タグ別アーカイブ: ファンタジー

「helck」


Helck(1) (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。七尾ナナキ著、小学館のWEBマンガサイト「裏サンデー」にて連載中(月曜更新)。

魔王が勇者に倒された! 平和が訪れた人類とは対照的に、魔界では新たな魔王を決めるための、闘技大会が開かれていた。大会責任者として派遣されてきた、四天王のひとりヴァミリオは、大会出場者の中に、異常な強さの男を見つける。なんとその男は、人間の勇者ヘルクだった……。

近年、「まおゆう魔王勇者」「魔王様ちょっとそれとって!!」など、人間に理解のある平和的な魔王の作品が見られますが、こちらは平和的どころか人間にやられちゃってます。その魔王を倒した(?)勇者がのうのうと次期魔王を決める戦いに参加し、次々と勝ち上がっていく……。

強くて笑顔でフレンドリー、魔界の民にも大人気の勇者ヘルク。いわく「一緒に人間滅ぼそう」。しかし、運営側から見れば、敵か味方かわからない不気味な存在。

魔界サイドの責任者ヴァミリオちゃん(表紙絵)は、ヘルクの目的がわからぬまま、その勝利を阻止するために、あの手この手の手段で妨害を試みますが、勇者パワーですべてを踏破されてしまいます。はたしてヘルクの目的は? 調査を続けるうちに、人間たちの国の不気味な真実にたどり着く……。

ドタバタでノー天気なストーリー進行の間に、ミステリアスな要素が織り交ぜられており、非常に読ませる作品です。「バカァー!」と叫んで魔力解放のヴァミリオちゃんも可愛くてオススメ。

試し読みはこちら。〆

「薄花少女」


薄花少女 1 (IKKI COMIX)

オススメコミック。三浦靖冬(みうらやすと)著、月刊IKKI連載中。タイトルは”はっかしょうじょ”と読む。

小学校の教員・古糸史(ふるいとふみ)。実家を出て一人暮らしの日々の中、自分を彼の”ばあや”だという少女・夏焼鳩子(なつやきはとこ)が現れる。実家にいるはずの”ばあや”は今81歳、そんなことがあるはずない。しかし、鳩子は自分が”ばあや”である証拠を次々と突き出し、若返ったのは、母に持たされた小壜の薬を使ったからだという。釈然としない史であったが、ぼっちゃんの世話をしたいという”ばあや”との不思議な共同生活が始まる。

独特のタッチの絵を描く筆者の最新作。同人誌、成年誌をはじめ、短巻が多い筆者の一般コミック誌での長編。

主人公とヒロインのなんとも言い難い関係が特徴の作品です。 弱々しく見える少女の中の人は、戦禍を潜り抜けてきたであろうたくましい老婆であり、炊事、洗濯なんでもござれ、子供のころから面倒を見てくれたばあや。恋をするわけではありませんが(今後の展開はわかりませんけど)、見た目小さな少女に頼るわけにはいかず、かといって気をつかうと老人扱いするなと怒られ、でもちょっとしたしぐさにドキッとしてしまう……。メイド(お手伝いさん)萌えなのか、ロリコンなのか、老婆好きなのか、ばあやの立ち位置一つでまったく見え方が異なってきます。

同系列の作品として、「ミル」がありますが、あちらはヒロインが化け猫で主人公の恋にも絡んできますので、似ているようで微妙に違う感じです。一体ばあやは何がしたいのか? 本当にお世話をするためだけに来たのだろうか? 主人公はばあやをどうしたいのか? もやもやした感じでお話は続きます。〆

「あやかしコンビニエンス」


あやかしコンビニエンス(1) (ダンガンコミックス)(Amazon)

オススメコミック。ヒライユキオ著、ホビージャパンのWEBコミック・ダンガン連載終了。全三巻完結。

大学へ通うため、10年ぶりに故郷へ帰ってきた彩橋あかり。かつて、あかりのおばあちゃんが経営していたコンビニ「あやはし」でバイトすることになったが、そこは田舎の山の中。 誰もこないだろうとタカをくくっていたが、夜中にビールを買いにやってきた客は緑のペンギン、いや河童だった。ここは夜な夜な妖怪たちの集うコンビニ、通称「あやかしコンビニエンス」だったのだ。 同僚の環(たまき)とともに、妖怪たちの接客することになったあかり。田舎町のコンビニに、今日も妖怪変化がやってくる。

人間には見えないように姿を消して入店する彼らを、なぜかあかりは見えてしまいます。フレンドリーで愉快な妖怪たちと、妖怪に負けず劣らずフレンドリーなあかりのハートフルコメディです。妖怪相手に商売してくれるコンビニとあって、人気は上々。あかりに頼みごとをしたり、いたずらしたりと、何かとかしましいけれど、どいつも憎めない妖怪たち。

そして、あかりの同僚・環の正体は猫又。生真面目な性格でよく働きますが、気を抜くと耳や尻尾が見えてしまい、あわてて隠す場面も。無類のUFOマニアで、なんでも宇宙に結び付けて話を大きくするので、いらぬトラブルを巻き起こしたりします。大変かわいらしい。

試し読みはこちら

「千年万年りんごの子」

千年万年りんごの子(1): 1 (KCx(ITAN))(Amazon)

オススメコミック。田中相(たなかあい)著、コミックITAN連載中。

まだ田舎の風習や言い伝えの残る、昭和後期の話。赤ん坊の頃、親に捨てられてお寺の養子となった青年・雪之丞。大学卒業後、青森のりんご農家の娘・朝日との縁談がまとまり、婿養子となって、夫婦でりんごを栽培することになった。戸惑いながらも田舎の暮らしに順応していく雪之丞だったが、ある日手に入れた不思議なりんごを朝日に食べさせたために、夫婦を引き裂く不可思議な事件に巻き込まれていく。

落ち着いた感じの夫と、明るく朗らか元気嫁のりんご栽培記…と思いきや、思わぬファンタジーが始まる作品。口にしてしまったのは村の禁忌、決して取ってはいけないりんご。しだいに朝日の身体に影響を与えていきます。雪之丞はそうはさせじと対策を講じていきますが、りんごの力には及ばず……。

時間制限があるため、それまでに雪之丞が何とかすることができるのか、引き裂かれていく夫婦愛を取り戻すことができるのかが見所。試し読みはこちら〆。

「ディアボロのスープ」

ディアボロのスープ(1) (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。岡崎純平著、別冊少年マガジン連載中。

“人民よ魔女を称えよ、さすれば魔女は人民を満たさん”。魔女たちが統治するエダークス王国は、魔女が国民を守り、魔女は国民たちから称えられる魔女の王国。農耕に向かず収穫の少ない土地で、魔女だけが作れ栄養の底上げを行う「魔女のスープ」により人々は生きながらえていた。そこに侵攻してくる軍国、近代兵器を持つ科学の国・スペルビア帝国により、王国は危機に瀕していた。村人たちの犠牲により、帝国の攻撃からからくも生き延びた下級魔女・ほおりは、帝国への反撃を誓い、謎の男テンマや他の魔女らと共に反抗を開始する。

魔女の武器は大小さまざまな召喚獣、ただし魔女本体は生身の人間と同じで、戦闘には向いていません。帝国軍に包囲されればあっさり倒されて終わり。元々軍隊を持たない国なので、このまま侵略されたら負けるのは目に見えているため、軍師ともいえる謎の男テンマの力を借りての反撃戦。でも魔女は非力で戦闘経験不足、テンマは魔女を戦いの道具としてしか見ていない、という問題あり。はたして王国は侵略の危機を脱することができるのか。

決して画がうまいとも漫画がうまいとも言えないですが、話の続きが気になる作品。今はただの烏合の衆が立派なチームに成長し、帝国にひと泡吹かせることができるのか、テンマとは何者なのか、ほおりは村人の想いに応えることができるのか、作者は漫画がうまくなるのか。試し読みはこちら

※この記事は2013/04/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「エンマ」

エンマ(1) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原作:土屋計、ののやまさき著、月刊少年ライバル連載終了。全8巻完結。

戦争、虐殺などで、冥府では多くの死者が溢れすぎて、閻魔王様には裁ききれない。故に原因を滅するためにエンマが人界に遣わされる。エンマは閻魔様に造られた紙人形で、対象の骨を抜いて絶命させる力を持つ。戦争の首謀者、犯罪者、今は平凡でも将来に脅威となる者、国時代老若男女問わず、閻魔様の命に従い始末する。複雑な人の心を理解できないエンマであったが、多くの人間の死に立ち会い成長していく。

和風モノかと思いきや海外での活躍が多いエンマさん。イギリスでは切り裂きジャックをしばいたり、古代中国の偉い将軍をしばいたりします。中世のお話が多いようですが、未来のコロニーにも出没するなど、非常にバラエティに富んだストーリーが展開されます。最初は無感情なただの紙人形だったエンマも、ライバル・ナユタとの出会いや、地蔵菩薩様との邂逅で次第に成長してきます。はたして、彼女が人のために泣き、笑うことができる日は来るのか。

話も絵も上質で、万人にオススメできる良作。完結しているので一気読みにも最適(ただしマイナーなので全巻綺麗にそろう書店はほぼないと思われる)。試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/06/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」

ゲート 1―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)(Amazon)

オススメコミック。柳内たくみ著の同名小説を原作としたコミカライズ。漫画は竿尾悟(さおさとる)。アルファポリスにてWebマンガ連載中。

銀座に突如現れた巨大な門「ゲート」。そこから出現した異世界の兵隊の侵略により大きな被害を被るが、自衛隊は圧倒的な戦力差によりこれを撃退。侵略者たちは撤退を余儀なくされる。一方、ゲートの向こう側の世界を「特地」と命名した日本国は、自衛隊を派遣し、侵略の首謀者を逮捕するために調査を開始する。偵察部隊に任命された伊丹耀司陸尉は、ドラゴンやエルフの住まう現地世界の市民たちと交流を図りながら、進軍を続けていく。

半村良の「戦国自衛隊」やかわぐちかいじの「ジパング」のファンタジー世界版。両者と異なるのは、舞台が現代であり戦地がいわゆるファンタジー世界であること、敵地に前線基地があり補給が安定、兵隊には圧倒的に優位であるがドラゴン系には苦戦、エルフや王女様など現地人は異国語を話す、そして政治的展開を含めたストーリーということ。

日本にとって「ゲート」の向こう側の世界は、侵略国家であると同時に資源の宝庫である「特地」。憲法及び自衛隊は他国への侵略を禁止しているため、(建前上)あくまでテロの首謀者の逮捕が目的であり、ドンパチやることだけが目的ではない。一方、侵略しようとして返り討ちにあった異世界の国家も、政治地盤が万全ではなく、国内の政敵を自衛隊を利用して排除させるなど知略を見せる。

主人公らは現地の市民を救出したり、人間を襲うドラゴンを退けるなど、次第に「特地」での信頼を得て、エルフや魔法使いの少女らを味方につけ、異世界の偵察を続けていきます。彼らの活躍が世界にどう影響していくのか。原作はすでに完結していますが、コミック版にも期待大。試し読みはこちら

※この記事は2012/10/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「魔王様ちょっとそれとって!!」

魔王様ちょっとそれとって!! 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「ディーふらぐ!」の春野友矢(はるのともや)著、週刊ヤングジャンプ増刊「ミラクルジャンプ」連載中。

勇者たち一行との戦いで「檻」と呼ばれる謎の世界に封印されてしまった魔王様。手違いで一緒に封印されてしまった勇者一行とは一時休戦、協力して元の世界に復帰しようとする。しかし戦闘能力を失い、普段身の回りの世話は従者にやらせていた魔王様は、このサバイバルな状況でまったく役に立たない足手まとい。今日も魔法使いにからかわれ、こきつかわれる毎日であった……。

見た目は少女、でも必殺の「レインボーダーク(ネス)」で街一つ吹き飛ばしたこともある(らしい)魔王様。「檻」からの脱出と言う命題がありながら、暇つぶしに魔法使い(元々は敵)と卓球やったり、パンツ見られたり、風呂覗かれたり、残念魔王様を取り巻く面々のコメディです。

魔王様が不憫可愛い。元ネタは「まおゆう魔王勇者」だと思われますが、あちらは魔王が知的なのに対し、こちらはアホで扱いもおざなりです……。がんばれ魔王様。あ、ちょっとそれとって!

試し読みはこちら

※この記事は2012/10/29に「Psychelia.com」に掲載したものです。