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「雪花の虎」



雪花の虎 1 (ビッグコミックス) (ビッグコミックススペシャル)

おすすめコミック。「海月姫」「かくかくしかじか」などの東村アキコ著、ヒバナ連載中。

戦国の英雄、軍神といわれた上杉謙信。武田信玄のライバルとして、歴史に名を遺す大人物ではあるが、実は彼が女であったとしたら? 男社会で強く生き抜く、女謙信の誕生と活躍を描く戦国大河絵巻。

上杉謙信が実は女だったかもしれない、というのは近年注目を浴びた俗説です。結構無理があるらしいのですが、それらしい伝承もあり、今でも小説などの創作物のネタになったりしています。本作は、その俗説を元にしてストーリーが構成されています。

謙信の生涯をなぞっていくので、歴史に詳しい人は男女置き換えて読み、戦国時代どころか歴史そのものが苦手な人は、時代背景説明と並行して書かれている別のコマで、東村先生がまったく関係ない話でお茶を濁してくれるという斬新な構成になっています。誌面の上部では歴史説明、下部では与太話をしているだけという……。

歴史にあまり関心がなくても、読者が楽しめるようにという配慮なのですが、それがあることにより、かしこまって読まなくてもよいエンターテイメントとして、本作を位置付けてくれています。ともすれば悲壮感ただよう戦国ものとしては、斬新な試みと思います。

もちろん、本編はいたって真面目なストーリーとなっており、女武将謙信の苦しみ、喜び、葛藤、そして激戦につぐ激戦を見事に描いています。今後ぶつかっていく武田信玄については、なかなかの曲者キャラとして、独特の味を出しています。彼は超強敵であり、謙信の秘密に迫る男になるに違いない。二人の対決が今から待ち遠しい感じ。

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「アンゴルモア 元寇合戦記」



アンゴルモア 元寇合戦記(1)<アンゴルモア 元寇合戦記> (角川コミックス・エース)

おすすめコミック。たかぎ七彦著、ComicWalker連載中。

1274年の元寇・文永の役。対馬に侵攻し、その後博多へと攻め込んでいく蒙古の遠征軍。とある罪により、対馬へと流刑されていた武士・朽井迅三郎(くちいじんざぶろう)は、宗主の娘・輝日姫(てるひめ)にその腕を買われ、蒙古から島を護る防衛軍として戦うことになった。源義経の残した技法「ギケイ流」の使い手である彼は、島を蹂躙せんと攻め立てる蒙古軍に、武力・知略をもって立ち向かう。とはいえ多勢に無勢で勝ち目はなし。勝負は援軍が来るまでの7日間を耐えきること。対馬の歴史に残る激闘の7日間が始まる……。

歴史ものということで、戦の過程や結果が分かった上で物語は進行します。つまり、結局蒙古軍は対馬を抜け、博多へと進行していくのですが、その間で起こった対馬内の戦いの様子が描かれます。歴史ファンでもなければ、どんな戦いになってどのぐらいの被害が出たとか、元寇が終わった後はどうなった等々知らないと思われるので、よくある歴史ものでありながら、興味深く読める作品となっています。

大河ドラマや三国志ものなど、どうなるか大体知ってしまっているものに比べ、結果は知っているけど過程がよくわからないものというのは大抵面白い。「キングダム」などはその典型だと思いますが、本作も期待にたがわず興味深く読み進めることができます。

迅三郎という架空のキャラクターを中心に、ファンタジー要素も含みつつ話が進みますが、戦ものとしてのバトル要素と、一癖も二癖もある人物たちの人間ドラマがうまく組み合わさっており、良作です。

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「長歌行」

長歌行 1 (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ) (Amazon)

オススメコミック。長歌行は”ちょうかこう”と読む。夏達(シャアタァ)著、ウルトラジャンプ連載中。

西暦626年、中国、唐の時代。次期皇帝となる父・李建成を叔父の李世民に殺された姫・李長歌(りちょうか)は、命からがら長安から脱出し、李世民への復讐を誓い挙兵のための行動を開始する。女ながら武芸に富み某術を学んだ秀才である彼女は、性別を偽り少年軍師として朔州の公孫恒の下へ潜り込むのだった。

永寧姫(えいねいき)こと李長歌の、復讐の物語です。とはいえ敵ははるか遠く、まずは足場固めをといったところ。その過程で、自ら策謀をめぐらし実戦を経験していくことで、少しずつ成長していきます。やがて復讐のための孤独な戦いは、国を、民を守る戦いへと姿を変え、魅力的な人物に出会い、自分を助けてくれる人々と共に歩み出します。

クールでドライな優等生タイプの永寧姫ですが、それゆえに利害を超えて信義やプライドのために戦う人々には強い関心を持つようで、劇中の登場人物に大きな影響を与えられます。また、自分が女であることには無関心で、パートナーのウイグル人女性・弥弥古麗(みみくり)には自覚して行動しろと怒られる始末。あることがきっかけで、今後はばれないようにしていくのも大変な模様。はたしてどうなるか。

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※この記事は2013/04/01に「Psychelia.com」に掲載したものです。