タグ別アーカイブ: 角川書店

「Re:魔法少女」

オススメコミック。しよたこん著。先週に引き続き、電撃D-MANGAオンライン連載中の作品から。

7年前、地球を救った魔法少女クラン・ランジェこと栗野リン。17歳に成長していた彼女は、かつての愛らしい様子はなく、粗野で蓮っ葉な女子高生に成長していた。そんなおり、彼女の前にかつてのパートナー・いぬたろうが現れ、再び魔法少女として戦ってほしいと懇願される。もう戦わないと決めていたリンであったが、可愛い妹を助けるために、再び魔法少女へと変身した…が……。

かつて魔法少女だった女子の悲哀を描いた作品(のはず)。妹を溺愛するあまり、危険な戦いに再び身を投じることになりますが、基本的にはギャグテイストで緊張感は少なめ。

第1回デジタルMANGA新人賞グランプリ、賞金1200万円受賞作との触れ込みですが、そんなに言うほど面白くはないです。が、これから面白くなるかもしれない、という可能性は感じさせてくれる一冊。動きに躍動感があり、絵はうまいし、健康的なお色気を実現しています。

話があちこちにそれてしまっているので、明確な敵や魅力的なライバルを登場させ、地に足を付けたストーリー展開をすればもっと面白くなるはず。いろいろと惜しい。

試し読みはこちら。〆

「ツイテル彼女」

ツイテル彼女
ツイテル彼女。 (1) (電撃コミックスNEXT)

オススメコミック。二区著、電撃D-MANGAオンライン連載中。

吉田一樹は、29歳奥手の童貞サラリーマン。そんな彼に美人の彼女ができた。彼女の名は双葉さん。可愛くて優しくて天使のような女性。しかし双葉さんは、女性でありながら男性器のツイテル彼女、ふたなりの女性なのであった。相思相愛ながら、刺すか刺されるかの禁断の関係。吉田君の恋の行方は……。

いわゆるTS(Transsexual(性転換))とは異なり、女性器も男性器も最初からついてる女性と付き合う事になった男性の話。自分の彼女はすごい可愛いけど、股間にはアレがあるという、主人公・吉田君のジレンマと、一方のツイテル彼女・双葉さんも自分の身体について苦しんでいるという悲哀を描いている……作品ではありますが、双葉さんが性的にかなりオープンな言動をする人で、しかもどちらかというと男性寄りな発言が多く、吉田君の尻の穴で童貞卒業を狙っているという、恐るべきラブコメ。

これはゲイなのか、それとも正常な愛の形なのか、判断しかねる状況ではありますが、双葉さんが可愛いのには変わりなく、主人公と読者を混乱させます。こんな彼女になら掘られても……いやいや、やばいやばい。

巻末では、双葉さんの幼なじみで、ワケありの美人歯科助手・篠原愛も加わって、さらなる混乱を巻き起こしていきます。果たして吉田君が無事童貞を卒業する日は来るのか、二人の愛はどのような方向へ向かっていくのか、注目せざるを得ない怪作です。もっと注目されるべき。

読んでおいて損はない、試し読みはこちら〆。

「いなり、こんこん、恋いろは。」

いなり、こんこん、恋いろは。 (1) (角川コミックス・エース 326-1)(Amazon)

オススメコミック。よしだもろへ著、ヤングエース連載中。

京都に暮らすごく普通の中学生・伏見いなりは、大好きな丹波橋くんに告白できずにいた。ある日の通学中、いなりは神社の河原で怪我をした子犬を見つけ介抱してあげる。助けた子犬は実は神の使いの子狐で、主人であるお稲荷様こと宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)は、助けてくれたお礼に一つだけ願いをかなえてあげると言う。いなりが望んだ願いとは……。

変身。ヒロインいなりと憧れの丹波橋君を中心に繰り広げられるラブコメです。変身することでトラブルが起きたり解決したりが基本。いなりの物語も良いですが、いなりに能力を授けた宇迦之御魂神(通称うか様)のサブストーリーも秀逸(ちなみに2巻の表紙の神です)。

能力を授けてしまい、お稲荷様としての神通力が欠けてしまったうか様。何故かいなりの兄に敵視され、逆に自分の兄には偏愛を受け、男性不信の結果たどりついた趣味が乙女ゲーの腐女子です。ヒロイン以上のキャラ立ちっぷりが素敵。

変身モノという王道の割に個性的だし、テンポよく、お話も面白いのでオススメです。〆

※この記事は2011/06/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「かりん」

かりん (1) (角川コミックスドラゴンJr.)(Amazon)

オススメコミック。ちょっと古いけど。ドラゴンコミックエイジ連載終了、全14巻。現在は「碧海のAION」連載中の影崎由那著。アニメ化もした作品です。

とある土地に住み着いた吸血鬼一家。人間の血をちょっぴりこっそり吸うことで、慎ましやかに暮らしていた。しかし、長女の真赤果林(まあかかりん)は他の家族とは異なり、血を吸うのではなく血が増えてしまう吸血鬼、すなわち増血鬼だった。

太陽を怖がらず昼間に出歩けること、人間の食事を食べられること、吸血鬼の持つ魔法が使えないこと、代わりに月に一度血を出したくなること、など異端の吸血鬼であるかりん。ある日、その秘密が同級生の雨水健太(うすいけんた)にばれてしまう。普段なら妹の杏樹(あんじゅ)が記憶を消してなかったことにしているが、杏樹のある思惑のために記憶を残したままにする。はたして杏樹の一計とは……。

本作の吸血鬼には血の嗜好があり、何でもかんでも血を吸うのではなく、人間の体質に魅かれて吸血行為を行います。例えば、かりんの父親・ヘンリーは”プライド”、母親・カレラは”うそつき”、兄・煉(れん)は”ストレス”を持った人間の血を好み、吸われた人間は逆に体質を失い、プライドが高くなくなったり嘘をつかなくなったりストレスが減少したり。

かりんの場合は”不幸”に魅かれます。不幸な体質の人を見ると増血し、血を吸う(送り込む)ことができないと、我慢できずに鼻血となって大出血して気絶してしまいます。鼻血まみれのヒロイン、鼻血溜まりの廊下、という画期的な絵面が特徴の作品。凄惨と言うか間抜けと言うか……。

雨水くんはそんなかりんの嗜好にあったとても不幸な人物ですが、それゆえに近付けば近付くほど増血して鼻血を出してしまうので、かりんはいっそのこと彼を幸せにしてしまおうと奮戦します。昼ご飯を買うお金がない彼のために手作り弁当を作ったりしているうちに、いつしか恋心が芽生えていくラブコメ展開。はたしてかりんと雨水くんは吸血鬼の秘密を守り通し、楽しい学園生活を送ることができるのか。

妹の杏樹も魅力的なキャラクターで、この子はまだ大人になっていないので、夕方やくもりの間は太陽の下でも行動することができるという特性を持っています。ところかまわず増血する可能性のある姉をフォローするために、コウモリを飛ばして日夜警戒にあたるという何気に重要な役回り。物語終盤で彼女もまた大人の吸血鬼に変わりゆき、いよいよ人間の生活とはお別れ、姉のフォローができなくなってしまうというシークエンスがあるのですが、最後の悪あがきと献身ぶりは涙なくして見られない感動の物語となっています。是非読んでいただきたい。〆

※この記事は2012/01/09に「Psychelia.com」に掲載したものです。