タグ別アーカイブ: SF

「Do race?」



Do race? 1 (ヤングアニマルコミックス)

おすすめコミック。「CLOTH ROAD」のokama著。ヤングアニマル増刊Arashi連載中。

人類が宇宙の星々に移り住むようになった未来のこと。空を飛びワープもできる宇宙服(ドレス)を操り、何億光年さきのゴールを目指す究極のレースがあった。その名も「ドレース」。ドレースのレーサーに憧れた女の子・キュウは、実力がありながら、心優しい性格と、貧乏ゆえに、夢をかなえることができなかった。そんな彼女の前に突如現れたのは、ドレース全冠の女王・ミュラ。ミュラはキュウに才能を見出し、自身のドレス「リリー」をキュウに与えるのだった。念願かなってレースに出れると喜ぶキュウだったが、「リリー」はレースに敗北すると爆発するというとんでもない代物だった……。

非常に説明が難しいのですが、ドレス=空飛ぶF1カーのようなものです。普通のレースと異なるのは、本来のドレスのように、美しく装飾され、その形状によってさまざまな機能を持つ点です。敵を攻撃するものから、自身の速度を上昇させるものなどさまざま。ドレスを着こなすことが、勝利へのカギ。

その中で、キュウのドレスは性能的には最強クラスながら、搭乗者の経験不足、作戦不足で苦戦を強いられます。しかも負けたら爆発する、という恐ろしい仕様となっており、勝利のために知恵を出し、弱点を克服し、仲間の力を借りてチームで戦っていきます。

憧れであり、最強の敵であるミュラ打倒を目指し、宇宙を飛び回るキュウ。負けたら爆発してしまうドレスを着こなし、夢をかなえることができるのか。また、okama先生しか描けないであろう、美麗なドレスも見どころ。繊細な服を描かせれば、この人にかなうものなし。

試し読みはこちら。〆

「旧約マザーグール」



旧約マザーグール (上) (下) (リュウコミックス)

おすすめコミック。「昭島スーサイド☆クラブ」の菅原キク著。アーススターにて連載終了の「HOLYHOLY」の新装版。

“その無人の島に最初に辿り着いたのは、目も耳も不自由な一人の乙女と、14人の生まれたばかりの赤子だけだった”

豪華客船で行く、聖エルレシアン女学園の修学旅行。突然の事故により船が沈没してしまったが、何とか生き残った少女たちは、無人島と思しき島へ流れつく。優等生・草間トリノと優しい友人・小井戸ひな達生徒は、家に帰ろうと、島を探索するうちに、巨大な目を持つ異形の怪物に遭遇してしまう。この怪物は何者なのか、この島から逃げ出すことはできるのか? 少女たちのサバイバルが始まった……。

旧題「HOLYHOLY」、コミックリュウWebにて連載中の「マザーグール」のアナザーストーリーです。登場人物が共通となるため、どちらも同じ時間軸ですが、違ったストーリーが展開します。

ちょっと百合めな無人島でのサバイバルホラーで、敵の正体が良くわからないまま、逃げろ逃げろで展開します。物語と並行して、おそらく怪物の祖となったであろう、目も耳も不自由な乙女とその子供たちの伝承が語られ、この怪物の正体に迫っていきます。なぜ怪物は少女たちを襲うのか、どうすれば逃げ切れることができるのか、が注目ポイントです。

登場人物がみな個性的で、キャラが多いわりに書き分けができているところに好感。また、お嬢様ゆえの楽天的な発想で危機感が欠如していたり、仲間内のトラブルや独断専行での失敗など、やってはいけないようなことを率先してやらかしていきます。このままじゃ全滅必死。その中で、唯一現実感のある主人公のトリノが、仲間たちを引っ張っていきます。しかし彼女にも弱点があって、ままならないことも……。

ストーリーは完結せず、そのまま「マザーグール」へと解決編は引き継がれます。漂流した別のグループの話となりますが、トリノたちに合流して戦う形になったらうれしい限り。はたしてどうなるか、そういった面でも非常に楽しみです。

試し読みはこちら
「マザーグール」はこちら〆。

「けものフレンズ」についての感想(前半)

たまには、アニメの感想でも。巷で話題のアニメ「けものフレンズ」について。

~あらすじ~(公式サイトより)
この世界のどこかにつくられた超巨大総合動物園「ジャパリパーク」。そこでは神秘の物質「サンドスター」の力で、動物たちが次々とヒトの姿をした「アニマルガール」へと変身――! 訪れた人々と賑やかに楽しむようになりました。しかし、時は流れ……。

ある日、パークに困った様子の迷子の姿が。帰路を目指すための旅路が始まるかと思いきや、アニマルガールたちも加わって、大冒険になっちゃった!?

現在第6話まで進行中、結構がっつりアプリ版をプレイしていたので、設定の違いに戸惑いつつ、楽しんでおります。
ヒット作なので、各話の細かいあらすじは省きます。他所で探してみてください。

正直、最初はサーバル以下、素人みたいな声優はなんとかならんかったのかと、イライラしながら見てましたが、それはこういうもんなのだ、と悟ってしまえばまあ大丈夫に(サブキャラは逆に精鋭声優揃いで安心)。

ジャパリパークの開園前だったアプリ版と異なり、ジャパリパークは開園後、しかもどうやら人類滅んだっぽい? 演出やプロットとなっているため、いやでも「猿の惑星」を思い出す感じになっています。
Twitterでは「#けものフレンズ考察班」なるタグもでき、このフレンズしかいない荒廃した(?)世界はどのようにできたのかなど、文字通り考察がされていて、楽しめます。明らかに深読みなのに、案外読めてしまうところが素晴らしい。

さて、コミック版も含め、この作品の厄介なところは、同一素材を元にした別作品と思われるのに、設定の一部だけ重複させるなどして、鑑賞者を混乱させる点です。
まあ、そこが面白い点でもあるのですが、例えば「トキ」は、アプリ版もコミック版もアニメ版を「音痴」という点で統一されていますが、「キタキツネ」はアプリ版では儚げな感じのキャラクターだったのが、コミック版ではツンデレで小生意気なキャラクターになっていたり、外見と中身を変えてきています。

アプリ版とアニメ版で比較すると、パークガイド(ミライさん)の被っていた帽子と同じデザインのものを、かばんが被っていること、また両者とラッキービーストの声は同一声優(内田彩)であることが共通点ですが、それならサーバルはそれを知っているはずなので、矛盾が発生するなど、混乱の種が多々あり。また、アライグマとフェネックが何かの目的のためにサーバルを追っている、というのも同じ(アプリ版はかばんではなくセーバルを追撃)。

合わせて世界観を考えていくと、ジャパリパークについては、アプリ版はセルリアンのせいで開園できない、コミック版では開園しており来園者も多い、アニメ版では人間の姿がなく荒廃している、と三者三様。時系列があるんだかないんだか。

これらの事象についての解は、手塚治虫作品や「舞-HiMEプロジェクト」などの「スターシステム(同一人物が別作品でも登場するが、見た目や名前が同じだけで別人扱い)」を採用していると思われるので、メディアは関係なくすべて別人物別世界……としてしまえばよいのですが、ここで一つ問題が。

アプリ版の配信が終わってる=ジャパリパークが崩壊した?

そんなことがあり、時系列が実はあり、終了したアプリ版の続きでは? 説が浮上してくるのですが、それもまた矛盾を残しているためにありえない感じです。
なぜなら……アプリ版は超ハッピーエンドで終わるから……。

ストーリーもサービスも、大団円で終わっているので、これをアニメ版で壊すようなことは、さすがにしてこないんじゃないかと推測してます。
完全無料化(ようするに事実上のサービス撤退)した後、過去イベントが全部解放されて、二週目のストーリーまであり、親密度も追加され、これでもかと遊びつくした後、アニメの発表とともに消えていったので、今まで費やしたお金は……とか、ヘイトをためるユーザーもほとんどいなかったはず。強すぎたセイリュウ以外。

でも実はあの後ジャパリパークが滅びました、では悲しすぎる……。
逆に、その設定だったら、もうすごいとしか言いようがない。そのためにアプリ版閉じてたら、プロジェクトとしてのこだわりに脱帽するしかないでしょう(そしてちょっと期待している)。

まだまだストーリーは途中なので、今後の展開踏まえて、注目してみようと思います。感想(後編)はアニメ終了後に載せようかと思います。〆

追伸
アルパカはかわいい。
方言といい所作といい、近年ないかわいさ。素敵。

「おにでか!」



おにでか! (1) (ヒーローズコミックス)

おすすめコミック。矢寺圭太著、pixivヒーローズ連載中。

女子高生・鬼龍院花生(きりゅういんはなお)は学校のアイドル。男子たちからモテモテだが、色恋にはあまり興味はない様子。いつも幼馴染の渡辺武蔵(たけぞう)をこき使っては、自分に言い寄る男子たちを追い払っていた。さんざんパシリに使われていた武蔵は、このまま甘やかしていてはいかん! と一念発起し、これからは世話を焼かないことを宣言する。ショックを受ける花生だったが、そこに謎の雷が落ちてきて……。

パトロール中の事故で命を落とし、異星人と一心同体となって地球守ることになったのはハヤタ隊員=ウルトラマン。本作では、似たような事故で死んでしまった少年・武蔵に宇宙生命体コスメスが宿り、その場にいた花生には巨大化能力が身についてしまいます。そして、世界を救うために、次々と現れる外敵と戦うことになっていくことに。

現れる敵の正体は不明。どうやらコスメスと同じような宇宙生命体らしいことがわかります。また、花生は「ときめき」の力で巨大化し、どんどん強くなります。それはビルより大きく、体育館を押しつぶすほどに……。恋する乙女ほど強くなるというスーパーヒーロー(ヒロイン?)なのです。

なお、戦闘方法は、殴る・蹴る、のまんま肉弾戦です。スペシウム光線や剣・盾など便利な武器はありません。思いっきり蹴り飛ばします。戦う相手も人型ですが、序盤の強敵・メイドアイドルは斬新な攻撃方法を繰り出してくるため、元はひ弱な女子高生である花生は大苦戦。圧倒的火力に立ち向かうために花生がとった行動とは……。

巨大少女というジャンルになると思いますが、この作品は”巨大になっている”という描写が非常に優れています。ビルの合間に立つ花生や、よろけて地面を踏み抜くカット、校舎に乗った花生をロングショットで描くシーンなど、被写体の大きさを強調するために、怪獣映画や特撮物でよく使われる手法ではあるのですが、よく描かれていると思います。そういったちょっとしたところをさぼると、迫力に欠いたり現実感がなくなっていくのですが、よくわかってらっしゃるという感じ。

また、絵柄は決して繊細な今風ではないのですが、表情がうまく描けているので、ヒロインがとても可愛らしく見えます。心理描写もばっちり。可愛いなあ、花生。

この先の展開も全く見えないので、続きも楽しみです。試し読みはこちら。〆

「わたしのカイロス」



わたしのカイロス (BUNCH COMICS)

おすすめコミック。からあげたろう著、くらげバンチ連載中。

とある惑星にて。見世物として、敵と戦い続けなければならないという「剣闘刑」を受けてしまった少女・グラジオラス。古代ローマのグラディエーターのような状況に置かれて失望するが、見知らぬ星に転送され、そこで出会ったロボットの少年・カイロスに勇気づけられる。そこに現れた強力な”敵”。グラジオラスとカイロスは協力し立ち向かうことになったが……。

どう考えても戦うことはできないだろうというひ弱な少女と、さらにひ弱なロボット少年が、絶望的な状況で強大な敵に戦いを挑み続ける、というプロット。

グラジオラスには絶対に負けられない理由があり、たとえ力が弱くても、勇気をもって戦いに臨みます。折れそうになる心をカイロスに支えられ、必死に立ち向かっていく姿が美しい。

様々な星をめぐりながら戦い続けていくようで、銀河鉄道999的に、さまざまな出会いと別れを繰り返して進むバディものになりそう。ストーリー、キャラクター、アクション描写等が平均してレベルが高く、長く続けてほしい作品です。

試し読みはこちら。〆

「ゴールデンゴールド」



ゴールデンゴールド(1) (モーニング KC)

おすすめコミック。「刻刻」の堀尾省太著、月刊モーニングtwo連載中。

田舎の島町・寧島(ねいじま)に暮らす普通の女子中学生・早坂琉花(はやさかるか)は、ある日海岸で人の形をした奇妙な置物を拾う。捨てることもできないので、神社の祠に置き、些細な願いごとをしたところ、なんとその置物が福の神(?)となって琉花の前に現れる。その異形をみて、慌てて逃げる琉花であったが、家に帰ると福の神が民宿客として居座っていた……。それからというものの、急に民宿や売店が繁盛しだす不思議な現象が起こり始めるのだった。

あらすじだけ見ると、何かの昔話のようですが、福の神が普通じゃないので、やや怖さを感じるファンタジーものとなっています。まず、福の神がそもそも福の神かどうか、ほとんどしゃべらない上に、容姿が不気味な地蔵の形をしており、しかも島の人間には普通のおじさんに見えているため、だれも福の神であると断言できません。

そんなものが、自宅に居座っている時点でかなり不気味。しかも、祠に置いたのは琉花ですが、元の置物を洗う際に腕を折ってしまい、福の神は片手がない状態、これは許されることなのか悪いことなのか。また、異常なぐらいに店が繁盛していきますが、経営者であるおばあちゃんも取りつかれたように金策に走っていき、琉花を取り巻く環境が大きく変わっていきます。

この状況、不気味ではありますが、都会に憧れる好きな男の子を島内に留まらせるため、琉花は利用することを考えます。目標は都会のアニメイトに負けない品ぞろえの店舗を作ること。うまく福の神を使いこなせればよいのですが、うまい話には裏がある、何かしっぺ返しがあるような気がして怖いところ。不気味な福の神の正体と、琉花の恋路はどうなるのかに今後も注目。

試し読みはこちら。〆

「魔法少女特殊戦あすか」



魔法少女特殊戦あすか(1) (ビッグガンガンコミックス)

おすすめコミック。原作・深見真、作画・刻夜セイゴ。月刊ビッグガンガン連載中。

かつて魔法少女として世界を救った少女・大鳥居あすか。伝説の戦いから3年後。現在は普通の女子高生として暮らしていた。しかし、多くの仲間を失った凄惨な戦いの記憶を忘れることはできず、心の枷として彼女を苦しめていた。そんな中、偶然にも友人の危機を救うことで、再び新たな巨悪との戦いに挑むことになったあすか。はたして真の安息を取り戻すことはできるか……?

その昔、魔法少女として戦い、今は年をとって少女から青年へ。平和になった世界のその後の苦悩を描く作品は何点かありますが、こちらは魔法少女時代も両親を惨殺されたり仲間を殺されたりで、かなりハードな魔法少女兵士として戦っていた経歴の持ち主がヒロイン。クールな外見ですが中身は熱血系で、正義感も強い主人公タイプです。魔法少女らしく、魔法のロッドでも武器にするのかと思いきやそうではなく、カランビット(特殊な形状のナイフ)で斬殺メインという、肉弾戦派(超強い)。

魔法少女は何人かいて、それぞれが今も何らかの活動をしていますが、あすかだけは休眠状態となっています。あなたも戦ってほしい、という元仲間の申し出に応じるか否か、戦いを望まないかつての英雄が、再び戦火の中に舞い戻るかが序盤の展開となります。まあ、戻らないと話にならないので、当然戻っていくわけですが、どうやら敵は新たな魔法少女らしい……ということが分かってきます。

魔法少女ものを下地にしながらも、ストーリーはオリジナル性が高く、アクション描写もうまいです。他の魔法少女との協力、牽制、敵対など、今後いろいろと展開できそうなところも面白いかと。

試し読みはこちら〆。

「ゲスと神様」

ゲスと神様 (1) (カドカワコミックスAエース)

オススメコミック。濱元隆輔著、KADOKAWAのオンラインコミックサイト「ComicWalker」にて連載中。

「このクラスになったというだけで、私はこのクラスに何も求めません。」「ですので、皆さんも私に何か求めようとしないでください」

転校生・錦ミドリ。黒髪ロングの超美人だが、周りを拒絶するような発言を繰り返し、人を寄せ付けようとしない、エキセントリックな性格の持ち主。ちょっといい加減だが、ごく普通の高校生・比嘉氏アオは、ふとしたことで、彼女を助けようとするが、激しく拒絶され、憤慨する。そんな時、アオは偶然、彼女のとんでもない弱みを握る。しめしめこの間の仕返しに、と脅迫したまではよかったが……。

【神】は願いをかなえ、願いをかなえてもらったものは代償として【死神】となる。死神は、誰かの代わりに死ぬこと・【代理自殺】で、その誰かを救うことができる。死神は何度でもよみがえり、死ぬはずの人間をすくうことができる。

あれこれあった後、 死神となったアオは、他の誰かのために、一時的とはいえ「死ぬ」という行為をしなければならなくなります。あるときは屋上から飛び降り、あるときは電車に飛び込み。代わりに死ぬ行為が、人を救うことと知りながら、生き返ると知っていても死ぬのが怖い、もしかしたらそのまま死んでしまうかもしれない、そんな恐怖と闘いながら、悩み続ける日々。

すべてを見透かし、クールビューティでちょっといじわるな【神】と、もがき苦しむ若き【死神】の物語。立ち読みおよび連載はこちら。〆

「橙は、半透明に二度寝する」

橙は、半透明に二度寝する(1) (少年マガジンコミックス)

オススメコミック。「血潜り林檎と金魚鉢男」「バニラスパイダー」の阿部洋一著、別冊少年マガジン連載中。

船溜まりのある小さな街で起こる、摩訶不思議な話の短編集。

表紙の女の子は生首抱えていますが、これぐらい普通なので気になさらぬよう。イカ型のエイリアンが攻めてきたりする非日常的世界なので、常識なんて通用しません。こういうものだ、と割り切って読むのが作法。

電撃コミックジャパンが廃刊になり、連載していた「血潜り林檎と金魚鉢男」が残念なことになった(正確にはどうなったか分からない)筆者ですが、今度は短編集なのでいきなり終わっても大丈夫……。うーむ、もっと評価されて良い漫画家なのにいつも不遇。がんばれ。

試し読みはこちら〆。

「スクール人魚」

スクール人魚(1) (チャンピオンREDコミックス)

オススメコミック。「RAY-レイ-」「地球の放課後」の吉富昭仁著。チャンピオンRED連載終了、完結。

夜中、学校のプールでおまじないを唱えると「人魚」が現れる。そしてその「人魚」の肉を食べると恋がかなうと言うウワサがあった。春子と芳子の二人が、こんな荒唐無稽のウワサを信じたのは、実際に体験した女の子の手記を見つけたからだ。二人は「人魚」を捕えるための武器を持ち、夜の学校に忍び込んだのだが……。

凶器を振り回しながら人魚を追い回すというおどろおどろしい内容の作品ですが、狩猟の対象である人魚がスクール水着の少女たちなので、なんとなくエロチックな感じになってます。学校に出現する人魚なんだからスクール水着だろうというコンセプトだけでも面白い。

人魚を捕まえて食べて恋愛成就、を基本エピソードとし、シチュエーションの異なる複数のコンビが挑みます。しかし、人魚は校舎内を縦横無尽に泳ぎまくり、簡単には捕まりません。そこで明かされる手記には書かれていなかった内容、もし人魚を捕まえることができず朝を迎えてしまったら……。

全2巻と短い内容ですが、中身が濃く、きれいにまとまっており、それでいて少しエロス。少し変わった作品を読みたい人には推奨です。〆

「マテリアルポルカ」


マテリアルポルカ(1) (アフタヌーンKC)

オススメコミック。古林奈留著、good!アフタヌーン連載中。

乙女の園、ラ・ヴィエルジュ女学院中等部に入学した勅使ヶ原(てしがわら)アリス。親友の森塚るかとともに、念願かなって入学した学院であったが、晴れの入学式のとき、校則違反の生徒が顔面を銃で吹き飛ばされて死亡する。校則は絶対、守れないものは即死刑。学院は生徒会長・武藤沙羅が恐怖で支配する乙女の城であった。恐怖と混乱の中、アリスは学院に伝わる五つの至宝の一つ「いばら姫(チェーンソー)」を手に入れる。その力で生徒会長を倒し、学院の平和を取り戻すことができるのか……。

頭吹き飛ばされれば大出血で地獄絵図…になるのが普通ですが、本作では、血が吹き出る代わりに、コンペイトウやクッキーなどの可愛らしいお菓子類が可憐に舞い散ります。おかげで血なまぐさくなく、ファンシーささえただよう不思議な作品となっております。

こんな学院、教師や父兄が放っておかないだろう、とは思いますが、作品中に大人は一切出てきませんので、(不自然ですが)話が成立しています。この辺の矛盾に目をつむりながら読まなければいけないので、生真面目な人には向かないかも。同時にそれが魅力でもある。そういうもんなんだ、ということにしましょう。

ヒロイン・アリスは普段は弱々しい、頼りなさげな女の子ですが、武器である「いばら姫」を手にすると一変、強くて美しい戦士に変身(?)します。二面性を持つ少女ですが、さらに少々の異常性も持ち合わせていて、共感をしづらい、変な主人公になってます。この子が一体何者なのか、何を成し遂げるのかが今後のストーリーの軸になりそう。

個人的には、アリスの友達の猿渡つづりさんにがんばってもらいたい。アリスが王子様ならつづりはお姫様ポジション。作者が意識しているかはともかく、か弱いつづりこそが真のヒロインであり、彼女を守るためにアリスが戦うのです。そのためには、どんどん酷い目にあってもらいたい。がんばれ、つづり。

試し読みはこちら。〆

「春の包帯少女」


春の包帯少女1 (メテオCOMICS)

オススメコミック。佐藤ミト著、Webコミックサイト「COMICメテオ」連載中。

夜桜ハル(♂)と星見ナツ(♀)は周囲もうらやむお似合いの恋人同士。今日も仲良く一緒に登下校、クラスの仲間にからかわれながらも、二人はいちゃいちゃ楽しい学園生活を謳歌していた。そんな折、街に放火事件が頻発しだす。犯人は見つからず、住民たちは不安に怯えていた。ある朝、ハルの机に”お前が放火の犯人だ”と落書きがしてあった。落書きをみて、血相を変えて飛び出したハルを追うナツだったが、そこで見たのは、燃え盛るハルの右手だった……。

1巻を読んだ時点で、設定がよく分からなかったので、評価を保留にしていましたが、2巻を読んで大腿概要がつかめてきたのでオススメにしてみました。

ハルの右手には特殊な力があり、それは何らかの条件により燃えだしてしまう、燃やしてしまう、というもの。その効果の範囲は定かではなく、もしかしたら放火の犯人が自分ではないか、と不安に怯えます。ナツにも内緒にしていましたが、その秘密が露見し、あまつさえ彼女を火災に巻き込んでしまいます。結果的に、ハルは愛するナツを火傷で包帯ぐるぐる巻き状態にしてしまいます。ここで普通なら二人の間に溝ができてしまいそうなものですが、優しいナツはハルを受け入れ、元のように仲の良い恋人同士として生活を再開する……のですが。というお話ですね、2巻を含めてまとめると。

作品の見どころは、ハルの持つ能力の謎、放火魔は本当に彼なのか。恋人の特殊な能力を知り、なお愛を貫こうとするナツ、彼女もまた、不可思議な力を持っていることが判明します。この二人を放火に関連しているのではないかと疑う転校生・満月秋は、肥大化した正義感の持ち主で、悪は決して許しません。主人公たちを追い詰める彼女から逃れることができるのか。さまざまな謎とスリルを含みながら物語は進行していきます。

途中から、ヒロイン・ナツがずーっと包帯巻きなので、包帯萌え(?)にはたまらない作品……だと思います。個人的には、ナツが物わかりの良い優しい娘すぎて気持ち悪いです。某巨乳の何でも知ってる猫娘委員長を連想してしまいました。信頼されまくってるハルのストレスたるや、もう……。ただ、この娘がストレスを抱え、本格的にブッ壊れ始めたら、この作品は名作になると思います。早く発狂しないかな♪

試し読みはこちら。〆

「アリスと蔵六」


アリスと蔵六 1 (リュウコミックス)

オススメコミック。「ハックス」「ぼくらのよあけ」の今井哲也著、月刊COMICリュウ連載中。

曲がったことが大嫌い、樫村蔵六(かしむらぞうろく)は、ある日の仕事の帰り、紗名(さな)と名乗るドレスの少女と出会う。何者からか逃げていると言う紗名は、蔵六に自分の家来になれば何でも願いを叶えてやると持ちかける。彼女は自らを、想像すればどんな願いも叶う不可思議な能力”鏡の門(ルッキングラス)”を持つ、「アリスの夢」だと名乗る。混乱する蔵六の前に、紗名奪還を狙う刺客が現れて……。

頑固一徹じいさんと、何でもできるけど何にも知らない少女のバディもの。強力な能力を持ち恐れられる紗名を、そんなの関係ねえ、悪いことをしたら謝れバカヤロウと叱り飛ばす蔵六。持ち前の正義感を発揮し、紗名を取り戻そうと暗躍する組織から守ることを決意します。

一方の紗名は、どんなものでも創り出せるけれど、自分が何者なのか、自分がやろうとしていることは正しいのか、答えを見つけ出すことができず、悩み苦しみます。自らが研究所の地下に生み出した巨大な異空間「ワンダーランド」と、それを研究する怖い大人たち。彼らとの決別を目的に戦い始めます。

爺さんと孫ほどの年齢差がありながらも、信頼関係を築き、次第に強力なパートナーとなっていく蔵六と紗名。「アリスの夢」の秘密と、それを狙う組織との攻防が見所の作品です。試し読みはこちら。〆

「相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展」

相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展

相田裕「GUNSLINGER GIRL」“改造”と“再生”の10年展 チラシ

相田裕著「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー ガール)」の、なんだか重厚なタイトルがつけられた展示会が催されます。

2013/10/11~2014/01/26まで、場所は東京千代田区の明治大学米沢嘉博記念図書館、火・水・木曜日はお休みですのでご注意を。件の図書館は、明治大学付属の、まんがとサブカルチャーの専門図書館で、古い漫画やサブカル誌を大量に保管、展示しており、閲覧可能なものもあります。

今回展示されるものは、展示用描き下ろしイラストの制作工程、単行本の表紙ギャラリーや、作品の制作プロセス、著者の仕事一覧などになるようです。もちろん、直筆のネームも見ることができます。……ただ、内容がタイトル負けしてないか?

関連イベントとして、マンガ研究者・泉信行が本作の魅力を語るトークイベントや、相田裕が指導するワークショップ、来年には相田裕のトークイベントなどあるようです。詳細はオフィシャルサイトを参考に(チラシもあります)。機会があれば行ってみたいと思います。〆

「城下町のダンデライオン」

城下町のダンデライオン (1) (まんがタイムKRコミックス)(Amazon)

オススメコミック。ライトノベルの表紙や挿絵で活躍している春日歩(かすがあゆむ)著、まんがタイムみらくキララ連載中。

11人家族の大所帯、櫻田家は国を治める王家の一族。父の国王を初め、後継ぎとなる9人の兄弟姉妹はそれぞれ特殊な能力を持っている。例えば三女の茜の場合、自身と触れた物の重力を制御し、自由に空を飛ぶことができる能力・重力制御「グラビティコア」。彼女ら王族の安全を保証するため、街のいたる所に監視カメラが仕掛けられているが、目立つことが大嫌いな人見知りの茜は、今日も必死にカメラを避けて登校するのだった。

監視カメラの設置理由はもう一つ。それはTV番組「今週の櫻田家」の放送のため。文字通り王家の活動記録を放送する番組で、兄弟姉妹の中から次期国王を選ぶ選挙のための宣伝に使われています。より活躍し人気を集め、次期国王を目指し兄弟が切磋琢磨する……はずなのですが、三女の茜を筆頭に、父国王の後を継ぎたいという兄弟がほとんどいないというあり様。

ヒロインは一応茜ですが、第二話以降は彼女の兄弟姉妹のエピソードが中心。各々の特殊能力が巻き起こすドタバタと、選挙戦を絡めたストーリーになっています。

個人的に、次女の奏(かなで)がお気に入り。莫大な貯金と引き換えに、古今東西、未来のものでも自由に生成できる能力・物質生成「ヘブンズゲート」を持つ彼女。何でも生成できる半面、思いついたら勝手に生成してしまうために、常に貯金に気を付けておかないと破産してしまうという危険な能力。数少ない、国王を目指す兄弟姉妹の一人。がんばれ。

試し読みはこちら

「レイチェル・ダイアル」

レイチェル・ダイアル 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。皿池篤志著。ヤングジャンプ増刊、ミラクルジャンプ連載中。

人間が立ち入ることができない危険な島で、金属を回収する役割を持つアンドロイド、アレックスとマックスは、ある日突然自分たちを救出しにやってきたという少女・レイチェルに出会う。レイチェルは、二人に金属の回収を今すぐに止めろという。納得できない二人だったが、そのとき島を守る巨大ロボット・ギガンテスが襲いかかってきた……。

持ち込み作品が即連載、単行本化という珍しい作品。それもうなずけるほど、ストーリーもテンポも3人の掛け合いも非常に良いです。また、一話ごとにレイチェルがでかくなっていく(7歳→15歳→17歳→19歳)ので、心身ともに成長し変わりゆく女の子と、まったく変わらないアンドロイドの二人の対比があって面白い。この調子でどんどんでかくなっていくのか?

掲載誌が隔月発行のために、次巻は1年後ということになりそうですが、楽しみに待ちたいと思います。〆

※この記事は2013/03/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「石影妖漫画譚」

     

石影妖漫画譚 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。河合孝典著、週刊ヤングジャンプ連載終了、完結。

江戸時代、ボロ長屋の一角に住む烏山石影(からすやませきえい)は、妖怪を専門に描く変わり種の絵師。妖怪に異常な関心を持ち、妖怪の噂を聞きつけては危険を顧みることなく出向いてき、その姿を描くことに情熱を注ぐ偏執狂。彼の持つ妖筆「毛羽毛現(けうけげん)の筆」で描かれたモノは、具現化して妖怪と戦う能力を持ち、その力で身を守ることができるが、その能力ゆえにさまざまな事件に(自分から)巻き込まれることになる。

突出した人気はないだろうし、すでに完結した作品ですが、リンク先には試し読みやらWEBオリジナルアニメやらコンテンツは非常に充実しています。ずいぶん偏った人気があるのだろうか?

石影の元には、街の人々から妖怪に関するさまざまな事件が持ち込まれます。多くは危険な妖怪の仕業。彼は妖筆の力を借り、個性豊かな妖怪を召喚、妖怪たちと戦い事件を解決に導きます。筆を持てばべらぼうに強い彼ですが、一方で、妖怪に関係ないものには一切興味を示さず、収入なく食うことすら事欠く引きこもり絵師です。こんな大人になっちゃだめだ。

彼に味方をしてくれる妖怪もいます。その一人が妖筆を与えてくれた毛羽毛現(けうけげん)(←2巻表紙)。髪盛り過ぎちゃって、不思議な髪形になってますが、れっきとした妖怪です。時には彼女の助けを借り、強力な妖怪と対峙します。ちなみに歌舞伎俳優大好きのミーハー。

序盤は短編が主体ですが、中盤以降は巻をまたぐような中編、長編の多い作品です。ストーリーが良質、キャラクターも多彩で書き分けができているし、次回作も期待できる漫画家の1人だと思います。是非。〆

※この記事は2013/02/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「くろのロワイヤル おはよう」

くろのロワイヤル おはよう (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。木下由一著、週刊少年マガジンSPECIAL掲載。

ある朝、パジャマ姿の女の子が、突然道の真ん中で生着替えを始めた。目撃者は山野ひとし、高校生。着替えをしていたのは鮫島くろの、魔法使いの少女だった。一般人では見ることのできない魔法、しかし、ひとしはくろのの魔法を無効化できる体質を持っていた。正体を知られてしまったくろのは、ひとしを拉致監禁するのであった。

ワガママ魔女っ子くろのと一般人ひとしのラブコメ未満のギャグ漫画です(通称:魔女っコメ)。女の子の画がうまいとか、エロティックな表現が得意とか、そういった類の作家さんではありませんが、ヒロインを可愛く描けていることと、ゆるいコメディが秀逸です。

ちなみに、表紙はくろのと、机の下でくろのを支えているひとしですが、初版だと帯に隠れて見えません。芸が細かい。試し読みはこちら。〆

※この記事は2013/02/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「スワロウテイル人工少女販売処」

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)(Amazon)

ハヤカワ文庫JA、藤真千歳(とうまちとせ)著、人工妖精(フィギュア)と呼ばれる少女を主人公にしたSFです。ワンフェスにかけてみた。

種のアポトーシス(プログラムされた細胞死)という病気に感染してしまった者は、東京湾(関東湾)に浮かぶ人工島に隔離されていた。島では感染を防ぐために男性地区と女性地区に区分し、男女を別々に住まわせていた。

異性の代わりとして造られたのが人工妖精と呼ばれる人造人間たち。彼、彼女らは微細機械(マイクロマシン)によって構成されているが、人間と同じように脳や心臓があり、魂を持ち、容姿も年齢もさまざま。人間と異なるのは、肉体的に成長をしないこと、背中には羽を持ち、「人間に危害を加えてはならない」などの規則を破れないこと(ロボット3原則のようなもの)。

主人公の揚羽(あげは)は、人工妖精の中でも最も劣等な5等級に分類され、羽が黒く醜くて、学習能力が低いことから自称「バカ」。ただし、彼女には”死んだ妖精の心を読む”能力と、人工妖精でありながら原則に反して殺傷ができる、という特異な才能を持っていた。揚羽はその能力を活かし、暴走した人工妖精「傘持ち(アンブレラ)」による連続殺人事件の真相を追っていた。

あらすじ長くてすみません。どこで区切っても話が通じないぐらい設定が凝ってます。世界観だけでお腹いっぱい楽しめる。物語もバトルあり謎解きあり恋あり旅ありハードボイルドあり陰謀ありのSFロマンが盛沢山。オススメです。〆

※この記事は2010/07/26に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ほんとにあった!霊媒先生」

ほんとにあった!霊媒先生(5) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。松本ひで吉著、月刊ライバル連載中のギャグ4コマ。

趣味特技が降霊という、霊能力を持つ先生・木林呪理(きばやしじゅり)と生徒と妖怪と猫が織りなす怪奇漫画です。夏だけにホラーコミックを……と思ったら、ついうっかりこの作品をチョイスしてしまいました。

腹を抱えて笑えると言うほどではありませんが、霊能力ネタはいろいろと応用が効いていて面白いです。歴史上の偉人降霊授業、信長の霊を降霊させた女子高生キャラとか、死神・疫病神・貧乏神姉妹、身代わり化け狸ぽんきっつぁん、便利な使いっぱしりクダキツネなど、個性的なキャラがたくさん。

霊能力に興味のある方はどうぞ。〆

※この記事は2010/08/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。