タグ別アーカイブ: 百合

「いつかみのれば」



いつかみのれば1 (百合姫コミックス)

おすすめコミック。西あすか著、コミック百合姫連載中。

総合格闘家の父を持つ女子高生・揺篭みのる(ゆりかごみのる)。ある日突然、父親の夢をかなえるために、一緒にラスベガスへ引っ越すことになってしまう。しかし、たまたま通りすがったゲームセンターで、自分と同じ学校の格闘ゲーマー少女・四条と出会い、ゲーマーとしての才能を開花させる。みのるは、自分の才能を見込んだ四条から強く引き留められ、両親と離れ日本に残ることとなった。以降、二人で切磋琢磨し、最強のゲーマーを目指していくが……。

なんと百合姫で掲載している、比較的本格的な格闘ゲーマー漫画。一応ヒロイン二人は百合なのか……!?

格闘ゲーム大好きな四条が、才能はあるが知識はないみのるを、いっぱしの格闘ゲーマーに育てるお話。ただ、そこまで本気でゲームに打ち込む気のないみのるは、四条の押し付けやガチっぷりに戸惑います。二人の気持ちは離れかけますが、四条の真摯な気持ちを受け入れ、みのるは成長していきます。やがて、強敵(ライバル)の女子ゲーマー・ZTTに出会い、彼女を倒すことを目標に、二人で協力して格闘ゲームに取り組むことになります。

ライトなノリなのかなと思ってみてみると、フレームの説明などがガッツリ見開きでされていたり、格闘ゲームをする上に、初心者がぶち当たる壁や不文律を細かく描写しています。好きではなく強いキャラクターを選べと言われて、混乱するみのるなどがそれで、他にも格闘ゲームあるあるが多々あり、格闘ゲームが好きな人はかなり楽しめます。空中コンボをくらったみのりのセリフ「私のキャラが…ずっと空を飛んでる…」は個人的にかなりツボ。

二人がプレイするゲーム「アイアンキャットデストロイヤーズ7 GODDESS REVELATION」は、おそらく「鉄拳7」をモチーフにしていると思われ、知っている人はニヤリとするような技なども使われています。実は父親が関わっていたくだりなどは、確かになくはないなと納得。みのるがゲームを続けるモチベーションとしては最高の理由となりますが、その理由は中身を見て確認していただきたい。

試し読みはこちら。〆

「オパパゴト」



オパパゴト(1) (シリウスKC)

おすすめコミック。白梅ナズナ著。月刊少年シリウス連載終了、全3巻完結。

由緒正しき女学校、薔薇ノ宮女学園で行われている疑似家族計画。ランダムに選ばれた生徒たちが家族となり、貧乏長屋から暮らしをはじめ、他の家族(ライバル)たちと戦い、生活の質を向上させるリアルおままごとバトルである。とある理由で父親役に任命された夏川春日(なつかわはるひ)は、見ず知らずの少女たちとともに、疑似家族生活を開始するのであった。

おままごとからもじったタイトルですが、タイトルに偽りなく、まさしくおぱぱごとをすることになる主人公の春日。彼女自身は学園の生徒ではなく、自分そっくりの生徒の代理として送り込まれます。もともとは粗野な性格の春日が、お上品なお嬢様学校に編入することになり、カルチャーショックを受け、また、女子なのにいきなり父親として任命されたことについては大混乱。それも嫁と一男四女の大家族!

最初は戸惑う春日ですが、一家の主として、家族をまとめるために奔走します。缶詰の開け方も知らない家族たちの面倒、新婚初夜(?)、ライバルの家族たちとの戦い……。心休まるときはない。やがて春日たちの疑似家族は、困難を乗り越え、本物の家族の絆を紡いでいきます。そんな中、急に訪れる一家崩壊の危機、そこでとった春日や家族たちの行動とは?

一応百合モノ?かと思われ(家族としてあまりにも自然すぎて感じられない)、特に嫁役の紫(ゆかり)さんは、役柄を超えて春日に愛情を注いでいきます。ぽやっとした人なのですが、本気になると色々と情け容赦ないところが魅力です。要所要所で重要な役目を担い、この人あっての春日家といえるでしょう。

もっと長く続いてもらいたかった良作。個性豊かな家族たちの個々のエピソードが見てみたかった……。とはいえ、短い中でも、エンディングは秀逸なので、ぜひとも読んで頂きたい。

試し読みはこちら〆。

「フラグタイム」

フラグタイム(1) (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)

オススメコミック。「りびんぐでっど!」のさと著、Champion タップ!連載中。

3分間だけ、時を止めることができる女子高生・森谷美鈴。内気な彼女は、困ったことがあると時間を止めて逃げだしてしまう悪い癖がある。そんな彼女の趣味は、止まった時間の中での人間観察。ある日、時間を止め、出来心からクラス一の美少女・村上遥のパンツを覗いていると、止まった時の中で遥だけが動き出す。時間と覗きの秘密を知られてしまった美鈴は、秘密を守る代わりに遥のお願いを聞くことになるのだが……。

時を止める百合漫画です。時を止めて自分だけの世界を楽しんでいた美鈴にとって、遥は明らかに侵入者であるのですが、一緒に悪戯を繰り返していくうちに共犯者へ代わり、次第に恋愛の対象となっていきます。

一方で、自分は利用されているだけなのかもしれない、彼女に抱く恋心は女の子としておかしなことかもしれない、遥にとって自分はどんな存在なのか、悩み苦しむことになります。やがて時を止めることが怖くなり、否応なく現実から逃げることができなくなって、自分だけの世界が崩れ去っていきます。

シンプルな変態百合ものかと思った出だしですが、次第に真剣味を帯びてくる美鈴の心理描写が良く描かれている作品です。もう一方のヒロインである遥は、小悪魔系でつかみきれない複雑な心象が魅力的。端的に言うと、何考えているか分からないお年頃の女の子、しかも美少女。

一般誌に比べると地位が低いとされるWebコミックですが、たまに秀作が出てくるから面白い。長く続けるとだれてくるので、そこそこ続けて欲しい良作。試し読みはこちら〆。

「下降世界ヲ辿ル物語」


下降世界ヲ辿ル物語(1) (ニチブンコミックス)

超オススメコミック。甘夏(あまなつ)著、コミックへヴン連載中。

学園の地下に《下降世界》という異世界が広がろうとしていた。《下降世界の住人》たちは、地上世界を浸食し我がものにしようとしている。姿形をもたないエネルギーだけの存在である彼らは、人間の持ち物に宿る妄想に取り憑き、さらにその持ち主をのっとることで活動できるようになる。

女の子が好きな少女・四月朔日静那(わたぬきしずな)は、クラスメイトの可愛い少女たちを食べちゃいたいぐらい大好き。彼女のロッカーには、趣味のおどろおどろしい人喰い鬼(グール)人形やゾンビ人形が飾られていた。《下降世界の住人》はこれらのアイテムに目を付け取り憑き、やがて静那本体への乗っ取りを成功させる。《下降世界の住人》となった静那は、自分の欲望を果たそうと行動を開始する。

一方、彼女の暴走を止めるため、下降世界の住人の封印を護る一族の末裔・真淵ユニ子が、得物の刀を振りかざし颯爽と現れる。静那を手遅れと判断し、始末しようとするが、静那の意外な発想で事態は一転する……。

なるべく中身に触れないようにあらすじを説明してみたつもり。グロ、エロ、百合がかもしだす、わけわからんハーモニーが素敵な作品。かなり人を選びますが、私はこういうの大好きです。とりあえず、作者の頭がおかしいのはよく分かった(超ホメ言葉)。オススメ本として平積みした秋葉原K-BOOKSやCOMIC ZINの店員も奨励したい。何だこれ!?

強いんだけどいい加減で無鉄砲なヒロイン・ユニ子は、静那を恋人とする百合娘。パートナー・静那は、普段はアンニュイ、しかし時にカニ○○○ムに変貌する狂人です。二人が《下降世界の住人》達に取り憑かれる学生たちを救っていくバディもの。

敵も味方もぶっ飛んだキャラクターで、彼女らが巻き起こす容赦のない展開に目が離せません。ロッカーの中のアイテムを媒体として敵が出現するアイデアも面白い。静那が不思議な色気を持っており(説明できん)、話が進むにつれ愛おしくなってきます。グロい展開が多いので、向かない人はまったく向きませんが、長く続いて欲しい作品。頼むぞ日本文芸社。〆

「ゆりキャン」

ゆりキャン 1 (ジェッツコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原田重光 (企画・原案)、 瀬口たかひろ (イラスト)の「オレたま」コンビの作品。ヤングアニマル連載中。著者の代表作として他に「オヤマ菊之助」など。

超名門女子大に通う女子大生・ゆりか。端正な顔立ちの割に男にモテず、なぜか女子からは絶大な人気で、本人はいたってノーマルな女子だったが、多くの女性から求愛を受け困り果てていた。ある日、ゆりかの父親の会社が倒産し莫大な借金を背負ってしまう。窮地に立たされたゆりかは、女にモテる才能を利用し”スケコマシ”として女に食わせてもらう生活を始めることに……。

ちょっとエッチな青年向けなので紹介を止めておこうと思いましたが(一応全年齢向けのサイトです)、オススメせざるをえない面白さだったので紹介。

スケコマシ、あるいはジゴロと言った方が分かりやすいかと思いますが、女性の家に転がり込んで働きもせず飯をおごらせ金をせびるダメ人間のことですね。通常は男がなるものですが、主人公は女、百合展開が待ってます。主人公はいたってノンケ、対象となる女の子たちも基本的にノンケ。しかしそれすら超越してしまう主人公の魅力とテクニックで、次々と落として虜にしていきます。

虜にして何するかと言えば、ご飯をおごってもらう程度。ただし後半になると、落とせない女をプライドにかけて落とす、というわけわからん展開になっていきます。実にバカな努力ですが、口説き方も馬鹿馬鹿しくて良い。

ゆるいユリよりガチなユリ(?)がお好きな方は是非。〆

※この記事は2011/08/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。