タグ別アーカイブ: 完結

「少女Aの悲劇」



少女Aの悲劇(1) (講談社コミックス)

おすすめコミック。漫画:あさの、原作:中村力斗。マンガボックス連載終了、全2巻完結。

女子高生・浅川結真(あさかわゆま)は宇宙人である。宇宙船での登校中、尿意に耐えきれず不時着した際に、その様子を同級生の林秀雄に目撃され、さらに失禁してしまう。宇宙人であることがばれてしまった結真は、林くんに秘密を守ってもらうために、彼を監視することを提案する。しかし林くんはそんなことにまったく興味はなく、受験の邪魔はするなと邪険にする始末。かくして、宇宙人の女の子と、それを知りながらまったく興味を持たない男の奇妙な学生生活が始まった。

自分の秘密をばらされないように、同居して監視することになるという、ラブコメっぽいあらすじですが、何せ林くんがまったく結真に関心を持たず、むしろ早く去れと思っているので恋に発展しません。この林くん、受験以外に興味はないので、周りをうろちょろしてトラブルを招き込む結真に対しては、罵詈雑言の嵐。かつて、これだけヒロインを無碍(むげ)にする主人公がいただろうか……。

対する結真は、ひどい状況になってしまったものの、持ち前の明るさと、地球に残りたい一心で、林くんの理不尽な言葉の暴力に立ち向かいます。非常識な林くんをどこか憎めないやつと思っているようで、何とかして抗おうとツッコミという形で一応努力はします。が、やはり通じず倍返しの毒舌をくらう日々。

仲が良くも悪くもない不思議な関係のまま、やがて結真にあるやっかいな特性があることが分かります。その特性により結真は悩み、自信が下した決断によって、二人に大きな転機が訪れます。はたして、二人の関係はどうなってしまうのか?

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「天野家四つ子は血液型が全員違う。」



天野家四つ子は血液型が全員違う。 1 (ヤングジャンプコミックス)

おすすめコミック。空えぐみ著、週刊ヤングジャンプ連載終了、全二巻完結。

血液型が全員違う天野家の四つ子。A型=几帳面なギャルあさひ、B型=マイペースな美形まひる、O型=社交的な巨乳ゆう、AB型=不思議ちゃんキャラのこよる、血液型がバラバラで、性格も容姿も異なる変な姉妹。彼女らのクラスを受け持つ担任の八代は誠司は、姉妹四人の性格の違いは血液型が原因では? と調査を始めてみることにした。

血液型ごとの特徴、というよくわからない迷信がありますが、本作はそのイメージに沿ってキャラクターが作られており、その行動を分析する、という形式になっています。

例えば、長女のあさひは、容姿はギャルっぽいのですが、中身は真面目で几帳面。整理整頓が好きで、気配り上手、倹約家というA型タイプの女の子です。いい加減なB型のまひると喧嘩することも多々あり。

他の姉妹も血液型ごとの特徴を持ち、同じ姉妹なのにまったく性格が違うために、同じことをするにもバラバラな行動を取るという面白さと、それを陰ながら調査していく八代先生のコメディもの。

二巻完結となっており、最後はネタ切れっぽく終わっていますが、ささっと見る短編ものとしては、ちょうどいい感じです。

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「パルパル&ロケッタ」



パルパル&ロケッタ 全1巻 (ヤングキングコミックス)

おすすめコミック。おがきちか著、ヤングキングアワーズ連載完結。

王子様と結婚したい。めちゃくちゃ強い女勇者・パルパルティーナは、玉の輿を目指して今日もモンスター退治。ついにさらわれた王子様を助け出したと思ったら、とってもぽっちゃりな残念王子だった……。そればかりか、王子・スピアンは城からも追い出されてしまった。パルパルティーナはスピアンをダイエットさせるために、今日もやせ薬(マジックアイテム)を探しながら、懲りずに玉の輿探しを続けるのだった。

強くてスタイル抜群の勇者パルパルティーナと、優しいけどちょいおデブの王子スピアン、パルパルティーナのエージェント・ロケッタの三人が中心となって話が進みます。王子を痩せさせることができるアイテムの探索依頼を受けてモンスター退治に向かうものの、誤情報でずっこけたり、別の王子を救出依頼を引き受けるものの、ちょっとイメージと違ってがっかりしたりと、コメディ冒険ものです。

とにかくテンポがよい。モンスターはほぼ瞬殺し(パルパルティーナは超強いので当然)、その後の展開で見せる感じです。連載が短くて残念ですが、オチもついて、よくまとまっています。同録されている他二篇も面白い。デブが優遇されている珍しい作品となっております。

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「オパパゴト」



オパパゴト(1) (シリウスKC)

おすすめコミック。白梅ナズナ著。月刊少年シリウス連載終了、全3巻完結。

由緒正しき女学校、薔薇ノ宮女学園で行われている疑似家族計画。ランダムに選ばれた生徒たちが家族となり、貧乏長屋から暮らしをはじめ、他の家族(ライバル)たちと戦い、生活の質を向上させるリアルおままごとバトルである。とある理由で父親役に任命された夏川春日(なつかわはるひ)は、見ず知らずの少女たちとともに、疑似家族生活を開始するのであった。

おままごとからもじったタイトルですが、タイトルに偽りなく、まさしくおぱぱごとをすることになる主人公の春日。彼女自身は学園の生徒ではなく、自分そっくりの生徒の代理として送り込まれます。もともとは粗野な性格の春日が、お上品なお嬢様学校に編入することになり、カルチャーショックを受け、また、女子なのにいきなり父親として任命されたことについては大混乱。それも嫁と一男四女の大家族!

最初は戸惑う春日ですが、一家の主として、家族をまとめるために奔走します。缶詰の開け方も知らない家族たちの面倒、新婚初夜(?)、ライバルの家族たちとの戦い……。心休まるときはない。やがて春日たちの疑似家族は、困難を乗り越え、本物の家族の絆を紡いでいきます。そんな中、急に訪れる一家崩壊の危機、そこでとった春日や家族たちの行動とは?

一応百合モノ?かと思われ(家族としてあまりにも自然すぎて感じられない)、特に嫁役の紫(ゆかり)さんは、役柄を超えて春日に愛情を注いでいきます。ぽやっとした人なのですが、本気になると色々と情け容赦ないところが魅力です。要所要所で重要な役目を担い、この人あっての春日家といえるでしょう。

もっと長く続いてもらいたかった良作。個性豊かな家族たちの個々のエピソードが見てみたかった……。とはいえ、短い中でも、エンディングは秀逸なので、ぜひとも読んで頂きたい。

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「PiNKS」


PiNKS (リュウコミックス)

オススメコミック。倉金篤史著。月刊COMICリュウ連載終了。1巻読み切り。

性に興味を持ち始めた二人の小学5年生、弥彦と更紗。弥彦は男の子のスケベ心から、更紗は純粋なる愛と美を知るために、協力してえっち本を探すことになった。大人たちの目から逃れ、えっち本を手に入れるために奔走するが、そこに大人の女性、ヒロセさんが現れて……。

年頃の少年・弥彦は単なる好奇心のため、ませた少女・更紗は「人の愛と美と性を記録した現代の禁書」を探すために、共同戦線を張りエロ本を拾う、買う、とにかく手に入れるために小冒険をする、そんな話です。二人の動機が違うことがポイントで、同じ目的なのに得たい答えが大きくズレている、そのことが原因で終盤に大きな衝突を生むことになります。

物語の途中からは、どうやらワケありっぽい大人の女性・ヒロセが登場しますが、彼女もまた二人の障害となり、また大きな影響を与える人物になっていきます。

はたして、二人の子供はえっちな本を手に入れ本懐を遂げることができるのか? その道程で何を得、何を失うのかが見所です。ちょっとかわったスタンド・バイ・ミー。

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「相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展」

相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展

相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展 チラシ

相田裕著「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー ガール)」の、なんだか重厚なタイトルがつけられた展示会が催されます。

2013/10/11~2014/01/26まで、場所は東京千代田区の明治大学米沢嘉博記念図書館、火・水・木曜日はお休みですのでご注意を。件の図書館は、明治大学付属の、まんがとサブカルチャーの専門図書館で、古い漫画やサブカル誌を大量に保管、展示しており、閲覧可能なものもあります。

今回展示されるものは、展示用描き下ろしイラストの制作工程、単行本の表紙ギャラリーや、作品の制作プロセス、著者の仕事一覧などになるようです。もちろん、直筆のネームも見ることができます。……ただ、内容がタイトル負けしてないか?

関連イベントとして、マンガ研究者・泉信行が本作の魅力を語るトークイベントや、相田裕が指導するワークショップ、来年には相田裕のトークイベントなどあるようです。詳細はオフィシャルサイトを参考に(チラシもあります)。機会があれば行ってみたいと思います。〆

「無敵看板娘」


無敵看板娘 1 (少年チャンピオン・コミックス)(Amazon)

オススメコミック。週刊少年チャンピオン連載終了、全17巻完結(続編「無敵看板娘ナパーム」も全3巻完結)。佐渡川準著。著者は8/13未明に逝去、享年34歳、死因は首つり自殺か。ご冥福をお祈りします。

とある町の小さなラーメン屋・鬼丸飯店の看板娘・鬼丸美輝。彼女の主な仕事は出前……なのだが、少年野球に乱入したり、不良を退治したり、道草くってサボりまくり。特に向かいのパン屋の看板娘・神無月めぐみとはライバル関係にあり、何かと張り合ってはご近所に迷惑をかけている。童心を忘れない、いい大人が暴れまくる格闘ギャグ漫画。

第一話で、ヒロインが母親の鉄拳制裁を受けゲロを吐くという、斬新な始まり方をする作品。ヒロイン美輝は、最強の母親から受け継いだ「鬼丸流葬兵術(即興技)」を駆使し、ライバル達とバカバカしい戦いを繰り広げます。まともに出前に行けない、という致命的な看板娘。とにかく悪が大嫌い、正義のために子供の喧嘩にも首を突っ込むというアホ娘。しかし、その天真爛漫さが町の人たちから愛されています。

個人的に好きなエピソードは、サーカス団を抜け出したキリンとガチで戦うお話(153話「迷える巨獣」)。”キリンの蹴りは大抵の動物をしに至らしめる破壊力”であり、加えて凄まじいリーチのヘッドバッドに対し、真っ向勝負を仕掛ける人間代表、ラーメン屋の出前・鬼丸美輝。はたして勝敗の行方は!? という、すごい発想のエピソードです。

この作品はアニメ化され、そこそこの人気だったと記憶してます。原作に忠実だったのは良かったです。以下、オープニング映像ですが、もちろん本編はこんなにシリアスな話ではありません。

試し読みはこちら

「石影妖漫画譚」

     

石影妖漫画譚 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。河合孝典著、週刊ヤングジャンプ連載終了、完結。

江戸時代、ボロ長屋の一角に住む烏山石影(からすやませきえい)は、妖怪を専門に描く変わり種の絵師。妖怪に異常な関心を持ち、妖怪の噂を聞きつけては危険を顧みることなく出向いてき、その姿を描くことに情熱を注ぐ偏執狂。彼の持つ妖筆「毛羽毛現(けうけげん)の筆」で描かれたモノは、具現化して妖怪と戦う能力を持ち、その力で身を守ることができるが、その能力ゆえにさまざまな事件に(自分から)巻き込まれることになる。

突出した人気はないだろうし、すでに完結した作品ですが、リンク先には試し読みやらWEBオリジナルアニメやらコンテンツは非常に充実しています。ずいぶん偏った人気があるのだろうか?

石影の元には、街の人々から妖怪に関するさまざまな事件が持ち込まれます。多くは危険な妖怪の仕業。彼は妖筆の力を借り、個性豊かな妖怪を召喚、妖怪たちと戦い事件を解決に導きます。筆を持てばべらぼうに強い彼ですが、一方で、妖怪に関係ないものには一切興味を示さず、収入なく食うことすら事欠く引きこもり絵師です。こんな大人になっちゃだめだ。

彼に味方をしてくれる妖怪もいます。その一人が妖筆を与えてくれた毛羽毛現(けうけげん)(←2巻表紙)。髪盛り過ぎちゃって、不思議な髪形になってますが、れっきとした妖怪です。時には彼女の助けを借り、強力な妖怪と対峙します。ちなみに歌舞伎俳優大好きのミーハー。

序盤は短編が主体ですが、中盤以降は巻をまたぐような中編、長編の多い作品です。ストーリーが良質、キャラクターも多彩で書き分けができているし、次回作も期待できる漫画家の1人だと思います。是非。〆

※この記事は2013/02/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC) (Amazon)

11月に第一作の劇場公開を控える「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン 連載中。

小説のコミカライズにろくなものがないイメージがあったので敬遠してましたが、読んでみたら意外とよかった。帯&巻末の原作者メッセージは褒めすぎにしてもかなり読める。

画はさほどうまくないものの、コマ割りと構図が優秀、アクションとスピード感(緩急)も十分なレベル。ヒロインの内向的(だけど暴力的)な性格も良く出てると思います。

作画風景がYouTubeにアップされていますが(参考動画(YouTube))、著者は新人の女性なんですね。末恐ろしい。

現在は最新の2巻が発売中。原作小説は全3巻で発売中。なお、ライトノベルではなくハヤカワ文庫SFなのでお間違えなきよう。〆

「釣り屋ナガレ」

釣り屋ナガレ 8 (少年チャンピオン・コミックス)(Amazon)

オススメコミック。竹下けんじろう著、週刊少年チャンピオン連載終了作品。

釣りを題材にした漫画です。もうすぐ完結全11巻。何となく8巻の表紙が好きなのでサムネイルにしてみました。ワカサギ釣って天ぷらにしてウマいの図。

主人公の釣り屋・流氷馬は釣りで生計を立てながら全国を巡っている少年。氷馬が扱うのは釣果、釣り場の情報、エサなど釣りに関するものすべて。依頼人の要望に応え、あるいは未知の獲物を釣るために創意工夫を凝らして戦う物語。

途中、連載の中断もあって勢いが落ちますが、あの手この手で魚達と戦うナガレが素晴らしい。特に対マグロ戦はアイデアが斜め上をいきすぎてツッコミようがない釣り方をします。釣るというか襲いかかるというか……。他にもいろいろ、釣りが好きなら見ておいて損はないでしょう。〆

※この記事は2011/03/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「淀川ベルトコンベアガール」

淀川ベルトコンベア・ガール 1 (ビッグコミックス)(Amazon)

オススメコミック。村上かつら著、「月刊! スピリッツ」連載。

家庭の事情で高校に行けず、淀川沿いのベルトコンベア工場で働く少女、瀬川かよ。一人ぼっちの彼女には友達が欲しいという切実な願いがあった。淀川を走る電車の橋の下で、願いを叫ぶと叶うというおまじないを信じ、「ともだちが、ほしい!!」と叫ぶと、ある日工場にクールな美少女がやってきた。工場には場違いな彼女の名は、黒埼那子。何か理由があってアルバイトを始めたらしいが……。はたして、かよは那子と友達になることができるのか。

大人たちと働き同世代の友達がいないかよと、学校で好きでもない友達に囲まれている那子。工場で働くかよと進学校に通う那子。寮生活のかよと家族と暮らす那子。まったく異なる二人の少女の友情ストーリーです。友達とは何なんだろうか、と考えさせられる作品。

1巻はかよが主役、2巻は那子が主役の修羅場。負けるな那子。なんとかついていけかよ。〆

※この記事は2011/04/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「さよならフットボール」

さよならフットボール(1) (KCデラックス)(Amazon)

超オススメコミック。「冷たい校舎の時は止まる」の新川直司著、マガジンイーノ連載終了、2巻完結。漫画好きなら絶対に読んでおくべき名作。

中学二年生のサッカー部員、恩田希(おんだのぞみ)は華麗なテクニックを持つスーパープレイヤー。女子サッカー部がないために男子サッカー部に所属し、男子にも負けないほどの実力だったが、フィジカルが違い過ぎて試合には出してもらえなかった。彼女にはどうしても新人戦にでなければならない理由があり奔走するが……。

女子が男子のスポーツで負けじと頂点を目指すという作品は数多ありますが(「ノノノノ」とか)、基本的にはファンタジックな内容が多く、つまりは現実的ではないのが本当のところ。一方で本作はフィジカルの差を前提にしつつも、これぐらいならやれるかもしれない、という夢を抱かせてくれます。

中学二年生という年齢が絶妙で、本編でもヒロインのジレンマとして登場しますが、小学生までは自分の方が背が高かったのに、成長期を迎えた男子達に次々と追い越されていく年頃。互角に渡り合えた子供たちに、性別の違いと言うだけで太刀打ちできなくなっていく。「私にはたぶん時間がないんだよ」の台詞通り、最後の戦いが新人戦という崖っぷちヒロインの戦いの物語。

恩田希が新人戦に固執する理由とは? 果たして試合に出ることができるのか? 勝敗の行方は? 2巻完結とシンプルなショートストーリーですが、長すぎず短すぎず丁度よいぐらい。サッカーの描写も台詞回しも上々。青春漫画としては抜きんでている、是非とも読んでもらいたい。〆

※この記事は2011/05/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「月華美刃」

月華美刃 1 (ジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。”げっかびじん”と読む。「TISTA」の遠藤達哉著、ジャンプスクエア連載中。

月の国のお転婆皇女・竹之内カグヤは、勉強嫌いのわがまま放題で配下の者たちを困らせていた。成人の儀を迎えようとしていたある日、母の銀后・フジヤが病に倒れる。母の思いをくみ改心して皇女らしくしようとするカグヤだったが、成人の儀がテロリストに襲撃され、一人地球に逃れることになってしまった。月の民から囚人の星・穢星と呼ばれる地球で、カグヤの月へ帰るための戦いが始まる。

カグヤ姫を下敷きにしたアクションもの。ノリとしては「ワンピース」に近い。巫暈支(フツヌシ)と呼ばれる伝国の宝刀を使い、個性豊かな追手たちと戦って行く。時代的には平安時代ぐらいか? 地球に対して月の技術ははるかに進んでいて、宇宙船や衛星があるような世界観です。お供に医者がいたり永遠の命があるわけではない。

一人前の皇女になろうともがくカグヤの成長譚ですが、実力に対して強力すぎる巫暈支(フツヌシ)の力をどう制御し戦っていくかが見所。サブキャラクターたちも個性豊かでキャラが立ってます。下地はできているので、この後のストーリー展開に期待大。

試し読みはこちら。1巻の半分近く読めます。〆

※この記事は2011/05/22に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「君と僕のアシアト~タイムトラベル春日研究所~」

君と僕のアシアト~タイムトラベル春日研究所~ 1 (ジャンプコミックスデラックス)(Amazon)

オススメコミック。よしづきくみち著、スーパージャンプ連載中。「魔法遣いに大切なこと」「フレフレ少女」のコミカライズを手掛けた著者のオリジナル作品です。

若き科学者・風見鶏亜紀(かざみどりあき)が経営する春日研究所は、研究所のある春日市内を20年間に渡りスキャンし続けたデータによって、望む時間・場所を模した架空の世界を脳内に再現することができる。被験者はまるでその時にタイムトラベルしたような体験ができるが、あくまで架空の世界であるので、現実の世界には影響を与えない、というもの。

よくあるタイムトラベルものですが、あくまで疑似体験であり、何かしたところで世界の改変はされない、という点で異なります(ただし架空世界に干渉することはできるし、短期間であれば生活が可能)。

現時点で最新刊は3巻。最初の方は忘れていた約束を思い出したり失くした物を探したり、イイ話の佳作ですが、最愛の妹の瑞紀(みずき)の登場とアシアト部屋の存在が分かってから一気に面白くなります。結構長く続きそうなので今後に期待。

なお、試し読みはこちら(集英社漫画ネット)。〆

「エンマ」

エンマ(1) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原作:土屋計、ののやまさき著、月刊少年ライバル連載終了。全8巻完結。

戦争、虐殺などで、冥府では多くの死者が溢れすぎて、閻魔王様には裁ききれない。故に原因を滅するためにエンマが人界に遣わされる。エンマは閻魔様に造られた紙人形で、対象の骨を抜いて絶命させる力を持つ。戦争の首謀者、犯罪者、今は平凡でも将来に脅威となる者、国時代老若男女問わず、閻魔様の命に従い始末する。複雑な人の心を理解できないエンマであったが、多くの人間の死に立ち会い成長していく。

和風モノかと思いきや海外での活躍が多いエンマさん。イギリスでは切り裂きジャックをしばいたり、古代中国の偉い将軍をしばいたりします。中世のお話が多いようですが、未来のコロニーにも出没するなど、非常にバラエティに富んだストーリーが展開されます。最初は無感情なただの紙人形だったエンマも、ライバル・ナユタとの出会いや、地蔵菩薩様との邂逅で次第に成長してきます。はたして、彼女が人のために泣き、笑うことができる日は来るのか。

話も絵も上質で、万人にオススメできる良作。完結しているので一気読みにも最適(ただしマイナーなので全巻綺麗にそろう書店はほぼないと思われる)。試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/06/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「アカンプリス」

アカンプリス (TSコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「エクセルサーガ」などシュールなギャグ漫画を得意とする六道神士 (りくどうこうし)の1巻読み切り作品。少年画報社の男女逆転ものコミック誌「チェンジH」連載終了。

超お嬢様学校に転入した普通の女子高生三条宝(さんじょうたから)。転校早々はしかで寝込んでしまい、一週間ぶりに学校に来てみれば、休んでいるうちに生徒会役員に任命されていた。良家の子女で頭脳明晰容姿端麗がそろっていると噂の生徒会役員達であったが、宝が生徒会室で目にしたものは……。

主人公が男女逆転、ではなく生徒会役員が男女逆転。しかも筋骨隆々の大男ばかり。彼らはそれぞれの理由があって、他生徒にばれないように女子高生のふりをし続ける。がしかし、他の生徒は彼女ら(彼らが)男だと分かっていてからかっているという構図。

バレているとも知らず必死に演技するごつい生徒会の面々と、それをおもちゃにして楽しむ生徒たち、間に挟まれ奔走する主人公の学園バカコメディ。六道神士特有のぐだぐだ感がなく、キャラクター、ストーリー、テンポも良く、最後まで楽しめる良作です。〆

※この記事は2011/07/18に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「世界制服」&「聖モエスの方舟」

     

世界制服 1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)
聖モエスの方舟 1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「センチメントの季節」など文字通りセンチメンタルな作風を得意とする榎本ナリコ著、サンデーGX(ジェネックス)連載終了と連載中。

「世界制服」は”世界””制服”と”SF”をテーマにしたオムニバスギャグ作品。いわゆるセカイ系作品で、主人公の行動いかんで世界がどうにかなってしまうというお話がメイン。ニートの超能力少年、現実世界にアップロードされたバーチャル美少女、地球侵略しに来たはずの異星人など、奇想天外な主人公たちが登場。

その中の一節にあるのが「聖モエスの方舟学園」で、宇宙戦艦の士官学校で戦う少女たち…をテーマにしたフィギュアシリーズのフィギュア達のお話。短編ではありますが、作者曰く「うっかりぐるぐる考えていたら、ものすごく世界観が広がってしまった」(あとがきより)とのことで、スピンオフ作品として連載が開始されました。それが「聖モエスの方舟」。

男子が希少となってしまった未来の地球。モエナ・ジェラシードは、聖モエス学園が共学であるのにつられ入学するが、入学式の日に学園は宇宙船へと形を変え宇宙に飛び立つ。実は学園は謎の敵と戦う宇宙戦艦で、人類を救うための能力を持った少年少女たちを育成する士官学校であった。戸惑うモエナと仲間たちに対し、宇宙の向こうから大エネルギー弾・星弾(エトワーレイ)が降り注ぐ……。

「世界制服」はサブカルネタを多分に織り交ぜたギャグ漫画。それまでの作者の作風とはまったく異なる作品で、新境地というか暴走ぶりが素晴らしい。怪作が多く楽しめます。試し読みはこちら

「聖モエスの方舟」は設定先行で描かれているようで、左の第一巻表紙はモエナの変身した戦闘服姿(本人に資質があれば身につけている宝石で自由に変身できる)なのですが、……2巻が終わってもいまだ変身してません。重厚なSF大作のように、世界観設定や前フリを押さえつつじっくり話が進んでいきます。漫画的にはこんなゆっくりペースで大丈夫かと心配する反面、いよいよ変身となったらどんな力を発揮するのか楽しみでもあります。

尻つぼみにならず、10巻以上長く続けば名作になるかも。期待を持って推薦〆

※この記事は2011/07/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「てんむす」

てんむす 1 (少年チャンピオン・コミックス)(Amazon)

オススメコミック。稲山覚也(いなやまかくや)著。週刊少年チャンピオン連載中。

その昔、巫女たちが祭祀の際に行ったとされる大食い競技があった。天地の恩恵を受ける巫女らは人々に尊敬され「天壌宇迦産霊神子(あめつちうかむすびのみこ)」、すなわち「天娘(てんむす)」と呼ばれた。

時は流れ現代、祭祀は天食祭と呼ばれ今も続いていた。選手はみな女性で学生、聖地・以勢神宮での全国大会を目指して、各校の食い道部による戦いが行われている。小さな体に似合わず大食いの少女・春風天子は、食いしん坊であることから女の子扱いされないことに悩んでいたが、大食い競技の魅力にひかれ(大食いでも美しい部長に魅かれ)競技に打ち込むことになった……。

大食いという珍しいジャンルの漫画です。本作では大食いをスポーツと位置付け、勝つための大食い技術、知識、科学などのウンチクを散りばめながら、青春モノとして楽しく読めるようになっています。

そば14人前やらカツ丼3人前とか聞くだけで胸がむせてしまいそうですが、天子は極上の笑顔で楽しそうに食べる不思議な娘(んっ…まいよぉ~♪)なので不快感を感じない。苦痛に顔をゆがめるライバルたちとの対比もあって可愛らしい。また、食べるモノによって戦略が変わるのが良い。ただ食ってるだけではダメ。かつ食ってばかりでもないので、お話としても面白い。これは良作。

現状の最新巻は第2巻で、食い道部の仲間たちのエピソードを抑えつつ、いよいよ天食祭予選が開幕、1回戦を戦っています。展開として、大会が始まるのがちょっと早すぎるような気もしますが、まだまだ伸び白十分。今後も期待。〆

※この記事は2011/08/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ゆりキャン」

ゆりキャン 1 (ジェッツコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原田重光 (企画・原案)、 瀬口たかひろ (イラスト)の「オレたま」コンビの作品。ヤングアニマル連載中。著者の代表作として他に「オヤマ菊之助」など。

超名門女子大に通う女子大生・ゆりか。端正な顔立ちの割に男にモテず、なぜか女子からは絶大な人気で、本人はいたってノーマルな女子だったが、多くの女性から求愛を受け困り果てていた。ある日、ゆりかの父親の会社が倒産し莫大な借金を背負ってしまう。窮地に立たされたゆりかは、女にモテる才能を利用し”スケコマシ”として女に食わせてもらう生活を始めることに……。

ちょっとエッチな青年向けなので紹介を止めておこうと思いましたが(一応全年齢向けのサイトです)、オススメせざるをえない面白さだったので紹介。

スケコマシ、あるいはジゴロと言った方が分かりやすいかと思いますが、女性の家に転がり込んで働きもせず飯をおごらせ金をせびるダメ人間のことですね。通常は男がなるものですが、主人公は女、百合展開が待ってます。主人公はいたってノンケ、対象となる女の子たちも基本的にノンケ。しかしそれすら超越してしまう主人公の魅力とテクニックで、次々と落として虜にしていきます。

虜にして何するかと言えば、ご飯をおごってもらう程度。ただし後半になると、落とせない女をプライドにかけて落とす、というわけわからん展開になっていきます。実にバカな努力ですが、口説き方も馬鹿馬鹿しくて良い。

ゆるいユリよりガチなユリ(?)がお好きな方は是非。〆

※この記事は2011/08/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「CLOTH ROAD(クロスロオド)」

     

CLOTH ROAD 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。脚本:倉田英之、漫画は「月面兎兵器ミーナ」や擬人化キティ(猫村いろは)で知られるOKAMA著。ウルトラジャンプ連載終了、全11巻完結。キラキラした表紙が特徴です。

繊業革命によって人類の文化が大きく変わった世界。ケーブルは糸に基盤は布地に、コンピューターは人間の衣服となった。”デザイナー”によって多彩な機能を盛り込んだ衣服が仕立てられ、”モデル”がその服を着て闘う”ウォーキング”バトル。捨て子の双子姉弟ジェニファーとファーガスは、自分たちの両親を探すため、ウォーキングで賞金を稼ぎ旅に出る。

モデルらしからぬ猪突猛進の姉・ジェニファーと、真面目だけど煮え切らないデザイナーの弟・ファーガスコンビのバトル&旅もの。独特の世界観が特徴の本作ですが、モデル=ファイター、衣服=武器内蔵戦闘服、デザイナー=衣服開発者、と置き換えれば大体合ってます。デザイナーやブランドによって製作される衣服が異なり、フリフリドレスだったりジャージだったり和服だったり、仕込まれた機能も多種多様。著者のデザイン力もあり、これら衣服が非常に魅力的。

数多く登場するトップモデルの中でも、メイ様ことメイ・ジューンは比類ない魅力をお持ちです(←8巻表紙上)。美と強さの探究者、強く、気高く、美しく、あふれる超カリスマ性と狂気。各国のトップモデルらを秒殺していく圧倒的パワーと戦いのセンス、転んでもただでは起きないリベンジ力、乱入、乱入、乱入。物語中盤でガキモデルどもに苦汁をなめさせられることになっても、終盤の見せ場できっちり全滅させる鬼メイ様。ああ素敵すぎる……もうこの人が主人公でいいんじゃないか?

やや話がそれましたが、天才と凡才、親と子、師と弟子。出会いと別れを繰り返し成長していく姉弟の物語です。独自の世界観とスケールの大きさ、漫画だけど色やツヤを感じさせる色彩美が特色の作品です。あとメイ様。

試し読み…というかヴォイスコミックはこちら。一巻丸々、すげえ。〆

※この記事は2011/11/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。