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「星の海にむけての夜想曲」

星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS)(Amazon)

オススメ書籍。「1000の小説とバックベアード」、「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」など鏡家サーガの佐藤友哉著。

ある日突然、空一面に咲き乱れた花々。枯れることなく咲き続ける花にもたらされた謎の花粉によって、人間たちが狂い始めてしまう。暴徒と化した人々によって街は荒廃し、死屍累々の地上を捨て人類は地下にこもる。希望を失った世界の中で、天文部の少女・江波は、もう見ることができなくなった星を見ようと奮闘するが……。

花に覆われた絶望的な世界で、それでも生きていく人々の群衆劇。星を見ることが夢の天文部の少女、花粉のために狂ってしまった人々を殺戮処理する傭兵の男、誰もいなくなった地下都市にたった一人残された少年、花々を滅ぼすためにある決断を行う二つの存在。彼らは願いを叶えることができるのか。

(はっきりとは宣言されていませんが)震災後をモチーフにした作品です。花粉(放射能)に覆われ人が住めなくなり、狂った人々の死体が道を埋めつくし、建物は瓦礫と化し荒廃した街と、イメージせざるを得ない描写が多くなっていますので、苦手な方は注意。

かなり絶望的なシチュエーションですが、とある人物の小さな挑戦が実を結び、やがて大きな希望へとつながっていきます。ページ数も多くはないので、さらっと、変わり種の小説を読みたい人向け。〆

※この記事は2012/10/23に「Psychelia.com」に掲載したものです。