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「相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展」

相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展

相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展 チラシ

相田裕著「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー ガール)」の、なんだか重厚なタイトルがつけられた展示会が催されます。

2013/10/11~2014/01/26まで、場所は東京千代田区の明治大学米沢嘉博記念図書館、火・水・木曜日はお休みですのでご注意を。件の図書館は、明治大学付属の、まんがとサブカルチャーの専門図書館で、古い漫画やサブカル誌を大量に保管、展示しており、閲覧可能なものもあります。

今回展示されるものは、展示用描き下ろしイラストの制作工程、単行本の表紙ギャラリーや、作品の制作プロセス、著者の仕事一覧などになるようです。もちろん、直筆のネームも見ることができます。……ただ、内容がタイトル負けしてないか?

関連イベントとして、マンガ研究者・泉信行が本作の魅力を語るトークイベントや、相田裕が指導するワークショップ、来年には相田裕のトークイベントなどあるようです。詳細はオフィシャルサイトを参考に(チラシもあります)。機会があれば行ってみたいと思います。〆

「やさしいセカイのつくりかた」

やさしいセカイのつくりかた 1 (電撃コミックス)(Amazon)

オススメコミック。竹葉久美子著、電撃大王ジェネシス連載中。

飛び級でアメリカの大学に入学し、在学中の論文が認められ研究プロジェクトを立ち上げた青年・朝永悠、19歳。しかしプロジェクトはとん挫してしまい、日本に帰り女子高の講師をすることに。

朝永の初出勤の際、校舎裏で一人、高度なフーリエ変換の方程式を解いていた少女・武藤葵を見つける。彼女もまた朝永と同じく天才と言われるものであったが、何故か周囲には内緒にし、普通の学生として過ごしていた。一方、かつて手を出してきた教師を糾弾し退職に追い込んだ少女・草壁ハルカは、勘違いから朝永を女の敵を思いこみ、何かとちょっかいを出してくるのであった。

天才すぎる青年と少女の苦悩を描いた青春ストーリーです。帯にある”ギフテッド”とは、先天的に特異な才能を持つ者、天才のこと。ギフテッドでありながら、ある理由によって普通に見られるように才能をひた隠しにする葵。朝永はそんな葵を歯がゆく思い、実力にあった教育をさせてあげたいと誘いますが、葵はそれを拒否します。ただし、手に入らない高度な学術書は借りていきます、というツンデレぶり。そこに問題児のハルカが絡んでくるロマコメ要素付きです。

なんだか煮え切らない人たちがたくさんでてくるお話で、特に自分の気持ちを抑えまくっている葵がいつ大爆発するのかが楽しみな一面怖ろしい作品。時限爆弾を愛でて育てるような感じ。年頃の女の子は怖いわ……。

試し読みはこちら。〆

※この記事は2011/12/26に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「GUNSLINGER GIRL」【完結記念】

GUNSLINGER GIRL(15) (電撃コミックス) (Amazon)

オススメコミック最終巻。相田裕著、月刊コミック電撃大王での10年の連載に幕。本年度、第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。原画展が開催中(GoFa)。表紙は一期生のアンカーとなったクラエス。特典付きの『~with Libretto!II』版は最終話に登場する新キャラの二人です。

現代のイタリア。表向きは障害者支援の公益法人「社会福祉公社」、しかし実際には年端の行かない重度の障害者に機械の体を与え、「条件付け」という洗脳を施した上で政府のための汚れ仕事を行う諜報機関だった。「義体」と呼ばれる少女達は、大人の課員とコンビを組む決まりになっており、それを「フラテッロ(兄妹)」と呼び、コンビで調査や戦闘を行い、テロ組織に立ち向かう。

前巻(14巻)でテロ組織との戦いにあらかたカタがつき、最終巻では事件と社会福祉公社の顛末が描かれます。1巻まるまるエピローグと言ってもよいぐらい。戦いに生き残った者たちが、限りある余生をどのように全うしていくか。この作品の隠れた特徴でもある、はたから見れば不幸な話なんだけど当事者達は前向きにとらえ強く生きていく、そういったエピソードが多い巻です。

シリーズを通して見ると、機関銃を平然と撃ちまくってテロ組織と戦う少女、という一見ありえない情景を、なるべくリアリズムを持って表現することができた作品。

一家殺害事件の唯一の生き残り、家族の死体のそばで一晩中暴行を受け自殺を望む重症の少女を、障害者支援の名のもとに接収して義体化(半サイボーグ化)、投薬により洗脳して諜報機関の兵士としてこき使う。しかも寿命が数年しかなく、記憶の経年劣化があり、命令には子供殺しも辞さない絶対服従のマシーン……。こう書くとろくでもないなあ。

とはいえ、自殺するよりはマシだろうし、テロとの戦いという社会貢献もできるのだから少しの光明を見いだせる。何より(洗脳されてるとはいえ)当事者たちが笑顔を絶やさないのが唯一の救い。そういった強いけれど可愛そうな少女が魅力だったのでしょう。後半アレですが。

また、「フラテッロ」の関係性と言うのも面白かったです。担当官と少女兵士、主従関係にある二人組ですが、まあ常識的に考えて、今日からこの少女がお前の部下な、義体化されてめちゃ強いから気にせずこき使え、と言われて素直にハイそうですかと使えるわけもなく。当然、手に余る状態になるわけです。兵士として見る事ができず、死んでしまった本当の妹を投影したり、情をこめすぎたりこめなかったりで失敗したり、年頃の少女の取り扱いに悩んだり……。担当官の苦労もたえません。そんな彼らと少女らの関係性にも注目です。

数あるエピソードの中でも、義体の1人、アンジェリカの「パスタの国の王子様」関連はコミック史上に残るであろう名エピソードなので必読。これを機に是非。第一話の試し読みはこちら

※この記事は2012/12/16に「Psychelia.com」に掲載したものです。