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「バレーの球語」



バレーの球語(1) (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。僕男(ぼくおとこ)著。裏サンデー連載中。個人的にかなりおすすめの作品になりそう。

25歳のフリーター冴島春男。高校時代は熱心にバレーに打ち込んでいたが、今はバイトとパチンコだけのしがない人生。そんな春男に転機が訪れる。友人から高校のバレー部のコーチを務めてくれないかと頼まれ、再びバレーに関われるならと快諾したのだった。しかし、彼が担当することになったのは、男子ではなく女子バレー部だった……。

青年と少女たちのスポコンバレー漫画です。主人公春男と、ヒロインたちの二つの視点から物語は進みます。

自分のミスで最後の大会に負けたことに、今もトラウマを持っている春男。大学ではこれといった目的を持てず中退、その後はなんとなくフリーターを続けているという、なんともパッとしない感じに。思い出すのはかつての自分とミスばかりでしたが、コーチを託されたことで奮起し、再びバレーボールに向き合うこととなります。しかし、男子かと思ったら扱いが難しそうな女子チーム。しかも、思ったより体が動かなくなっている自分に再度失望してしまいます。

そんな彼が出会ったのは、まさにこれからバレーを始めようかという初心者少女・七瀬零奈(ななせれな)。レシーブを教えてと頼む純真で夢見る彼女に勇気をもらい、いつか「どっかんスパイクを打たせてやる!」約束をします。それからは、がむしゃらに、ひたすら自分に向き合い始めます。何かをやるんだ、とにかくやるんだ、やらなきゃだめなんだ、という強い意志を取り戻し、戦う青年(オッサン)が熱く描かれています。

一方で、彼の教え子たちも曲者ぞろい。特に孤高の3年生コンビ美波楓(みなみかえで)と本宮蘭(もとみやらん)は、かつてとある事件で他の部員が去ってしまった後も、二人きりで強くなろうと努力してきた異端の猛者。熱血とか友情とか、少年漫画のような青春を謳歌する少女二人に、春男はどう向き合きあい、信頼を勝ち取ることができるのか。

コーチとして成功し、かつてのトラウマを払しょくすることができるのか、教え子たちはバレーを通して何を学んでいくのか。テーマも面白いし、キャラも可愛いし、色々と展開ができそうで、この先楽しみです。

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「HUMANITAS ヒューマニタス」



HUMANITAS ヒューマニタス (ビッグコミックス)

おすすめコミック。山本亜季著、ビッグコミックスペリオール連載終了。

15世紀の中央アメリカ。ネイティブアメリカンの部族の中で、双子として生を受けたオセロット。掟のために、儀式の日まではひたすら剣の技術を磨き続ける日々。師匠であるネスロの元、儀式の内容を知らぬまま、ひたすら稽古にあけくれる。しかしオセロットは、目が見えないというハンディキャップがあった。このまま儀式に向かえば必ず命の危機が訪れるという……。弟子の窮地に、師であるネスロが下した決断とは?

全3編のオムニバス作品集です。どれも人間ドラマとして完成度が高く、じっくりと読める形の良作です。愛する人のために戦う主人公たちを描いていますが、困難の中、力強く、誇り高く生きていく様は見る者に勇気を与えてくれます。これで新人とか末恐ろしいかぎり。今後の期待も込めておすすめです!

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「人魚姫のごめんねごはん」



人魚姫のごめんねごはん 1 (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。原著:野田宏、イラスト:「盤上のポラリス」の若松卓宏、やわらかスピリッツ連載中。

お魚たちの王国に暮らす人魚姫・エラ。ある日、友達の鰹男(かつお)が人間たちに釣られてしまったことを知る。冷酷で野蛮な人間は恐ろしいが、鰹男の供養のために、地上の魚料理屋へ行くことを決意したエラ。そこで彼女が見たのは、鰹のたたきにされてしまった鰹男だった。手を合わせ供養するエラだったが、客の一言で、禁断の行為に手を出してしまう……。

居合わせた客の(食わずに帰るなら)「釣られたカツオも成仏できねぇな」の一言で、カツオのたたきを食すことになったエラ姫は、そのお味に感動してしまうのでした。

お友達を食べちゃったという、その行為に強い背徳感を抱きながらも、美味を忘れることができないエラ姫は、第二、第三の被害者(魚)も供養のためと地上へ向かい、そしてそのお味を堪能してしまいます。決して食すまい、という誓いも美味の前では無意味。「ごめんね、〇〇、いいお味です」が決め言葉。

自分は人魚姫失格だ、という苦しみを抱きながらも、魚を食べるのはおいしい、という欲望に抗えない姫の、共喰いグルメコメディです。エラ姫がダメよダメよと言いながらも、自分の欲望に忠実なところが可愛くもあり、恐ろしくもある怪作。冷静に考えると、かなりサイコティックなエラ姫ですが、この人単なるあんぽんたんじゃなかろうか、と気づくと急に愛しくなる不思議。

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「バイオレンスアクション」



バイオレンスアクション 1 (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。原著:沢田新、イラスト:浅井蓮次。やわらかスピリッツ連載中。

いやしのデリヘル・ぷるるん天然娘特急便。一見普通の風俗店、しかし本当は殺し屋派遣業。所属する殺し屋の一人・菊野渓(きくのけい)は、簿記の学校に通う20歳の専門学生。ゆるーい感じの性格ながら、人を殺すことにためらいなく、たんたんと処理していく様は正にヒットマン。簿記検定2級合格を目標にしつつ、今日もターゲットを始末していく。

ゆるい。主人公の性格が。どこにでもいそうな普通の子、でも本業はヒットマン。というギャップが面白い作品です。殺そうとしている相手に笑顔で話しかけたり、クライアントから待ったがかかったときには、敵の目前で簿記の勉強を始めるという節操のなさ。友達と鍋をつついているときは、可愛らしい一面も見せます。

しかし、殺しの技術はピカイチ。対象がヤクザの事務所でも、ほぼ一方的に攻撃し制圧してしまうほどです。それが天性のものなのか、努力の表れなのか、まだ劇中では語られていませんが、そのあたりのミスティックな点も魅力。一体この子は何者なのか? クールでも熱血でもクレイジーでもない、ゆるふわ系ヒットマンの活躍にこれからも期待!

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「魔王城でおやすみ」



魔王城でおやすみ 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。熊之股鍵次、週刊少年サンデー連載中。

魔王に捕らえられてしまった姫君、オーロラ・栖夜(スヤ)・リース・カイミーンの悩みは、寝る以外やることがないこと……。幽閉されてはいるが、公務からも解き放たれ、扱いはVIP級、ご飯も意外と美味。しかし、安眠できたためしがない。どうすればよい眠りにつくことができるか? 今夜も安眠のためのアイテムを探しに、魔王城を徘徊するのであった……。

囚われの姫の快眠ライフを描いたファンタジーコメディ。まずは枕の質を上げるために、ふわふわしたモンスターの毛をむしることからスタート。トゲトゲのモンスターから針を抜き取って裁縫道具として、姫特製安眠枕を作り上げましょう。

牢屋のカギを持つモンスターを懐柔し、自由に魔王城を徘徊し始める姫。シーツ、ベッド、その他もろもろ、安眠のためのアイテムをかき集め、時に自作し、たくましく生き抜いていきます。

一方、人間の勇者や魔王・モンスターたちも、姫にひっかきまわされながらも、それぞれの役割を全うしようとがんばります。がんばるけれど、姫の粗相が原因で、基本的に取り越し苦労に終わります。かわいそうに……。

そんな姫とモンスターたちの安眠コメディです。
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「クリミナーレ!」



クリミナーレ! 1 (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。水色すいみん(鎌田一世、今野龍之介)、裏サンデー連載中。

「ナチュラルボーン被害者(生まれついての被害者)」という特殊な体質を持つ高校生・市村民人。窃盗、ひき逃げ、痴漢など、ありとあらゆる犯罪に巻き込まれていしまうという体質で、彼の周りは危険がいっぱい。そんな彼のクラスは、犯罪者たちを集めた特別なクラスだった。ストーカー、殺し屋、強姦魔、クラッカー……個性豊かなクラスメイトとともに、民人の学園ライフが始まる。

クリミナーレとは、イタリア語で犯罪者という意味。同名のCDドラマシリーズとは別の作品です。犯罪者予備軍を集めたクラスで、犯罪を呼び寄せる主人公とクラスメイトとのドタバタコメディです。

ストーカーのヒロイン・小森さんをはじめ、次から次へとヤバイ奴ら(犯罪者予備軍)が登場します。基本的にネジが外れているため、それはまずいでしょ、というのをとことんやるのがいっそ清々しい。

主人公の方はというと、ラッキースケベの要領で犯罪を呼び込んでくるので、それもまた大迷惑。ただし、犯罪に巻き込まれ慣れしているため、防弾チョッキを着こんでいたり、吹き飛ばされても華麗な五点着地を見せるなど、人間性能は高い。凡庸ながらサバイバリティが高いという、今までにいなかった主人公で好感度高し。

3巻以降は、そんな彼らの天敵・怪盗ハルカナも登場し、恋の戦争が勃発します。流れ弾をくらったクールな殺し屋・セーラがどんどん可愛くなっていくのですが、それは読んでみてのお楽しみ。

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「ダンベル何キロ持てる?」



ダンベル何キロ持てる? 1 (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。原著サンドロビッチ・ヤバ子、イラストMAAM。裏少年サンデー連載中。

紗倉ひびき、17歳、高校二年生、趣味は食べ歩き。最近太り気味だと友人に指摘され、ダイエットのためにフィットネスジムに通うことにするが、入ったジムは格闘家も通う本格的な肉体トレーニング用のジムだった……。尻込みするひびきだったが、たまたま一緒に入会したお嬢様・奏流院朱美(そうりゅういんあけみ)や、さわやかイケメントレーナーに励まされ、一緒に筋トレ&ダイエットに挑戦することになった。

ダイエットのはずが筋トレになってしまったギャル女子高生の話。太り気味とはいえ、プロポーションはそんなに悪くなく、しかしスレンダーというわけでもなく、という体型のひびき。一方、朱美は抜群のプロポーションと肉体能力を持つものも、偏執的な筋肉フェチという、女子としては怪しい一面を持っています。

筋トレの実用漫画ではあるのですが、なぜか喘ぎ声を出したり、妙に露出が多いなど媚び要素を忘れていない健全図書。喜怒哀楽が激しいひびきの顔芸も見どころ。これだけ破顔するヒロインも珍しい。

色々と知識を得るうちに、なんとなく筋トレしなくてはと思わせてくれる作品。もうちょっとやせないと……。

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「おにでか!」



おにでか! (1) (ヒーローズコミックス)

おすすめコミック。矢寺圭太著、pixivヒーローズ連載中。

女子高生・鬼龍院花生(きりゅういんはなお)は学校のアイドル。男子たちからモテモテだが、色恋にはあまり興味はない様子。いつも幼馴染の渡辺武蔵(たけぞう)をこき使っては、自分に言い寄る男子たちを追い払っていた。さんざんパシリに使われていた武蔵は、このまま甘やかしていてはいかん! と一念発起し、これからは世話を焼かないことを宣言する。ショックを受ける花生だったが、そこに謎の雷が落ちてきて……。

パトロール中の事故で命を落とし、異星人と一心同体となって地球守ることになったのはハヤタ隊員=ウルトラマン。本作では、似たような事故で死んでしまった少年・武蔵に宇宙生命体コスメスが宿り、その場にいた花生には巨大化能力が身についてしまいます。そして、世界を救うために、次々と現れる外敵と戦うことになっていくことに。

現れる敵の正体は不明。どうやらコスメスと同じような宇宙生命体らしいことがわかります。また、花生は「ときめき」の力で巨大化し、どんどん強くなります。それはビルより大きく、体育館を押しつぶすほどに……。恋する乙女ほど強くなるというスーパーヒーロー(ヒロイン?)なのです。

なお、戦闘方法は、殴る・蹴る、のまんま肉弾戦です。スペシウム光線や剣・盾など便利な武器はありません。思いっきり蹴り飛ばします。戦う相手も人型ですが、序盤の強敵・メイドアイドルは斬新な攻撃方法を繰り出してくるため、元はひ弱な女子高生である花生は大苦戦。圧倒的火力に立ち向かうために花生がとった行動とは……。

巨大少女というジャンルになると思いますが、この作品は”巨大になっている”という描写が非常に優れています。ビルの合間に立つ花生や、よろけて地面を踏み抜くカット、校舎に乗った花生をロングショットで描くシーンなど、被写体の大きさを強調するために、怪獣映画や特撮物でよく使われる手法ではあるのですが、よく描かれていると思います。そういったちょっとしたところをさぼると、迫力に欠いたり現実感がなくなっていくのですが、よくわかってらっしゃるという感じ。

また、絵柄は決して繊細な今風ではないのですが、表情がうまく描けているので、ヒロインがとても可愛らしく見えます。心理描写もばっちり。可愛いなあ、花生。

この先の展開も全く見えないので、続きも楽しみです。試し読みはこちら。〆

「駄能力JK成毛川さん」



駄能力JK成毛川さん 1 (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。菅森コウ著、やわらかスピリッツ連載中。

妖怪ちんげちらしのJK・成毛川蒔乃(なるもがわまきの)は、想い人里中くんの陰毛をゲットするために、彼の部屋で勉強会を行うことに。しかし、里中くんの部屋はきれいに掃除され、陰毛が見当たらない。あの手この手で里中くんの陰毛をゲットしようと奮闘するが……。

なんともくだらない能力を持った妖怪たちの、日常のような非日常を描いた作品です。ちんげちらしという発想がすごいですが、他にもヘンテコな能力を持った妖怪たちが登場します。

次第に里中くんを中心としたラブコメに発展していき、能力が関係なくなっていくのが惜しいですが、たまにとんでもない使われ方が発覚したりするところが面白い。

この手の作品はキャラが増えてなんぼだと思いますので、ヘンテコ妖怪をじゃんじゃん増やしていってもらいたいところ。

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「古見さんは、コミュ症です。」



古見さんは、コミュ症です。 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。オダトモヒト著、週刊少年サンデー連載中。

今日から始まる高校生活。特徴のないただの学生・只野仁人(ただのひとひと)は、期待に胸を膨らませて校門をくぐる。最初に出会ったのは黒髪ロングの超美少女。思い切って挨拶してみたが、奇妙な目でにらまれ、返事をしてもらえなかった……。後にその少女の名前は、古見硝子(こみしょうこ)だとわかる。そして、古見さんはコミュ症(コミュニケーション障害)で、人と話すのが大の苦手だったと判明。偶然その事実を知ってしまった只野は、古見さんの友達作りに協力することになった。

クラスのマドンナ的存在で寡黙な美人。でも、本当は人と話すのが大の苦手、「おはよう」すら言えない古見さん。周りは敬遠するけれど、本当は友達がたくさん欲しい、そんな女の子です。

只野くんは、そんな彼女にシンパシーを感じ、まったくしゃべらない彼女の友達作りを手伝うことになります。ただし、彼は特徴のないただの一般男子。彼らの通う学校には、一癖も二癖もある学友たちが通っていて、一筋縄にはいきません。

コミュニケーション能力の異常に高い幼馴染(ただし女装)、極端にあがり症の女の子など、一風変わった生徒たちと、コミュニケーション能力ゼロの古見さんを引き合わせるという、難儀な仕事に振り回されながらも、次第に古見さんと心を通わせていく只野くん。

無口な女の子、というのはよく登場しますが、本人は会話したいのにどうしてもできない、というのは珍しいのではなかろうか。現時点でまったく回復の見込みはないのですが、努力は感じる古見さん。はたしていつか二人の努力が報われるときが来るのか。

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「なのは洋菓子店のいい仕事」



なのは洋菓子店のいい仕事 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。「神のみぞ知るセカイ」の若木民喜著、週刊少年サンデー連載中。

丘の上のケーキ店「なのは洋菓子店」。気まぐれな天才パティシエの長男・大夢(タイム)、店をやりくりする次男の正路(せいじ)、末っ子のぱせりの3人が経営中。ただし、お店は経営不振。その理由は……パティシエがケーキを作ってくれないから? 丘の下の和菓子屋「しらかわ」とはライバル関係にあり、しらかわの美人姉妹・ほの香とかの香ともライバル関係。正路は今日もかの香に憎まれ口をたたかれるが、本当は嫌いじゃなくて……。

煙草を吸い、やる気はないけど天才パティシエ。というとんでもないキャラの大夢。ただし、これにはやんごとなき理由があり、物語が進むにつれ、その理由に登場人物たちは振り回されていきます。

店にやってくる個性的な客人のために、さまざまな洋菓子を作ります。グルメ漫画(?)らしく、ストーリーに合わせた洋菓子がたくさん登場しますが、大夢の作るケーキはどれもおいしそうで、たまにはケーキも食べてみたいと思わせるほど。

ラブコメ要素も色濃く、幼馴染でありライバルであるかの香を中心に、さまざまなタイプの女の子が登場します。この辺りは、「神のみ」で培ったキャラクターメイキングが活かされていると思われ、テンプレから少しプラスアルファしたような個性的なキャラが多く新鮮なのが特徴です。

ケーキに恋に。甘いストーリーに癒されます。そして甘いものを食べたくなる作品です。

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「雪花の虎」



雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。「海月姫」「かくかくしかじか」などの東村アキコ著、ヒバナ連載中。

戦国の英雄、軍神といわれた上杉謙信。武田信玄のライバルとして、歴史に名を遺す大人物ではあるが、実は彼が女であったとしたら? 男社会で強く生き抜く、女謙信の誕生と活躍を描く戦国大河絵巻。

上杉謙信が実は女だったかもしれない、というのは近年注目を浴びた俗説です。結構無理があるらしいのですが、それらしい伝承もあり、今でも小説などの創作物のネタになったりしています。本作は、その俗説を元にしてストーリーが構成されています。

謙信の生涯をなぞっていくので、歴史に詳しい人は男女置き換えて読み、戦国時代どころか歴史そのものが苦手な人は、時代背景説明と並行して書かれている別のコマで、東村先生がまったく関係ない話でお茶を濁してくれるという斬新な構成になっています。誌面の上部では歴史説明、下部では与太話をしているだけという……。

歴史にあまり関心がなくても、読者が楽しめるようにという配慮なのですが、それがあることにより、かしこまって読まなくてもよいエンターテイメントとして、本作を位置付けてくれています。ともすれば悲壮感ただよう戦国ものとしては、斬新な試みと思います。

もちろん、本編はいたって真面目なストーリーとなっており、女武将謙信の苦しみ、喜び、葛藤、そして激戦につぐ激戦を見事に描いています。今後ぶつかっていく武田信玄については、なかなかの曲者キャラとして、独特の味を出しています。彼は超強敵であり、謙信の秘密に迫る男になるに違いない。二人の対決が今から待ち遠しい感じ。

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「響~小説家になる方法~」



響~小説家になる方法~(1) (ビッグコミックス)

おすすめコミック。「女の子が死ぬ話」の柳本光晴著、ビックコミックスペリオール連載中。

小説「木蓮」編集部に届いた分厚い封筒。それは、新人賞の応募作品だった。データでの投稿という応募要項が守られていないため、捨てられそうになっていたが、偶然にも若手の編集者・花井の目に留まる。作者の名は「鮎喰響(あくいひびき)」、その小説は、芥川賞にも手が届くのではないかという名作だった。しかし、プロフィールがまったく記載されていないため、新人賞への推薦もままならない。はたして作者は何者なのか……。名作を埋もれさせてなるものかと、花井は奮闘する。一方、当の作者はなんと新女子高生。腕試しに応募した新人賞のことはさておき、文芸部に入部しようと門をたたくが……。

あらすじや表紙からイメージされるのは「文学少女」というフレーズであり、それは概ね正しいのですが、響の性格が非常にエキセントリックなため、そのイメージは覆されます。文学少女といえば、物静かで夢見がちで、窓際でいつも本を読んでいる印象ですが、響きは違います。

我が強く、他人が自分をどう思うが気にせず、立ちはだかる敵はぶち倒していくような強い文学少女です。文学部にはびこっていた不良の先輩を、邪魔なので躊躇なく小指をへし折り追い出す胆力。才能に恵まれ、応募作品は絶賛される文章力。自分を溺愛するイケメンの幼馴染あり。なんちゅースペックだ……。

しかし、名作と賞されるその作品が世に出るか否かは、編集者の花井にかかっている状態で物語がスタート。花井の情熱により、まずは何とか新人賞の対象作品とすることができるか? が序盤の見どころとなります。

話が進むにつれ、響が持ちジャンルとしている純文学や、小説家を志す人々にも焦点が当てられます。誰もが響の才能に嫉妬し称賛する中で、浮かれるわけでもなく、危なっかしい態度を軟化させるわけでもなく、我が道を行く響。やがて同年代のライバル候補が意外なところから出現し……。先の読めないヒロイン=先が読めない展開で、非常に続きが気になる作品です。響は大成するのか、それとも自滅するのか?

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「競女!!!!!!!!」



競女!!!!!!!! 1 (少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。「揉み払い師」の空詠大智(そらよみだいち)著、週刊少年サンデー連載中。アニメ化。

新体操部でオリンピックを目指せるほどの逸材・神無のぞみ。高校卒業を控え、体育大学への推薦をもらえることになったが、稼げないことを理由に断ってしまう。貧乏な一家を支えるために、彼女が選んだのは「競女」(けいじょ)といわれるギャンブル競技の選手。強い選手になれば億単位の収入があると聞き、後先考えずに競女の選手を目指すことにしたが……。

競女の競技内容は、プールの上に置かれた浮き場の上で、手足を使わずに押し合い、浮き場外へ落とすというもの。古い例でいえば、アイドル水泳大会の浮島戦、最近の例でいえば、DOAエクストリームのどんけつゲーム。競馬のように、誰が勝つかにかける公営ギャンブルということになってます。

複数人での試合が基本で、相手を押し出す手段は主に胸と尻。ゆえにちょっといやらしい戦いになります。物語の最初の方は、ちょっとエッチだけど、競技自体は押し合うだけの地味なお話なのかな……と思って読み始めるのですが、次第に設定がぶっ飛んできて、尻で顎先をかすめて脳震盪……から始まり、ヒロインの必殺技「真空烈尻(しんくうれっけつ)」の衝撃で敵を水着ごと吹き飛ばしたり、一度触った尻の特性をコピーできる「尻の財宝(ヒップ・オブ・バビロン)」、胸をねじってから突撃するドリル乳激(パイげき)「パイ・パイル・パイパー」など、読者のはるか斜め上にイってしまいます。

こうなると単なるエロバカっぽいのですが、ストーリーも手堅く、スポ根ものとしてのお約束を抑えつつ、試合展開と勝敗で荒らしてくるので、かなり熱い(個人的な考え方ですが、主人公が毎回勝つ作品は退屈)。アニメ化も決定しており、この先楽しみな作品です。

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「勇者が死んだ! 」



勇者が死んだ! 1 (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。スバルイチ著。裏少年サンデー連載中。

ふとももフェチのしがない村人トウカと、ムッチムチなふとももの幼馴染ユナ。二人の暮らす村に、突然魔物が現れた。魔物に襲われそうになるユナであったが、間一髪、颯爽と現れた勇者シオンに救われる。しかしその直後、シオンは、トウカが魔物対策に掘っていた落とし穴に落ちて、こともあろうか命を落としてしまう。勇者が死んでしまった。この事実を隠すために、ネクロマンサー・アンリの手によって、勇者シオンの肉体にトウカの魂を入れ、シオンの代わりに世界を救う旅に出ることに……。

まさにタイトル通りの展開の本作。死んだ勇者になりすまし、ただの農夫が世界を救う冒険に出ます。しかもトウカはシオンとは全く異なり、スケベでかなりいい加減な性格の持ち主。勇者というより外道に近いのですが、それでも見た目は勇者様。望むものはすべて手に入るやりたい放題。

とはいえ、化けの皮がはがれるのも案外早く、弱いままで魔物と戦うことになっていきます。
基本的には雑魚といってよいトウカが、悪知恵を働かせて、強力な魔物や悪い人間たちを倒していくというカタルシスと、意外な展開が多く先の読めないストーリーが魅力の作品です。
世界観も独特。物語が進むにつれて、さまざまな伏線が回収されていくのもよい点。

また、作者の趣味なのか、主人公の性格ゆえなのか、ふとももに執着している描写も、ニッチ市場を開拓する手段として秀逸。ふとももフェチ垂涎のコミックとしてもオススメ。

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「月曜日は2限から」



月曜日は2限から 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

おすすめコミック。斉藤ゆう著、ゲッサン(月刊少年サンデー)にて連載中。4コマ漫画。

校則が厳しいことで有名な宝成高校。不良生徒などはいない、はずであったが……。一般的な学生・居村草輔(いむらそうすけ)は、登校中、金色に髪を染め制服をだらしなく着崩した女子生徒・咲野瑞季(さきのみずき)に出会う。なんとなく彼女に関わってしまったばかりに、「更生の世話係」または「悪友」として、学校生活を共にすることになる。

はなから校則を守ろうとせず、さらに自堕落というヒロイン瑞季と、その瑞季を嫌いにはなれず、彼女のせいでトラブルに巻き込まれても、口八丁手八丁で先生を説得してしまう居村君。そこに真面目な風紀委員長、吉原依智子(よしはらいちこ)が加わり、ゆるやかな学園生活の中で、校則を守らせることを中心としたストーリーが展開します。

基本的には全然守らない上に、屁理屈をつけてうまいこと回避しようとする、知恵比べのような様相を呈しています(まあ、それでも結局怒られる)。その間の会話劇や、とらえどころのない、ひょうひょうとしたヒロインの態度が面白い。

更生の面倒をおしつけられた居村君も、更生させる気はさらさらなく、観察者のような立場でいるのも良い感じに。次は何やるんだろうこいつ……的な立ち位置で、瑞季の言うように悪友として機能しています。必要な時にフォローをいれてくれたり、クラスでは浮いた感じのヒロインの話し相手になってあげるのも彼。

一方、風紀委員長である依智子は、瑞季を更生させるために尽力します。居村君の助けを借りながらも、毎回なんとかしようとしながらも、まったく成果があげられない、という苦汁の日々。根はやさしく、瑞季を心配してのことですが、あわれ優しさがいつも裏目に。

基本的には仲の良い友達関係の3人ですが、巻が進むにつれ、登場人物の関係性にも徐々に変化があらわれ、第6巻では瑞季に非常に大きな変化が現れます。それが何かは読んでみてのお楽しみ。

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「helck」


Helck(1) (裏少年サンデーコミックス)

おすすめコミック。七尾ナナキ著、小学館のWEBマンガサイト「裏サンデー」にて連載中(月曜更新)。

魔王が勇者に倒された! 平和が訪れた人類とは対照的に、魔界では新たな魔王を決めるための、闘技大会が開かれていた。大会責任者として派遣されてきた、四天王のひとりヴァミリオは、大会出場者の中に、異常な強さの男を見つける。なんとその男は、人間の勇者ヘルクだった……。

近年、「まおゆう魔王勇者」「魔王様ちょっとそれとって!!」など、人間に理解のある平和的な魔王の作品が見られますが、こちらは平和的どころか人間にやられちゃってます。その魔王を倒した(?)勇者がのうのうと次期魔王を決める戦いに参加し、次々と勝ち上がっていく……。

強くて笑顔でフレンドリー、魔界の民にも大人気の勇者ヘルク。いわく「一緒に人間滅ぼそう」。しかし、運営側から見れば、敵か味方かわからない不気味な存在。

魔界サイドの責任者ヴァミリオちゃん(表紙絵)は、ヘルクの目的がわからぬまま、その勝利を阻止するために、あの手この手の手段で妨害を試みますが、勇者パワーですべてを踏破されてしまいます。はたしてヘルクの目的は? 調査を続けるうちに、人間たちの国の不気味な真実にたどり着く……。

ドタバタでノー天気なストーリー進行の間に、ミステリアスな要素が織り交ぜられており、非常に読ませる作品です。「バカァー!」と叫んで魔力解放のヴァミリオちゃんも可愛くてオススメ。

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「キリングバイツ」


キリングバイツ(1) (ヒーローズコミックス)

オススメコミック。原作:村田真哉、作画:隅田かずあさ、月刊ヒーローズ連載中。

人間をはるかに凌駕する戦力を有する新人類「獣人」。獣人同士の賭け試合は「牙闘(キリングバイツ)」と呼ばれ、財閥同士の勢力争いに利用されていた。偶然か陰謀か、キリングバイツに出資者として招かれた平凡な大学生・野本裕也は、向う見ずの獣人・ラーテル(ヒトミ)とともに、強敵たちに立ち向かうのであった。

「性別も体格差も関係ない、牙の鋭いほうが勝つ」。キャッチフレーズの通り、男女関係なくガチンコ勝負の変身格闘もの。獣人は元となったそれぞれの獣の特徴を受け継いでいます。主人公のラーテル(表紙の女性と動物)は、あまり知られてはいませんが、ライオンにだろうが突っかかっていくほど気性が荒く、堅い皮膚をもつ小動物、となっており、その性質と性格は元の人間であるヒトミにも反映されています(正確には元の人間の性質を反映されて動物が決定する)。

見た目はかわいい女の子ですが、巨大な獣人たちとも、十分にやりあえる小動物ヒロイン、どんな相手だろうだろうが関係ねぇ! という感じの跳ねっ返り娘と、それに引っ張られていく頼りなげな主人公。コンビでキリングバイツを勝ち抜こう、といった感じの流れ。

ライオンやらクマやらトラやら強そうな獣人が出てきますが、中でもチーターのエルザがアホかわいい…(2巻の表紙)。超スピードが魅力のチーターですが、結局のところ、猫耳生やせるやつが一番最強なのだと、改めて認識させられました……。あと猫目も重要か。

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「放課後さいころ倶楽部」


放課後さいころ倶楽部 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

オススメコミック。「月の蛇 水滸伝異聞」の中道裕大著、ゲッサン(月刊少年サンデー)連載中。

引っ込み思案な女子高生・武笠美姫(たけかさみき)、ボードゲームという珍しい趣味を持つクラス委員長・大野翠(おおのみどり)、天真爛漫な転校生・高屋敷綾(たかやしきあや)。ふとしたことで仲良くなった3人は、さまざまなボードゲームを通して友情を深め、ボードゲームの奥深さを体感していくのだった。

世にも珍しい、ボードゲーム漫画です。舞台は京都ですが、登場するボードゲーム専門店は、東京高円寺の「すごろくや」がモデルになっています。一度行ったことがありますが、狭いテナントビルの中、老若男女問わず賑わっておりました。店内に試遊机があったり、ゲームの遊び方マニュアルがそこかしこにあり、雰囲気の良いお店です。

さて、登場するゲームは「マラケシュ」「ごきぶりポーカー」「ねことねずみの大レース」など、一般的にはあまり知られていないゲームばかり。しかし、作品を読み進めていくと、実際にやってみたくなるぐらい、魅力に溢れています。ドイツのものが多いそうですが、簡単なイラストで説明書も日本語つきということで、ハードルはそんなに高くはありません。一緒に遊んでくれる友人がいれば。

まあしかし、そんな人でもボードゲームの楽しさを伝えてくれるよい作品です。人がプレイしているのを見るのも楽しい。〆

「ふだつきのキョーコちゃん」

ふだつきのキョーコちゃん 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)


オススメコミック。山本崇一朗(やまもとそういちろう)著、ゲッサン連載中。

喧嘩はめっぽう強いがシスコンと噂の兄・札月ケンジ。可愛いけど暴力的な妹・札月キョーコに言いよる男たちを追い返しては、妹に余計なことをするなと殴られる日々。異常なまでに妹の心配をするケンジだったが、それには人には言えない秘密があったのだった……。

妹のとんでもない秘密を守るために奮戦する兄と、そんな兄を本当は愛おしく思っているけれど、決してありがとうとは伝えないツンデレの妹の物語。妹のリボンがほどけてしまうと、しおらしくて素直な性格になりますが、もう一つのある理由によって、周囲の人々がかなり危険な状態になってしまいます。兄も妹もそれを望まず、その秘密を守り通していこうとするのですが……。

妹想いで男気がある、今どき珍しいタイプの主人公で好感が持てます。ツンデレ妹もリボンの秘密のおかげでヘタレ可愛い。まだまだ序盤なので今後の展開に期待。〆