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「旧約マザーグール」



旧約マザーグール (上) (下) (リュウコミックス)

おすすめコミック。「昭島スーサイド☆クラブ」の菅原キク著。アーススターにて連載終了の「HOLYHOLY」の新装版。

“その無人の島に最初に辿り着いたのは、目も耳も不自由な一人の乙女と、14人の生まれたばかりの赤子だけだった”

豪華客船で行く、聖エルレシアン女学園の修学旅行。突然の事故により船が沈没してしまったが、何とか生き残った少女たちは、無人島と思しき島へ流れつく。優等生・草間トリノと優しい友人・小井戸ひな達生徒は、家に帰ろうと、島を探索するうちに、巨大な目を持つ異形の怪物に遭遇してしまう。この怪物は何者なのか、この島から逃げ出すことはできるのか? 少女たちのサバイバルが始まった……。

旧題「HOLYHOLY」、コミックリュウWebにて連載中の「マザーグール」のアナザーストーリーです。登場人物が共通となるため、どちらも同じ時間軸ですが、違ったストーリーが展開します。

ちょっと百合めな無人島でのサバイバルホラーで、敵の正体が良くわからないまま、逃げろ逃げろで展開します。物語と並行して、おそらく怪物の祖となったであろう、目も耳も不自由な乙女とその子供たちの伝承が語られ、この怪物の正体に迫っていきます。なぜ怪物は少女たちを襲うのか、どうすれば逃げ切れることができるのか、が注目ポイントです。

登場人物がみな個性的で、キャラが多いわりに書き分けができているところに好感。また、お嬢様ゆえの楽天的な発想で危機感が欠如していたり、仲間内のトラブルや独断専行での失敗など、やってはいけないようなことを率先してやらかしていきます。このままじゃ全滅必死。その中で、唯一現実感のある主人公のトリノが、仲間たちを引っ張っていきます。しかし彼女にも弱点があって、ままならないことも……。

ストーリーは完結せず、そのまま「マザーグール」へと解決編は引き継がれます。漂流した別のグループの話となりますが、トリノたちに合流して戦う形になったらうれしい限り。はたしてどうなるか、そういった面でも非常に楽しみです。

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「マザーグール」はこちら〆。

「アルテ」


アルテ 1 (ゼノンコミックス)

オススメコミック。大久保圭著、月刊コミックゼノン連載中。

16世紀初頭のフィレンツェ。貴族の娘・アルテは、女らしくしろとうるさい母に辟易していた。大好きな絵を描いて暮らしたい、自分は絵描きになる、と家を飛び出し弟子入り先を探すものの、女なんて、と冷たくあしらわれる。そんな折、たまたま出会った寡黙な男・レオは、工房を持つ職人であった。ここぞとばかり弟子入り志願するアルテであったが、レオにある試練を言い渡される……。

女性軽視の時代に、所詮女と馬鹿にされることに納得できず、自分のやりたいことをやり通す、強い意志を持つ少女の物語。本篇中にも触れられていますが、彼女をつき動かすのは「怒り」。自分を認めない母や世間への怒りのパワーで、なにくそと突き進んでいきます。

実はよくあるパターンのお話ではありますが(「ジゼル・アラン」とか)、題材が画家・芸術家というのは珍しい。職人モノなので、どれだけ画家という特殊な職業を話に絡められるかに注目しています。仕事に、恋に、家庭に翻弄されながらも、反骨精神を胸に突き進んでいく所に共感。ただ…恋はやめとけアルテよ……。

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「PiNKS」


PiNKS (リュウコミックス)

オススメコミック。倉金篤史著。月刊COMICリュウ連載終了。1巻読み切り。

性に興味を持ち始めた二人の小学5年生、弥彦と更紗。弥彦は男の子のスケベ心から、更紗は純粋なる愛と美を知るために、協力してえっち本を探すことになった。大人たちの目から逃れ、えっち本を手に入れるために奔走するが、そこに大人の女性、ヒロセさんが現れて……。

年頃の少年・弥彦は単なる好奇心のため、ませた少女・更紗は「人の愛と美と性を記録した現代の禁書」を探すために、共同戦線を張りエロ本を拾う、買う、とにかく手に入れるために小冒険をする、そんな話です。二人の動機が違うことがポイントで、同じ目的なのに得たい答えが大きくズレている、そのことが原因で終盤に大きな衝突を生むことになります。

物語の途中からは、どうやらワケありっぽい大人の女性・ヒロセが登場しますが、彼女もまた二人の障害となり、また大きな影響を与える人物になっていきます。

はたして、二人の子供はえっちな本を手に入れ本懐を遂げることができるのか? その道程で何を得、何を失うのかが見所です。ちょっとかわったスタンド・バイ・ミー。

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「KEYMAN」

KEYMAN 1(リュウコミックス)(Amazon)

オススメコミック。わらいなく著、月刊コミックリュウ連載中。

ロックヴィルシティのヒーロー「キーマン」。空を飛び銃弾を弾き悪に対して容赦のない男。市民に絶大な支持を得る彼だったが、ある日死体で発見される。キーマンの胸には「DrNecro」の文字。果たして彼を殺害したのは何者なのか? 調査を開始したワニの獣人アレックスの前に、キーマンを知る謎の少女Dr.ネクロが現れ、協力して捜査を開始するが……。

独特の濃いタッチで描かれる作品。アメコミのヒーローものに、不釣り合いな少女を絡めた怪作。キーマンは1人ではなく、複数人存在するらしいことが分かる。キーマンとは何者なのか、ネクロの目的は何なのか、バトル展開を織り交ぜつつ話は続きます。

まだまだ話は序盤ですが、独自性が高く、今後の展開が気になる作品。連載誌が無事生き残ればの話だが……〆

※この記事は2012/04/02に「Psychelia.com」に掲載したものです。