タグ別アーカイブ: 講談社

「マテリアルポルカ」


マテリアルポルカ(1) (アフタヌーンKC)

オススメコミック。古林奈留著、good!アフタヌーン連載中。

乙女の園、ラ・ヴィエルジュ女学院中等部に入学した勅使ヶ原(てしがわら)アリス。親友の森塚るかとともに、念願かなって入学した学院であったが、晴れの入学式のとき、校則違反の生徒が顔面を銃で吹き飛ばされて死亡する。校則は絶対、守れないものは即死刑。学院は生徒会長・武藤沙羅が恐怖で支配する乙女の城であった。恐怖と混乱の中、アリスは学院に伝わる五つの至宝の一つ「いばら姫(チェーンソー)」を手に入れる。その力で生徒会長を倒し、学院の平和を取り戻すことができるのか……。

頭吹き飛ばされれば大出血で地獄絵図…になるのが普通ですが、本作では、血が吹き出る代わりに、コンペイトウやクッキーなどの可愛らしいお菓子類が可憐に舞い散ります。おかげで血なまぐさくなく、ファンシーささえただよう不思議な作品となっております。

こんな学院、教師や父兄が放っておかないだろう、とは思いますが、作品中に大人は一切出てきませんので、(不自然ですが)話が成立しています。この辺の矛盾に目をつむりながら読まなければいけないので、生真面目な人には向かないかも。同時にそれが魅力でもある。そういうもんなんだ、ということにしましょう。

ヒロイン・アリスは普段は弱々しい、頼りなさげな女の子ですが、武器である「いばら姫」を手にすると一変、強くて美しい戦士に変身(?)します。二面性を持つ少女ですが、さらに少々の異常性も持ち合わせていて、共感をしづらい、変な主人公になってます。この子が一体何者なのか、何を成し遂げるのかが今後のストーリーの軸になりそう。

個人的には、アリスの友達の猿渡つづりさんにがんばってもらいたい。アリスが王子様ならつづりはお姫様ポジション。作者が意識しているかはともかく、か弱いつづりこそが真のヒロインであり、彼女を守るためにアリスが戦うのです。そのためには、どんどん酷い目にあってもらいたい。がんばれ、つづり。

試し読みはこちら。〆

「カオス・ウィザードと悪魔のしもべ」

カオス・ウィザードと悪魔のしもべ(1) (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。山本アリフレッド著、別冊少年マガジン連載中。

魔法学校の進級試験の日、落ちこぼれ魔法使いの神無・T・エルクーロスは留年の危機であった。彼女の魔法の最大の難点は、魔法を使うと必ず「ヘンなモノ」を召喚してしまうこと。フローライトの魔法を使うと、全身が光り輝くスキンヘッドの半裸の男が出現するなど、結果オーライとなるものの、普通の魔法が使えない。はたして神無が一人前の魔法使いになることができるのか。

ドジっ子魔女のコメディ……なのですが、魔法で出現するヘンなモノたちが想像の斜め上を行く連中で、萌えジャンル(だったはず)の枠をはみ出してます。ヘンなおっさん率高すぎ。その分のお色気成分を使い魔のエルヴィナが補充するという、絶妙なバランスで成り立っている作品です。

はやりの絵柄でもエロコメでもありませんが、ついつい読んでしまう佳作。なお、これが「進撃の巨人」と同じ掲載誌であることに驚愕した。懐が深いというか何と言うか。試し読みはこちら

「千年万年りんごの子」

千年万年りんごの子(1): 1 (KCx(ITAN))(Amazon)

オススメコミック。田中相(たなかあい)著、コミックITAN連載中。

まだ田舎の風習や言い伝えの残る、昭和後期の話。赤ん坊の頃、親に捨てられてお寺の養子となった青年・雪之丞。大学卒業後、青森のりんご農家の娘・朝日との縁談がまとまり、婿養子となって、夫婦でりんごを栽培することになった。戸惑いながらも田舎の暮らしに順応していく雪之丞だったが、ある日手に入れた不思議なりんごを朝日に食べさせたために、夫婦を引き裂く不可思議な事件に巻き込まれていく。

落ち着いた感じの夫と、明るく朗らか元気嫁のりんご栽培記…と思いきや、思わぬファンタジーが始まる作品。口にしてしまったのは村の禁忌、決して取ってはいけないりんご。しだいに朝日の身体に影響を与えていきます。雪之丞はそうはさせじと対策を講じていきますが、りんごの力には及ばず……。

時間制限があるため、それまでに雪之丞が何とかすることができるのか、引き裂かれていく夫婦愛を取り戻すことができるのかが見所。試し読みはこちら〆。

「ディアボロのスープ」

ディアボロのスープ(1) (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。岡崎純平著、別冊少年マガジン連載中。

“人民よ魔女を称えよ、さすれば魔女は人民を満たさん”。魔女たちが統治するエダークス王国は、魔女が国民を守り、魔女は国民たちから称えられる魔女の王国。農耕に向かず収穫の少ない土地で、魔女だけが作れ栄養の底上げを行う「魔女のスープ」により人々は生きながらえていた。そこに侵攻してくる軍国、近代兵器を持つ科学の国・スペルビア帝国により、王国は危機に瀕していた。村人たちの犠牲により、帝国の攻撃からからくも生き延びた下級魔女・ほおりは、帝国への反撃を誓い、謎の男テンマや他の魔女らと共に反抗を開始する。

魔女の武器は大小さまざまな召喚獣、ただし魔女本体は生身の人間と同じで、戦闘には向いていません。帝国軍に包囲されればあっさり倒されて終わり。元々軍隊を持たない国なので、このまま侵略されたら負けるのは目に見えているため、軍師ともいえる謎の男テンマの力を借りての反撃戦。でも魔女は非力で戦闘経験不足、テンマは魔女を戦いの道具としてしか見ていない、という問題あり。はたして王国は侵略の危機を脱することができるのか。

決して画がうまいとも漫画がうまいとも言えないですが、話の続きが気になる作品。今はただの烏合の衆が立派なチームに成長し、帝国にひと泡吹かせることができるのか、テンマとは何者なのか、ほおりは村人の想いに応えることができるのか、作者は漫画がうまくなるのか。試し読みはこちら

※この記事は2013/04/20に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「くろのロワイヤル おはよう」

くろのロワイヤル おはよう (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。木下由一著、週刊少年マガジンSPECIAL掲載。

ある朝、パジャマ姿の女の子が、突然道の真ん中で生着替えを始めた。目撃者は山野ひとし、高校生。着替えをしていたのは鮫島くろの、魔法使いの少女だった。一般人では見ることのできない魔法、しかし、ひとしはくろのの魔法を無効化できる体質を持っていた。正体を知られてしまったくろのは、ひとしを拉致監禁するのであった。

ワガママ魔女っ子くろのと一般人ひとしのラブコメ未満のギャグ漫画です(通称:魔女っコメ)。女の子の画がうまいとか、エロティックな表現が得意とか、そういった類の作家さんではありませんが、ヒロインを可愛く描けていることと、ゆるいコメディが秀逸です。

ちなみに、表紙はくろのと、机の下でくろのを支えているひとしですが、初版だと帯に隠れて見えません。芸が細かい。試し読みはこちら。〆

※この記事は2013/02/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ほんとにあった!霊媒先生」

ほんとにあった!霊媒先生(5) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。松本ひで吉著、月刊ライバル連載中のギャグ4コマ。

趣味特技が降霊という、霊能力を持つ先生・木林呪理(きばやしじゅり)と生徒と妖怪と猫が織りなす怪奇漫画です。夏だけにホラーコミックを……と思ったら、ついうっかりこの作品をチョイスしてしまいました。

腹を抱えて笑えると言うほどではありませんが、霊能力ネタはいろいろと応用が効いていて面白いです。歴史上の偉人降霊授業、信長の霊を降霊させた女子高生キャラとか、死神・疫病神・貧乏神姉妹、身代わり化け狸ぽんきっつぁん、便利な使いっぱしりクダキツネなど、個性的なキャラがたくさん。

霊能力に興味のある方はどうぞ。〆

※この記事は2010/08/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC) (Amazon)

11月に第一作の劇場公開を控える「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン 連載中。

小説のコミカライズにろくなものがないイメージがあったので敬遠してましたが、読んでみたら意外とよかった。帯&巻末の原作者メッセージは褒めすぎにしてもかなり読める。

画はさほどうまくないものの、コマ割りと構図が優秀、アクションとスピード感(緩急)も十分なレベル。ヒロインの内向的(だけど暴力的)な性格も良く出てると思います。

作画風景がYouTubeにアップされていますが(参考動画(YouTube))、著者は新人の女性なんですね。末恐ろしい。

現在は最新の2巻が発売中。原作小説は全3巻で発売中。なお、ライトノベルではなくハヤカワ文庫SFなのでお間違えなきよう。〆

「さんかれあ」

さんかれあ(1) (少年マガジンコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「ケンコー全裸系水泳部 ウミショー」のはっとりみつる著、 別冊少年マガジン連載中。

ゾンビ娘萌えという危険なジャンルの作品です。生きた女にキョーミないというアホな主人公と、瞳孔が開きっぱなしのゾンビ娘のラブコメ。

ゾンビ映画好きの主人公・降谷千紘(ふるやちひろ)は、死んでしまった愛猫ばーぶを蘇らせるため、夜の廃墟で怪しげな実験を繰り返していた。実験が元でお嬢様学校の令嬢・散華礼弥(さんかれあ)と知り合うことになり、二人は協力して蘇生薬調合を行うが、とある事件のせいで礼弥が死んでしまう。しかし、礼弥が死ぬ前に服用していた蘇生薬のおかげでゾンビとして復活!

ネタばれになるので多くは語れませんが、礼弥にはゾンビ、というか死者ゆえのハンディーがあり、それを補うべく主人公が奔走します。放っておくと本当に死んでしまうので、いや死んでるんですが、肉体的な意味で消失してしまうので、ケアは怠れません。

また過保護に育った令嬢ゆえのガードの甘さ、無邪気さで色々と問題を起こします。娘ラブのお父様との確執があったり。

ウミショーが面白かったと思える人は読んで損なし。ゾンビ好きじゃなくても楽しい作品です。〆

※この記事は2010/10/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「作者不詳 ミステリ作家の読む本(上)・(下)」

作者不詳 ミステリ作家の読む本 (上) (講談社文庫) (Amazon)

「厭魅(まじもの)の如き憑くもの」に続き二回目の紹介となる三津田信三(みつだしんぞう)著の怪奇推理小説です。

主人公である編集マン・三津田信三と友人の飛鳥信一郎が手に入れた一冊の推理小説「迷宮草紙」。七編の短編小説からなるこの本は、作者不詳、出自不明、読んだ者はすべて行方不明になっているという怪奇書。七編すべてが解答編なしの未解決事件で、その謎ときは読者に委ねるという構成になっている。

しかも。本を読み始めた二人を、本の内容に関連したさまざまな怪奇現象が襲い始める。各編の謎を解けなければ、本の呪いを受けて死ぬ。しかも期間は一週間。怪異の影に怯えながらも、二人は「迷宮草紙」の謎解きに挑む。

著者の作品すべてに言えることですが、推理小説として面白く、また怪奇小説としても楽しめ、かつ今回は推理小説を読んだ読者(主人公)の推理を、我々が読むという二重構成という工夫がされています。上下巻と結構なボリュームがありますが、短編×7なので案外さくさく読めてしまいます。

有名推理小説へのオマージュのようにも読めるので、推理小説が好きな人に特にオススメ。ただ、「迷宮草紙」の謎がすべて解けなければ、あなたに怪奇現象が降りかかるかも……〆

※この記事は2011/01/09に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「さよならフットボール」

さよならフットボール(1) (KCデラックス)(Amazon)

超オススメコミック。「冷たい校舎の時は止まる」の新川直司著、マガジンイーノ連載終了、2巻完結。漫画好きなら絶対に読んでおくべき名作。

中学二年生のサッカー部員、恩田希(おんだのぞみ)は華麗なテクニックを持つスーパープレイヤー。女子サッカー部がないために男子サッカー部に所属し、男子にも負けないほどの実力だったが、フィジカルが違い過ぎて試合には出してもらえなかった。彼女にはどうしても新人戦にでなければならない理由があり奔走するが……。

女子が男子のスポーツで負けじと頂点を目指すという作品は数多ありますが(「ノノノノ」とか)、基本的にはファンタジックな内容が多く、つまりは現実的ではないのが本当のところ。一方で本作はフィジカルの差を前提にしつつも、これぐらいならやれるかもしれない、という夢を抱かせてくれます。

中学二年生という年齢が絶妙で、本編でもヒロインのジレンマとして登場しますが、小学生までは自分の方が背が高かったのに、成長期を迎えた男子達に次々と追い越されていく年頃。互角に渡り合えた子供たちに、性別の違いと言うだけで太刀打ちできなくなっていく。「私にはたぶん時間がないんだよ」の台詞通り、最後の戦いが新人戦という崖っぷちヒロインの戦いの物語。

恩田希が新人戦に固執する理由とは? 果たして試合に出ることができるのか? 勝敗の行方は? 2巻完結とシンプルなショートストーリーですが、長すぎず短すぎず丁度よいぐらい。サッカーの描写も台詞回しも上々。青春漫画としては抜きんでている、是非とも読んでもらいたい。〆

※この記事は2011/05/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「エンマ」

エンマ(1) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。原作:土屋計、ののやまさき著、月刊少年ライバル連載終了。全8巻完結。

戦争、虐殺などで、冥府では多くの死者が溢れすぎて、閻魔王様には裁ききれない。故に原因を滅するためにエンマが人界に遣わされる。エンマは閻魔様に造られた紙人形で、対象の骨を抜いて絶命させる力を持つ。戦争の首謀者、犯罪者、今は平凡でも将来に脅威となる者、国時代老若男女問わず、閻魔様の命に従い始末する。複雑な人の心を理解できないエンマであったが、多くの人間の死に立ち会い成長していく。

和風モノかと思いきや海外での活躍が多いエンマさん。イギリスでは切り裂きジャックをしばいたり、古代中国の偉い将軍をしばいたりします。中世のお話が多いようですが、未来のコロニーにも出没するなど、非常にバラエティに富んだストーリーが展開されます。最初は無感情なただの紙人形だったエンマも、ライバル・ナユタとの出会いや、地蔵菩薩様との邂逅で次第に成長してきます。はたして、彼女が人のために泣き、笑うことができる日は来るのか。

話も絵も上質で、万人にオススメできる良作。完結しているので一気読みにも最適(ただしマイナーなので全巻綺麗にそろう書店はほぼないと思われる)。試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/06/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「COPPELION(コッペリオン)」

COPPELION(11) (ヤンマガKCスペシャル) (Amazon)

オススメコミック。井上智徳著、ヤングマガジン連載中。

COPPELION(コッペリオン)
1.遺伝子操作によって生まれた、放射能の抗体を持った子供。
2.その子供たちで組織された、陸上自衛隊第三師団特殊部隊の名称。放射能によって汚染された東京での人命救助を任務としている。(表紙裏より)

西暦2036年。20年前に発生したお台場原発のメルトダウンによって、東京は廃都と化していた。放射能に汚染された街で、いまだ助けを待つ人々のために、放射能耐性を持つ子供たち”COPPELION”が救出に向かった。

件の大震災の影響により、アニメ化が流れた作品。内容からすれば仕方がないことですが、アニメ化も納得の面白さ。放射能防護服を着てかろうじて生きている人々と、その横を防護服も着ない学生がかっ歩するというちょっとシュールな光景はインパクト大。

主人公たちが救出に向かった東京に残った人々とは、何らかの事情があって街から離れられないワケありの人達であり、救助に来ましたと伝えても、じゃあ助けてくれとは素直に言わない面々。彼らを説き伏せ救助のヘリに乗せ、時には妨害勢力との戦闘も辞さない。また、世間から見れば特異な存在である自分の存在意義への疑いと葛藤の日々。生かすために、生きるために自分たちのできることは何なのか。

特徴ある登場人物たちの中でも、コッペリオン掃除係の小津姉妹は特に目立つ。電撃を放つ姉・歌音(かのん)と怪力の妹・詩音のコンビの問答無用っぷりは読んでいて爽快。障害はかたっぱしから破壊する。主人公チーム(言い遅れましたが保健係の3人、荊(いばら)・葵・タエ子)を完全に食うほどの活躍で、今後も期待。

試し読みはこちら

※この記事は2011/08/08に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「そんな未来はウソである」

そんな未来はウソである(1) (KCデラックス)(Amazon)

オススメコミック。「みなみけ」の桜場コハル著、別冊少年マガジン連載中。ヒロイン2人の特徴を踏まえたタイトルがとても良い。

人と目を合わせるとその人の未来がちょっと見えてしまう少女・大橋ミツキ(右)。他人がウソをつくと分かってしまう少女・佐藤アカネ(左)。余計な未来を見ないようにミツキはなるべく人と目を合わせないように日々を過ごし、裏表の分かってしまうアカネは友達づきあいが苦手。ある時、ミツキはアカネに自分が未来を予見できることを話す。荒唐無稽な話だが、ウソをついてないことが分かるアカネには本当だと分かる。それがきっかけで二人は仲良くなっていくが、アカネがミツキに鏡を見せたせいで、ミツキは自分の重大な未来を予見してしまう……。

アニメ化もした「みなみけ」はそんなに面白いとは思えないけど、こちらは好き。ミツキの見てしまった自分の未来「クラスメイトの高山くんと結婚してた」を実現させるために、アカネが奔走するお話。”嫌なら未来は回避できる”ので、未来を知ってしまったミツキと高山がくっつかなかった場合、原因は自分にあるとアカネは考えており、そうならないために意地でも二人をくっつけようと恋のキューピッドとなる。

なるはずでしたが。2巻では「いい未来は自分で作る」というアカネの言葉とともに、前提を覆すパラダイムシフトが起こります。

思いっきりネタバレになるので何が起きるかは伏せておきますが、恋の未来と嘘のシーソーゲーム、おそらくこれが本作のメインテーマになるのでは。著者の独特の空気感とぽかーん口は健在で、大した話題でもないのになんとなく楽しく読めてしまう不思議。肩肘張らずに読めるコミックとしてオススメ。試し読みはコチラ。〆

※この記事は2011/11/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ウィッチクラフトワークス」

ウィッチクラフトワークス(1) (アフタヌーンKC)(Amazon)

オススメコミック。水薙竜著、Goodアフタヌーン連載中。

普通の男子高校生・多華宮灰(たかみやほのか)と、クラスメイトで学園のアイドル火々里綾火(かがりあやか)。何の共通点もない二人だったが、ある日突然、多華宮が謎の巨大うさぎ軍団に襲われたところを、魔女の格好をした火々里に助けられる。実は火々里は街の平和を守る”工房の魔女”と呼ばれる者で、多華宮を守ることが使命だという……。

学園モノの割にはスケールがでかい魔法バトルと、繊細なデザインの魔女服、ライバルを圧倒的なパワーでのしていく火々里さんが魅力の作品。作中の台詞にもありますが、まさに”マリオのスター状態”。とにかく強い。クールで無口で無敵。

その無敵の秘密と、なぜ凡庸な人間である多華宮を護っているのか、がお話のテーマになっています。まあ、3巻になるとほとんど話が見えてくるのですが。個性的だけど弱いライバルたちや、2巻以降に登場する妹でブラコンの多華宮霞の編愛ぶりも素晴らしい。使う魔法もハチャメチャで○。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2012/03/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(7)<完> (講談社コミックス) (Amazon)

超オススメコミック。ハヤカワ文庫のSF小説「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン連載終了。完結。

悲しい過去を持つ少女娼婦のルーン・バロットは、彼女を愛妾としていた男・シェルに喉を引き裂かれ車ごと爆破され瀕死の重傷を負う。死の直前、ドクター・イースターにより、命を助けられると同時に金属繊維の人工皮膚を与えられ、周囲の電子機器を自由に操ることのできる力「電子撹拌(スナーク)」を身に付ける。何故、自分は殺されなければならなかったのか? どんなものにも変身できるしゃべるネズミ・ウフコックの力を借り、自分を死に追いやったシェルの犯罪を暴くために戦うことを決意する。

原作小説やアニメ映画版より面白い。コミカライズが成功するまことに稀有な例だと思います。そんなにうまい画ではないけれど、漫画がうまい。緩急が良いし、原作のえぐいところを、重すぎず軽すぎず、うまくコミックに落とし込んでいると感じます。

ど底辺から這い上がっていくバロットが魅力的な作品。法的に禁止されている科学技術によって蘇った代償として、結果を残さないと生存すらままならない追い詰められた状況の中で、自分の存在価値、有用性を追い求めていく少女の戦い。

元少女娼婦というヒロイン的に最悪な前職、時に戦いに溺れ自分を見失うことも、相棒であるウフコックを濫用し傷つけることも、強敵ボイルドから情けなく逃げ回ることがあっても、それらをすべて糧にしてたくましく成長していく。戦うヒロインのお手本のような娘です。

試し読みはこちら。劇場版オフィシャルサイトはこちら(最終作「マルドゥック・スクランブル 排気」は9/29公開)。〆

※この記事は2012/06/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「少年ノート」

少年ノート

少年ノート(1) (モーニングKC)(Amazon)

オススメコミック。「隠の王(なばりのおう)」の鎌谷悠希著、モーニング・ツーにて連載中。

天使の歌声を持つ少年・蒼井由多香は、中学入学と同時に合唱部に入部する。その才能を部員達から認められ、天才的なボーイソプラノとして強い信頼を得る。周囲の勧めもあり、由多香は活躍の場をオペラへと広げようとするが、感受性が高く音に関して敏感すぎる彼は、ささいな一言やいざこざで強く傷つき苦しんでしまう。そんな彼を合唱部の仲間達が支えていく。

変声期前のボーイソプラノ少年が主人公。いつか失われてしまう歌声と、純粋過ぎる彼の喜びと苦悩の物語。「常に集音機を持ちながら、音の洪水の中を歩いているような感覚」と劇中評されますが、由多香の感性は鋭敏で、ちょっとした音でも気分が高揚したり落ち込んだりしてしまいます。そんな彼が学園生活や大人達との交流の中で、何を得て、何を失っていくのか、非常に興味深く読めます。
由多香が中心のストーリーですが、彼を取り巻く人々、特に合唱部の少年・少女たちも物語に大きく関わってきます。一人一人が魅力的で、群像劇として優秀な作品。試し読みはこちら

※この記事は2012/12/31に「Psychelia.com」に掲載したものです。