タグ別アーカイブ: ヤングジャンプ

「うらたろう」



うらたろう 1 (ヤングジャンプコミックス)

おすすめコミック。「ねじまきカギュー」の中山敦支著、週刊ヤングジャンプ連載中。

源平合戦後、平氏側が勝利し六波羅時代が始まった和の国。余命いくばくという病を持つ娘・ちよは、お供のジイとともに、不老不死の力を持つという鬼人を探していた。鬼人に会えば、不老不死にしてもらえる……その一心で鬼人を探し求めるが、一方の鬼人は、生きることに疲れ、死ねない体を恨んでいた。まったく違う考えの二人が出会い、ちよは生きるために、鬼人は死ぬために、共に伝承の地・黄泉比良坂(よもつひらさか)を目指すことになった。

生きたがりの少女ちよと、死にたがりの鬼人(うらたろう)の道中記。病に侵されながらも、元気いっぱい、底抜けに明るいちよがいじらしい。対照的に不死でありながら、ひねくれ者のうらたろうには、死ねない苦しみを持つ悲哀を感じます。

互いの目的を果たすために旅をしますが、行く先々に妖怪の類が立ちはだかります。困っている人たちを助けようとするちよと、放っておけと言ううらたろう。考え方の異なる二人の間には溝が生まれますが、うらたろうはちよの前向きな姿勢に興味を持ち、次第に協力してくれるようになります。

代表作「ねじまきカギュー」では、迫力あるアクションとメリハリの利いた展開が素晴らしかった著者ですが、今回も切れ味は健在。しかも、主人公の一人は激弱、一人は激強(というか不死身)のため、うらたろうが出てきて爆発したときのカタルシスが凄まじいことに。

ちよは不老不死の力を得、生き残ることができるか、うらたろうは無事に死ぬことができるか? 二人の旅は続きます。

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「天野家四つ子は血液型が全員違う。」



天野家四つ子は血液型が全員違う。 1 (ヤングジャンプコミックス)

おすすめコミック。空えぐみ著、週刊ヤングジャンプ連載終了、全二巻完結。

血液型が全員違う天野家の四つ子。A型=几帳面なギャルあさひ、B型=マイペースな美形まひる、O型=社交的な巨乳ゆう、AB型=不思議ちゃんキャラのこよる、血液型がバラバラで、性格も容姿も異なる変な姉妹。彼女らのクラスを受け持つ担任の八代は誠司は、姉妹四人の性格の違いは血液型が原因では? と調査を始めてみることにした。

血液型ごとの特徴、というよくわからない迷信がありますが、本作はそのイメージに沿ってキャラクターが作られており、その行動を分析する、という形式になっています。

例えば、長女のあさひは、容姿はギャルっぽいのですが、中身は真面目で几帳面。整理整頓が好きで、気配り上手、倹約家というA型タイプの女の子です。いい加減なB型のまひると喧嘩することも多々あり。

他の姉妹も血液型ごとの特徴を持ち、同じ姉妹なのにまったく性格が違うために、同じことをするにもバラバラな行動を取るという面白さと、それを陰ながら調査していく八代先生のコメディもの。

二巻完結となっており、最後はネタ切れっぽく終わっていますが、ささっと見る短編ものとしては、ちょうどいい感じです。

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「レストー夫人」



レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)

おすすめコミック。三島芳治著、週刊ヤングジャンプ増刊「アオハル」連載完結。全1巻。

この学校では、、毎年二年生が「レストー夫人」という演劇をする。
7つのクラスで同じ劇を違う台本にし、7種類の「レストー夫人」を上映する。
何かの実験なのかもしれない。

こんな書き出しで始まるお話です。

とあるクラスの「レストー夫人」の始まりから終わりまでを、複数の登場人物の視線で追っていきます。中心となるのは、ヒロイン・レストー夫人役の志野。彼女は、普段から、貴族のようなお上品なしゃべり方をしている不思議な子。ルックスがよいこともあって、すぐにヒロインに決まったが、何やら不安を抱えている様子。

劇の記録係であるスズキは、そんな志野の一挙手一投足を記録していました。授業中に記録しているところを先生に見つかってしまい、記録帳を取り上げられてしまうのですが、そのとき志野が意外な行動を起こします。

デルフィーヌ役の川名、アキノリとユーフラシー役の井上と鈴森、衣装係の石上、それぞれの役割、それぞれの小さいような大きいような悩みと向かい合いながら、徐々に劇が完成へと近づいていきます。

一つ一つが印象に残り、独自性も高い秀逸な群集劇です。また、どれもが優しい物語のため、読んだ後に心落ち着きます。さっと短時間で良作を読みたいときにオススメ。

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「かげきしょうじょ!」と「かげきしょうじょ!!」



かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)



かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめCOMICS)

おすすめコミック。「花宵道中」の斉木久美子著、メロディ連載中。

由緒正しき歴史を持ち、美しく聡明な女子しか入学できない紅華歌劇音楽学校。卒業すると、女子だけのミュージカル劇団「紅華歌劇団」へ入団できるという、いわば養成学校である。元国民的アイドルJPX48のメンバー・奈良田愛は、とある不祥事でJPXをクビとなり、新天地を求めてやってきた。美少女だけどクールで無表情、他人に無関心な愛だったが、同じ紅華の同級生・渡辺さらさの天真爛漫さに影響され、心揺さぶられる。仲良くなりたいとは思わないが、どうしても気になってしまう愛。一方のさらさは、明るく前向きだが、無神経な発言で愛をいらだたせる。果たして二人に友情が生まれることはあるのか……? そして憧れの歌劇団へ入団できるのか?

「かげきしょうじょ!」はヤングジャンプで連載されていた入学前後の話、連載誌をメロディに移して連載再開し「かげきしょうじょ!!」(!が二つ)はその続編となります。この絵柄でなんでヤングジャンプで連載していたのかという謎の作品。一応ジャンルとしては少女漫画ではありますが、男性でも違和感なく読めます。

舞台となる紅華歌劇団音楽学校は、宝塚音楽学校をモデルとしています。生徒たちは、憧れのオスカルやアントワネットを演じるスターになるために、厳しいカリキュラムをこなしながら、友人でありライバルである仲間たちと切磋琢磨していきます。

主人公の奈良田愛と渡辺さらさの二人は、その中でも突出した存在として、ストーリーの中心人物となります。クールで不愛想なお姫様の愛と、怖いもの知らずで長身長(178cm、でかい)の男役さらさのコンビ。性格のまったく違う二人の凸凹友情ストーリーとなっています。

また、紅華歌劇団の対比として、歌舞伎も重要なファクターとなっています。女しかいない紅華歌劇団、男しかいない歌舞伎の世界。これ以上の対比があるでしょうか。ここに気付いた作者はすごいなと感心しました。ちなみに、歌舞伎に影響を受けたさらさは、誰にもまねできないスキルを身に着けていたりします。

ヒロイン二人以外も、魅力的な女の子が多い作品です。夢を目指して奮闘する歌劇学校の生徒たちは、今日も厳しいレッスンに挑んでいるのです。まだ活躍の機会はないですが、個人的に沢田千夏と千秋の双子に期待してます。何か一芸持ってそう。

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「レイチェル・ダイアル」

レイチェル・ダイアル 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。皿池篤志著。ヤングジャンプ増刊、ミラクルジャンプ連載中。

人間が立ち入ることができない危険な島で、金属を回収する役割を持つアンドロイド、アレックスとマックスは、ある日突然自分たちを救出しにやってきたという少女・レイチェルに出会う。レイチェルは、二人に金属の回収を今すぐに止めろという。納得できない二人だったが、そのとき島を守る巨大ロボット・ギガンテスが襲いかかってきた……。

持ち込み作品が即連載、単行本化という珍しい作品。それもうなずけるほど、ストーリーもテンポも3人の掛け合いも非常に良いです。また、一話ごとにレイチェルがでかくなっていく(7歳→15歳→17歳→19歳)ので、心身ともに成長し変わりゆく女の子と、まったく変わらないアンドロイドの二人の対比があって面白い。この調子でどんどんでかくなっていくのか?

掲載誌が隔月発行のために、次巻は1年後ということになりそうですが、楽しみに待ちたいと思います。〆

※この記事は2013/03/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「石影妖漫画譚」

     

石影妖漫画譚 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。河合孝典著、週刊ヤングジャンプ連載終了、完結。

江戸時代、ボロ長屋の一角に住む烏山石影(からすやませきえい)は、妖怪を専門に描く変わり種の絵師。妖怪に異常な関心を持ち、妖怪の噂を聞きつけては危険を顧みることなく出向いてき、その姿を描くことに情熱を注ぐ偏執狂。彼の持つ妖筆「毛羽毛現(けうけげん)の筆」で描かれたモノは、具現化して妖怪と戦う能力を持ち、その力で身を守ることができるが、その能力ゆえにさまざまな事件に(自分から)巻き込まれることになる。

突出した人気はないだろうし、すでに完結した作品ですが、リンク先には試し読みやらWEBオリジナルアニメやらコンテンツは非常に充実しています。ずいぶん偏った人気があるのだろうか?

石影の元には、街の人々から妖怪に関するさまざまな事件が持ち込まれます。多くは危険な妖怪の仕業。彼は妖筆の力を借り、個性豊かな妖怪を召喚、妖怪たちと戦い事件を解決に導きます。筆を持てばべらぼうに強い彼ですが、一方で、妖怪に関係ないものには一切興味を示さず、収入なく食うことすら事欠く引きこもり絵師です。こんな大人になっちゃだめだ。

彼に味方をしてくれる妖怪もいます。その一人が妖筆を与えてくれた毛羽毛現(けうけげん)(←2巻表紙)。髪盛り過ぎちゃって、不思議な髪形になってますが、れっきとした妖怪です。時には彼女の助けを借り、強力な妖怪と対峙します。ちなみに歌舞伎俳優大好きのミーハー。

序盤は短編が主体ですが、中盤以降は巻をまたぐような中編、長編の多い作品です。ストーリーが良質、キャラクターも多彩で書き分けができているし、次回作も期待できる漫画家の1人だと思います。是非。〆

※この記事は2013/02/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ねじまきカギュー」

ねじまきカギュー(1) (ヤングジャンプコミックス) (Amazon)

オススメコミック。中山敦支著、ヤングジャンプ連載中。

新米教師・葱沢鴨(ねぎさわかも)は、ヤバい系女子に好かれる女難体質の持ち主。ある日の通勤中、不良少女に絡まれた彼の元に、先生を守るという謎の少年・鉤牛十兵衛(かぎゅうじゅうべえ)が現れる。圧倒的なパワーで不良少女たちをのしてしまう十兵衛であったが、なぜ鴨先生を助けたのかは告げず、逆に決して己(オレ)には近付くなと言う。果たして彼の正体は……。

ネタバレする前に、試し読みはこちら。

以下、ちょっとネタバレ。鉤牛:カギューちゃんは女の子。幼いころ、いじめっ子から自分をかばってくれた愛する鴨先生のために戦います。見た目は滅茶苦茶硬派ですが、中身は乙女一直線の可愛い女の子です。作中でも特に強調されており、普段は目つきの悪いカギューちゃんが、恋する乙女モードになるとキラキラお目々の美少女に早変わり。

他のキャラクターも基本的に危険な娘たちばかりですが、乙女スイッチが入るとがらりと表情が変わるのが特徴的。愛ってすごい。

バトルも何だか分からないがやたら熱い展開のオンパレードで、カギューちゃんの無尽蔵の愛のパワァーに圧倒されること間違いなし。愛の力は無限大。面白いから是非読め。〆

※この記事は2012/03/21に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「極黒のブリュンヒルデ」

極黒のブリュンヒルデ 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「エルフィンリート」「ノノノノ」の岡本倫著。週刊ヤングジャンプ連載中。

“クロネコ”と呼ばれた少女は、地球はすでに宇宙人に侵略されていると言い張り、うそつき扱いされていたが、幼なじみの良太はそんな彼女が好きだった。ある時、宇宙人のいる場所に一緒に行くこととなったが、道中の事故でクロネコは死んでしまい、自分だけ助かる。それから10年。NASAの研究員を目指す高校生となった良太の前に、クロネコの面影がある転校生・黒羽寧子(くろはねこ)が現れる……。

極黒は「ごくこく」と読む。特殊能力を持つ少女ということで、甘酸っぱいSF展開になるかと思いきや、悲しい宿命と極限を生き抜くサバイバルアクションでした。エルフィンリートがバージョンアップしたような感じです。

クソ強いんだけれど九九が分からず小学生レベルの漢字も読めないバカ、という珍しいヒロインと、クロネコの死というトラウマを抱えながらも、寧子の生きざまに感銘を受けともに戦う秀才主人公。両者共にキャラが立っていて魅力的。

窮地に立たされた(というかほぼ終わってる)ヒロインを、なんとか助けようと苦闘するけれど、敵味方の戦力差は圧倒的、果たして目的を果たすことができるのかという、いいところで以下次巻。謎も多く含んでおり、長く続きそうな作品。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/06/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ラジオヘッズ」

ラジオヘッズ 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「カジテツ王子」の向浦宏和著、週刊ヤングジャンプ連載終了、全2巻。

高等専門学校、略して高専。ロボコンなどでおなじみの、技術を専門に学ぶ5年制の特殊な学校形態のことである。小須高専ロボ部は自称「技術の変態」戸川澄次(20)を部長とする超個性派軍団。そのたぐいまれなる技術、ものづくりへの情熱を持って、今日も騒動を引き起こす!

好きな女性教師のコピーロボットを造り、音声機能を足し、武器を積みタンクに仕立て、校内の警備カメラをすべてハックし、自動索敵機能を搭載し、スマホで操縦して対象を無差別攻撃。そんなロボを造ってしまう連中の学園(?)コメディ。

そのほかゲルアクチュエーターによるパワードスーツや小便小僧ウォーターカッターなど、変テコなマシンが出てきます。高専という特殊な学校性も相まって、技術立国日本が生んでしまったよく分からん人間がたくさん登場します。しかし、彼らこそがこの国の技術を支えていくのだろうという、期待も抱かせてくれる不思議なお話。

あっさり2巻で終わってしまいますが、もうちょっと読んでみたかった作品。試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/07/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。