殺られる、という状況で、ステラは生き残ることができるか? という感じ。

ステラは大好きな兄・是乃を救うために戦いますが、もちろん兄妹を殺せと言われて素直に殺すわけもなく、絶対的な権力者である母に反抗します。しかし、状況は彼女を戦わせるように変化していきます。そのとき、戦闘用の人格・アリスが出現し、マシンガンを撃ちまくります。

兄妹全員が仲が悪いわけではなく、協力することもあります。また、皆ある理由で特殊な能力を持っているため、そのまま戦っても勝算なしとなれば、色々と知恵を働かせての騙しあいとなります。そもそも頭首になろうという者がいないため、今一つ緊張感に欠けた戦いになっています。それでも戦いが勃発し、つぶしあいが発生する、その辺りの理由と攻防が見どころです。

少年漫画と少女漫画の中間のような不思議な作品。凄惨なバトルと少女漫画お約束の三角関係があったりして、珍しいタイプなのではないかと。

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「雨水リンダ」



雨水リンダ(1) (ガンガンコミックスONLINE)

おすすめコミック。「浅尾さんと倉田くん」のHERO著、ガンガンONLINE連載中。一応4コマ漫画?

廃校舎にある、手芸部という名のオカルト研究部。部員のみつけた怪しげな本から、「人形」を創り出そうと実験を行う。枝は骨に、布は皮に、お菓子は内臓に、ガラスは声に、そして雨水を心の触媒として誕生した人形は、部長のリンダそっくりの人形だった。人の言葉を話し、リンダの幼いころの記憶を持つ不思議な雨水人形。部員たちは、雨子と名付けて、部室のマスコットとしてかわいがることになる。……いつか壊すその日まで。

リンダと雨子を中心とした、部員たちの青春コメディものです。雨子の生態調査を続けていくうちに、人間と同じようで違うところや、色々な性質を見つけていきます。また、純粋な雨子は、意図せず部員たちの癒しとなっていきます。

ストレスで水漏れする、普段は宙に浮いているが接ぎ木で足が生えるなど、雨子の人形性能(?)は、独創性が高く目を見張るものがあります。幽霊のような存在と一緒に学園生活を送る、というのは珍しいストーリーではありませんが、リンダのキャラクター性が面白く、また、いつか壊す儚い存在として描かれるため情がわき、オリジナリティの高い作品になっています。

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「マル勇九ノ島さん」



マル勇九ノ島さん 1 (少年チャンピオン・コミックス)

おすすめコミック。木佐貫卓著、週刊少年チャンピオン連載中。

この世にはさまざまな世界が存在し、それぞれの世界で「勇者」と「魔王」の戦いが繰り広げられている。その勇者を手助けする組織「H・S・C(ヒーローサポートカンパニー)」に入社した天人類のフィオは、勇者様たちの役に立とうと熱望するが、配属されたのは、ダメ勇者を更生させるのが目的の第三課。フィオを導いた奇抜な上司・九ノ島竜一、何やら訳ありのクールな同僚・フレイヤとともに、各世界の勇者のサポートに奮闘する。

タイトルが「マル勇フィオ」ではなく、九ノ島さん、となっており、何やらただの上司じゃないらしいと予感させます。事実、九ノ島さんは、いい加減なようで要点を押さえているキレ者系です。彼にうまく乗せられて、任務にあたるフィオとフレイヤ。世界を救わなくなってしまった勇者たちを説得し、魔王に立ち向かわせることができるかどうか、がメインストーリーとなります。

初単行本ということで、画力は今一歩ですが、独特の世界観を持ち、キャラが立っていて読みやすく、展開も意外性があってよいかと。フィオとフレイヤの成長譚になると思われるので、二人の衝突と友情を熱く描ききってほしいところ。

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「夜鳴きのシィレエヌ」



夜鳴きのシィレエヌ(1) (ヤングキングコミックス)

おすすめコミック。今村陽子著、ヤングキングアワーズ連載中。一巻・二巻同時刊行。表紙を見ると独特の画風っぽく見えますが、本編はクセのない感じです。

歌で精霊を使役し、自然の力を操る「夜鳴きのシィレエヌ」と呼ばれる少女魔法使いたち。歌によってすべてを操る彼女らは、人々に恐れられ、呪われた声といわれていた。そんなシィレエヌの一人、おちこぼれの少女・ハイネは、とある街で任務を放り出し、逃げ出してしまう。一方、深窓の令嬢・マドラスは、街を逃げ回るハイネに興味を持ち、家を抜け出して一緒に行動するようになる。二人で協力し、マドラスの母のもとを目指すが……。

歌魔法とでもいえばいいのか、歌うと雨を降らせたり、風を起こしたりと多彩な現象を起こすことができます。ただし、個人の才能によって、得られる性質が異なり、例えば光のシィレエヌは光の魔法しか使えない、などの制約があります。

また、夜鳴きのシィレエヌは子供のみ。国属の機関で暮らし、弱いシィレエヌは街から依頼された小さな仕事をこなし、強力なシィレエヌになると軍隊に参加して戦うこともあります。中には歌を聴いたものを殺してしまう超強力なシィレエヌも……。

本作では、ハイネをはじめとした、何人ものシィレイヌの活躍と悲哀を描くものとなっています。まだ少女と呼ばれるお年頃。チームの仲間たちと、時に喧嘩をし、時に支えあって、命を懸けた戦いにも身を投じ、友情を深めながら成長していく物語です。

ところで。シィレエヌの発音の仕方がよくわからず。シーレイヌっぽく言えばいいのか、シレイヌっぽく言えばよいのか、シィレ・エヌのような感じなのか……。よくわからないのでアニメ化希望。

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「グレンデル」



グレンデル 1 (ゼノンコミックス)

おすすめコミック。オイカワマコ著、月刊コミックゼノン連載中。

護るべき王女を見捨てて逃げた女剣士・カメリア。牢に入れられ裁きを待つ身であったが、一つの依頼を果たすことで刑を免除すると告げられる。その依頼とは、伝説の竜の子ども・グレンデルをとある国へ送り届けること。敵を斬るたびに痛みを感じてしまうというカメリアは、泣きながら敵を蹴散らしていく。グレンデルを狙う刺客たちを退け、無事に送り届けることができるのか。

大泣きしながら剣を振りまくるカメリアが見どころの作品ではありますが、その割にガンガン斬り倒していくので、正直最初はそれがどうした程度の設定で、あんまり引っかからないフックではあります。が、2巻の終わりでカメリアとグレンデルの関係性に大きな変化が訪れ、非常に重要な前振りだったことに気が付きます。

同行する竜・グレンデルにも隠された能力があり、物語が進み、この世界における竜の在り方が次第にわかってくると、非常に厄介な同行人であることが判明します。本人も自身のことを知っていくにつれ、恐怖を感じるようになりながらも、成長していきます。

カメリアとグレンデルの旅路には、行く手を阻むものもあれば、味方をするものもあり。人間と竜ということなる種族の友情を育みながら、約束の地を目指します。そこには不幸が待っているとは知らずに……。

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「パルパル&ロケッタ」



パルパル&ロケッタ 全1巻 (ヤングキングコミックス)

おすすめコミック。おがきちか著、ヤングキングアワーズ連載完結。

王子様と結婚したい。めちゃくちゃ強い女勇者・パルパルティーナは、玉の輿を目指して今日もモンスター退治。ついにさらわれた王子様を助け出したと思ったら、とってもぽっちゃりな残念王子だった……。そればかりか、王子・スピアンは城からも追い出されてしまった。パルパルティーナはスピアンをダイエットさせるために、今日もやせ薬(マジックアイテム)を探しながら、懲りずに玉の輿探しを続けるのだった。

強くてスタイル抜群の勇者パルパルティーナと、優しいけどちょいおデブの王子スピアン、パルパルティーナのエージェント・ロケッタの三人が中心となって話が進みます。王子を痩せさせることができるアイテムの探索依頼を受けてモンスター退治に向かうものの、誤情報でずっこけたり、別の王子を救出依頼を引き受けるものの、ちょっとイメージと違ってがっかりしたりと、コメディ冒険ものです。

とにかくテンポがよい。モンスターはほぼ瞬殺し(パルパルティーナは超強いので当然)、その後の展開で見せる感じです。連載が短くて残念ですが、オチもついて、よくまとまっています。同録されている他二篇も面白い。デブが優遇されている珍しい作品となっております。

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「一変世界」



一変世界 1 (BUNCH COMICS)

おすすめコミック。明治カナ子著。くらげバンチ連載中。

デラ神殿の大巫女見習い、プーリョ。不可思議なことが起こる神殿と、神殿を取り巻く神の森で、日夜厳しい修行に明け暮れている。友人のエズリン、元石像のミンミらの助けを借りながら、立派な大巫女様になることを目指して送る修行の日々と、そこで巻き起こる事件を描く。

独特の世界観が魅力的。森に巣食う不気味な魔物、石像の魂を死体に乗り移らせる術、さらには信仰の場である神殿が、最大のミステリースポットとなっており、入ったら出てこれなくなる迷宮や、人の形をしたしゃべる石像(神? 魔物?)などが散見されます。

プーリョはそれらを当然のもの、として認識していますが、細々とこの独特な世界観を説明するキャラもいないため、最初やや混乱します。しかし、話が進むにつれ、こういうものなのだと、だんだんと理解できるようになってきます。トラブルで結構あっさり人が死んでしまったり取り込まれてしまったりしますが、この神殿では割と日常茶飯事の模様。そのあたりがドライに描かれているのも本作の大きな特徴です。神は理不尽。

第二巻以降になると、大巫女の存在や、プーリョ自身の秘密に迫る展開となり、彼女を取り巻く陰謀や策略めいたものが次第に姿を現します。プーリョは無事に立派な大巫女になれるのか、続きが非常に楽しみです。

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「兎が二匹」



兎が二匹 1 (BUNCH COMICS)

おすすめコミック。山うた著、月刊コミック@バンチ連載終了。2巻完結。

不老不死の女・稲葉すず398歳、同居している青年・宇佐美咲朗19歳。死にたくても死ねない体となってしまったすずは、毎日咲朗に自分を殺させようとするが、うまくいかず確実に自分が死ねる方法を探していた。一方の咲朗は、すずに死んでほしくない一心で、何とか彼女の心をひきとめようとする。しかしその思いは届かず、やがて悲劇的な結末が訪れることになる……。

死を望む女と、死んでほしくない青年の物語。悲劇的な結末から物語はスタートしますが、そこに至る経緯について、すずの記憶が語られていくことになります。400年近く死にたいと思いながらも生きてきたすずですが、咲朗との出会いは、彼女に生きていく活力を与えてくれる、特別なものでした。それでもなぜ死を望むのか。

悲しくなると死んでしまうといわれている兎。タイトル通り、確かに二匹の兎がいます。「悲哀」という言葉がぴったり当てはまるテーマの作品。二巻で完結の短編ですが、キャラクター、ストーリー、心情描写すべてのレベルが高く、不朽の名作と言えるでしょう。これは必読!

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「helck」


Helck(1) (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。七尾ナナキ著、小学館のWEBマンガサイト「裏サンデー」にて連載中(月曜更新)。

魔王が勇者に倒された! 平和が訪れた人類とは対照的に、魔界では新たな魔王を決めるための、闘技大会が開かれていた。大会責任者として派遣されてきた、四天王のひとりヴァミリオは、大会出場者の中に、異常な強さの男を見つける。なんとその男は、人間の勇者ヘルクだった……。

近年、「まおゆう魔王勇者」「魔王様ちょっとそれとって!!」など、人間に理解のある平和的な魔王の作品が見られますが、こちらは平和的どころか人間にやられちゃってます。その魔王を倒した(?)勇者がのうのうと次期魔王を決める戦いに参加し、次々と勝ち上がっていく……。

強くて笑顔でフレンドリー、魔界の民にも大人気の勇者ヘルク。いわく「一緒に人間滅ぼそう」。しかし、運営側から見れば、敵か味方かわからない不気味な存在。

魔界サイドの責任者ヴァミリオちゃん(表紙絵)は、ヘルクの目的がわからぬまま、その勝利を阻止するために、あの手この手の手段で妨害を試みますが、勇者パワーですべてを踏破されてしまいます。はたしてヘルクの目的は? 調査を続けるうちに、人間たちの国の不気味な真実にたどり着く……。

ドタバタでノー天気なストーリー進行の間に、ミステリアスな要素が織り交ぜられており、非常に読ませる作品です。「バカァー!」と叫んで魔力解放のヴァミリオちゃんも可愛くてオススメ。

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「薄花少女」


薄花少女 1 (IKKI COMIX)

オススメコミック。三浦靖冬(みうらやすと)著、月刊IKKI連載中。タイトルは”はっかしょうじょ”と読む。

小学校の教員・古糸史(ふるいとふみ)。実家を出て一人暮らしの日々の中、自分を彼の”ばあや”だという少女・夏焼鳩子(なつやきはとこ)が現れる。実家にいるはずの”ばあや”は今81歳、そんなことがあるはずない。しかし、鳩子は自分が”ばあや”である証拠を次々と突き出し、若返ったのは、母に持たされた小壜の薬を使ったからだという。釈然としない史であったが、ぼっちゃんの世話をしたいという”ばあや”との不思議な共同生活が始まる。

独特のタッチの絵を描く筆者の最新作。同人誌、成年誌をはじめ、短巻が多い筆者の一般コミック誌での長編。

主人公とヒロインのなんとも言い難い関係が特徴の作品です。 弱々しく見える少女の中の人は、戦禍を潜り抜けてきたであろうたくましい老婆であり、炊事、洗濯なんでもござれ、子供のころから面倒を見てくれたばあや。恋をするわけではありませんが(今後の展開はわかりませんけど)、見た目小さな少女に頼るわけにはいかず、かといって気をつかうと老人扱いするなと怒られ、でもちょっとしたしぐさにドキッとしてしまう……。メイド(お手伝いさん)萌えなのか、ロリコンなのか、老婆好きなのか、ばあやの立ち位置一つでまったく見え方が異なってきます。

同系列の作品として、「ミル」がありますが、あちらはヒロインが化け猫で主人公の恋にも絡んできますので、似ているようで微妙に違う感じです。一体ばあやは何がしたいのか? 本当にお世話をするためだけに来たのだろうか? 主人公はばあやをどうしたいのか? もやもやした感じでお話は続きます。〆

「あやかしコンビニエンス」


あやかしコンビニエンス(1) (ダンガンコミックス)(Amazon)

オススメコミック。ヒライユキオ著、ホビージャパンのWEBコミック・ダンガン連載終了。全三巻完結。

大学へ通うため、10年ぶりに故郷へ帰ってきた彩橋あかり。かつて、あかりのおばあちゃんが経営していたコンビニ「あやはし」でバイトすることになったが、そこは田舎の山の中。 誰もこないだろうとタカをくくっていたが、夜中にビールを買いにやってきた客は緑のペンギン、いや河童だった。ここは夜な夜な妖怪たちの集うコンビニ、通称「あやかしコンビニエンス」だったのだ。 同僚の環(たまき)とともに、妖怪たちの接客することになったあかり。田舎町のコンビニに、今日も妖怪変化がやってくる。

人間には見えないように姿を消して入店する彼らを、なぜかあかりは見えてしまいます。フレンドリーで愉快な妖怪たちと、妖怪に負けず劣らずフレンドリーなあかりのハートフルコメディです。妖怪相手に商売してくれるコンビニとあって、人気は上々。あかりに頼みごとをしたり、いたずらしたりと、何かとかしましいけれど、どいつも憎めない妖怪たち。

そして、あかりの同僚・環の正体は猫又。生真面目な性格でよく働きますが、気を抜くと耳や尻尾が見えてしまい、あわてて隠す場面も。無類のUFOマニアで、なんでも宇宙に結び付けて話を大きくするので、いらぬトラブルを巻き起こしたりします。大変かわいらしい。

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「千年万年りんごの子」

千年万年りんごの子(1): 1 (KCx(ITAN))(Amazon)

オススメコミック。田中相(たなかあい)著、コミックITAN連載中。

まだ田舎の風習や言い伝えの残る、昭和後期の話。赤ん坊の頃、親に捨てられてお寺の養子となった青年・雪之丞。大学卒業後、青森のりんご農家の娘・朝日との縁談がまとまり、婿養子となって、夫婦でりんごを栽培することになった。戸惑いながらも田舎の暮らしに順応していく雪之丞だったが、ある日手に入れた不思議なりんごを朝日に食べさせたために、夫婦を引き裂く不可思議な事件に巻き込まれていく。

落ち着いた感じの夫と、明るく朗らか元気嫁のりんご栽培記…と思いきや、思わぬファンタジーが始まる作品。口にしてしまったのは村の禁忌、決して取ってはいけないりんご。しだいに朝日の身体に影響を与えていきます。雪之丞はそうはさせじと対策を講じていきますが、りんごの力には及ばず……。

時間制限があるため、それまでに雪之丞が何とかすることができるのか、引き裂かれていく夫婦愛を取り戻すことができるのかが見所。試し読みはこちら〆。

「ディアボロのスープ」

ディアボロのスープ(1) (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。岡崎純平著、別冊少年マガジン連載中。

“人民よ魔女を称えよ、さすれば魔女は人民を満たさん”。魔女たちが統治するエダークス王国は、魔女が国民を守り、魔女は国民たちから称えられる魔女の王国。農耕に向かず収穫の少ない土地で、魔女だけが作れ栄養の底上げを行う「魔女のスープ」により人々は生きながらえていた。そこに侵攻してくる軍国、近代兵器を持つ科学の国・スペルビア帝国により、王国は危機に瀕していた。村人たちの犠牲により、帝国の攻撃からからくも生き延びた下級魔女・ほおりは、帝国への反撃を誓い、謎の男テンマや他の魔女らと共に反抗を開始する。

魔女の武器は大小さまざまな召喚獣、ただし魔女本体は生身の人間と同じで、戦闘には向いていません。帝国軍に包囲されればあっさり倒されて終わり。元々軍隊を持たない国なので、このまま侵略されたら負けるのは目に見えているため、軍師ともいえる謎の男テンマの力を借りての反撃戦。でも魔女は非力で戦闘経験不足、テンマは魔女を戦いの道具としてしか見ていない、という問題あり。はたして王国は侵略の危機を脱することができるのか。

決して画がうまいとも漫画がうまいとも言えないですが、話の続きが気になる作品。今はただの烏合の衆が立派なチームに成長し、帝国にひと泡吹かせることができるのか、テンマとは何者なのか、ほおりは村人の想いに応えることができるのか、作者は漫画がうまくなるのか。試し読みはこちら

※この記事は2013/04/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「エンマ」

エンマ(1) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原作:土屋計、ののやまさき著、月刊少年ライバル連載終了。全8巻完結。

戦争、虐殺などで、冥府では多くの死者が溢れすぎて、閻魔王様には裁ききれない。故に原因を滅するためにエンマが人界に遣わされる。エンマは閻魔様に造られた紙人形で、対象の骨を抜いて絶命させる力を持つ。戦争の首謀者、犯罪者、今は平凡でも将来に脅威となる者、国時代老若男女問わず、閻魔様の命に従い始末する。複雑な人の心を理解できないエンマであったが、多くの人間の死に立ち会い成長していく。

和風モノかと思いきや海外での活躍が多いエンマさん。イギリスでは切り裂きジャックをしばいたり、古代中国の偉い将軍をしばいたりします。中世のお話が多いようですが、未来のコロニーにも出没するなど、非常にバラエティに富んだストーリーが展開されます。最初は無感情なただの紙人形だったエンマも、ライバル・ナユタとの出会いや、地蔵菩薩様との邂逅で次第に成長してきます。はたして、彼女が人のために泣き、笑うことができる日は来るのか。

話も絵も上質で、万人にオススメできる良作。完結しているので一気読みにも最適(ただしマイナーなので全巻綺麗にそろう書店はほぼないと思われる)。試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/06/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」

ゲート 1―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)(Amazon)

オススメコミック。柳内たくみ著の同名小説を原作としたコミカライズ。漫画は竿尾悟(さおさとる)。アルファポリスにてWebマンガ連載中。

銀座に突如現れた巨大な門「ゲート」。そこから出現した異世界の兵隊の侵略により大きな被害を被るが、自衛隊は圧倒的な戦力差によりこれを撃退。侵略者たちは撤退を余儀なくされる。一方、ゲートの向こう側の世界を「特地」と命名した日本国は、自衛隊を派遣し、侵略の首謀者を逮捕するために調査を開始する。偵察部隊に任命された伊丹耀司陸尉は、ドラゴンやエルフの住まう現地世界の市民たちと交流を図りながら、進軍を続けていく。

半村良の「戦国自衛隊」やかわぐちかいじの「ジパング」のファンタジー世界版。両者と異なるのは、舞台が現代であり戦地がいわゆるファンタジー世界であること、敵地に前線基地があり補給が安定、兵隊には圧倒的に優位であるがドラゴン系には苦戦、エルフや王女様など現地人は異国語を話す、そして政治的展開を含めたストーリーということ。

日本にとって「ゲート」の向こう側の世界は、侵略国家であると同時に資源の宝庫である「特地」。憲法及び自衛隊は他国への侵略を禁止しているため、(建前上)あくまでテロの首謀者の逮捕が目的であり、ドンパチやることだけが目的ではない。一方、侵略しようとして返り討ちにあった異世界の国家も、政治地盤が万全ではなく、国内の政敵を自衛隊を利用して排除させるなど知略を見せる。

主人公らは現地の市民を救出したり、人間を襲うドラゴンを退けるなど、次第に「特地」での信頼を得て、エルフや魔法使いの少女らを味方につけ、異世界の偵察を続けていきます。彼らの活躍が世界にどう影響していくのか。原作はすでに完結していますが、コミック版にも期待大。試し読みはこちら

※この記事は2012/10/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「魔王様ちょっとそれとって!!」

魔王様ちょっとそれとって!! 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「ディーふらぐ!」の春野友矢(はるのともや)著、週刊ヤングジャンプ増刊「ミラクルジャンプ」連載中。

勇者たち一行との戦いで「檻」と呼ばれる謎の世界に封印されてしまった魔王様。手違いで一緒に封印されてしまった勇者一行とは一時休戦、協力して元の世界に復帰しようとする。しかし戦闘能力を失い、普段身の回りの世話は従者にやらせていた魔王様は、このサバイバルな状況でまったく役に立たない足手まとい。今日も魔法使いにからかわれ、こきつかわれる毎日であった……。

見た目は少女、でも必殺の「レインボーダーク(ネス)」で街一つ吹き飛ばしたこともある(らしい)魔王様。「檻」からの脱出と言う命題がありながら、暇つぶしに魔法使い(元々は敵)と卓球やったり、パンツ見られたり、風呂覗かれたり、残念魔王様を取り巻く面々のコメディです。

魔王様が不憫可愛い。元ネタは「まおゆう魔王勇者」だと思われますが、あちらは魔王が知的なのに対し、こちらはアホで扱いもおざなりです……。がんばれ魔王様。あ、ちょっとそれとって!

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※この記事は2012/10/29に「Psychelia.com」に掲載したものです。