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「魔女の家 エレンの日記」



魔女の家 エレンの日記 1 (ドラゴンコミックスエイジ か 1-4-1)

おすすめコミック。「かりん」「碧海のAiON」の影崎由那著、原作:ふみー。月刊ドラゴンエイジ連載中。

貧民区、路地裏の小さな家に暮らす少女・エレン。生まれつき病気で顔や足の皮膚はただれ、関節にも異常があり歩くのもままならない。母の介護を受け、ベッドの上でただ生きているだけの毎日だった。ある日、家の外で、黒猫の死骸を見つけ、哀れに思ったエレンは、家を飛び出し死骸を埋葬する。その日から、何かの歯車が狂い始め、彼女の世界は一変していく……。

謎解きADVゲーム「魔女の家」のスピンオフ作品。同名ゲームの前日譚を描いた小説のコミカライズ版です。ゲームでは主人公はヴィオラですが、この作品は敵役エレンが主人公となります。

愛と憎しみがたっぷりつまった物語です。醜い自分、思うように動かない体への憎しみと、それを誠心誠意介護してくれる母親への愛。しかし愛憎は裏返しのもの。母親の裏切りがエレンの憎しみに火をつけ、やがて魔女へと堕ちていくことに。

ひと悶着あった後、ようやく安息の地を手に入れたかと思いきや、「魔女の家」と言われたそこは、人間の命を欲する怖ろしい場所でした。エレンは自分の願いをかなえるために、魔女として、残酷な活動を開始してしまいます。このまま活動を続け、願いをかなえることができるのか、それとも彼女を止めるものが現れるのか?

試し読みはこちら。〆

「かりん」

かりん (1) (角川コミックスドラゴンJr.)(Amazon)

オススメコミック。ちょっと古いけど。ドラゴンコミックエイジ連載終了、全14巻。現在は「碧海のAION」連載中の影崎由那著。アニメ化もした作品です。

とある土地に住み着いた吸血鬼一家。人間の血をちょっぴりこっそり吸うことで、慎ましやかに暮らしていた。しかし、長女の真赤果林(まあかかりん)は他の家族とは異なり、血を吸うのではなく血が増えてしまう吸血鬼、すなわち増血鬼だった。

太陽を怖がらず昼間に出歩けること、人間の食事を食べられること、吸血鬼の持つ魔法が使えないこと、代わりに月に一度血を出したくなること、など異端の吸血鬼であるかりん。ある日、その秘密が同級生の雨水健太(うすいけんた)にばれてしまう。普段なら妹の杏樹(あんじゅ)が記憶を消してなかったことにしているが、杏樹のある思惑のために記憶を残したままにする。はたして杏樹の一計とは……。

本作の吸血鬼には血の嗜好があり、何でもかんでも血を吸うのではなく、人間の体質に魅かれて吸血行為を行います。例えば、かりんの父親・ヘンリーは”プライド”、母親・カレラは”うそつき”、兄・煉(れん)は”ストレス”を持った人間の血を好み、吸われた人間は逆に体質を失い、プライドが高くなくなったり嘘をつかなくなったりストレスが減少したり。

かりんの場合は”不幸”に魅かれます。不幸な体質の人を見ると増血し、血を吸う(送り込む)ことができないと、我慢できずに鼻血となって大出血して気絶してしまいます。鼻血まみれのヒロイン、鼻血溜まりの廊下、という画期的な絵面が特徴の作品。凄惨と言うか間抜けと言うか……。

雨水くんはそんなかりんの嗜好にあったとても不幸な人物ですが、それゆえに近付けば近付くほど増血して鼻血を出してしまうので、かりんはいっそのこと彼を幸せにしてしまおうと奮戦します。昼ご飯を買うお金がない彼のために手作り弁当を作ったりしているうちに、いつしか恋心が芽生えていくラブコメ展開。はたしてかりんと雨水くんは吸血鬼の秘密を守り通し、楽しい学園生活を送ることができるのか。

妹の杏樹も魅力的なキャラクターで、この子はまだ大人になっていないので、夕方やくもりの間は太陽の下でも行動することができるという特性を持っています。ところかまわず増血する可能性のある姉をフォローするために、コウモリを飛ばして日夜警戒にあたるという何気に重要な役回り。物語終盤で彼女もまた大人の吸血鬼に変わりゆき、いよいよ人間の生活とはお別れ、姉のフォローができなくなってしまうというシークエンスがあるのですが、最後の悪あがきと献身ぶりは涙なくして見られない感動の物語となっています。是非読んでいただきたい。〆

※この記事は2012/01/09に「Psychelia.com」に掲載したものです。