タグ別アーカイブ: 別冊少年マガジン

「寄宿学校のジュリエット」



寄宿学校のジュリエット(1) (講談社コミックス)

おすすめコミック。「星天高校アイドル部」の金田陽介著、別冊少年マガジン連載中。

ダリア学園における二つの学生寮勢力、黒犬(ブラックドギー)と白猫(ホワイトキャット)。出身国のいざこざから、事あるごとに対立を続け、時には殴り合いの大喧嘩をすることも。黒犬のリーダー犬塚露壬雄(いぬづかろみお)は、喧嘩が強く仲間の信頼も厚い、理想のリーダー。彼には初等部のころから、一人の女の子に惚れていた。それは、宿敵・白猫の女リーダー、ジュリエット・ペルシアだった。許されざる禁断の恋、はたして彼の想いは届くのか……。

ベースになっているのは、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」。愛する二人はしかし、敵対する貴族の息子娘だったというやつです。二人の逢瀬は絶対に仲間に知られてはいけない、背徳の恋。本作でもそこがベースとなっています。また、それ以前に。犬塚は想いを告げられるのか、ジュリエットはそれを受け入れられるのかが序盤のポイント。

ややネタばれすると、告白は想いを物理的にぶちかます方向で早々に成就しますが、もちろん、本筋はその後。犬塚の熱烈な支持者である蓮季、ジュリエットを守る自称騎士のスコット、異なる対立勢力などから、二人の関係がばれないように立ち回っていきます。味方を欺くためとはいえ、時にはジュリエットにアイアンクローをかましたり、サマーソルトで反撃されたりしますが、それも秘密を守るため。

障害を乗り越え、強い絆で結ばれていくであろう二人。バレたら一発で破局、リーダーとしての互いの信頼も失う状況で、いつか周囲に認められ、晴れて真のカップルとなることはできるでしょうか?

試し読みはこちら〆。

「橙は、半透明に二度寝する」

橙は、半透明に二度寝する(1) (少年マガジンコミックス)

オススメコミック。「血潜り林檎と金魚鉢男」「バニラスパイダー」の阿部洋一著、別冊少年マガジン連載中。

船溜まりのある小さな街で起こる、摩訶不思議な話の短編集。

表紙の女の子は生首抱えていますが、これぐらい普通なので気になさらぬよう。イカ型のエイリアンが攻めてきたりする非日常的世界なので、常識なんて通用しません。こういうものだ、と割り切って読むのが作法。

電撃コミックジャパンが廃刊になり、連載していた「血潜り林檎と金魚鉢男」が残念なことになった(正確にはどうなったか分からない)筆者ですが、今度は短編集なのでいきなり終わっても大丈夫……。うーむ、もっと評価されて良い漫画家なのにいつも不遇。がんばれ。

試し読みはこちら〆。

「聲の形」(こえのかたち)


聲の形(1) (少年マガジンコミックス)

超オススメコミック。マルドゥック・スクランブル(コミック版)の大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン連載中。今年レビューした中でも、5本の指に入る傑作。というか、No.1。

楽しいことが大好き、退屈が何より嫌いな小学生・石田将也は、今日も友人たちと大はしゃぎ。ある日、彼の通う学校に、耳の不自由な少女・西宮硝子(にしみやしょうこ)が転校してくる。幼い小学生たちは、最初彼女を不思議な存在と感じ興味を持って接していたが、慣れてくると、何をするにも筆談を必要とする面倒な存在と位置付け、将也を中心にいじめを始める……。

幼い子供たちは、朗らかな心を持ちながら時として残酷で、いじめを悪いことと感じません。それどころか、暇つぶし、一時の楽しみとしていじめ続けます。そしていじめられる側というのは、弱く、辛く、耐えがたい屈辱を味わうことになります。

そんな中、障害を持つが故にいじめの対象となってしまった硝子は、からかわれても、うざがられても笑顔で耐え続けます。また、その笑顔はいじめの主犯である将也にも向けられます。将也にとって、硝子は理解の及ばない奇妙な存在であり続け、数年後、やがて彼が辛い状況になったとき、彼女を思い出し逢いに行くことになります。

彼女に逢いに行くところから物語は開始し、その経緯となる6年前(小学生)の出来事が1巻では描かれています。2巻以降は高校生になった二人が再会し、溜めこんでいた硝子への複雑な感情を伝える将也と、それに硝子がどう応えるかが見所になります。早く続きが読みたい……!

余談ですが、75、81、83ページのコマ割り&構図が同じ。繰り返しで時間経過を見せるナイス演出。芸が細かい。絶対に読んでほしい試し読みはこちらから。〆

「カオス・ウィザードと悪魔のしもべ」

カオス・ウィザードと悪魔のしもべ(1) (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。山本アリフレッド著、別冊少年マガジン連載中。

魔法学校の進級試験の日、落ちこぼれ魔法使いの神無・T・エルクーロスは留年の危機であった。彼女の魔法の最大の難点は、魔法を使うと必ず「ヘンなモノ」を召喚してしまうこと。フローライトの魔法を使うと、全身が光り輝くスキンヘッドの半裸の男が出現するなど、結果オーライとなるものの、普通の魔法が使えない。はたして神無が一人前の魔法使いになることができるのか。

ドジっ子魔女のコメディ……なのですが、魔法で出現するヘンなモノたちが想像の斜め上を行く連中で、萌えジャンル(だったはず)の枠をはみ出してます。ヘンなおっさん率高すぎ。その分のお色気成分を使い魔のエルヴィナが補充するという、絶妙なバランスで成り立っている作品です。

はやりの絵柄でもエロコメでもありませんが、ついつい読んでしまう佳作。なお、これが「進撃の巨人」と同じ掲載誌であることに驚愕した。懐が深いというか何と言うか。試し読みはこちら

「ディアボロのスープ」

ディアボロのスープ(1) (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。岡崎純平著、別冊少年マガジン連載中。

“人民よ魔女を称えよ、さすれば魔女は人民を満たさん”。魔女たちが統治するエダークス王国は、魔女が国民を守り、魔女は国民たちから称えられる魔女の王国。農耕に向かず収穫の少ない土地で、魔女だけが作れ栄養の底上げを行う「魔女のスープ」により人々は生きながらえていた。そこに侵攻してくる軍国、近代兵器を持つ科学の国・スペルビア帝国により、王国は危機に瀕していた。村人たちの犠牲により、帝国の攻撃からからくも生き延びた下級魔女・ほおりは、帝国への反撃を誓い、謎の男テンマや他の魔女らと共に反抗を開始する。

魔女の武器は大小さまざまな召喚獣、ただし魔女本体は生身の人間と同じで、戦闘には向いていません。帝国軍に包囲されればあっさり倒されて終わり。元々軍隊を持たない国なので、このまま侵略されたら負けるのは目に見えているため、軍師ともいえる謎の男テンマの力を借りての反撃戦。でも魔女は非力で戦闘経験不足、テンマは魔女を戦いの道具としてしか見ていない、という問題あり。はたして王国は侵略の危機を脱することができるのか。

決して画がうまいとも漫画がうまいとも言えないですが、話の続きが気になる作品。今はただの烏合の衆が立派なチームに成長し、帝国にひと泡吹かせることができるのか、テンマとは何者なのか、ほおりは村人の想いに応えることができるのか、作者は漫画がうまくなるのか。試し読みはこちら

※この記事は2013/04/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC) (Amazon)

11月に第一作の劇場公開を控える「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン 連載中。

小説のコミカライズにろくなものがないイメージがあったので敬遠してましたが、読んでみたら意外とよかった。帯&巻末の原作者メッセージは褒めすぎにしてもかなり読める。

画はさほどうまくないものの、コマ割りと構図が優秀、アクションとスピード感(緩急)も十分なレベル。ヒロインの内向的(だけど暴力的)な性格も良く出てると思います。

作画風景がYouTubeにアップされていますが(参考動画(YouTube))、著者は新人の女性なんですね。末恐ろしい。

現在は最新の2巻が発売中。原作小説は全3巻で発売中。なお、ライトノベルではなくハヤカワ文庫SFなのでお間違えなきよう。〆

「さんかれあ」

さんかれあ(1) (少年マガジンコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「ケンコー全裸系水泳部 ウミショー」のはっとりみつる著、 別冊少年マガジン連載中。

ゾンビ娘萌えという危険なジャンルの作品です。生きた女にキョーミないというアホな主人公と、瞳孔が開きっぱなしのゾンビ娘のラブコメ。

ゾンビ映画好きの主人公・降谷千紘(ふるやちひろ)は、死んでしまった愛猫ばーぶを蘇らせるため、夜の廃墟で怪しげな実験を繰り返していた。実験が元でお嬢様学校の令嬢・散華礼弥(さんかれあ)と知り合うことになり、二人は協力して蘇生薬調合を行うが、とある事件のせいで礼弥が死んでしまう。しかし、礼弥が死ぬ前に服用していた蘇生薬のおかげでゾンビとして復活!

ネタばれになるので多くは語れませんが、礼弥にはゾンビ、というか死者ゆえのハンディーがあり、それを補うべく主人公が奔走します。放っておくと本当に死んでしまうので、いや死んでるんですが、肉体的な意味で消失してしまうので、ケアは怠れません。

また過保護に育った令嬢ゆえのガードの甘さ、無邪気さで色々と問題を起こします。娘ラブのお父様との確執があったり。

ウミショーが面白かったと思える人は読んで損なし。ゾンビ好きじゃなくても楽しい作品です。〆

※この記事は2010/10/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「そんな未来はウソである」

そんな未来はウソである(1) (KCデラックス)(Amazon)

オススメコミック。「みなみけ」の桜場コハル著、別冊少年マガジン連載中。ヒロイン2人の特徴を踏まえたタイトルがとても良い。

人と目を合わせるとその人の未来がちょっと見えてしまう少女・大橋ミツキ(右)。他人がウソをつくと分かってしまう少女・佐藤アカネ(左)。余計な未来を見ないようにミツキはなるべく人と目を合わせないように日々を過ごし、裏表の分かってしまうアカネは友達づきあいが苦手。ある時、ミツキはアカネに自分が未来を予見できることを話す。荒唐無稽な話だが、ウソをついてないことが分かるアカネには本当だと分かる。それがきっかけで二人は仲良くなっていくが、アカネがミツキに鏡を見せたせいで、ミツキは自分の重大な未来を予見してしまう……。

アニメ化もした「みなみけ」はそんなに面白いとは思えないけど、こちらは好き。ミツキの見てしまった自分の未来「クラスメイトの高山くんと結婚してた」を実現させるために、アカネが奔走するお話。”嫌なら未来は回避できる”ので、未来を知ってしまったミツキと高山がくっつかなかった場合、原因は自分にあるとアカネは考えており、そうならないために意地でも二人をくっつけようと恋のキューピッドとなる。

なるはずでしたが。2巻では「いい未来は自分で作る」というアカネの言葉とともに、前提を覆すパラダイムシフトが起こります。

思いっきりネタバレになるので何が起きるかは伏せておきますが、恋の未来と嘘のシーソーゲーム、おそらくこれが本作のメインテーマになるのでは。著者の独特の空気感とぽかーん口は健在で、大した話題でもないのになんとなく楽しく読めてしまう不思議。肩肘張らずに読めるコミックとしてオススメ。試し読みはコチラ。〆

※この記事は2011/11/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(7)<完> (講談社コミックス) (Amazon)

超オススメコミック。ハヤカワ文庫のSF小説「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン連載終了。完結。

悲しい過去を持つ少女娼婦のルーン・バロットは、彼女を愛妾としていた男・シェルに喉を引き裂かれ車ごと爆破され瀕死の重傷を負う。死の直前、ドクター・イースターにより、命を助けられると同時に金属繊維の人工皮膚を与えられ、周囲の電子機器を自由に操ることのできる力「電子撹拌(スナーク)」を身に付ける。何故、自分は殺されなければならなかったのか? どんなものにも変身できるしゃべるネズミ・ウフコックの力を借り、自分を死に追いやったシェルの犯罪を暴くために戦うことを決意する。

原作小説やアニメ映画版より面白い。コミカライズが成功するまことに稀有な例だと思います。そんなにうまい画ではないけれど、漫画がうまい。緩急が良いし、原作のえぐいところを、重すぎず軽すぎず、うまくコミックに落とし込んでいると感じます。

ど底辺から這い上がっていくバロットが魅力的な作品。法的に禁止されている科学技術によって蘇った代償として、結果を残さないと生存すらままならない追い詰められた状況の中で、自分の存在価値、有用性を追い求めていく少女の戦い。

元少女娼婦というヒロイン的に最悪な前職、時に戦いに溺れ自分を見失うことも、相棒であるウフコックを濫用し傷つけることも、強敵ボイルドから情けなく逃げ回ることがあっても、それらをすべて糧にしてたくましく成長していく。戦うヒロインのお手本のような娘です。

試し読みはこちら。劇場版オフィシャルサイトはこちら(最終作「マルドゥック・スクランブル 排気」は9/29公開)。〆

※この記事は2012/06/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。