タグ別アーカイブ: SF

「レイチェル・ダイアル」

レイチェル・ダイアル 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。皿池篤志著。ヤングジャンプ増刊、ミラクルジャンプ連載中。

人間が立ち入ることができない危険な島で、金属を回収する役割を持つアンドロイド、アレックスとマックスは、ある日突然自分たちを救出しにやってきたという少女・レイチェルに出会う。レイチェルは、二人に金属の回収を今すぐに止めろという。納得できない二人だったが、そのとき島を守る巨大ロボット・ギガンテスが襲いかかってきた……。

持ち込み作品が即連載、単行本化という珍しい作品。それもうなずけるほど、ストーリーもテンポも3人の掛け合いも非常に良いです。また、一話ごとにレイチェルがでかくなっていく(7歳→15歳→17歳→19歳)ので、心身ともに成長し変わりゆく女の子と、まったく変わらないアンドロイドの二人の対比があって面白い。この調子でどんどんでかくなっていくのか?

掲載誌が隔月発行のために、次巻は1年後ということになりそうですが、楽しみに待ちたいと思います。〆

※この記事は2013/03/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「石影妖漫画譚」

     

石影妖漫画譚 1 (ヤングジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。河合孝典著、週刊ヤングジャンプ連載終了、完結。

江戸時代、ボロ長屋の一角に住む烏山石影(からすやませきえい)は、妖怪を専門に描く変わり種の絵師。妖怪に異常な関心を持ち、妖怪の噂を聞きつけては危険を顧みることなく出向いてき、その姿を描くことに情熱を注ぐ偏執狂。彼の持つ妖筆「毛羽毛現(けうけげん)の筆」で描かれたモノは、具現化して妖怪と戦う能力を持ち、その力で身を守ることができるが、その能力ゆえにさまざまな事件に(自分から)巻き込まれることになる。

突出した人気はないだろうし、すでに完結した作品ですが、リンク先には試し読みやらWEBオリジナルアニメやらコンテンツは非常に充実しています。ずいぶん偏った人気があるのだろうか?

石影の元には、街の人々から妖怪に関するさまざまな事件が持ち込まれます。多くは危険な妖怪の仕業。彼は妖筆の力を借り、個性豊かな妖怪を召喚、妖怪たちと戦い事件を解決に導きます。筆を持てばべらぼうに強い彼ですが、一方で、妖怪に関係ないものには一切興味を示さず、収入なく食うことすら事欠く引きこもり絵師です。こんな大人になっちゃだめだ。

彼に味方をしてくれる妖怪もいます。その一人が妖筆を与えてくれた毛羽毛現(けうけげん)(←2巻表紙)。髪盛り過ぎちゃって、不思議な髪形になってますが、れっきとした妖怪です。時には彼女の助けを借り、強力な妖怪と対峙します。ちなみに歌舞伎俳優大好きのミーハー。

序盤は短編が主体ですが、中盤以降は巻をまたぐような中編、長編の多い作品です。ストーリーが良質、キャラクターも多彩で書き分けができているし、次回作も期待できる漫画家の1人だと思います。是非。〆

※この記事は2013/02/19に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「くろのロワイヤル おはよう」

くろのロワイヤル おはよう (講談社コミックス) (Amazon)

オススメコミック。木下由一著、週刊少年マガジンSPECIAL掲載。

ある朝、パジャマ姿の女の子が、突然道の真ん中で生着替えを始めた。目撃者は山野ひとし、高校生。着替えをしていたのは鮫島くろの、魔法使いの少女だった。一般人では見ることのできない魔法、しかし、ひとしはくろのの魔法を無効化できる体質を持っていた。正体を知られてしまったくろのは、ひとしを拉致監禁するのであった。

ワガママ魔女っ子くろのと一般人ひとしのラブコメ未満のギャグ漫画です(通称:魔女っコメ)。女の子の画がうまいとか、エロティックな表現が得意とか、そういった類の作家さんではありませんが、ヒロインを可愛く描けていることと、ゆるいコメディが秀逸です。

ちなみに、表紙はくろのと、机の下でくろのを支えているひとしですが、初版だと帯に隠れて見えません。芸が細かい。試し読みはこちら。〆

※この記事は2013/02/25に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「スワロウテイル人工少女販売処」

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)(Amazon)

ハヤカワ文庫JA、藤真千歳(とうまちとせ)著、人工妖精(フィギュア)と呼ばれる少女を主人公にしたSFです。ワンフェスにかけてみた。

種のアポトーシス(プログラムされた細胞死)という病気に感染してしまった者は、東京湾(関東湾)に浮かぶ人工島に隔離されていた。島では感染を防ぐために男性地区と女性地区に区分し、男女を別々に住まわせていた。

異性の代わりとして造られたのが人工妖精と呼ばれる人造人間たち。彼、彼女らは微細機械(マイクロマシン)によって構成されているが、人間と同じように脳や心臓があり、魂を持ち、容姿も年齢もさまざま。人間と異なるのは、肉体的に成長をしないこと、背中には羽を持ち、「人間に危害を加えてはならない」などの規則を破れないこと(ロボット3原則のようなもの)。

主人公の揚羽(あげは)は、人工妖精の中でも最も劣等な5等級に分類され、羽が黒く醜くて、学習能力が低いことから自称「バカ」。ただし、彼女には”死んだ妖精の心を読む”能力と、人工妖精でありながら原則に反して殺傷ができる、という特異な才能を持っていた。揚羽はその能力を活かし、暴走した人工妖精「傘持ち(アンブレラ)」による連続殺人事件の真相を追っていた。

あらすじ長くてすみません。どこで区切っても話が通じないぐらい設定が凝ってます。世界観だけでお腹いっぱい楽しめる。物語もバトルあり謎解きあり恋あり旅ありハードボイルドあり陰謀ありのSFロマンが盛沢山。オススメです。〆

※この記事は2010/07/26に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ほんとにあった!霊媒先生」

ほんとにあった!霊媒先生(5) (ライバルコミックス)(Amazon)

オススメコミック。松本ひで吉著、月刊ライバル連載中のギャグ4コマ。

趣味特技が降霊という、霊能力を持つ先生・木林呪理(きばやしじゅり)と生徒と妖怪と猫が織りなす怪奇漫画です。夏だけにホラーコミックを……と思ったら、ついうっかりこの作品をチョイスしてしまいました。

腹を抱えて笑えると言うほどではありませんが、霊能力ネタはいろいろと応用が効いていて面白いです。歴史上の偉人降霊授業、信長の霊を降霊させた女子高生キャラとか、死神・疫病神・貧乏神姉妹、身代わり化け狸ぽんきっつぁん、便利な使いっぱしりクダキツネなど、個性的なキャラがたくさん。

霊能力に興味のある方はどうぞ。〆

※この記事は2010/08/12に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「マルドゥック・スクランブル」

マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC) (Amazon)

11月に第一作の劇場公開を控える「マルドゥック・スクランブル」のコミカライズ版。原作:冲方丁(うぶかたとう)、大今良時(おおいまよしとき)著、別冊少年マガジン 連載中。

小説のコミカライズにろくなものがないイメージがあったので敬遠してましたが、読んでみたら意外とよかった。帯&巻末の原作者メッセージは褒めすぎにしてもかなり読める。

画はさほどうまくないものの、コマ割りと構図が優秀、アクションとスピード感(緩急)も十分なレベル。ヒロインの内向的(だけど暴力的)な性格も良く出てると思います。

作画風景がYouTubeにアップされていますが(参考動画(YouTube))、著者は新人の女性なんですね。末恐ろしい。

現在は最新の2巻が発売中。原作小説は全3巻で発売中。なお、ライトノベルではなくハヤカワ文庫SFなのでお間違えなきよう。〆

「ハーモニー 」

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)(Amazon)

オススメ小説。第30回日本SF大賞。伊藤計劃(いとうけいかく)著、ハヤカワSFシリーズJコレクション。

大災禍・メイルシュトロムと呼ばれる核戦争後、政府ならぬ”生府”によって統治された世界。人間の生活と健康は徹底的に管理されてはいるものの、それに疑問を抱くことはなく争いのない優しい世界。主人公・霧慧トァン(きりえとぁん)が出会った反社会的な少女・御冷ミァハ(みれいみぁは)は、そんな世界に反抗しようと、とある事件を起こすが失敗してしまい、彼女の思想に傾倒していたトァンは心に大きな傷を負ってしまった。それから13年後、忌み嫌っていた生府の監察官となっていたトァンは、世界を揺るがす大事件に遭遇するが、その事件の背後にミァハの存在があるのではと疑う……。

ネタバレしないようにあらすじを書いていくと、なんだか分からないものができあがるという、悪い見本ですね。以後気を付けます。

いわゆるユートピアを良しとせず、それに抗って生きる女のハードボイルドSFです。トァンさんは、タバコが吸いたいけれど本国では法律で吸えない、じゃあ海外の紛争の調停の仕事でも請け負って、現地で隠れて吸っちゃえばバレないじゃん、というなかなかの荒くれ者かつ反社会的思想の持ち主です。凛々しい。

文章内ではタグが頻繁に使われ、慣れないとかなり邪魔です。<regret>○○は××と思った</regret>のような。基本的には感情を表すものとして、この場合regret(残念)タグで囲まれた文章「○○は××と思った」は残念な気持ちで言われている、という意味です。HTMLを知っている人には分かりやすいかも。何故このようなレトリックがなされているかは、最後の最後で明かされます。必要なタグなのです。この仕組みも面白い。

やや難解なテーマを持つお話ではありますが、展開は早いしSFなので問題ないでしょう。読んで損はなし。

なお、著者の伊藤計劃氏はメタルギアソリッドシリーズ好きとして有名で、MGS4のノベライズも手掛けましたが、2009年にガンのため34歳で死去。惜しい人を早くに亡くしたものです……。〆

※この記事は2010/11/07に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ[完全版]」

それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ[完全版]Ⅰ (朝日ノベルズ)(Amazon)

なつかしい。「それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」は十年近く前の人気ライトノベルシリーズで、そこそこ人気ながらも完結せずに終わってしまった作品の(今度こそ)完結版。庄司卓著、イラストは赤石沢貴士。

今の購買層に合ったのか、それとも昔の若者達が買っているのか、そこそこ売れているらしい。

天才ゲーマー女子高生・山本洋子は、その腕を見込まれて未来の戦争に参加することになった。その戦争は様々な利権をかけて国の代表者同志が戦う代理戦争で、安全な脱出転送装置のためにパイロットは絶対に死傷することはない。スカウトされた洋子は特一級打撃戦艦(スーパーストライク)「TA-29 ヤマモトヨーコ」に搭乗し、仲間と共に戦う。

SFバトルにギャグ要素を取り入れた物語です。ロボットや戦闘機ではなく戦艦というのが特徴。火力が凄まじく、統一場粒子兵器ザッパーはその気になれば惑星一つ吹っ飛ばせる超威力。その割に敵チームと口げんかしながらドンパチやる陽気さが面白い。

なお、アニメ版(約10年前)の監督は「化物語」でおなじみ新房昭之氏でした(参考動画:TV版OP)。OVA版は面白かったけれど、TV版は不評だった気がする。まあ、昔の話です。〆

※この記事は2011/01/17に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「アーサー・ピューティーは夜の魔女」

アーサー・ピューティーは夜の魔女 (MFコミックス フラッパーシリーズ)(Amazon)

オススメコミック。コミックフラッパー連載中、「フランケンふらん」「ヘレンesp」の木々津克久著。

謎のバクテリアの感染爆発によって、高い能力を身につけた人類は、人に似て人のフリをし人類を支配していた魔の者たちの存在に気付き、そして狩り始めた。アーサー・ピューティーは夜の魔女として恐れられていた存在だったが、団結した狡猾な人間達に追い詰められ、仲間達の下へ逃げ伸びていくのだった……。

「能なしの猿の大群め 霊長類とは我々のことなのに」とは、本作のヒロイン、アーサー・ピューティーの台詞。支配していた者が支配されていた者たちに追われ、個の力では負けないものの集団ではまるで歯が立たない。同類達の住処へ逃げ込んでもすぐに人間達がやってくる。行く先々でトラブルを引き起こしながらもアーサーの逃避行は続きます。

人間以外の視点から人間を視るという、社会風刺の効いた作品です。逃げるアーサーもやられっぱなしではいません。要所では力づく。なお、第6話には木々津克久の別作品のキャラクターも登場します。これは知っている人だけ楽しめる。〆

※この記事は2011/03/29に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「蒼き鋼のアルペジオ」

蒼き鋼のアルペジオ 2巻 (ヤングキングコミックス)(Amazon)

非常にオススメコミック。Ark performance著、ヤングキングアワーズ連載中。現在の最新巻は3巻。

2038年、突如として世界中に謎の艦隊群「霧の艦隊」が出現。超兵器を有する霧の艦隊に人類は太刀打ちできず、すべての海洋より駆逐される。それから17年後。霧の艦隊を裏切ったメンタルモデル・イオナを有する潜水艦「イ401」に乗り込んだ千早群像とクルー達は、霧の艦隊に戦いを挑む。

メンタルモデルとは、戦艦の人体化のこと。分かりやすく言うと擬人化。霧の艦隊はかつては無人の戦艦群でしたが、何らかの理由でメンタルモデルが生まれたらしい、という設定。ヒロインのイオナ、敵軍のヤマト、コンゴウ、キリシマ、ハルナと、左の画像2巻表紙のタカオなどが存在。大抵は甲板に立ってます。

海洋戦闘もので「沈黙の艦隊」等が好きな人はツボにはまるでしょう。敵艦のソナーに探知されることなく、いかにこちらの攻撃を当てるか。しかも相手にはクラインフィールドという強力なバリアがあり、そのバリアを無効化して攻撃を叩き込むための戦術、化かし合いが楽しめます。

個人的にお気に入りのキャラクターは左画像のタカオさん。主人公達との出会い頭に必殺の超重砲をぶっ放し(海が割れる)、追撃に18発→54分離の対潜ミサイルの雨を降らせる素敵な女性です。霧の艦隊のテクノロジーは人類を超越しているので、普通に戦ったら絶対に勝てる気がしない。戦艦なのに沈降するし。それを主人公らの知謀で覆すのが面白いわけ。〆

※この記事は201/04/18に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「月華美刃」

月華美刃 1 (ジャンプコミックス)(Amazon)

オススメコミック。”げっかびじん”と読む。「TISTA」の遠藤達哉著、ジャンプスクエア連載中。

月の国のお転婆皇女・竹之内カグヤは、勉強嫌いのわがまま放題で配下の者たちを困らせていた。成人の儀を迎えようとしていたある日、母の銀后・フジヤが病に倒れる。母の思いをくみ改心して皇女らしくしようとするカグヤだったが、成人の儀がテロリストに襲撃され、一人地球に逃れることになってしまった。月の民から囚人の星・穢星と呼ばれる地球で、カグヤの月へ帰るための戦いが始まる。

カグヤ姫を下敷きにしたアクションもの。ノリとしては「ワンピース」に近い。巫暈支(フツヌシ)と呼ばれる伝国の宝刀を使い、個性豊かな追手たちと戦って行く。時代的には平安時代ぐらいか? 地球に対して月の技術ははるかに進んでいて、宇宙船や衛星があるような世界観です。お供に医者がいたり永遠の命があるわけではない。

一人前の皇女になろうともがくカグヤの成長譚ですが、実力に対して強力すぎる巫暈支(フツヌシ)の力をどう制御し戦っていくかが見所。サブキャラクターたちも個性豊かでキャラが立ってます。下地はできているので、この後のストーリー展開に期待大。

試し読みはこちら。1巻の半分近く読めます。〆

※この記事は2011/05/22に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「君と僕のアシアト~タイムトラベル春日研究所~」

君と僕のアシアト~タイムトラベル春日研究所~ 1 (ジャンプコミックスデラックス)(Amazon)

オススメコミック。よしづきくみち著、スーパージャンプ連載中。「魔法遣いに大切なこと」「フレフレ少女」のコミカライズを手掛けた著者のオリジナル作品です。

若き科学者・風見鶏亜紀(かざみどりあき)が経営する春日研究所は、研究所のある春日市内を20年間に渡りスキャンし続けたデータによって、望む時間・場所を模した架空の世界を脳内に再現することができる。被験者はまるでその時にタイムトラベルしたような体験ができるが、あくまで架空の世界であるので、現実の世界には影響を与えない、というもの。

よくあるタイムトラベルものですが、あくまで疑似体験であり、何かしたところで世界の改変はされない、という点で異なります(ただし架空世界に干渉することはできるし、短期間であれば生活が可能)。

現時点で最新刊は3巻。最初の方は忘れていた約束を思い出したり失くした物を探したり、イイ話の佳作ですが、最愛の妹の瑞紀(みずき)の登場とアシアト部屋の存在が分かってから一気に面白くなります。結構長く続きそうなので今後に期待。

なお、試し読みはこちら(集英社漫画ネット)。〆

「いなり、こんこん、恋いろは。」

いなり、こんこん、恋いろは。 (1) (角川コミックス・エース 326-1)(Amazon)

オススメコミック。よしだもろへ著、ヤングエース連載中。

京都に暮らすごく普通の中学生・伏見いなりは、大好きな丹波橋くんに告白できずにいた。ある日の通学中、いなりは神社の河原で怪我をした子犬を見つけ介抱してあげる。助けた子犬は実は神の使いの子狐で、主人であるお稲荷様こと宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)は、助けてくれたお礼に一つだけ願いをかなえてあげると言う。いなりが望んだ願いとは……。

変身。ヒロインいなりと憧れの丹波橋君を中心に繰り広げられるラブコメです。変身することでトラブルが起きたり解決したりが基本。いなりの物語も良いですが、いなりに能力を授けた宇迦之御魂神(通称うか様)のサブストーリーも秀逸(ちなみに2巻の表紙の神です)。

能力を授けてしまい、お稲荷様としての神通力が欠けてしまったうか様。何故かいなりの兄に敵視され、逆に自分の兄には偏愛を受け、男性不信の結果たどりついた趣味が乙女ゲーの腐女子です。ヒロイン以上のキャラ立ちっぷりが素敵。

変身モノという王道の割に個性的だし、テンポよく、お話も面白いのでオススメです。〆

※この記事は2011/06/05に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ミル」

ミル 1 (ビッグコミックス) (Amazon)

オススメコミック。手原和憲著、月刊ビックコミックスピリッツ連載中。

大学生アキ(♂)の元に、風呂敷包みを背負って突然やってきた少女。その正体は実家で飼っていた猫のミルが化けた姿だった。アキが心配でやってきたというミル。見た目は女子高生でも中身は86歳の化け猫だという。世話やきでちょっとズレてる化け猫と大学生の共同生活が始まった。

女の子が転がり込んでくる居候モノではあるものの、大正時代から生きているお婆ちゃん猫なので、まったく色気を感じさせない不思議な作品。九州弁がチャーミング、料理も超得意、だが見た目に反して中身はお婆さんという変なギャップコメディ&萌え(?)。

画はうまいとは言えませんが(特に表紙はそのせいで損している、中画の方が良い)、話が良くテンポが良く面白いです。青年誌だからか、主人公が大学生と言うのも珍しくて良い。まったり進むストーリーなので癒されたい人、猫好き向け。〆

※この記事は2011/06/27に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「世界制服」&「聖モエスの方舟」

     

世界制服 1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)
聖モエスの方舟 1 (サンデーGXコミックス)(Amazon)

オススメコミック。「センチメントの季節」など文字通りセンチメンタルな作風を得意とする榎本ナリコ著、サンデーGX(ジェネックス)連載終了と連載中。

「世界制服」は”世界””制服”と”SF”をテーマにしたオムニバスギャグ作品。いわゆるセカイ系作品で、主人公の行動いかんで世界がどうにかなってしまうというお話がメイン。ニートの超能力少年、現実世界にアップロードされたバーチャル美少女、地球侵略しに来たはずの異星人など、奇想天外な主人公たちが登場。

その中の一節にあるのが「聖モエスの方舟学園」で、宇宙戦艦の士官学校で戦う少女たち…をテーマにしたフィギュアシリーズのフィギュア達のお話。短編ではありますが、作者曰く「うっかりぐるぐる考えていたら、ものすごく世界観が広がってしまった」(あとがきより)とのことで、スピンオフ作品として連載が開始されました。それが「聖モエスの方舟」。

男子が希少となってしまった未来の地球。モエナ・ジェラシードは、聖モエス学園が共学であるのにつられ入学するが、入学式の日に学園は宇宙船へと形を変え宇宙に飛び立つ。実は学園は謎の敵と戦う宇宙戦艦で、人類を救うための能力を持った少年少女たちを育成する士官学校であった。戸惑うモエナと仲間たちに対し、宇宙の向こうから大エネルギー弾・星弾(エトワーレイ)が降り注ぐ……。

「世界制服」はサブカルネタを多分に織り交ぜたギャグ漫画。それまでの作者の作風とはまったく異なる作品で、新境地というか暴走ぶりが素晴らしい。怪作が多く楽しめます。試し読みはこちら

「聖モエスの方舟」は設定先行で描かれているようで、左の第一巻表紙はモエナの変身した戦闘服姿(本人に資質があれば身につけている宝石で自由に変身できる)なのですが、……2巻が終わってもいまだ変身してません。重厚なSF大作のように、世界観設定や前フリを押さえつつじっくり話が進んでいきます。漫画的にはこんなゆっくりペースで大丈夫かと心配する反面、いよいよ変身となったらどんな力を発揮するのか楽しみでもあります。

尻つぼみにならず、10巻以上長く続けば名作になるかも。期待を持って推薦〆

※この記事は2011/07/11に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ライコネンの熱帯魚」

ライコネンの熱帯魚 1 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

オススメコミック。山西正則著、チャンピオンRED連載中。

誰も訪れない、校舎の奥の一室にある熱帯魚愛好会の部室。そこに棲む少女・ライコネンは、フィンランド生まれの魔女。40年間も学校に居ついて、魔術の研究と新薬の開発、そして熱帯魚の飼育を続けている。ひょんなことから、魔女ライコネンに感銘を受けた少年・瀬古原は、即座に愛好会に入会するが、掛け持ちしている美術部の活動で飼育をさぼりがち。ある日、彼の愛魚エンゼルフィッシュが死にかけてしまう。ライコネンに助けを求めると、「今後この子を”一生”かけて世話をすること」を条件に、治療をしてもらうことになったが……。

熱帯魚飼育のウンチクが詰まったラブコメ。ライコネン先輩の怖ろしい「人類品質改良実験」の被験者となった瀬古原くんと、愛魚エンゼル、彼らを取り巻く面々のドタバタものです。そんな中で、クールで無表情・無感動なライコネン先輩が徐々に人間らしくなっていくという部分もあり。

著者の作品としてはこれが初単行本とのことですが、非常に漫画がうまい。いくつか印象に残るカットもあり、展開もおもしろく、登場人物も魅力的。連載誌がチャンピオンREDということで女子多目ですが、描き分けもできているしエロさがないので気にならない。キーワードとなる熱帯魚は要所要所で大切な役割を持ち、ウンチクが小出しにされるので飼ってみたいなあとも思わせる。一方で金がかかるんだな、とも。

今後の展開にかなり期待。〆

※この記事は2011/10/06に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「血潜り林檎と金魚鉢男」

血潜り林檎と金魚鉢男 1 (電撃ジャパンコミックス ア 1-1)(Amazon)

オススメコミック。「バニラスパイダー」の阿部洋一著、電子コミック誌・電撃コミックジャパン連載中。

「雨上がり」の「水場」で「出血」すると出現する謎の吸血鬼・金魚鉢男。彼に吸血されてしまうと、金魚になってしまい元には戻れない。妹を金魚にされてしまった葉山昊助(はやまこうすけ)は、通学中に、スクール水着に首からモデルガンをぶら下げた謎の少女・林檎に出会う。林檎は金魚鉢男に襲われてしまった人間を助けるために、被害者の血の中に潜って救う”血潜り”をやっているのだという。昊助は妹を人間に戻す手段を探すために、林檎に協力して血潜りを手伝うことになったが……。

「バニラスパイダー」「少女奇談まこら」など怪奇的、独創的な作品を描く著者の最新作。オンライン雑誌で連載中とあってマイナーな作品ではあるけれど、だからこその面白さがある。メジャー誌向きではないからこそできる内容。

なんでスクール水着なのか、どうして血潜りなんてことができるのか、金魚鉢男とは何者なのか。まったく説明がないセンス・オブ・ワンダーが、飛び過ぎておらず取っつきやすい(逆にぶっ飛んでてワケわからんけど面白いのが「エイリアン9」などの富沢ひとし作品)。

連載誌……ウェブコミックがどこまで続くか分かりませんが、だらだらと長く続けず5巻ぐらいで完結させて欲しい短期決戦系作品。期待してます〆

※この記事は2011/10/31に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「そんな未来はウソである」

そんな未来はウソである(1) (KCデラックス)(Amazon)

オススメコミック。「みなみけ」の桜場コハル著、別冊少年マガジン連載中。ヒロイン2人の特徴を踏まえたタイトルがとても良い。

人と目を合わせるとその人の未来がちょっと見えてしまう少女・大橋ミツキ(右)。他人がウソをつくと分かってしまう少女・佐藤アカネ(左)。余計な未来を見ないようにミツキはなるべく人と目を合わせないように日々を過ごし、裏表の分かってしまうアカネは友達づきあいが苦手。ある時、ミツキはアカネに自分が未来を予見できることを話す。荒唐無稽な話だが、ウソをついてないことが分かるアカネには本当だと分かる。それがきっかけで二人は仲良くなっていくが、アカネがミツキに鏡を見せたせいで、ミツキは自分の重大な未来を予見してしまう……。

アニメ化もした「みなみけ」はそんなに面白いとは思えないけど、こちらは好き。ミツキの見てしまった自分の未来「クラスメイトの高山くんと結婚してた」を実現させるために、アカネが奔走するお話。”嫌なら未来は回避できる”ので、未来を知ってしまったミツキと高山がくっつかなかった場合、原因は自分にあるとアカネは考えており、そうならないために意地でも二人をくっつけようと恋のキューピッドとなる。

なるはずでしたが。2巻では「いい未来は自分で作る」というアカネの言葉とともに、前提を覆すパラダイムシフトが起こります。

思いっきりネタバレになるので何が起きるかは伏せておきますが、恋の未来と嘘のシーソーゲーム、おそらくこれが本作のメインテーマになるのでは。著者の独特の空気感とぽかーん口は健在で、大した話題でもないのになんとなく楽しく読めてしまう不思議。肩肘張らずに読めるコミックとしてオススメ。試し読みはコチラ。〆

※この記事は2011/11/15に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「ペーパーウエイト アイ」

ペーパーウエイト アイ1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)(Amazon)

オススメコミック。原作:田沢孔治、作画:さかもと麻乃。コミックフラッパー連載中。

人形作家の美大生・桐生マリエは、自分の作品のファンを名乗る青年・鵠丸カレルに誘拐されてしまう。マリエはカレルの持つ洋館に監禁され、あなたの黄金の手で「ヒト」を創って欲しいと依頼される。逃げようとするマリエであったが、自分の創った人形たちが命を吹き込まれ行く手を阻む。唯一の救いは”新しく目指した自分自身”をテーマにした人形・マジェンカが身を守ってくれること。はたしてマリエはカレルから逃げのびることができるのか?

ペーパーウエイトアイとは、ガラスを素材としたドールアイのこと。つまり人形の目。ドールものとしては「ローゼンメイデン」が有名ですが、こちらは球体関節人形以外にも主人公の創作物はすべて命を吹き込まれる仕様。しかもマリエの創作物は自身のトラウマをテーマとして創られているため、突飛な造形を持ち凶暴でサイコパス。恐竜の骨格標本に胎児を首吊りでくくった人形とかマリエ恐るべし。逃げようとするとそんな人形たちが襲ってくる。

逃げては捕まりまた逃げる。マリエと人形たちの追いかけっこ。しかし、悪意を持つ人形たちとは違いカレルには何だかんだで良くされているので、誘拐した者された者という主従関係とは違う微妙な距離感が良い。熱烈なファンと創造主の関係がそこにはある様子。カレルの目指す”ヒト”の創作とは何なのか、人形たちはなぜ動き出したのか、マリエの持つ黄金の手とは? さまざまな謎を含ませつつ物語は続く。

試し読みはこちら

※この記事は2011/11/21に「Psychelia.com」に掲載したものです。

「フランケン・ふらん」

フランケン・ふらん 8 (チャンピオンREDコミックス)(Amazon)

超オススメコミック。木々津克久(きぎつかつひさ)著、チャンピオンRED連載終了、最終巻。何度か取り上げてきましたが、これで終わり。悲しい。

天才医学者にしてマッドサイエンティストである斑木ふらんの診療録。最終巻の見どころは……事故で体の中心から左右に真っ二つになってしまったふらん。右半身と左半身に分けて自分を手術し、脳の回復を待って再び結合することにした(もうすでにこの作品を知らない人には意味不明だが、それができるのが人造人間たるふらんの能力)。順調に回復を見たものの、左脳のふらんと右脳のふらん、脳の働きによって性格の異なる二人のふらんの意見が対立。ついにはふらん(右)が研究所を飛び出してしまう……。といったお話など。

奇抜なストーリーと手術描写(≒グロ描写)でコアな人気を博した作品でした。グロ描写に耐性があればぜひ読んでいただきたい快作。ドラマCD化はされましたがアニメ化とか(描写上かつ倫理上)絶対無理、そこが悲しくはある。あと、マイナー作品ゆえに店頭在庫がない。この作品が書架にあるかないかで、その書店のコミックスに関する知識とこだわりが分かると言っても過言ではない。

全巻通して一番印象に残ったのは、2巻のエピソード「MULTIPLIES2」。ふらんの手術により、週に一度、細胞分裂で二人に増えてしまう体となった泉屋洋華。意図せぬ泉屋洋華の増殖に対し、ふらんは片っ端から処分(殺害)することで対応しようとするが間に合わない。このまま1人が2人、2人が4人、4人が8人と増え続けてしまうと、40週を過ぎたあたりで1兆人を越え、地球は泉屋洋華の底に沈んでしまう。ふらん「人一人の命は地球より重いって…じっさいそうなんですよ~ 泉屋洋華は地球には荷が重い」。という、皮肉的なエピソードが好き。ケレン味ありすぎです。どこに行った人権。

終わらせるにはもったいない作品ではありますが、まあ、あまり長く続けて内容が軽くなるのもよろしくないので潮時か? 木々津克久先生の次回作にものすごく期待してます。

試し読みはこちら。短い。〆

※この記事は2012/02/27に「Psychelia.com」に掲載したものです。