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「終電ちゃん」



終電ちゃん(1) (モーニング KC)

おすすめコミック。藤本正二著。モーニング連載中。

JR中央線新宿発高尾行きの最終電車に現れる終電ちゃん。仕事やお酒で帰りの遅くなった人々が、乗り遅れてはならないその日最後の電車、終電。終電ちゃんは、酔いつぶれた乗客たちを叱咤し、電車に詰め込み、明日はもっと早く帰れと檄を飛ばす。そこにはさまざまな人間ドラマがあった……。

終電の擬人化、ということでよいのでしょうか。電車の精霊というか主というか、不思議なキャラクターです。とりあえず、終電の屋根の上に乗って現れます。作品内で、終電ちゃんの存在がなんなのか、明確はされておらず、そこにいて当たり前の存在として描かれています。

終電ちゃんは、乗客たちのアイドルであり、また、頼れる母のような存在。乗客たちの悩みを聞き、トラブルがあれば解決し、あえて嫌われ役になってでも、終電としての職務を全うしようとします。職人気質、時に融通が利かない、プロの終電なのです。

そして、終電はもちろん中央線だけではないので、おてんばな山手線の終電ちゃん、おっとりな小田急線の終電ちゃんなど、続々と終電ちゃん仲間が登場してきます。人間ドラマで終わりと思いきや、終電ちゃん同士のドラマもあり、今後に期待が持てる作品。それにしても、終電の擬人化という発想ができたのが素晴らしい……。

試し読みはこちら〆。

「少年ノート」

少年ノート

少年ノート(1) (モーニングKC)(Amazon)

オススメコミック。「隠の王(なばりのおう)」の鎌谷悠希著、モーニング・ツーにて連載中。

天使の歌声を持つ少年・蒼井由多香は、中学入学と同時に合唱部に入部する。その才能を部員達から認められ、天才的なボーイソプラノとして強い信頼を得る。周囲の勧めもあり、由多香は活躍の場をオペラへと広げようとするが、感受性が高く音に関して敏感すぎる彼は、ささいな一言やいざこざで強く傷つき苦しんでしまう。そんな彼を合唱部の仲間達が支えていく。

変声期前のボーイソプラノ少年が主人公。いつか失われてしまう歌声と、純粋過ぎる彼の喜びと苦悩の物語。「常に集音機を持ちながら、音の洪水の中を歩いているような感覚」と劇中評されますが、由多香の感性は鋭敏で、ちょっとした音でも気分が高揚したり落ち込んだりしてしまいます。そんな彼が学園生活や大人達との交流の中で、何を得て、何を失っていくのか、非常に興味深く読めます。
由多香が中心のストーリーですが、彼を取り巻く人々、特に合唱部の少年・少女たちも物語に大きく関わってきます。一人一人が魅力的で、群像劇として優秀な作品。試し読みはこちら

※この記事は2012/12/31に「Psychelia.com」に掲載したものです。